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福島長期環境動態研究,19; 福島県浜通り地域の貯水池における放射性セシウムの動態

Long-term assessment of transport of radioactive contaminant in the environment of Fukushima (F-TRACE project), 19; Transport and accumulation behavior of radioactive cesium in reservoir system

舟木 泰智 ; 吉村 和也  ; 佐久間 一幸   ; 成田 哲也

Funaki, Hironori; Yoshimura, Kazuya; Sakuma, Kazuyuki; Narita, Tetsuya

(1)緒言: 貯水池での放射性セシウム($$^{137}$$Cs)の移動・堆積挙動を把握するとともに、今後の移動・堆積挙動予測手法を開発することを目的として、浜通り地域に位置する5つのダムと大熊町と双葉町の13の小規模なため池で$$^{137}$$Csの動態調査を進めている。本報では、請戸川水系の中腹に位置する大柿ダムの底質調査、セディメントトラップ調査および水質調査から流域を移動する粒子の$$^{137}$$Cs濃度の時間変化について報告する。(2)方法: 柱状採泥器およびセディメントトラップを用いて貯水池の底質および沈降粒子を採取した。また、採水器等を用いて放流水を採取した。底質・沈降粒子は、Ge半導体検出器により放射能濃度を測定するとともに粒度試験を行った。放流水は$$phi$$0.45$$mu$$mのメンブレンフィルターでろ過後、Ge半導体検出器により浮遊懸濁物質(SS)の放射能濃度を測定した。(3)結果・考察: 底質および沈降粒子は、既往の土壌試料などの調査結果と同様に粒径が小さい画分ほど$$^{137}$$Cs濃度が高い傾向を示した。一般に比表面積(粒径)と$$^{137}$$Cs濃度の関係はべき乗の関数で表現できるとされ、大柿ダムの底質および沈降粒子から推定された指数値は0.22であった。求められた指数値は事故から5年程度の期間においてほとんど変化しないため、今後もダム湖へ供給される粒子の比表面積(粒径)と$$^{137}$$Cs濃度の関係は、概ね上記の関数で説明できるものと考える。一方、放流水中のSSと粒径や$$^{137}$$Cs濃度などが類似していると考えられるダム湖の放流工付近で採取した底質の$$^{137}$$Csの蓄積履歴を復元し、粒径ごとの$$^{137}$$Cs濃度の時間変化について検討した結果、$$^{137}$$Cs濃度は時間に依存して指数関数的に減少することがわかった。加えて、底質の採取後から継続的に捕捉している沈降粒子と放流水中のSSの$$^{137}$$Cs濃度の時間変化は、上記の底質の$$^{137}$$Csの蓄積履歴から推定した濃度の減少傾向と概ね一致した。以上のことから貯水池の底質は、流域を移動するSSの$$^{137}$$Csの濃度変化の履歴を保持しており、定期的に実施されている河川のモニタリング等を補完する上でも有効な情報を提供する。

no abstracts in English

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