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溝端 秀聡*; 冨ヶ原 一樹*; 野崎 幹人*; 小林 拓真*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
Applied Physics Letters, 121(6), p.062104_1 - 062104_6, 2022/08
N極性GaN(000)基板上に作製したSiO/GaN MOS構造の界面特性とエネルギーバンドアライメントを、電気測定と放射光X線光電子分光法を用いて調べた。さらに、得られた結果をGa極性GaN(0001)上のSiO/GaN MOS構造の特性と比較した。SiO/GaN(000)構造はGaN(0001)基板上に作製した構造よりも熱的に不安定であることがわかった。しかし、絶縁膜堆積後アニールの条件を最適化することにより、SiO/GaN(000)構造でも優れた電気特性が得られた。一方で、SiO/GaN(000)構造の伝導帯オフセットがSiO/GaN(0001)構造よりも小さく、これによるゲートリーク電流の増大が見られた。以上のことから、MOSデバイスの作製においてN極性GaN(000)基板の利用には注意を要することを明らかにした。
野崎 幹人*; 寺島 大貴*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
Japanese Journal of Applied Physics, 59(SM), p.SMMA07_1 - SMMA07_7, 2020/07
被引用回数:0 パーセンタイル:12.83(Physics, Applied)AlGaN/GaN高移動度トランジスタ(HEMT)はヘテロ界面に誘起される高濃度・高移動度な2次元電子ガス(2DEG)により高周波・高出力動作を実現できるが、トランジスタのノーマリーオフ化のためにはゲート下のAlGaN層を薄層化したリセス構造の形成等が必要となる。AlGaN層は誘導結合プラズマを用いた反応性イオンエッチング(ICP-RIE)により比較的容易に薄層化できるが、エッチング時の損傷による特性劣化が懸念される。本研究ではICP-RIE後のAlGaN層に対し放射光光電子分光分析やホール効果測定を行い、AlGaN/GaN構造に対する極低バイアス電力のICP-RIEが加工表面の変質や2DEG特性劣化などの加工損傷を大幅に低減できることを示した。またRIE加工面上でのMOS構造形成では、プロセス中に表面変質層が酸化されるため、界面特性が2DEG特性ほど強くバイアス電力に影響されないことがわかった。
山田 高寛*; 渡邉 健太*; 野崎 幹人*; Shih, H.-A.*; 中澤 敏志*; 按田 義治*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 57(6S3), p.06KA07_1 - 06KA07_6, 2018/06
被引用回数:6 パーセンタイル:30.31(Physics, Applied)高性能AlGaN/GaN-HFETの実現に絶縁膜/AlGaN界面制御が重要である。本研究ではAlGaN表面の熱酸化過程を調べるとともに、AlGaN/GaN MOSキャパシタの電気特性に関する表面酸化処理の効果ついて調べた。Si(111)基板上にAlGaN/GaN層をエピ成長した試料を用いた。AlGaN表面の酸化は400度の低温から進行することがわかった。しかしながら、表面形状の目立った変化は800度まで確認されなかったことから、AlGaN表面には極薄の酸化層が形成されていると考えられる。一方、850度以上では酸化物結晶粒の形成が観察され、その成長はAlGaN表面の平坦性を著しく低下させたことから、AlGaN/GaN MOSキャパシタは800度以下で酸化処理したAlGaN表面上に形成された。まず、反応性スパッタによりゲート絶縁膜としてAlON膜(18nm)を成膜した後、膜質改善のため窒素中で800度、3分間の熱処理を施した。そして、Al/TiオーミックコンタクトおよびNiゲート電極を蒸着してMOSキャパシタを作製した。先の研究成果から、我々は熱酸化を施していないAlON直接成膜の試料において、比較的に良好な界面特性が得られることを確認している。その容量-電圧(C-V)カーブと比べて、800度熱酸化した試料では、周波数分散の増加やC-Vカーブの傾きの減少が確認され、界面特性が劣化することがわかった。一方、400度で酸化処理した試料では、界面特性の更なる改善が確認され、ヒステリシスも減少することがわかった。
渡邉 健太*; 寺島 大貴*; 野崎 幹人*; 山田 高寛*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 按田 義治*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 57(6S3), p.06KA03_1 - 06KA03_6, 2018/06
