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放射線のターゲットとしての染色体の構造変化シミュレーション

Simulation of chromosomal structural change as a radiation target

大内 則幸

Ouchi, Noriyuki

細胞の放射線応答は、照射された細胞周期のステージに依存して大きく異なる。中でも細胞生存率は、細胞周期に依存した二峰性の周期的な変動を伴う。そのような細胞周期ステージ依存性は、放射線損傷修復率の細胞周期依存の変動や、チェックポイント機構の存在などからの現象論的に説明されるが、理論的な説明はまだない。細胞生存率を計算する標的理論において放射線の最終的なターゲットは染色体であるが、その形態やサイズは時間と共に変化している。ターゲットとしての染色体動態と、細胞生存率の関係はどのようなものだろうか?今回、ヒト17番染色体を対象に放射線損傷部位の動態を調べるため、染色体の弾性力の実験データからKelvin-Voigt modelに熱ゆらぎの項を加えた方程式でクロマチン繊維をモデル化した。間期においてクロマチン繊維は200倍ほど凝縮して直径およそ3$$mu$$mの核内に収まっている。細胞周期ステージごとの染色体の立体構造を求めるため、間期細胞核内の非常に長いクロマチン繊維から、弾性的性質を利用することで、アニーリング法を用いて凝縮した間期染色体の空間構造の構築に成功した結果を発表する。

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