スピン偏極陽電子ビームによるホイスラー系ハーフメタルの偏極率評価

Spin-polarization of the Heusler type half-metals evaluated by spin-polarized positron annihilation

河裾 厚男; 桜庭 裕弥*; Zhang, H.; 前川 雅樹; 深谷 有喜   ; 高梨 弘毅*

Kawasuso, Atsuo; Sakuraba, Yuya*; Zhang, H.; Maekawa, Masaki; Fukaya, Yuki; Takanashi, Koki*

ホイスラー合金はハーフメタルの有力候補と期待されており、その偏極率の決定が重要な課題となっている。金属表面では、陽電子はフェルミレベル近傍の電子とポジトロニウムを形成する。このとき、パラ・オルソの生成比は、陽電子と電子のスピン偏極率に依存する。この性質を利用すると、金属表面電子の偏極率が決定できる可能性がある。われわれは、この方法を用いて、ホイスラー合金の偏極率決定を試みている。Ge-Gaを陽電子源として、縦スピン偏極した低速陽電子ビームを形成し、永久磁石によって磁化させたフルホイスラー合金(CoMnSi薄膜、表面に酸化防止Auキャップ層を二原子層積層)表面のポジトロニウムの三光子消滅強度をドップラー拡がり法により計測した。陽電子のスピン偏極方向に対して、印加磁場方向を入れ替えると、三光子消滅強度が変化することが見いだされた。これは、磁場印加により表面の余剰スピンの方向が変化しているためと考えられる。三光子消滅強度の変化量から、電子偏極率は約7%と求められた。この値は、CoMnSiに対して期待される電子偏極率としては明らかに低く、Auキャップ層の影響などが考えられる。

no abstracts in English