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論文

Atmospheric ammonia deposition and its role in a cool-temperate fragmented deciduous broad-leaved forest

堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大

Atmospheric Environment, 298, p.119640_1 - 119640_12, 2023/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:58.15(Environmental Sciences)

Moderately elevated reactive nitrogen (Nr) deposition due to anthropogenic activities can have an impact on forest production via throughfall and canopy retention processes. Forest fragmentation can increase dry deposition of atmospheric ammonia volatilized from agricultural areas, and consequently increase spatial variability of Nr deposition even within the same forest (edge effect). However, little is known about the edge effect and its impact on forest production in a deciduous broad-leaved forest in Asian countries. Here, we performed the field observations of atmospheric concentration and deposition of inorganic Nr gases and particles in a Japanese fragmented forest from May 2018 to April 2019. The results demonstrated that annual dry deposition of ammonia was dominant in the annual total dissolved inorganic Nr deposition at the forest edge, including the edge effect. Additionally, agricultural activities such as fertilization in the area surrounding the forest likely enhanced the potential of canopy retention of NH$$_{4}$$$$^{+}$$, known as Nr species readily absorbed by tree canopy.

論文

Soil microbial community responding to moderately elevated nitrogen deposition in a Japanese cool temperate forest surrounded by fertilized grasslands

永野 博彦; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 久保田 智大*; 舘野 隆之輔*; et al.

Soil Science and Plant Nutrition, 67(5), p.606 - 616, 2021/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:19.73(Plant Sciences)

北海道の牧草地に囲まれた冷温帯林において、大気からの窒素沈着量と土壌の微生物群集特性との関係を調査した。窒素沈着量の緩やかな増大(年間10kg N/ha未満)が土壌微生物群集に及ぼす影響について明らかにすることを本研究の目的とした。調査対象の森林において6つの実験区画を設置し、そのうち3つを草地に隣接した林縁、他の3つを草地から少なくとも700m離れた林内に設置した。2018年5月から11月まで、各プロットでの窒素沈着を測定した。2018年8月には、すべての実験区画からリター層と表層土壌(深さ0-5cm)を収集し、微生物活性の指標として正味の窒素無機化と硝化速度、また微生物量の指標として微生物バイオマス炭素・窒素およびさまざまな微生物の遺伝子量(すなわち、細菌16S rRNA,真菌のITS,細菌のamoA、および古細菌のamoA遺伝子)を測定した。森縁の窒素沈着量は、林内の窒素沈着の1.4倍多かった一方、最も沈着量が多い場合でも3.7kg N/haであった。窒素沈着は、正味の窒素無機化および硝化速度、16S rRNAおよび細菌のamoA遺伝子の存在量と有意に相関していた。環境DNA解析に基づく土壌微生物群集構造は、リター層と表層土壌で異なっていたが、林縁と林内では類似していた。土壌の炭素/窒素比、および硝酸とアンモニウムの含有量に対する窒素沈着の有意な相関も観察された。以上より、窒素可給性の低い森林では、林縁における緩やかな窒素沈着の増大が土壌微生物の活性と存在量を増大させることが示された。

論文

Role of advection in atmospheric ammonia; A Case study at a Japanese lake basin influenced by agricultural ammonia sources

久保田 智大; 黒田 久雄*; 渡邊 未来*; 高橋 晃子*; 中里 亮治*; 樽井 美香*; 松本 俊一*; 中川 圭太*; 沼田 康子*; 大内 孝雄*; et al.

Atmospheric Environment, 243, p.117856_1 - 117856_9, 2020/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:15.82(Environmental Sciences)

