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論文

Geometries and electronic states of iron trimer (Fe$$_{3}$$) by CCSD and CCSD(T) calculations

中沢 哲也

AIP Advances (Internet), 11(4), p.045032_1 - 045032_8, 2021/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:7.86(Nanoscience & Nanotechnology)

Fe$$_{3}$$分子のさまざまな電子状態における分子構造とエネルギー準位をCCSDおよびCCSD(T)計算によって調べた。Fe$$_{3}$$の基底状態は$$^{13}$$A'(C$$_{s}$$)であった。$$^{13}$$A$$_{1}$$(C$$_{2v}$$)は基底状態の次に最低のエネルギー状態にあり、基底状態とほとんど等しいエネルギー状態で縮退している。CCSD(T)計算ではスピン多重度13に対して、基底状態と5つの励起状態が0.20eV未満にあるのが確認された。一方、スピン多重度9, 11, 15の電子状態は、0.20eV以上にのみ確認された。また、詳細な自然結合軌道(NBO)分析から、スピン多重度13においてFe$$_{3}$$分子はs特性が高い$$beta$$スピンの$$sigma$$結合軌道で構成されている。この$$sigma$$$$_{Fe-Fe}$$結合は、分極がほとんどないほぼ完全な共有結合である。

論文

Density functional theory study on the geometric and electronic structures of Fe$$_{2}$$O$$_{2}$$ and the reaction of Fe$$_{2}$$ + O$$_{2}$$

中沢 哲也

Computational Materials Science, 146, p.334 - 345, 2018/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:3.75(Materials Science, Multidisciplinary)

Fe$$_{2}$$O$$_{2}$$の可能な構造に対して最も安定した異性体を得るためB3LYP及びBroken-symmetry (BS)法を取り入れたB3LYPを用いた計算を行った。得られた安定異性体に基づいてrhombic Fe$$_{2}$$($$mu$$-O)$$_{2}$$に向かうFe$$_{2}$$とO$$_{2}$$の反応機構を調べた。Fe$$_{2}$$($$mu$$-O)$$_{2}$$のBS-singletが全てのFe$$_{2}$$O$$_{2}$$異性体で最安定状態にある。Open-cycle ($$eta^{1}$$-O)Fe$$_{2}$$($$mu$$-O)の$$^{9}$$A"とnear-linear OFeOFeの$$^{3}$$Aが2番目、3番目に安定な異性体である。安定異性体に対して計算した振動数は過去の理論や実験研究と一致した。Rhombic Fe$$_{2}$$($$mu$$-O)$$_{2}$$に向かうFe$$_{2}$$とO$$_{2}$$の反応に対して計算したsingletとnonetのポテンシャルエネルギー面からこの反応はnonetからsingletへのスピン反転を経て断熱的に進むことを示唆している。反応中間体や最終生成物のFe-O結合はイオン結合及び共有結合の両方の特徴を持ち、そして、FeからOへの大きな電荷移動のため高い分極率を持つことをNBO解析は示している。

論文

A Density functional theory investigation of the reactions of Fe and FeO$$_{2}$$ with O$$_{2}$$

中沢 哲也; 加治 芳行

Computational Materials Science, 117, p.455 - 467, 2016/05

 被引用回数:8 パーセンタイル:28.75(Materials Science, Multidisciplinary)

Fe及びFeO$$_{2}$$とO$$_{2}$$の反応過程と反応生成物をB3LYP/6-311+G(d)のレベルで調べた。これらの反応はポテンシャルエネルギー曲線、反応種間の相互作用エネルギー、Fe原子とO$$_{2}$$分子の励起に必要なエネルギーを求め、それらをもとに反応過程を検討した。反応生成物のNBO及びMulliken解析と振動計算も行った。基底状態のFe原子とO$$_{2}$$は障壁エネルギーを伴う非断熱的遷移や垂直励起エネルギーによるFe(O$$_{2}$$)からの遷移によってOFeOは形成される。この結果はFe原子とO$$_{2}$$分子は低温ではなく高温で反応することを示している。また、OFeOとO$$_{2}$$は吸熱的反応によって$$eta^{2}$$-及び$$eta^{1}$$-(O$$_{2}$$)FeO$$_{2}$$複合体を生成する。さらに、低い光エネルギーが複合体間での可逆遷移を可能にしている。得られた生成物のNBO解析から、生成物の原子電荷はFeとOの間で生じる電子移動や反応種(Fe$$^{+}$$, O$$_2^{-}$$)本来のイオン的特性に由来することがわかった。