被引用回数:10 パーセンタイル:46.45(Physics, Applied)AlGaN/GaN MOS-HFETの高性能化・ノーマリオフ化には、高品質なゲート絶縁膜が必要である。これまで我々はAlOに窒素を添加したAlON膜がAlO膜よりも電子注入耐性および界面特性に優れることを明らかにしている。本研究では、その良好な界面特性を維持しつつ、更に絶縁性の向上を図るため、薄いAlON界面層上にバンドギャップの広いSiO膜を積層したSiO/AlON/AlGaN/GaN構造について検討した。その結果、AlON界面層の厚さが約3.3nmと薄い場合でも、SiO/AlON積層構造はAlON単層の場合と同等の容量-電圧特性を示し、良好な界面特性を示した。また、絶縁破壊電界はAlON単層と比べて2倍以上の約8MV/cmを示した。以上の結果は、SiO/AlON積層構造が優れた界面特性と絶縁特性を両立するGaN MOSデバイス向けゲート絶縁膜として有望であることを意味している。
野崎 幹人*; 渡邉 健太*; 山田 高寛*; Shih, H.-A.*; 中澤 敏志*; 按田 義治*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, 57(6S3), p.06KA02_1 - 06KA02_7, 2018/06
被引用回数:16 パーセンタイル:66.02(Physics, Applied)MOSゲート構造の採用によるAlGaN/GaN-HFETの高性能化のためにはリーク電流が少なく、かつ界面特性が良好なゲート絶縁膜が必要である。AlO膜は比較的高い誘電率と広いバンドギャップを持つことから有望視されているが、界面特性向上技術の開発や電子注入耐性の低さによる閾値電圧変動等の課題を抱えている。本研究ではALD法によるAlON成膜を検討した。MOSキャパシタのC-V特性には界面欠陥応答に起因する周波数分散がほとんど見られておらず、AlON/AlGaN界面が良好であることがわかる。AlON試料は同様にALD法で堆積したAlO MOSキャパシタよりもシフト量が少なく、電子注入耐性の向上も確認できた。これらの良好な特性は本研究のALD-AlON膜がGaN MOSデバイス向けのゲート絶縁膜として有望であることを示している。
山田 高寛*; 渡邉 健太*; 野崎 幹人*; 山田 永*; 高橋 言緒*; 清水 三聡*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
Applied Physics Express, 11(1), p.015701_1 - 015701_4, 2018/01
被引用回数:33 パーセンタイル:85.18(Physics, Applied)GaN MOSFETは高耐圧・大電流・低損失の次世代スイッチング素子として期待されている。その実現には絶縁膜/GaN界面の特性改善が課題である。本研究ではプラズマCVDによりSiO膜を形成したSiO/GaN構造の後酸化処理を行い、極薄GaO界面層の形成による界面特性向上の効果について検討した。放射光XPS分析から、SiO/GaN界面に極薄GaO界面層が形成されることを確認した。その界面欠陥密度は、700-800Cでの最適な後酸化処理を施すことによってコンダクタンスピークが確認されず、10cmeV台以下の低い値となった。一方、SiO/GaO/GaN構造の後酸化処理は、SiO層中へのGa拡散を誘発し、絶縁性を著しく劣化させた。そこで、後酸化時間を30分間から30秒間とする急速酸化処理を施した。その結果、SiO層中へのGa拡散が制限され、優れた界面特性と高い絶縁性を有する高品質なSiO/GaO/GaN MOS構造が実現できることがわかった。
渡邉 健太*; 野崎 幹人*; 山田 高寛*; 中澤 敏志*; 按田 義治*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
Applied Physics Letters, 111(4), p.042102_1 - 042102_5, 2017/07
被引用回数:15 パーセンタイル:60.82(Physics, Applied)GaNは絶縁破壊電界などSiC以上の優れた物性値を有するため、パワーデバイスへの応用が期待されている。また、AlGaN/GaN HFETは優れた高周波特性を示すが、ゲートリーク電流低減のためにMOSゲート構造の実現が望まれている。本研究では、AlO及びAlONについて成膜時の基板温度を室温から300度の範囲で変化させ、放射光光電子分光法によるMOS界面構造評価及び、MOSキャパシタによる電気特性評価を行った。その結果、AlOを300度で成膜した場合、成膜中にAlGaN表面の酸化及び後熱処理によるGa拡散が見られ、界面特性が劣化することがわかった。それに対しAlONは成膜温度に関わらず界面反応のほとんどない良好な熱的安定性を示し、また界面特性にも優れることがわかった。
山田 高寛*; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 渡邉 健太*; 野崎 幹人*; 中澤 敏志*; 按田 義治*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; et al.
