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國分 祐司; 中田 陽; 瀬谷 夏美; 小池 優子; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; 永井 信嗣; et al.
JAEA-Review 2023-046, 164 Pages, 2024/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2022年4月から2023年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目で見られた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の範囲を外れた値の評価について付録として収録した。
西塔 祐稀*; 石渡 翔丸*; 堀内 美里*; 西木 悠人*; 菊池 亮佑*; 大竹 翼*; 川喜田 竜平; 高山 裕介; 三ツ井 誠一郎; 佐藤 努*
資源・素材講演集(インターネット), 11(1), 7 Pages, 2024/03
地下を利用した様々な工学技術(地層処分、地下貯留、石油増進回収等)において、人工バリアや岩盤のセメンテーションが注目されている。しかし、どのような鉱物でどのようにセメンテーションが進行して、どのような物性に変化するのかについての理解は不十分である。それらの理解のためには、実験室でセメンテーションを再現すること、セメンテーション後の構造の変化や物性の変化を詳細に調べることが重要となる。そこで本研究では、難透水性のベントナイト(乾燥密度0.6Mg/m)と、NaSiO溶液を用いて70Cで浸漬および通水実験を行い、その後の内部構造、鉱物組成、透水係数の変化等を調べた。走査電子顕微鏡での観察結果から、浸漬および通水実験ともに、ベントナイトの空隙を埋めるようにナトリウムシリケート水和物(NSHあるいはNASH)が確認された。また、通水実験では、通水時間が長くなるにつれて透水係数の低下が認められた。本研究で示されたセメンテーション法やセメンテーション後の物性変化の詳細な検討法は、セメントとともに地下に設置されるベントナイトの物性変化や、貯留岩へのアルカリ攻法による帽岩への影響を調べる上で有用なものになると考えられる。
中田 陽; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 二川 和郎; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; et al.
JAEA-Review 2022-078, 164 Pages, 2023/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2021年4月から2022年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
川喜田 竜平; 齋藤 彬人*; 佐久間 博*; 安楽 総太郎; 菊池 亮佑*; 大竹 翼*; 佐藤 努*
Applied Clay Science, 231, p.106722_1 - 106722_7, 2023/01
被引用回数:1 パーセンタイル:17.48(Chemistry, Physical)Montmorillonite (Mt) expansion and swelling are key factors for barrier performance of bentonite in trans-uranic (TRU) and high-level radioactive waste disposals. In the case of co-located geological disposal of TRU waste with high level waste, ammonium ion (NH) which is changed from nitrate ion leached from TRU waste has possibility to contact with bentonite, exchange interlayer cation of Mt to form NH-Mt, and deteriorate its performance. Because of similar hydration energy of NH to K, NH-Mt could have lower expandability or change to non-expandable mineral as reported on K-Mt. Therefore, expansion and alteration behaviors of NH-Mt, especially comparison to the behaviors of K-Mt, are necessary to understand for safety assessment of the waste disposal. In this study, the hydration behavior of NH-Mt was investigated by XRD and molecular dynamics (MD) simulation in comparison with K-Mt. XRD profiles under Relative Humidity (RH) control showed that expansion of NH-Mt was similar to that of K-Mt at more than RH40% with slightly different d-values. However, expansion of NH-Mt kept at lower than RH20%, while K-Mt easily dehydrate at the same RH. MD simulation revealed that hydrogen bonding (HB) in NH molecules causes the difference in hydration behavior between NH- and K-Mt, as HB cause larger basal spacing at dehydrated state and easier hydration. This gap on hydration may attribute the difference in alteration to non-expandable minerals after dehydration, indicating that NH have lower possibility for alternation and smaller effect on barrier performance of bentonite than K.
中田 陽; 中野 政尚; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 根本 正史; 飛田 慶司; 二川 和郎; 山田 椋平; 内山 怜; et al.
JAEA-Review 2021-062, 163 Pages, 2022/02
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV 編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2020年4月から2021年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。
矢田 隆一*; 前中 一介*; 宮本 修治*; 岡田 豪*; 笹倉 亜規*; 芦田 基*; 足立 真士*; 佐藤 達彦; Wang, T.*; 赤坂 浩亮*; et al.
