福島県阿武隈山地の山地森林における林床状況に関連した放射性セシウム流出量

Radiocesium outflow related to the forest floor conditions in mountainous forest of the Abukuma Mountains, Fukushima

新里 忠史  ; 佐々木 祥人 ; 三田地 勝昭*

Niizato, Tadafumi; Sasaki, Yoshito; Mitachi, Katsuaki*

福島県の阿武隈山地において林床状況の異なる観測領域を設定し、雨滴侵食により林外へ流出するCs量を観測した。観測領域は下草が繁茂しリターの堆積した斜面上部、下草がなくリターの堆積した斜面下部の北側、下草とリターのない斜面下部の南側である。リターによる林床の被覆率は、斜面上部で約95%、斜面下部の北側で約48%、斜面下部の南側で約5%であった。流出土壌の重量とCs濃度、及び観測領域のCs沈着量のデータからCs流出率を算出した結果、下草が繁茂しリターが堆積する斜面上部で0.5%、下草がなくリターの堆積した斜面下部の北側で0.9%、下草とリターのない斜面下部の南側では2.1%となった。以上の結果は、林床の被覆状況が森林域の放射性セシウム流出において重要な環境条件であり、下草が繁茂し落葉落枝等が堆積するような環境を整備することが、放射性セシウム移動抑制対策につながることを示すと考えられる。

The outflow of Cs from the mountainous forest floor was estimated in the Abukuma Mountains, Fukushima. The outflow rates are decreased with a cover rate of the forest floor by a litter layer. The result shows the important role of the litter layer and undergrowth on a migration control of the radiocesium outflow from the forest floor.