論文

Structural, bonding, and magnetic properties of Fe$$_{n-x}$$Si$$_{x}$$ ($$n$$, $$x$$ $$leq$$ 6) clusters; Theoretical investigation based on density functional theory

中沢 哲也; 加治 芳行

Computational Materials Science, 68, p.350 - 360, 2013/02

 被引用回数:4 パーセンタイル:15.16(Materials Science, Multidisciplinary)

Fe, Si、及びFe-Siクラスターの構造,結合及び磁気特性をUB3LYP/LanL2DZレベルで求めた。これら特性へのSi置換効果を確認した。Feクラスターの凝集力は逐次的なSi置換によって非単調に増加する。多くの混合クラスターの結合長はSi置換による大きな影響は受けないが、高いs性の混成軌道で形成された少数のSi-Si結合の長さはSiダイマーの結合長以下である。一方、隣接した幾つかのエクアトリアル原子間の距離は著しく大きく、そこには結合の形成がない。平均磁気モーメントはSiの増加とともに非単調に減少し、Siクラスターのその値に近づく。混合クラスターのSi上の小さな局所磁気モーメントはFe上の大きな局所磁気モーメントと反強磁性の関係にある。Si置換によるFeクラスターの特性変化はFeから周辺Siへの電子移動に起因している。

論文

Structural, bonding, and magnetic properties of small Fe$$_{n-x}$$Mo$$_{x}$$ ($$n$$, $$x$$ $$leq$$6) clusters

中沢 哲也; 加治 芳行

Computational Materials Science, 55, p.365 - 375, 2012/04

 被引用回数:11 パーセンタイル:34.81(Materials Science, Multidisciplinary)

The structural, bonding, and magnetic properties of clusters of Fe$$_{n}$$, Mo$$_{n}$$n, and Fe$$_{n-x}$$Mo$$_{x}$$ ($$n$$ = 2-6, $$x$$ = 1-6) optimized at the B3LYP/LanL2DZ level with symmetry constraints are determined. The effects of the substitution of Mo in Fe$$_{n}$$ on the properties of Fe$$_{n}$$ are identified and discussed. While the cohesion of the Fe cluster is affected only to a small extent by the Mo substitutions, the structure of the cluster changes remarkably. In the mixed Fe-Mo clusters, the Mo-Mo bonds are shorter than the Fe-Fe and Fe-Mo bonds. The smaller distances between adjacent Mo atoms result from the strong d-contribution to bonding. On the other hand, the larger distances between Fe atoms mostly result from the strong magnetic repulsion associated with ferromagnetic coupling. The local moments of the Mo atoms are aligned in antiferromagnetic order. The variations in structural and magnetic properties of Fe clusters due to the Mo distributions are considered to be closely associated with the mechanical and magnetic hardening of Fe-Mo alloys.

論文

Fast calculation approach to semi-empirical molecular orbital method using real space division method

五十嵐 誉廣; 中沢 哲也; 鈴木 知史; 都留 智仁; 加治 芳行

Computational Materials Science, 50(12), p.3346 - 3349, 2011/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:4.5(Materials Science, Multidisciplinary)

10万原子を超える系の量子的な原子間結合力を得るための新たな手法を開発した。開発手法では、半経験分子軌道法と空間分割法を組み合わせることで、電子構造や原子間結合エネルギーなど、大規模原子系の量子的解析を可能としている。開発した手法を用いて、SiH$$_{4}$$分子とシリカ結晶について結合次数と結合エネルギーの解析を行った。解析の結果、開発した手法は第一原理計算と同等の精度を保ちつつ、非常に早い速度で解析可能であることを確認した。

