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加田平 賢史*; 森脇 洋*; 石竹 美帆*; 國分 陽子; 山崎 秀夫*; 吉川 周作*
Soil and Sediment Contamination, 22(8), p.1003 - 1012, 2013/07
被引用回数:1 パーセンタイル:3.00(Environmental Sciences)本研究は、堆積物コア中の重金属濃度測定の結果から、長崎原爆の影響を含む環境汚染の変遷を明らかにしたものである。鉛同位体比を鉛汚染源の特定に用いた。堆積物コアは、長崎原爆爆心地の東約3kmにある貯水池より採取した。以前の研究により、本堆積物コアには、1945年の堆積層に長崎原爆起源と思われる高濃度のPuとCsが検出されている。重金属濃度及び鉛同位体比は、ICP-MSによって測定した。その結果、鉛濃度は、PuとCs濃度が極大値を示した層で同じく極大値を示した。また、同層の鉛同位体比は、他の層と異なる値を示したことから、この層に負荷された鉛は、長崎原爆の爆発に起因するものと考えられる。
高坂 由依子*; 加田平 賢史*; 森脇 洋*; 山崎 秀夫*; 國分 陽子; 吉川 周作*
no journal, ,
長崎湾底質試料中の重金属濃度や鉛同位体比を測定することにより、過去約100年間の重金属による環境汚染の変遷について検討した。結果、長崎湾周辺の重金属による環境汚染は1930年代半ば頃から始まったと考えられた。重金属濃度は、戦後の産業活動の活発化に伴い1960年代にピークを示した。鉛同位体比は1920年代初めまで日本の鉛鉱石の値に近く、大きな変化は見られなかったことから、周辺環境はそれほど汚染されていなかったことが推測できた。また、1930年代後半から1950年代にかけて、Pb/Pb, Pb/Pbの値に大きな変動がみられたことから、海外からの鉛の輸入量が増えたことが推測された。このように底質コアを分析することで、長崎湾周辺における産業の活発化を明瞭に読み取ることができた。また、1980年代以降、長崎湾コアの鉛同位体比は安定した値を示していたが、中国の産業活動が活発化する近年にはさらに変動があったことから、中国からの越境大気汚染の影響も示唆された。