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磁気構造中の異常速度に起因した内因性トルク

Intrinsic torques emerging from anomalous velocity in magnetic textures

荒木 康史   ; 家田 淳一   

Araki, Yasufumi; Ieda, Junichi

本講演では、強いスピン-軌道相互作用の存在下で、電流に起因して磁気構造に働くトルクの理論を議論する。スキルミオン等の磁気構造は、実空間内で電子が得るベリー位相に起因して、電子の輸送特性としてトポロジカル・ホール効果に寄与することが知られている。一方でトポロジカル絶縁体・ワイル半金属等の強いスピン-軌道相互作用の下では、運動量空間内に幾何学的構造(ベリー曲率)が強く現れる。運動量空間のベリー曲率は、電場と垂直方向に異常速度を誘起することにより、(内因性)異常ホール効果に寄与する。我々は、このような実空間と運動量空間のトポロジカルな性質が協働し、電流によって誘起される磁気構造のダイナミクスにも寄与することを見出した[1]。まず、強いスピン-軌道相互作用の下で現れるスピン-運動量ロッキング(SML)に基づき、電流誘起トルクのうち磁気構造および異常速度がもたらす寄与を、半古典的な現象論を用いて分類する。その結果として、輸送電流に起因した既知のスピン移行トルク(STT)及びスピン軌道トルク(SOT)の他に、異常速度由来の「内因性」トルクが存在することを示す。これは電子の異常速度が、SMLによりスピン偏極に変換されて現れるトルクである。内因性トルクは電子分布の緩和時間に依存せず、不純物が多い系でも安定して現れることが期待される。特に磁気構造内部では空間反転対称性が破れることにより、異常速度由来のトルクが優位な寄与をすることが期待され、本研究ではこれを「トポロジカル・ホール・トルク(THT)」と呼んで注目する。THTが発現する具体例として、バンド反転した強磁性金属での計算例を示す。図のように磁化に対応して2対のワイル点を持つような系を考え、その中での磁壁に働くTHTを見積もる。その結果として、通常の非断熱的STT($$beta$$-項)で$$beta$$~2としたものに相当する、大きなTHTが現れることを示す。これはワイル点近傍のベリー曲率,SML、及びワイル点間に現れるvan Hove特異点に起因したものであり、磁化の温度変化に伴うバンド構造の変調によって到達できることが期待される。[1] Y. Araki and J. Ieda, arXiv:2105.14922.

no abstracts in English

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