論文

Density functional calculations for small iron clusters with substitutional phosphorus

中沢 哲也; 五十嵐 誉廣; 都留 智仁; 加治 芳行; 實川 資朗

Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.1090 - 1093, 2011/10

 被引用回数:4 パーセンタイル:32.59(Materials Science, Multidisciplinary)

鉄において粒界に偏析する不純物はその物理的・化学的特性を著しく変化させることが知られている。その不純物の一つであるPは熱や照射環境のもと粒界に偏析し、粒界割れを引き起こす。本研究では、粒界におけるPとFeの結合特性を理解するため、八面体構造を持つFeクラスターの結合エネルギーや電子構造への置換したPの影響を密度汎関数計算を用いて調べた。Feクラスターの結合エネルギーは置換したPの増加とともに増加している。この増加はFeからPへの電荷移動によるFe-P結合の強化による。一方、計算で得た結合次数はFe-Fe結合の弱体化を示している。照射によるPの偏析で生じる脆化は弱体化したFe-Fe結合と関係していると考えられる。

論文

Theoretical study on segregation of Cu, Mo and W impurities and stability of impurity-vacancy pairs in bcc Fe

都留 智仁; 阿部 陽介; 鈴木 知史; 中沢 哲也; 加治 芳行; 塚田 隆

Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.1054 - 1057, 2011/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.73(Materials Science, Multidisciplinary)

核融合炉における構造材料の有力な候補として期待される低放射化フェライト鋼において、マトリクス中の不純物の安定性は照射脆化等の材料劣化に寄与する大きな要因である。本研究では、圧力容器等に用いられるフェライト鋼と低放射化フェライト鋼における不純物元素の析出特性と、空孔ペアとの安定性について第一原理計算を用いた検討を行った。その結果、Feマトリクス中の相互作用係数と析出エンタルピーの評価から、WやMoはCuなどの閉殻系と異なり固溶状態が安定であることがわかった。

論文

Density functional investigation of Fe$$_{n}$$ clusters (n $$leq$$ 6) with Cr substitutions; UB3LYP/LanL2DZ calculation

中沢 哲也; 五十嵐 誉廣; 都留 智仁; 加治 芳行

Computational Materials Science, 50(3), p.982 - 990, 2011/01

 被引用回数:10 パーセンタイル:33.32(Materials Science, Multidisciplinary)

対称性のもとUB3LYP/LanL2DZレベルで構造最適化したFe$$_{n}$$, Cr$$_{n}$$, Fe$$_{n-x}$$Cr$$_{x}$$($$n$$=2-6, $$x$$=1-6)クラスターの構造変数,結合エネルギー及び電子構造等を求めた。Fe$$_{n}$$のこれらの特性へのCr置換効果を確認した。Fe$$_{n}$$の結合エネルギーは連続的なCr置換により徐々に減少した。ほとんどのFe-CrクラスターではFe-Fe及びFe-Cr結合に比べてCr-Cr結合の方が長く、Fe-Fe, Fe-Cr, Cr-Cr結合の順に結合長は長くなっている。Fe-CrクラスターにおけるCr-Cr結合のようなより長い結合長は原子間に働く磁気的フラストレーションによる強い反発によって生じている。これはCr置換に起因した電子構造の変化、特に結合への4sや3d電子の寄与の程度と関連している。

論文

Ab initio calculations of Fe-Ni clusters

中沢 哲也; 五十嵐 誉廣; 都留 智仁; 加治 芳行

Computational Materials Science, 46(2), p.367 - 375, 2009/08

 被引用回数:24 パーセンタイル:58.29(Materials Science, Multidisciplinary)

Fe, Ni、及びFe-Niクラスターについて密度汎関数法を基礎とした計算科学的手法により調べた。クラスターの構造はUB3LYP/LanL2DZレベルにおいて対称性の制約のもと最適化した。本研究では平衡構造と結合エネルギーを示し、密度解析の結果や電子配置とともに議論した。さらに、Fe$$_{n-x}$$Ni$$_{x}$$クラスターの結合エネルギーはFe原子のNi原子での連続的な置換によって緩やかに減少することがわかった。異性体間における全エネルギーの比較からFe-Niの混合クラスターではNi原子はエネルギー的にクラスタリングをしやすいことが明らかとなった。本研究は、照射した圧力容器で観察されているNiクラスターやステンレス鋼で見られる照射誘起偏析のNi富化などの実験結果と定性的に一致している。

