転換期をむかえた原子力開発
The Changing landscape of nuclear energy development; A Comparative study of U.S. and Japan
小伊藤 優子

Koito, Yuko
近年、地球温暖化対策の観点から原子力発電が再評価されているが、ロシアのウクライナ侵攻により地政学的リスクが顕在化した。原子力発電に必要な濃縮ウラン燃料の供給不安が課題となり、原子力サプライチェーンの再構築が急務となっている。また、中国は新型炉の研究開発と建設を急速に進めており、国際的な原子力市場での影響力を拡大している。この状況は欧米諸国に危機感と競争意識を高め、エネルギー安全保障の観点から原子力開発への投資と支援制度の整備を加速させている。日本でも福島第一原子力発電所事故以降停滞していた原子力政策が再び動き出し、次世代革新炉の開発に向けた議論が本格化している。こうした国際的な潮流を踏まえて本稿では、米国と日本の原子力開発の動向を比較し、政策課題や制度的枠組みを整理し、政策的示唆を導くことを試みた。その結果、米国の原子力政策は技術開発から商業化までの各フェーズを、エネルギー安全保障の観点から原子力産業を再興するというビジョンで戦略的に接続し、包括的な支援体制を構築していることが明らかになった。一方、日本はカーボンニュートラルの方針のもとで技術開発・インフラ整備・規制への支援が断片的に行われているため、戦略的観点から原子力開発のあり方を再考する必要があるという示唆を得た。以上を踏まえて、日本の今後の原子力開発のあり方を問いかけるとともに、試論を述べる。
no abstracts in English
- 登録番号 : AA20250098
- 抄録集掲載番号 : 54000166
- 論文投稿番号 : 30557
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