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久保田 俊也*; 濱添 勇太*; 橋口 周平*; 石橋 大輔*; 赤坂 一之*; 西田 教行*; 片峰 茂*; 坂口 末廣*; 黒木 良太; 中島 敏博*; et al.
Journal of Biological Chemistry, 287(17), p.14023 - 14039, 2012/04
被引用回数:5 パーセンタイル:11.55(Biochemistry & Molecular Biology)遺伝子組み換え型の -sheet-rich recombinant full-length prion protein (-form PrP)を準備し、この-form PrPとヒト一本鎖抗体を提示したファージライブラリを用いて、-formではなく-form PrPに特異的なヒトIgG1抗体(PRB7 IgG)を確立した。プリオンに感染したScN2a細胞をPRB7 IgGと共培養させると、細胞質中でPRB7結合粒子が生成蓄積され、その結果、非常に大きなPRB7結合凝集体を生成するアポトーシスを起こした細胞となる。全長PrPのN末端のオクタリピート領域を認識するSAF32抗体は、共焦点顕微鏡法で決定されるようにこれらの細胞内の明瞭な粒子を染色した。PRB7 IgG又はSAF32の存在下で培養されたプリオン感染ScN2a細胞内でPK抵抗性PrPの蓄積を観察すると、SAF32によって強く阻害されたが、PRB7 IgGによっては全く阻害されなかった。このようにして、ScN2a細胞内の-sheet-rich PrPの産生・蓄積の直接的証拠を新たに掴んだ。これらの結果は、(1)PRB7結合PrPが、-form PrP凝集体の蓄積に寄与していず、むしろ結果としてアポトーシス細胞死を引き起こす最終産物である、(2)PRB7が認識する -formが欠乏したSAF32結合PrPは伝播性を伴ういわゆるPrPかもしれない、ということを示唆している。PRB7は、-form PrPに特異的な最初のヒト抗体であり、生化学的,病理学的なプリオンを特徴付けるための強力なツールになると考えられる。