陸域深部地下環境から取得した新規微生物の水素代謝とメタン生成菌との関係性
A Novel bacterium isolated from the terrestrial subsurface environment and its co-cultivation with a methanogenic archaeon
上野 晃生*; 佐藤 聖*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 玉澤 聡*; 天野 由記
; 宮川 和也
; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*
Ueno, Akio*; Sato, Kiyoshi*; Tamamura, Shuji*; Murakami, Takuma*; Inomata, Hidenori*; Tamazawa, Satoshi*; Amano, Yuki; Miyakawa, Kazuya; Naganuma, Takeshi*; Igarashi, Toshifumi*
幌延深地層研究センター地下施設より採取した地下水を接種源とし、偏性嫌気性の新規微生物Mangrovibacterium sp.Z1-71株(以下Z1-71株)を取得した。全ゲノム解析の結果、ゲノムサイズが約5.7Mbpと、既報のMangrovibacterium属細菌とほぼ同じゲノムサイズであった。16S rRNA遺伝子(1450 bp)の配列比較では、最近縁種のM. diazotrophicum DSM 27148
株とは94.6パーセントの一致性であったこと、全ゲノムを用いた系統解析では、既知のMangrovibacterium属とは異なるクレードに分類されたことから、Z1-71株は新種細菌である可能性が高いことが分かった。グルコースを炭素源として培養試験を行った結果、水素を生成することが分かった。過去に同地下環境から単離された水素資化性メタン生成アーキア、Methanoculleus horonobensis T10
株(以下T10
株)との共培養試験を行った。T10
株単独の培養ではメタンは生じなかったが、Z1-71株との共培養を行ったところメタンが生じた。本実験結果より、Z1-71株が生成する水素もしくは低分子量有機物を用い、T10
株がメタン生成を行うと考えられた。
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