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チタン酸バリウム中の不純物水素・ミュオンの電子状態

Electronic state of hydrogen/muonium in barium titanate

伊藤 孝   ; 髭本 亘  

Ito, Takashi; Higemoto, Wataru

BaTiO$$_3$$は積層セラミックコンデンサの誘電材料等として我々の生活に広く役立てられている。BaTiO$$_3$$は本来優れた誘電体であるが、その絶縁性能は微量の欠陥や不純物の存在により著しく劣化し得る。ゆえに、結晶中における特定の欠陥・不純物の電子状態を明かにすることは、その応用において大変重要である。本研究では、最もありふれた不純物である水素に着目し、BaTiO$$_3$$における不純物水素の電子状態の解明を試みた。希薄な不純物水素の電子状態を実験的に明らかにすることは、測定対象が微量であるがゆえに大変難しい。そこで我々は、水素原子核と同じ+1価の正電荷を持つ正ミュオンを純良単結晶に打ち込み、格子間水素をシミュレートした上で、その電子状態を$$mu$$SR法により高感度に測定した。BaTiO$$_3$$純良単結晶に対する$$mu$$SR測定の結果、極低温でミュオニウム(正ミュオンと電子の束縛状態)の形成を示す信号が観測された。そのイオン化の様子から、伝導帯下端から数十meVのところにミュオニウムが浅い不純物準位を形成しているとことが明らかになった。格子間水素もミュオニウムと同様に浅い不純物準位を形成し、室温付近では電子を放出して絶縁劣化を引き起こすと考えられる。

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