Journal of Applied Physics, 121(3), p.035303_1 - 035303_9, 2017/01
被引用回数:59 パーセンタイル:91.81(Physics, Applied)GaNは高耐圧、大電流、低損失の次世代パワーデバイス材料として注目されている。GaN表面の酸化処理技術には、表面パッシベーション技術や、アイソレーション技術、ゲート絶縁膜技術などがあり、デバイス特性向上のための重要な要素技術となっている。そのため、GaN表面の熱酸化処理はこれまで詳細な検討が行われてきている。しかし、その酸化物形成過程は十分解明されていない。例えば、これまで厚いGaN酸化物の形成については多くの報告があるが、初期酸化過程については少ない。また、X線光電子分光(XPS)分析は、そのGaN表面の初期酸化過程の評価によく利用されているが、Ga-NやGa-O結合成分の正確な特定には至っていない。さらに、形成されたGaN酸化物の構造特性評価も十分な検討は行われていない。本研究では、GaN表面の熱酸化過程をXPS、分光エリプソメトリ(SE)、原子間力顕微鏡(AFM)、X線回折(XRD)測定を用いて評価した。特に、異なる転位密度を有するエピGaN層の酸化物形成過程について調べた。本実験には、Si基板上および自立GaN基板上にエピ成長した2種類のGaN試料を用いた。GaN/SiとGaN/GaN試料の転位密度は108と105cm-2台になるとそれぞれ見積もられている。両試料は大気圧O雰囲気中において7001000Cの温度範囲で30分間熱酸化した。800C以下の熱酸化では、表面近傍に存在する欠陥の酸化によると考えられる厚さ1nm以下の薄い酸化層が形成された。この酸化層の膜厚は酸化温度とは無関係にほとんど変化していなかったことから、酸化が飽和傾向にあると考えられた。また、GaN/Siで観察された転位部では微小な酸化物結晶の形成が確認されており、転位部において優先的に酸化が進行することがわかった。900C以上の更なる酸化温度の増加では、-と- GaO結晶粒が両エピGaN層上にエピタキシャリに成長した。GaN/Siでは、転位部で顕著にGaO結晶が成長したため、荒れた表面形状が観察された。一方、GaN/GaNでもGaO微結晶粒が観察領域全面に渡って形成されたが、比較的平坦な表面形状が維持されていることがわかった。
淺原 亮平*; 野崎 幹人*; 山田 高寛*; 伊藤 丈予*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
Applied Physics Express, 9(10), p.101002_1 - 101002_4, 2016/10
被引用回数:38 パーセンタイル:83.94(Physics, Applied)熱安定性, 信頼性および界面特性の観点でALGaN/GaN上のAlONゲート絶縁物の優れた物理的および電気的特性が、AlON堆積後のアニールによって得られた。アルミナへの窒素混入によって絶縁物/AlGaN界面におけるインターミキシングを抑えるとともにAlO膜中の電気的な欠陥の数を減少させることが示された。結果として、電荷注入に対する安定性をもたらすとともに界面欠陥密度を1.210cm eVに抑えた高品質AlON/AlGaN/GaN金属-絶縁物-半導体キャパシターを得ることができた。絶縁物への窒素取り込みの重要性を実験結果から議論した。
野崎 幹人*; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
Applied Physics Express, 9(10), p.105801_1 - 105801_4, 2016/10
被引用回数:4 パーセンタイル:24.97(Physics, Applied)n型GaNエピ層とTiベース電極間の界面反応は、放射光X線光電子分光によって調べた。金属的Gaと薄膜TiN合金が、Alキャッピング層を堆積した界面において室温でも形成された。積層Ti/AlとTiのみの電極の比較から、反応性Ti下地層を形成する酸素捕捉元素としてAlキャッピング層が本質的に機能することが示された。アニール中金属的中間層の成長が観測された。低温プロセスを伴うn型GaN低抵抗オーミック接触を達成するための指針を議論する。
