福島第一原子力発電所から放出されたXeの北半球規模での移行挙動解析

Long-range atmospheric dispersion simulation of Xe from the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant

古野 朗子   ; 小田 哲三; 永井 晴康  

Furuno, Akiko; Oda, Tetsuzo; Nagai, Haruyasu

福島第一原子力発電所の事故で大気中に放出された放射性物質の移行挙動は、福島第一原子力発電所から数百km1000km程度の領域においては明らかになってきているが、北半球規模においては定量的な再現評価に到達していない。そこで本研究では、この規模におけるWSPEEDI-IIの性能を評価するため、福島第一原子力発電所事故で放出された希ガス(Xe)について、北半球規模でのシミュレーションを実施し、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)のデータと比較した。放出量としては、(1)炉内解析による推定放出量、(2)大気拡散逆解析およびCTBTOのデータによる推定放出量、(3)炉心溶融時のインベントリ全量放出および炉内残存のヨウ素(I)壊変分全量放出を仮定した推定放出量(今回提案)の3ケースを設定した。このうち(2)と(3)を用いた場合は、放出点からの風下距離が遠い大陸上の観測所においても観測と計算がよく一致した。一方、高崎測定点のデータを参照する限りでは、(3)の推定放出量のほうが再現性が高かった。

We carried out a long-range atmospheric dispersion simulation of Xe released at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Accident, and evaluated the simulation results with the CTBT data. The simulation results were well corresponded with the CTBT data even the distant observation stations from the release point, when the release amount was set to entire Xe inventory and decay of I, and release time was set at the time of the meltdown.