微視的モデルによる系統的崩壊計算と今後の課題

Systematic study of -decay calculation and future perspectives

湊 太志   

Minato, Futoshi

中性子捕獲反応と崩壊は、星の中の元素合成で重要な役割を演じている。提案されている様々な元素合成プロセスの中で、特にプロセスに関連する原子核のほとんどは、核図表の安定線から離れた中性子過剰領域にある。そのため元素合成研究では、安定線近傍の原子核だけではなく、核図表の広い範囲の原子核の中性子捕獲反応と崩壊の核データを整備することが求められている。しかし、中性子過剰領域の原子核を実験的に測定することは容易ではないため、理論的アプローチによるデータ予測が必要となる。本発表では崩壊に着目し、これまで世界各国のグループで行われてきた理論研究の成果と核データへの応用例をまとめるとともに、原子力機構で実施した微視的モデルによる崩壊計算の研究成果について発表をする。また、崩壊に伴って発生する遅発中性子放出もプロセスに重要であるため、微視的モデル計算と統計モデルを組み合わせた最新の成果について発表をする。さらに、現在の理論モデルによる崩壊計算の問題点(予測精度の検証、高次の効果の導入等)について提起し、その具体的解決策についても提案する。

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