Medical Physics, 47(10), p.5235 - 5249, 2020/10
被引用回数:7 パーセンタイル:50.46(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)光ファイバーとマイクロサイズ光刺激蛍光体を組み合わせた定位放射線治療のためのリアルタイム体内線量評価システムを開発した。開発したシステムの線量応答の線形性,線量率依存性,温度依存性などを医療用Linacを用いて検証した。また、測定値と粒子・重イオン輸送計算コードPHITSによる計算値を比較し、その妥当性を確認した。これらの結果より、開発したシステムが定位放射線治療のリアルタイム体内線量評価システムとして十分な性能を有することを確認した。
坂井 章浩; 黒澤 亮平*; 仲田 久和; 岡田 翔太; 出雲 沙理; 佐藤 亮*; 北村 洋一*; 本田 泰丈*; 高岡 克樹*; 天澤 弘也
JAEA-Technology 2016-019, 134 Pages, 2016/10
日本原子力研究開発機構では、コンクリート, 金属などの安定五品目以外の廃棄物をトレンチ処分するため、遮水シートを設置したトレンチ処分施設(以下、「付加機能型トレンチ処分施設」)の設計を進めている。付加機能型トレンチ処分施設では、遮水シートにより浸出水の浸透防止や集排水機能を果たす設計としているが、重機等の接触による損傷等によりその機能が十分に発揮されない場合も想定される。本研究では、遮水シート等の遮水層構造に着目し、遮水シート及び低透水性材料等の特性、多層構造の効果及び損傷要因等の外部条件への対応を考慮し、浸出水の漏出及びそれに伴う放射性物質の漏出に関して、抑制機能の高い遮水機能システムについて検討した。その結果、排水層, 遮水シート及び低透水性層を組合せた層が、浸出水の漏出抑制に最も有効であることを確認した。また、セシウムを含む廃棄物を処分する場合、セシウム吸着シートの設置を評価した。本研究で検討した遮水層は、研究施設等廃棄物の付加機能型トレンチ処分施設の設計に活用するとともに、放射性物質を含む一般・産業廃棄物の管理型処分等の設計にも適用可能と考えられる。
吉原 亮平; 長谷 純宏; 佐藤 良平*; 滝本 晃一*; 鳴海 一成
International Journal of Radiation Biology, 86(2), p.125 - 131, 2010/02
被引用回数:21 パーセンタイル:79.92(Biology)LETの異なる放射線により高等植物内で誘発される突然変異の特徴を解析するために、シロイヌナズナ内における炭素イオンビーム及び線による変異誘発効果を調査した。変異検出は、遺伝子導入シロイヌナズナを用いた突然変異検出システムを用い、遺伝子内変異の解析を行うこととした。われわれは、208-MeV炭素イオンビームと線を遺伝子導入シロイヌナズナに照射し、変異頻度及び変異スペクトルの解析を行った。その結果、208-MeV炭素イオンビームと線は、シロイヌナズナ種子内で異なる変異誘発効果を示すことが示唆された。
吉原 亮平; 中根 千陽子*; 佐藤 良平*; 安田 愛*; 滝本 晃一*
Genes and Environment, 30(2), p.53 - 61, 2008/05
われわれは、植物の紫外線耐性におけるCPD光回復の役割を調べるために、のCPD photolyaseをRNAiによりサイレンシングした植物体を作成した。サイレシング体はUV-Bに対して高感受性を示し、UV-B誘発変異頻度は野生型に比べて高かった。これらの結果から、CPDの光回復は、における紫外線耐性及び紫外線誘発変異の抑制に重要な働きをしていることが示された。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; 吉田 茂生*; 田中 良平*; 脇坂 雅志*; 中尾 誠*; 佐藤 聡; 山内 通則*; 堀 順一; 和田 政行*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.58 - 61, 2004/03
核融合施設の天井から漏洩した放射線が空気と散乱して、施設周辺の地上に到達する、いわゆるスカイシャンは、核融合施設周辺の放射線安全に最も重要な項目の一つである。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャインの実験を2002年3月と2003年3月の2回にわたって実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を測定した。2002年3月の実験ではHe-3レムカウンタを用いて線源から550mまでの中性子線量率分布と200mまでの2次線スペクトルを大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器で測定した。2003年3月の実験ではFNS建屋周辺において、NE213シンチレーション検出器を用いた中性子スペクトル測定とBGOシンチレータ検出器を用いた2次線スペクトル測定を実施した。測定された結果は、JENDL-3.3を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4C)とよく一致し、MCNPによる計算がスカイシャインによる線量を十分な精度で評価できることを確認した。
吉田 茂生*; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 金子 純一*; 堀 順一; 佐藤 聡; 山内 通則*; 田中 良平*; 中尾 誠*; 和田 政行*; et al.