大気アンモニア(NH$$_{3}$$)の乾性沈着は水圏生態系への窒素負荷経路の1つである。アジア諸国におけるNH$$_{3}$$の最大の排出源の一つである農業・畜産は、NH$$_{3}$$濃度の空間的及び季節的変動を引き起こし、乾性及び湿性沈着により湖沼流域へ影響を与えることが知られている。しかし、観測ネットワークの不足から、流域スケールでのNH$$_{3}$$濃度の空間分布はよく知られていない。本稿では、農業・畜産が盛んな流域(霞ヶ浦流域)でのNH$$_{3}$$濃度の空間的及び季節的変動の支配的要因を明らかにすることを目的とした。観測は2018年10月10日から2020年1月14日まで、合計36地点で行った。観測期間中の平均NH$$_{3}$$濃度は、農用地,湖,住宅地,森林の順に高かった。畜舎近傍で観測されたNH$$_{3}$$濃度は夏季より冬季の方が高く、気温に依存する揮発プロセスに基づくNH$$_{3}$$排出量の季節変化と異なった。農用地や湖のNH$$_{3}$$濃度と気象要素との比較から、排出源からのNH$$_{3}$$の移流の季節変化の重要性が示唆された。湖上のNH$$_{3}$$の乾性沈着量を推定したところ、全窒素の湿性沈着量を上回る可能性がある。湖への乾性沈着は植物プランクトンの増殖プロセスに関連することが知られており、水圏生態系の管理を行う上でNH$$_{3}$$の移流を考慮するべきである。

口頭

森林源流域から進行する窒素飽和メカニズムの解明と森林炭素蓄積能力への影響評価

堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 小嵐 淳; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 舘野 隆之輔*

no journal, , 

地球規模で問題となっている大気中の反応性窒素の生態系への過剰負荷による窒素飽和は、自然の窒素循環を乱して富栄養化をもたらすだけでなく、森林の炭素蓄積機能にも影響を及ぼす。しかし、森林への窒素負荷をもたらす窒素沈着量は、集水域内でも空間的ばらつきが極めて大きく、従来のように限られた一地点でのモニタリングから窒素負荷の影響を評価することは難しい。本プロジェクトでは、源流域から窒素飽和が進んでいる森林集水域において、大気・土壌・植生・河川を包括した窒素・炭素循環の多地点同時観測を行い、大気から森林への窒素負荷の空間分布を評価する。さらに、窒素負荷と渓流水質の関係に基づいて窒素飽和の進行メカニズムを解明し、窒素負荷の度合いに応じて樹木や土壌の炭素蓄積機能がどのように変化するかを明らかにすることを目指す。発表では、北海道東部の京都大学フィールド科学教育研究センター標茶研究林にある放牧地に隣接した森林集水域での大気アンモニア濃度・林内雨・渓流水質の多地点観測の結果を示すとともに、林内と放牧地に面する林縁部における違いを議論する。

口頭

落葉広葉樹林における窒素沈着量と土壌微生物特性の関係

永野 博彦; 安藤 麻里子; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 舘野 隆之輔*; 小嵐 淳

no journal, , 

窒素沈着量と土壌微生物特性の関係を明らかにするため、周囲を牧草地に囲まれ窒素沈着量が空間的に変動する落葉広葉樹林(北海道標茶町)において調査を行った。調査対象である森林の林縁部と林内部で、調査プロットを3か所ずつ選定し、2018年8月にリター層と表層土壌(0-5cm)を採取した。各試料の微生物バイオマス炭素・窒素を測定するとともに、試料から抽出したDNAについて、全細菌と全真菌のそれぞれに特異的な遺伝子領域の存在量をリアルタイムPCR法によって測定し、細菌量と真菌量の指標とした。5月から6月までの2か月間での窒素沈着量は、200から300mg m$$^{-2}$$程度で、林内部よりも林縁部で多い傾向を示した。調査した微生物特性のうち、表層土壌の細菌量は、窒素沈着量に対して正の相関を示し、変動の80%以上が窒素沈着量によって説明された。表層土壌の真菌量も窒素沈着量に対して正の相関を示したが、窒素沈着量によって説明された変動は全変動の30%程度であった。以上より、窒素沈着の増大は少なくとも表層土壌の細菌量を増加させる可能性があることが示唆された。今後、より詳細な解析を行うことで、窒素沈着量と細菌量の比例関係が成立したメカニズムを解明する。

口頭

空間的に不均一な窒素沈着は落葉広葉樹林の窒素・炭素動態に影響するか?

堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 小嵐 淳; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 永野 博彦; 中山 理智*; 舘野 隆之輔*

no journal, , 

大気中の反応性窒素の生態系への過剰負荷による窒素飽和は、植物-土壌間での窒素動態だけでなく、森林の炭素蓄積機能にも影響を及ぼす。発表者らは、過去のデータからこのような影響は反応性窒素の乾性沈着の空間的不均一性に依存するという仮説を立て、大気・土壌・植物・陸水等の複数分野の専門家で構成される新しいプロジェクトを立ち上げた。研究対象地域として、源流域から窒素飽和が進行している可能性がある北海道標茶町の北海道研究林(落葉広葉樹林)の林内部と農畜産由来の大気アンモニアの沈着の影響を受けやすい林縁部に複数の調査区を設けた。2018年生育期の観測結果により、以下のことが明らかになった:林縁部では林内部に比べて、(1)大気アンモニアの地上濃度とその窒素沈着量は高く、(2)O層における有機物の炭素貯留量とC/N比は低かったが$$delta$$$$^{15}$$Nは高く、(3)表層土壌(0-5cm層)の細菌量が多く、(4)土壌中の硝酸態窒素の現存量と硝化活性がO層および表層土壌で高く、(5)立木の胸高断面積合計の増加量が高かった。発表では、これらの結果を紹介しながら本プロジェクトの仮説の妥当性を議論する。

口頭

林縁と林内の窒素沈着量の違いが森林の生産性と光合成窒素利用特性に与える影響

渡辺 誠*; 則定 優成*; 黄瀬 佳之*; 山口 高志*; 中山 理智*; 福島 慶太郎*; 舘野 隆之輔*; 永野 博彦; 小嵐 淳; 堅田 元喜*

no journal, , 

近年問題となっている人為起源の反応性窒素の大気から森林生態系への沈着は、自然の窒素循環を乱して富栄養化をもたらすだけでなく、森林の生産性にも影響をおよぼす。一方、森林における窒素沈着には空間的な不均一性がある。特に風上側の林縁においては乾性沈着や霧沈着による窒素沈着が多くなることが指摘されている。そのため、林縁では森林の中心部分(林内)に比べて、森林の生産性や樹木の窒素利用特性が異なる可能性がある。そこで本研究では畜産地域に隣接し、窒素沈着の影響を受けやすいと考えられる森林の林縁と林内において、窒素沈着量の違いが森林の生産性および立木の窒素利用特性に与える影響に関する比較調査を行った。北海道標茶町のミズナラが優占する落葉広葉樹林を調査対象とした。この森林の中で畜産地帯に隣接した林縁部と林内部に、調査区(10m$$times$$40m)を3か所ずつ設置した。2018年5月から11月まで各調査区で林内雨による窒素沈着量および大気アンモニア濃度の観測を行った。5月と10月に各調査区において立木の胸高直径測定を行い、1成長期間における胸高断面積合計の増加量を算出した。また林床植生であるササの乾重量を測定した。7月に各調査区のミズナラ成木(平均樹高16m)に登はんし、樹冠内の5高度から、当年に伸張したシュート(枝および葉)を採取した。採取したシュートについて、乾重量、単位葉面積あたりの葉乾重量(LMA)、および葉のRubisco、クロロフィルおよび窒素の各濃度を測定した。林縁部の窒素沈着量および大気アンモニア濃度は林内に比べて有意に高かった。また立木の胸高断面積合計の増加量とササの乾重量も林内よりも林縁で高く、特に胸高断面積合計の増加量は窒素沈着量と有意な正の相関を示した。ミズナラのシュート乾重量およびRubiscoへの窒素分配割合は樹冠下部から上部にかけて増加し、葉の窒素濃度およびクロロフィル濃度への窒素分配割合は樹冠上部から下部にかけて低下した。しかし、LMAと森林位置(林縁・林内)を説明変数とした逸脱度分析の結果、いずれのパラメータについても、林縁と林内の間に有意な違いは認められなかった。以上より、調査対象とした畜産地帯に隣接した落葉広葉樹林において、(1)林縁の窒素沈着量は林内に比べて高いこと、(2)窒素沈着量の違いはミズナラの光合成の窒素利用特性に影響を与えないが、林分レベルのバイオマス生産を増加させることが明らかになった。