論文

Development of stress corrosion cracking model for reactor structural materials

加治 芳行; 五十嵐 誉廣; 都留 智仁; 中沢 哲也

Proceedings of 16th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC-16) (CD-ROM), 6 Pages, 2008/10

軽水炉の長期運転において、ステンレス鋼製構造物の粒界型応力腐食割れ(IGSCC)は重要課題の一つである。IGSCCの機構解明のために、分岐き裂を含むIGSCC成長挙動をシミュレーションするIGSCC進展モデルの開発を実施している。本論文では、開発中のIGSCC進展モデル及び粒界特性に関する基礎的な研究活動の現状について紹介する。

論文

High energy heavy ion induced structural disorder in Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$

中沢 哲也; 内藤 明*; 有賀 武夫; Grismanovs, V.*; 知見 康弘; 岩瀬 彰宏*; 實川 資朗

Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1398 - 1403, 2007/08

 被引用回数:43 パーセンタイル:92.87(Materials Science, Multidisciplinary)

高エネルギーXeイオンを照射したLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$の構造変化をラマン分光法を用いて調べた。Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$のラマン信号強度が照射により減少した。ラマン信号強度の減少は構造単位(TiO$$_{6}$$, LiO$$_{6}$$, LiO$$_{4}$$)におけるTiやLi周辺の酸素原子の配置に関する秩序の消失、すなわち無秩序化に起因している。このような構造単位の無秩序化は照射量や電子的エネルギー付与量より電子的阻止能と密接に関連していることが示された。

論文

Development of advanced blanket materials for a solid breeder blanket of a fusion reactor

河村 弘; 石塚 悦男; 土谷 邦彦; 中道 勝; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中村 和幸; 伊藤 治彦; 中沢 哲也; 高橋 平七郎*; et al.

Nuclear Fusion, 43(8), p.675 - 680, 2003/08

 被引用回数:28 パーセンタイル:64.08(Physics, Fluids & Plasmas)

核融合原型炉を実現するために、先進ブランケットの設計研究が行われている。これらの設計では、より高い発電効率を目指して冷却材温度を500$$^{circ}C$$以上としており、高温に耐え、また高中性子照射量まで使用できるブランケット材料(トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料)の開発が求められている。本論文では、原研及び国内の大学、産業界が共同で実施してきたこれら先進ブランケット材料の開発の現状について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、トリチウム放出特性に悪影響を及す高温での結晶粒径成長を抑制できる材料の開発として、TiO$$_{2}$$を添加したLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$に注目し、湿式造粒法による微小球の製造技術開発を実施した。この結果、固体ブランケットに用いる微小球製造に見通しが得られた。中性子増倍材料に関しては、融点が高く化学的に安定な材料としてベリリウム金属間化合物であるBe$$_{12}$$Ti等に注目し、回転電極法による微小球の製造技術開発及び特性評価を実施した。この結果、ベリリウムの含有量を化学量論値より多くすることにより、延性を増すことによって、微小球の製造に見通しが得られた。また、Be$$_{12}$$Tiはベリリウムより中性子照射によるスエリングが小さいことなど、優れた特性を有していることが明らかとなった。

論文

Disordering in Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$ irradiated with high energy ions

中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.166 - 170, 2003/05

 被引用回数:33 パーセンタイル:88.19(Instruments & Instrumentation)

高エネルギー酸素イオン照射したLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$の結晶構造及び化学状態等の変化をラマン分,X線回折及び走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。ラマン分光分析からは化学構造の際だった変化は観察されなかった。一方、X線回折からは1.2E+19 ions/m$$^{2}$$までの照射で(002)の回折ピークの減少が他のピークと比較して著しいことが観察された。この結果はLi原子とTi原子の部分的なミキシングが照射によって引き起こされていることを示している。このような照射によるミキシングに起因した無秩序化への移行が表面層での粒構造の消失としてSEMによっても観察された。

