水晶体用放射線防護具の開発
Development of the radiation protector for the lens of the eye
平戸 未彩紀
; 佐川 直貴; 高瀬 龍弥; 山本 和也
Hirato, Misaki; Sagawa, Naoki; Takase, Tatsuya; Yamamoto, Kazuya
令和3年4月1日の法改正により、放射線業務従事者の眼の水晶体における等価線量限度が1年間につき150mSvから1年間につき50mSvおよび5年間につき100mSvに引き下げられ、核燃料サイクル工学研究所プルトニウム取扱施設における水晶体被ばく線量の低減が課題となっている。医療従事者向けの放射線防護メガネの利用は有効な対策であるが、重量、メガネ酔い、サイズ適合性といった課題が残った。本研究では、これらの課題を解決するため、見やすさや顔への装着性を重視し、作業員の眼の水晶体被ばく線量を低減することを目的に、市販のフレーム形状の異なる3種類のメガネを選定し、その各メガネに対し、ガラスレンズの鉛当量変更(0.75mmPbから0.5mmPb)による軽量化と眼の水晶体の防護効果を高めるためのフレーム周囲の遮へい体追加を施した試作品を製作した。この試作品に対し、放射線防護の性能を評価した。3種類の試作品の装着性を評価し、最も装着性の良いものを選択した。しかし、このメガネには、正面、側面レンズ及びフレーム下部に鉛遮へいが施されているものの、フレーム上部の遮へいが施されていなかったため、多方向からの放射線入射がある実作業環境を考慮し、フレーム上部に0.5mmPbの鉛シートを貼り付けた。このフレーム上部への鉛シートの追加前後の2種類のメガネに対して、左右の内側及び外側に水晶体用線量計を取り付け、ファントムを用いて実作業環境(プルトニウム取扱施設内のグローブボックスのうち、遮へいパネル設置ポート前または非設置ポート前)および放射線校正場での照射試験を実施した。このうち、校正場での照射試験では、ファントムの正面、側方、上方30度の3方向からAm-241による
線照射を行い、入射方向の違いによるメガネの低減効果を検証した。被ばく低減効果の評価は、水晶体用線量計の内外比から実施した。その結果、改良後のメガネは、実作業環境で最大約8割低減、校正場での照射試験(上部からの照射)で約6割の被ばく低減効果を示した。これらの結果から、全周フレーム遮へいは低エネルギーの
線(Am-241)に対する高い防護効果をもたらすことが確認できた。
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