大島 克己; 岡野 文範; 本田 敦; 篠崎 信一; 薄井 勝富; 能登 勝也; 河合 視己人; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2007-044, 27 Pages, 2007/06
JT-60U用正イオン中性粒子入射加熱装置(P-NBI)の長パルス運転時に電源設備が許容通電電力値を超えないようにする電源保護検出システムを開発した。このシステムでは対象とする電源機器においてリアルタイムで実通電電力量(I2t及びV2t)を監視し、許容値を超過したときに通電を遮断し、電源機器を保護する。第1期としては、5ユニットに対して1台のPLCで計測・演算するシステムを構築し、2003年以来、有効に機能している。一方、2006年、第2期として、8ユニットに対してユニットごとにパッケージ型PLCを用いることで、監視サイクルタイムの大幅な短縮とともに、ユニット増加に対して容易に拡張が可能なシステムを構築した。さらにSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition; 監視制御ソフトの総称)を用いてシステムの状態監視ができる監視画面を採用し、性能と使いやすさを向上させた。本報告書は、JT-60U P-NBIにおける長パルス化運転に向けた電源保護検出システムの設計及び主な機能についてまとめたものである。
秋野 昇; 花田 磨砂也; 河合 視己人; 薄井 勝富; 篠崎 信一
no journal, ,
臨界プラズマ試験装置(JT-60U)を超伝導化するJT-60SA計画では、中性粒子入射装置(NBI加熱装置)のビームパルスを従来の30秒から100秒に伸長するとともに、トカマク本体(プラズマ及びPFコイル群)からJT-60設計当初の3倍程度の漏洩磁場が印加されることとなる。この漏洩磁場は、NBIのイオン軌道に悪影響を及ぼし、安定なビームを100秒間引き出すことが不可能となる。そのため、この増大した漏洩磁場に対する100秒間の漏洩磁場対策の設計検討及び各種コイルの実通電試験を行ったので報告する。
伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 野崎 幹人*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 細井 卓治*; 志村 考功*
no journal, ,
本研究では次世代パワーデバイス材料として期待されているn-GaN層上にTiおよびAl/Tiを蒸着し、加熱による界面反応について放射光光電子分光分析を行った。Si(111)上にn-GaN層をエピタキシャル成長した基板にTi層またはAl/Ti層をスパッタ成膜した。これらの試料についてSPring-8 BL23SUの表面化学実験ステーションでGa3d光電子スペクトルを室温で測定した。Al/Ti積層試料では金属Gaが見られるものの、Ti単層試料では見られないことから、Ti上へのAl積層がコンタクト界面構造を顕著に変化させることが示唆された。さらにAl/Ti積層試料を超高真空中で600Cまで加熱すると、400C以上で金属Gaが増大し、界面反応がさらに進行することが分かった。
野崎 幹人*; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
no journal, ,
GaNはSiC以上の絶縁破壊電界強度(3.0MV/cm)を有し、AlGaN/GaNヘテロ構造界面に高密度かつ高移動度の2次元電子ガスが形成されることから、次世代パワーデバイス材料として期待されている。高性能GaNパワーデバイスの実現には、GaNあるいはAlGaN/GaNに対するオーミックコンタクト形成技術が重要となる。n-GaNに対しては、Al/Ti積層電極を堆積し加熱処理を行うことによるオーミックコンタクト形成が一般的に用いられており、コンタクト界面でのTiN形成が報告されているが、界面反応について十分な理解はされていない。本研究では、n-GaN層上にTiおよびAl/Tiを蒸着し、加熱処理を行った際の界面反応について、放射光光電子分光分析を行った。