Fusion Engineering and Design, 69(1-4), p.637 - 641, 2003/09
被引用回数:9 パーセンタイル:53.15(Nuclear Science & Technology)核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャイン実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管,線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された線量は中性子がほとんどを占め、1.710n/sの発生率に対し、線源から150m及び400mでそれぞれ0.1Sv/h,0.01Sv/hであった。またJENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、150mまでは、実験値とよく一致することがわかった。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは非常によく実験値を再現することがわかった。2次線に関しては6MeVの高エネルギー線が主になっており、スカイシャイン中性子が地中で起こすSi(n,)反応によると考えられる。
田中 良平*; 落合 謙太郎; 中尾 誠*; 山内 通則*; 堀 順一; 和田 政行*; 佐藤 聡; 西谷 健夫
JAERI-Tech 2003-063, 62 Pages, 2003/07
原研FNSにおいて天井に設けられているスカイシャインポートを開放した状態でD-T中性子のスカイシャイン実験を実施し、2次線の測定を行った。NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いて、中性子発生源から最大300mまで測定を行った。それにより得られた実験データをアンフォールディングしてフラックスを求め、それに線量当量換算係数を掛け合わせ線量率を算出した。この線量率をモンテカルロコードMCNP-4Bによるシミュレーション計算により得られた値と比較した結果、実験値と計算値は20%内で一致した。この測定で得られた線量率から300mまでではあるが半経験式の導出を行った。また高純度Ge半導体検出器を用いて発生中性子に起因する建屋依存による周辺での2次線核種同定の測定を実施した。その結果、建屋構造材に使用されている鉄からのピークを検出した。また、水素,ケイ素の放射捕獲反応によるピークが検出されたことから、2次線の発生源はこれまで考えられていた中性子と空気との散乱反応よりむしろ、土等によるスカイシャイン中性子の放射捕獲反応が主になっていることを示唆する結果を得た。
西谷 健夫; 落合 謙太郎; 吉田 茂生*; 田中 良平*; 脇坂 雅志*; 中尾 誠*; 佐藤 聡; 山内 通則*; 堀 順一; 高橋 亮人*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 79(3), p.282 - 289, 2003/03
核融合炉からのスカイシャインは炉の安全の評価上重要であるが、これまでD-T中性子に対するスカイシャインの実験的評価はほとんどなかった。そこで原研の核融合中性子源FNSを用いてD-T中性子に対するスカイシャインの実験を実施した。FNS第一ターゲット室の天井のスカイシャインの実験用遮蔽ポート(1m1m)を開放し、上空向かって中性子を打ち上げ、散乱中性子及び2次線の分布を線源から 550mまでの範囲で測定した。中性子に対しては、He-3レムカウンタ,BF-3比例計数管、線に対しては、大形NaIシンチレータ検出器及びGe半導体検出器を使用した。測定された中性子線量分布に対し、JENDL-3.2を用いたモンテカルロ計算(MCNP-4B)と比較した結果、230mまでは、実験値とよく一致することがわかった。遠方における差異の原因としてはレムカウンターの感度のエネルギー依存性に問題があると考えている。また空中に打ち上げられた中性子を線上中性子源とみなす解析モデルは150mまでよく実験値を再現することがわかった。本実験においては、2次線による線量は、中性子による線量の1/50であり、MCNPによる計算と良く一致した。以上により、MCNPによる計算はスカイシャインによる線量を十分な精度で評価できることがわかった。
石渡 翔丸*; 菊池 亮佑*; 大竹 翼*; 佐藤 努*; 川喜田 竜平; 高山 裕介; 三ツ井 誠一郎