論文

Ab initio study on isotope exchange reactions of H$$_{2}$$ with surface hydroxyl groups in lithium silicates

中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*; 實川 資朗

Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1436 - 1440, 2002/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.15(Materials Science, Multidisciplinary)

本研究ではリチウムシリケイトからのトリチウム放出に関する基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いてリチウムシリケイトとAl添加リチウムシリケイトの表面水酸基とH$$_{2}$$の同位体交換反応について調べた。計算はGaussian98を用いてHF/3-21G, HF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。H$$_{3}$$SiOHをシリケイトガラスにおける表面水酸基のモデルとして、H$$_{3}$$Si(OH)Al(H)$$_{2}$$OSiH$$_{3}$$ はAlを含んでいるシリカガラスの表面水酸基のモデルとして選んだ。各クラスターとH2の交換反応に対して計算されたHF/6-31G**活性化エネルギーはそれぞれ88.1と42.7kcal/molである。活性化エネルギーのこのような減少はAl原子の相互作用に起因した表面水酸基の電荷の変化と関連している。各原子の電荷をMulliken population解析によって求めた。その結果、表面水素原子のイオン性が表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用によって増加していた。他の理論レベルにおいても同様の結果が得られた。得られた計算結果はAl原子の相互作用によってリチウムシリケイトの表面水酸基とH$$_{2}$$の交換反応がより低い温度で行われることを示唆している。

論文

Ab initio study on the mechanism of hydrogen release from the silicate surface in the presence of water molecule

中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*; 實川 資朗

Journal of Nuclear Materials, 302(2-3), p.165 - 174, 2002/04

 被引用回数:3 パーセンタイル:23.41(Materials Science, Multidisciplinary)

本論文では、リチウムシリケイト表面に水酸基の形で存在するトリチウムの放出過程を理解するため、シリカ表面に孤立して存在する水酸基(-OH)と水分子の相互作用と水素放出反応過程について非経験的分子軌道計算により調べた。表面水酸基からの水素放出反応として表面水酸基と水分子の間で起る水素交換反応と水酸基交換反応について検討を行った。その結果、水素放出はシリカ表面水酸基のSi-O結合の切断による水酸基交換反応で起ることが分かった。この水酸基交換反応はプロトン供与体として働く水分子と表面水酸基の複合体において進行する。したがって、シリカ表面からのトリチウム放出は水分子と表面水酸基の間における水素交換反応ではなく、それらの間での水酸基交換反応で進行するものと考えられる。また、この反応の反応エネルギー障壁は24.4kcal/molと計算された。

論文

An ab initio study on formation and desorption reactions of H$$_{2}$$O molecules from surface hydroxyl groups in silicates

中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*

Journal of Nuclear Materials, 297(1), p.69 - 76, 2001/07

 被引用回数:9 パーセンタイル:56.08(Materials Science, Multidisciplinary)

本研究ではシリカ,シリケイト化合物などの1対の表面水酸基がH$$_{2}$$O分子を生成して脱離する反応プロセスについて基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いて調べた。特に、表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用がこの反応に及ぼす影響に関して検討を行った。計算はGaussian98を用いてHF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。表面水酸基におけるH$$_{2}$$O分子の生成・脱離反応経路に関するエネルギープロフィールを計算により求めた。その結果、表面水酸基に対するAl(OH)$$_{3}$$ユニットの相互作用によってH$$_{2}$$O分子の生成や脱離に必要な活性化エネルギーは低下することがわかった。この活性化エネルギーの低下はAl(OH)$$_{3}$$ユニットの表面水酸基への相互作用による構造変数と電荷分布の変化と密接に関係している。

論文

Effects of co-implanted oxygen or aluminum atoms on hydrogen migration and damage structure in multiple-beam irradiated Al$$_{2}$$O$$_{3}$$