シリコン(111)上にn-GaN層をエピタキシャル成長した基板をHCl溶液により洗浄した後、Ti層(4nm)またはAl/Ti層(各2nm)をスパッタ成膜した。これらの試料をSPring-8 BL23SUの表面化学反応解析装置(SUREAC 2000)に導入し、室温でGa 3dスペクトルを取得した。なお、GaN基板ピーク(20eV)により、結合エネルギーの較正、ピーク強度の規格化を行った。Al/Ti積層試料では、17.6eV付近に金属状態のGa起因のピーク(Ga(metal))が見られる一方、Ti単層試料ではこのようなピークはほとんど見られないことから、Ti上へのAl積層がコンタクト界面構造を顕著に変化させることが示唆された。さらにAl/Ti積層試料を超高真空中で600度まで加熱しながらGa 3dスペクトルを取得したところ、400度以上でGa(metal)ピークの増大が確認でき、界面反応がさらに進行したことがわかった。
淺原 亮平*; 野崎 幹人*; 山田 高寛*; 伊藤 丈予*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
no journal, ,
GaNは次世代パワーデバイス材料として期待されている。一方、我々はこれまでにAlO中に窒素を添加したAlON膜をゲート絶縁膜とすることで電荷トラップを低減し、電子注入耐性に優れたSiC MOSデバイスを実現している。本研究では、AlON膜をAlGaN/GaN基板上にスパッタ成膜し、放射光光電子分光法による耐熱性評価を行うと共に、AlON/AlGaN/GaN MOSキャパシタを作製し、界面電気特性の評価を行った。3nmのAlONまたはAlO膜を成膜した試料について、SPring-8 BL23SUにてGa 3d, Ga 2p, N 1s, Al 2pスペクトルを取得した結果、AlO膜では800度の熱処理を行うと、表面側にGaやAl原子が拡散していることがわかった。一方、AlON膜の場合は、800度の熱処理前後でスペクトルにほとんど変化がなく、優れた耐熱性を有することがわかった。また、800度の熱処理が施されたキャパシタの界面準位密度を測定した結果、AlON/AlGaN界面の界面準位密度はAlO/AlGaN界面の約1/5低い値を示し、界面特性に優れることがわかった。これらの結果は、AlON膜がAlGaN/GaN MOS-HEMTのゲート絶縁膜としての可能性を示すものである。
山田 高寛*; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 野崎 幹人*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
no journal, ,
GaNは、次世代パワーデバイス材料として期待されている。本研究では、GaNの熱酸化による酸化物形成過程を放射光光電子分光および原子間力顕微鏡(AFM)により評価した。シリコン(111)上にn-GaN層をエピタキシャル成長した基板をHCl溶液により洗浄した後、大気圧のO雰囲気下において700-900度の処理温度で30分間熱酸化した。これらの試料をSPring-8 BL23SUの表面化学反応解析装置に導入し、室温でGa 3d, O 1s, N 1sスペクトルを取得した。なお、GaN基板ピーク(20eV)により、結合エネルギーの較正、ピーク強度の規格化を行った。700度で熱酸化した試料では、HCl洗浄後の試料と比べてO 1s/N 1s強度比がわずかに増加しており、GaN表面が酸化されていることがわかった。しかし、酸化温度を800度と高温にしてもO 1s/N 1s強度比の変化は確認されなかったが、AFM観察からは欠陥と思われる位置で粒状の酸化物で形成されていることがわかった。一方、800度以上の熱酸化では、欠陥からの優先的な酸化物の形成によりO 1s/N 1s強度比が著しく増加すると共に、表面ラフネスも増大しており、酸化反応が急激に進行したことがわかった。
山田 高寛*; 吉越 章隆; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 渡邉 健太*; 野崎 幹人*; 中澤 敏志*; 按田 義治*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; et al.