口頭

放牧・耕作地由来の窒素が分水嶺を超えて森林渓流水質に与える影響

福島 慶太郎*; 岩崎 健太*; 小田 義也*; 境 優*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 中山 理智*; 久保田 智大*; 永野 博彦; 渡辺 誠*; et al.

no journal, , 

森林における水・窒素の流出および収支を定量的に把握する上で、「集水域」が空間スケールの最小単位となる。大気から集水域内に流入した反応性窒素が、植物-土壌間の内部循環系に取り込まれ、その一部が渓流を通して集水域外へと流出する。この流入と流出のバランスをもって、生態系内の窒素保持機能が評価される。本発表では、集水域の水収支が閉じていない可能性のある森林における、渓流水の窒素濃度の形成メカニズムについて考察する。

口頭

森林炭素・窒素循環研究; 学術分野を超えた連携は必要か?

堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 小嵐 淳; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 永野 博彦; 中山 理智*; 舘野 隆之輔*; 黄瀬 佳之*

no journal, , 

地球温暖化をはじめとした地球環境問題の理解と解決には、複数の学術分野の研究者らが連携する研究(学際研究)が必要という考えが広まりつつある。このような認識は、森林物質循環に関する研究課題に対しても当てはまると思われ、学際研究を通じた新たな発見が個別研究を推進するなどの研究者へのメリットもある。一方で、研究者にとって学際研究を追求することにはリスクもある。例えば、助成金の確保、業績の評価、論文出版などに困難があるといわれている。また、専門性の違いによるコミュニケーションや手法の創意工夫は学際研究を進める上で最も重要かつ労力を要する部分であるが、それらが評価される機会は限られている。我々は、2017年に大気・水文・生態・微生物・地球化学などの専門家で構成されるプロジェクトチームを結成し、京都大学北海道研究林標茶区の天然林を対象に窒素沈着の影響評価を行ってきた。本発表では、このプロジェクトで行われた学術分野間の交流や挑戦を振り返りながら、学際研究のメリットとリスクについて考える。

口頭

Nitrate contamination of mountainous headwater streams from adjacent agricultural and pasture lands beyond the watershed boundary in eastern Hokkaido, Japan

福島 慶太郎*; 岩崎 健太*; 小田 義也*; 境 優*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 久保田 智大*; 永野 博彦; 渡辺 誠*; 小嵐 淳

no journal, , 

森林における水・窒素の流出および収支を定量的に把握する上で、「集水域」が空間スケールの最小単位となる。大気から集水域内に流入した反応性窒素が、植物-土壌間の内部循環系に取り込まれ、その一部が渓流を通して集水域外へと流出する。この流入と流出のバランスをもって、生態系内の窒素保持機能が評価される。本発表では、集水域の水収支が閉じていない可能性のある森林における、渓流水の窒素濃度の形成メカニズムについて考察する。

口頭

移流の重要性; 農業系アンモニア揮散の影響を受けた霞ヶ浦流域における事例研究

堅田 元喜*; 久保田 智大; 黒田 久雄*; 渡邊 未来*; 高橋 晃子*; 中里 亮治*; 樽井 美香*; 松本 俊一*; 中川 圭太*; 沼田 康子*; et al.

no journal, , 

大気アンモニア(NH$$_{3}$$)の乾性および湿性沈着は、湖沼の富栄養化の原因を明らかにする上で考慮すべき重要な窒素負荷経路である。作物や畜産などの農業系はアジア諸国における最大のNH$$_{3}$$排出源の一つであり、空間的にも時間的にも変動が大きい。一般に、NH$$_{3}$$の揮散(排出)速度は夏季や施肥の時期に最大になることが知られているが、多くのアジア諸国ではNH$$_{3}$$濃度のモニタリングは限定的であり、流域スケール(数10から数100km$$^{2}$$)のNH$$_{3}$$濃度の支配的要因はわかっていない。本研究では、富栄養湖である茨城県霞ヶ浦の流域とその周辺でNH$$_{3}$$濃度の多地点観測を実施し、地上気象データや既往のNH$$_{3}$$排出量マップとの比較から、その空間分布や季節変動を決定している要因を検討した。そのために、霞ヶ浦流域を網羅する36地点に拡散型パッシブサンプラー(小川商会製)を設置し、2018年6月から2020年1月まで月平均NH$$_{3}$$濃度の観測を行い、得られたNH$$_{3}$$濃度と全国1kmメッシュのNH$$_{3}$$排出量推計マップ・地上気象データとの関係を比較した。その結果、排出量推計値が最大である地域では、NH$$_{3}$$濃度が夏季に比べて冬季の方が高かった。これは、気温上昇や施肥などの揮散プロセスをNH$$_{3}$$の空間分布の支配的要因とする既往の研究に対して、本研究のような流域スケールでは風向の季節変動が支配的になりうる可能性が示された。