片野 吉男*; 有賀 武夫; 山本 春也; 中沢 哲也; 八巻 大樹; 野田 健治

Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.2), p.942 - 946, 2000/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)

電気絶縁材料等として核融合炉で使用されるアルミナで、照射によって生じるH,Heのガス原子と格子からの原子のはじき出しとの相乗効果による損傷機構を調べる目的で、H,He及びOイオンのトリプルビーム、H,He及びAlイオンのトリプルビーム等のビームを照射した試料について、注入H原子の拡散挙動への注入O,Al原子の影響を比較した。HとAlを照射した試料ではH原子の拡散はHイオンだけを注入した場合よりも抑制されることを見いだした。さらにH,He,Alを照射した場合には、AlによるH原子拡散の抑制効果は、同時にOイオンとトリプルで照射した場合とほぼ同程度になり、注入Heが最も支配的であることを見いだした。組織変化も抑制されたH原子の拡散に対応し、Alと同時照射した試料ではキャビティー形成も抑制される。

論文

Ab initio molecular orbital calculations on chemical nature of hydrogen on surface of litium silicate

中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanous, J.*; 片野 吉男*

Journal of Nuclear Materials, 279(2-3), p.201 - 206, 2000/06

 被引用回数:10 パーセンタイル:57.14(Materials Science, Multidisciplinary)

本論文ではシリカ表面水酸基の化学的特性に対する他元素(B,Al,Ga)の添加効果や非架橋酸素に配位したリチウム原子の影響を調べた。種々のリチウムシリケイト表面クラスターモデルを用いて表面水素原子がH$$^{+}$$として脱離するのに必要なエネルギーと電子状態に対して分子軌道計算を行い検討した。その結果、表面水素原子のイオン性は添加原子の表面酸素への直接相互作用によって強まり、Li原子の非架橋酸素への配位によって弱まることがわかった。また、表面水素原子の脱離エネルギーはそのイオン性の増加に伴い減少することがわかった。

論文

Study of ion-induced damage in Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$ ceramics

中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫; 岩本 昭

Proceedings of 2000 International Conference on Ion Implantation Technology (IIT 2000), p.753 - 756, 2000/00

本論文は高エネルギーイオンに曝されたリチウムタイタネイトセラミックス(Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$)の照射効果に関する研究を扱っている。Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$セラミックスは核融合炉の固体増殖材料の候補材料である。Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$における照射欠陥や微細構造の損傷に関する研究はその材料の照射下における性能を評価するのに非常に重要なものである。Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$セラミックスに対してさまざまな温度(343-873K)でトリプルイオン照射(0.25MeV H$$^{+}$$,0.6MeV He$$^{+}$$,2.4MeV O$$^{2+}$$)を行った。それぞれのイオンは1.0$$times$$10$$^{21}$$ion/m$$^{2}$$まで照射した。照射したイオンのエネルギーはともに約2.3$$mu$$m付近にピークを持つように決めた。さらに、Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$は高エネルギー酸素イオン(30-120MeV)で2.0$$times$$10$$^{20}$$ion/m$$^{2}$$まで照射した。ラマン分光装置、FT-IR分光装置、走査電子顕微鏡(SEM)とX線解析装置を用いて照射したサンプルを調べた。照射試料の回復挙動を調べるためArガス雰囲気中さまざまな温度で照射サンプルをアニールした。トリプルイオン照射したLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$表面にTiO$$_{2}$$のアナターゼ層が形成されたことがラマン分光分析とX線回折分析で明らかになった。603Kと873Kで照射した試料のラマンスペクトルはアナターゼTiO$$_{2}$$のスペクトルとほとんど一致した。しかしながら、343Kで照射した試料のラマンスペクトルはLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$のラマンスペクトルとアナターゼTiO$$_{2}$$のラマンスペクトルを重ね合わせたものである。このことから、照射温度が高いほどアナターゼ層の形成が効果的であることがわかる。この傾向はX線回折パターンからも同様に言える。照射した試料の熱処理は照射によって導入された構造欠陥の熱による回復が約1050Kで始まることを示した。したがって、トリプル照射によって導入された構造欠陥は熱に強いことがわかった。

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