no journal, ,
高性能GaNパワーデバイスの実現には、リーク電流を抑制するための絶縁ゲート構造が不可欠であるため、絶縁膜/GaN界面の特性改善が必要である。AlOなど様々な絶縁膜が検討される中、成膜中のGa酸化物界面層の形成やGaN表面の熱酸化によるGaO層の形成など、GaN酸化物との界面において良好な界面特性が得られることが報告されている。一方、GaN表面の自然酸化膜除去やプロセス中の酸化抑制が重要であるといった報告もあり、GaN酸化の更なる理解と制御が求められている。これまで我々は、Si基板上に成長したn-GaN層(GaN/Si)の熱酸化を行い、ピット状の欠陥(転位)での優先的な酸化物形成による特異な初期酸化過程を明らかにしてきた。本研究では、GaN/Siより欠陥密度の低いGaN基板(自立GaN)の熱酸化を行い、熱酸化過程のさらなる検討を行った。自立GaNの熱酸化は、欠陥密度が低いため、900C以上の高温から微細な粒状酸化物が形成され、さらなる高温では表面荒れをともなった酸化物成長が進行することが明らかとなった。
野崎 幹人*; 吉越 章隆; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
no journal, ,
Ti単層およびAl/Ti積層構造をn-GaN上に形成し、放射光光電子分光分析によりTi/GaN接合界面の構造変化を調べた。Alキャップ層は酸素バリア層として働くだけでなく、Ti中の酸素を取り込むことで界面反応を促進し、室温においてもTi/GaN界面構造を顕著に変化させることを明らかにした。
山田 高寛*; 吉越 章隆; 伊藤 丈予*; 淺原 亮平*; 野崎 幹人*; 中澤 敏志*; 石田 昌宏*; 上田 哲三*; 細井 卓治*; 志村 考功*; et al.
no journal, ,
高性能GaN MOSデバイスの実現には、高品質な絶縁膜/GaN界面の形成が不可欠である。自然酸化膜の存在やプロセス中の界面層の成長などを考慮するとGaN表面の酸化の制御は重要である。本研究では、熱酸化したGaN表面の酸化物形成過程について評価した。
山田 高寛*; 渡邉 健太*; 野崎 幹人*; 吉越 章隆; 細井 卓治*; 志村 考功*; 渡部 平司*
no journal, ,
GaNは次世代パワーデバイス材料として期待されている。本研究では極薄GaOx界面層の新たな形成方法として、プラズマCVDによりGaN基板上に成膜したSiOキャップ層越しのGaN表面の熱酸化について検討し、作製したSiO/GaOx/GaN MOSキャパシタの界面特性について評価した。放射光光電子分光測定から、800度で熱酸化したSiO/GaN試料のGa2pスペクトルは、Ga-N結合成分に相当するHCl洗浄後のGaN試料に比べて、高結合エネルギー(BE)側の強度が増加していることがわかった。これはGa-N結合成分から約0.4eVほど高BE側に表れるGa-O結合成分が増加した結果であり、SiO/GaN界面に薄いGaOx層が存在することを示している。800度で熱酸化したSiO/GaOx/GaN構造にゲート電極を形成してMOSキャパシタを作製し、容量-電圧(C-V)特性を測定したところ、1MHzから1kHzまでの周波数範囲に渡ってC-Vカーブの周波数分散はほとんど見られず、またヒステリシスも50mV以下と小さいことがわかった。さらに、理想C-Vカーブともほぼ一致していたことから、SiO/GaN構造への後酸化処理で非常に優れた界面特性が実現されたことがわかった。