口頭

放牧・耕作地由来の窒素が分水嶺を超えて森林渓流水質に与える影響

福島 慶太郎*; 岩崎 健太*; 小田 義也*; 境 優*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 久保田 智大*; 永野 博彦*; 渡辺 誠*; 小嵐 淳

no journal, , 

森林における水・窒素の流出および収支を定量的に把握する上で、「集水域」が空間スケールの最小単位となる。大気から集水域内に流入した反応性窒素が、植物-土壌間の内部循環系に取り込まれ、その一部が渓流を通して集水域外へと流出する。この流入と流出のバランスをもって、生態系内の窒素保持機能が評価される。本研究では、京都大学北海道研究林標茶区の森林を対象に、集水域外の水や窒素が分水嶺を超えて森林集水域内に流入する可能性を検証し、それが渓流水質形成および集水域の窒素保持機能評価に与える影響を解明することを目的とした。長期にわたる観測調査の結果、河川流量が降水量の約1.5-2.3倍と集水域外からの地下水流入の可能性が示された。窒素収支は流入量2.3-4.0kgN/ha/yrに対して流出量が7-10kgN/ha/yrであったが、本森林渓流には、集水域外の放牧・耕作地に由来する硝酸態窒素を多く含む地下水が分水嶺を超えて河床から湧出しており、本森林集水域の窒素保持機能が過小評価されていることが示された。

口頭

Moderately elevated nitrogen deposition altering soil carbon dynamics

永野 博彦*; 中山 理智; 堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 安藤 麻里子; 舘野 隆之輔*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳

no journal, , 

Even a moderately elevated nitrogen (N) deposition alters soil carbon (C) dynamics which produces one of the largest C effluxes to the atmosphere in the global C cycle. In a Japanese northern deciduous forest, we found that moderately elevated N deposition in forest edge areas significantly increased soil microbial activity without changing soil microbial species composition. Laboratory incubation studies showed that N addition equivalent to 1% of total N content in soils significantly stimulated carbon dioxide (CO$$_{2}$$) release in Andosol. Moreover, the N addition showed no significant effect on the CO$$_{2}$$ release rate under dry-wet cycles, whereas an increasing fluctuation in soil water content was found to simulate the CO$$_{2}$$ release rate. These results demonstrate complicated effects of moderately elevated N deposition on soil C dynamics, and encourage further work to improve our understanding and predictability of future environments under progressive climate change and increasing N availability.

口頭

北海道の分断化した落葉広葉樹林における大気アンモニアの樹冠吸収の重要性

堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大

no journal, , 

農業活動に伴い排出される反応性窒素の沈着は、森林の生産力や炭素循環に影響を及ぼす。本研究では、農地に面している森林の林縁で大気アンモニア(NH$$_{3}$$)の乾性沈着量が高まる「林縁効果」に着目し、北海道の落葉広葉樹林の林縁と林内においてNH$$_{3}$$濃度、林内窒素沈着量、樹木・下層植生の形質・成長量などを観測し比較した。さらに、樹冠収支モデルを適用して樹冠へのNH$$_{3}$$吸収量を推計し、窒素沈着量に対する寄与を調べた。その結果、溶存無機態窒素の沈着量の主要成分は樹冠へのNH$$_{3}$$の乾性沈着であった。また、本調査地のミズナラの樹木葉の形質には林縁と林内の間に差が見られなかったが、ミズナラと下層植生(ササ)の成長速度は林縁で増加傾向にあった。このことは、NH$$_{3}$$の乾性沈着を主とした年間2kgN/ha程度の窒素沈着量が森林生産力を変化させうることを示唆している。

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