第一原理計算による粘土鉱物に吸着したセシウムの電子状態の解析

First principles studies of electric states of cesium adsorbed to clay minerals

奥村 雅彦   ; 中村 博樹  ; 町田 昌彦  

Okumura, Masahiko; Nakamura, Hiroki; Machida, Masahiko

福島原子力発電所事故により放出された放射性セシウムは地表近くの土壌に強く吸着しており、土壌から分離することが困難であるため、おもに土壌を除去することで除染が行われている。この除染による除去土壌が膨大な量となることが予想されており、新たな社会問題となっている。この問題を解決するためには、土壌から放射性セシウムを分離して除去土壌の減容化を行う必要があるが、土壌におけるセシウムの吸着様態が明らかになっていないため、減容化技術の開発は進んでいない。そこで、発表者らは、第一原理計算(密度汎関数法)を用いて、土壌の主成分の一つである雲母粘土鉱物におけるセシウム吸着時の電子状態を調べた。その結果、他のアルカリ原子(Li, Na, K, Rb)がほぼイオン結合にて吸着している一方、セシウムはイオン結合に加えて共有結合性を有することがわかった。実際、軌道の波動関数から電子の存在密度を調べたところ、カリウムに比べて、セシウムの方が粘土鉱物を構成する酸素原子との共有結合性が強まることがわかった。

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