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分で緩衝材として用いられるベントナイトは、長期的には変質して本来求められるバリア機能が低下する可能性が指摘されている。ベントナイトの変質の一つであるセメンテーションによって緩衝材の膨潤圧の低下といった影響が生じることが指摘されているが、セメンテーションによる膨潤圧低下の根本的なメカニズムの解明にまでは至っていない。こうしたメカニズムの理解には、セメンテーションを引き起こす物質の特定だけでなく、セメンテーションによる岩石組織の変化への理解が不可欠である。本研究では、セメンテーションのナチュラルアナログとして、山形県大江町の月布鉱山の複数のベントナイト層から採取した原鉱石に対し、微細な組織の観察と膨潤圧試験を行い、セメンテーションの要因と膨潤圧との関係について考察を行った。乾式研磨法によりベントナイトの薄片試料を作製し、セメンテーションされたベントナイト原鉱石の微細な組織の観察を行った。走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、火山灰に元から含まれる粗大な石英や斜長石のほか、モンモリロナイトのマトリクス上に自生と思われる数mほどの微細なシリカ鉱物が普遍的に分布している様子が確認された。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてさらに詳細に観察したところ、微細なシリカ鉱物は石英やアモルファスシリカなどであり、モンモリロナイト端面に微細なシリカ鉱物が固着している箇所が確認された。こうした鉱物組織が原鉱石の膨潤圧の低下の要因として考えられた。さらに、このような組織は、複数のベントナイト層から採取した試料すべてで確認された一方で、モンモリロナイトと微細なシリカ鉱物の量比は試料によって大きく異なり、試料ごとにセメンテーションの程度に違いがあることを明らかにした。このような程度の違いが膨潤圧の低下量に影響を及ぼす可能性が示唆された。
石渡 翔丸*; 菊池 亮佑*; 大竹 翼*; 佐藤 努*; 川喜田 竜平; 高山 裕介; 三ツ井 誠一郎
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、緩衝材として膨潤性粘土であるベントナイトの利用が考えられており、ベントナイトが膨潤することで低透水性を維持し、放射性核種の移行を抑制することなどが期待されている。しかし長期的には、ベントナイトが変質し、本来求められるバリア機能が低下することが懸念されている。想定される変質過程の一つに、二次鉱物が空隙に沈澱してモンモリロナイトに固着するセメンテーションがあり、セメンテーションされることでベントナイトの膨潤性が低下する可能性がある。そこで本研究では、セメンテーションされたベントナイトのアナログ試料としてベントナイト原鉱石を分析し、セメンテーションが膨潤圧に及ぼす影響を検討した。まず、SEMおよびEPMAで得られた結果を組み合わせて、鉱物の種類を区別してその分布を可視化する「鉱物マップ」を作成し、鉱物の含有割合、粒度分布、粒子どうしの距離といった岩石組織のパラメータを定量化した。続いて重回帰分析を行い、定量したパラメータと測定した膨潤圧の相関関係を検討した。その結果、膨潤圧はモンモリロナイト含有量が多いほど大きくなる一方で、マトリクス中の随伴鉱物の周囲長が長いほど小さくなる傾向が見られた。随伴鉱物の周囲長は、モンモリロナイトと随伴鉱物が固着した部分の面積の指標となるパラメータであり、二次鉱物の固着の程度がセメンテーションされたベントナイトの膨潤圧に影響する可能性が示唆された。
佐藤 良平*; 安田 愛*; 吉原 亮平; 滝本 晃一*
no journal, ,
紫外線(UV)はDNA上にピリミジン2量体を生成し、致死や変異誘発の原因となり、生育を抑制する。植物には光回復と暗回復が修復系として知られ、前者は可視光線を利用するもので、太陽光下で成育している植物にとっては有効な修復系と考えられる。われわれは高等植物において、シクロブタン型ピリミジン2量体(CPD)光回復が高等植物の紫外線防御と変異誘発に与える効果を調べた。シロイヌナズナにホウレンソウCPD光回復遺伝子を導入してコピー数を増やしたホモ系統のUVB(主波長306nm)感受性を調べたところ、野性型に比べて生育抑制の軽減がみられた。一方、CPD光回復遺伝子をRNAiによりサイレンシングしたシロイヌナズナは著しいUVB感受性を示した。CPD光回復は高等植物のUV耐性に重要な役割を果たしている。ピリミジン2量体は突然変異の原因となる。変異標的遺伝子導入シロイヌナズナを用いた。サイレンシング体の変異頻度は野生型の約2倍であり、GCAT塩基置換やフレームシフトが多い傾向が見られた。他生物のUV誘発変異ではあまり見られないATTAやGCCG塩基置換が野生型で検出された。植物に特有なのかもしれない。
吉原 亮平; 安田 愛*; 佐藤 良平*; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 滝本 晃一*
no journal, ,
