地下水および物質移行経路と花崗岩冷却過程の関係に関する検討

Study on relationship between pathway of groundwater and mass transport, and cooling process of granitic rock

笹尾 英嗣   ; 湯口 貴史*; 石橋 正祐紀

Sasao, Eiji; Yuguchi, Takashi*; Ishibashi, Masayuki

高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、花崗岩などの結晶質岩では割れ目が地下水流動や物質移動の経路になることから、その分布を知ることが重要である。岐阜県南東部に分布する土岐花崗岩では、花崗岩冷却過程で生じる諸現象が地下水や物質の移行経路の形成・発達に果たす役割がある可能性が示唆されている。そこで、本研究ではこれまでの研究成果に基づいて、花崗岩冷却過程と地下水および物質移行経路形成の関係を検討した。その結果、土岐花崗岩体においては、冷却速度が遅いものの、局部的な冷却過程が不均一である箇所において割れ目頻度が高いことがわかった。斜長石中の微視的空隙については、黒雲母の変質と一連の反応として生じ、この反応を引き起こした熱水は、割れ目充填鉱物の方解石を沈殿させた熱水と同一のものであると考えられた。これらの点より、地下水の移動経路である割れ目や物質移行経路の一つである斜長石中の微視的空隙は花崗岩冷却過程において形成されたものであり、花崗岩冷却過程を検討することによってこれら移行経路の分布をより良く理解できる可能性が示された。

The authors studied cooling process of granitic magma in the Toki granite, distributed in the southwestern part of Gifu Prefecture, central Japan, based on petrological, mineralogical and themochronological methodologies. We also compare the relationship between magma cooling process, and fracture distribution and micropore in plagioclase. As a result, we estimated that the imhomogeneous distribution of fracture and micropore in plagioclase were formed by cooling process of granitic magma. We present the relationship between formation of the pathway of groundwater and mass transport, and cooling process of granitic rock.