鼻スミヤ測定の最適化に向けた検討
Study on the optimization of nasal smear measurement
石橋 奈敬; 田村 健; 黒江 彩萌; 小林 賢二; 中川 貴博 
Ishibashi, Nauya; Tamura, Ken; Kuroe, Ayame; Kobayashi, Kenji; Nakagawa, Takahiro
1.背景・目的 原子力施設における内部被ばくスクリーニングでは、作業者の鼻腔内汚染を確認するために鼻スミヤ法が用いられている。この方法では、採取後の鼻スミヤろ紙をピンセットを用いて広げ、乾燥・測定皿に固定する必要があり、短時間で多人数を測定する際の迅速性及び再現性に課題があった。本研究では、誰もが簡便・迅速かつ適切に測定を実施できる「鼻スミヤ測定システム」の概念設計を行うとともに、鼻スミヤろ紙のデザイン及び採取方法の最適化を検討した。2.方法 (1)鼻スミヤ測定システムの概念設計鼻スミヤ測定システムを乾燥部・測定部・試料セット部からなる構成とし、システム化に必要となる主要プロセスとして、自動乾燥、回転式測定機構、リニア搬送システムによる複数試料同時測定を選定し、試作機を製作して概念設計の実現性を確認した。(2)ろ紙デザイン及び採取方法の検討 材質、形状の異なるろ紙とRI溶液(Am-241)を用いて放射線計測による採取量比較試験等を実施し、採取時の湿潤条件や材質の違いによる性能を評価した。さらに、鼻スミヤ採取時の鼻腔分泌物及び汚染の付着量のばらつきを低減するため、鼻スミヤろ紙の形状設計を行った。3.結果 試作機では、乾燥及び測定の自動化と複数試料の同時処理が可能であることを確認した。ろ紙デザイン及び採取方法の検討では、和紙素材を用いた試料がセルロース繊維の現行ろ紙と比較して採取量が大幅に向上した。また、湿潤状態のろ紙についても乾燥状態のろ紙と比較して採取量が向上した。さらに、製作したシールタイプの半円形ろ紙により、誰でも同一形状の鼻スミヤを作製でき、鼻腔分泌物及び汚染の付着量のばらつき低減並びに測定精度の向上を図ることができた。4.考察 鼻スミヤ測定システムは、今後詳細設計を行うことで、原子力施設における多人数同時測定への実用化が可能と考えられるが、特注生産が必要となるため、コスト面や開発期間の課題がある。一方、ろ紙デザイン及び採取方法の検討で得られた成果により、鼻スミヤ測定の精度及び迅速性の向上が期待できる。特に、湿潤状態による採取及びシールタイプろ紙の採用は、鼻スミヤ採取時の鼻腔分泌物及び汚染の付着量のばらつきを低減し、測定精度の向上に有効と考える。また、鼻スミヤろ紙の材質や試料採取方法の変更については、資材の調達、マニュアルの整備により、多くの現場で容易に適用できると考える。
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