生物はさまざまな変異原に曝されている。これまでに大腸菌やマウスなどで種々の変異原による誘発突然変異の解析が行われてきたが、植物における変異解析はほとんど行われていなかった。そこで植物における変異誘発機構及びDNA修復系の変異抑制に対する寄与を明らかにするために、モデル植物であるシロイヌナズナにrpsL遺伝子を導入した植物変異検出システムを開発した。このシステムが実際に機能するかどうかを調べるために、DNAアルキル化剤のethylmethansulfonate(EMS)を用いた変異解析を行った。また、植物のDNAに対する紫外線影響を評価するために紫外線誘発突然変異解析を行った。さらに紫外線DNA傷害の一つであるcyclobutane pyrimidine dimer(CPD)を効率的に修復するCPD光回復遺伝子をRNAiによりノックダウンした個体も作成し、CPD光回復遺伝子の紫外線誘発変異に対する抑制効果も調べた。今後の展開としてイオンビーム誘発突然変異解析についても紹介する。今回は種々のイオンビームに対するシロイヌナズナ種子の感受性のデータ及び今後の展望について報告する。
櫻井 映子*; 谷内 一彦*; 石井 慶造*; 小山 亮平*; 酒巻 学*; 山中 健太郎*; 山崎 浩道*; 松山 成男*; 神谷 富裕; 佐藤 隆博; et al.
no journal, ,
脳の機能性疾患には疾患と微量金属元素の関係が示唆されており、ストレス,てんかん発作,覚せい剤など規制薬物の使用による脳の異常興奮に対して、ヒスタミン神経系が抑制的に働くことを行動薬理学的手法を用いて解析する一方、マイクロPIXE分析法を用いることによって、認知機能に関しては特にヒスタミンH1受容体の機能が深く関与していることが明らかになってきた。また、海馬の新生神経は臭素イオンをよく取り込むことが知られており、マウスの脳の元素分布を大気マイクロPIXE分析法で測定することを試みた。その結果、脳内に存在するヒスタミン受容体の種類により臭素集積量が異なり、実験行動薬理学実験との相関が見られることがわかった。
佐藤 悠輔*; 前田 智雄*; 本多 和茂*; 嵯峨 紘一*; 石川 隆二*; 秋田 祐介; 吉原 亮平; 野澤 樹; 鳴海 一成
no journal, ,
"弘前在来"トウガラシは青森県弘前地方の在来トウガラシで、大型の果実と香味のバランスの良さが特徴とされている。われわれは"弘前在来"トウガラシの付加価値向上を目的として2009年からイオンビーム育種を試みている。冨川らの報告では、照射当代の生育に及ぼすイオンビーム照射の影響及び変異誘発に有効な線量を調査した。本報では、イオンビーム照射が照射次代の生育に及ぼす影響の調査,照射当代の照射線量、さらには変異の有無が次代の変異率に及ぼす影響及び照射当代の変異と次代の変異の関連性について調査を行った。
立和名 博昭*; 有村 泰宏*; 松本 亮平*; 滝沢 由政*; 堀 哲也*; 松本 淳; 小田 隆*; 佐藤 衛*; 河野 秀俊; 深川 竜郎*; et al.
no journal, ,
Centromeres are specific region of chromosomes, which ensure equal chromosome segregation in mitosis. The histone H3 variant, CENP-A, is a key protein for the establishment and maintenance of centromeres. However, little is known about how the incorporation of CENP-A into the chromatin leads to the centromere formation. We reported that a nucleosome containing human CENP-A (CENP-A nucleosome) has different structural feature, by which the CENP-A nucleosome may contribute to organize a unique chromatin structure in centromeres1. Then, we further analysed whether CENP-A nucleosome affects the poly-nucleosome structure using reconstituted tri-nucleosomes. To enable this, we reconstituted the tri-nucleosome, in which single CENP-A nucleosome is arranged at the centre, and two H3 nucleosomes are arranged on the both sides (H3-CA-H3 nucleosomes), by anucleosome-ligation method. Then, we analyzed structures of H3-CA-H3 nucleosomes and control H3-H3-H3 nucleosomes by dynamic light scattering, small angle X-ray scattering, and electron microscopic analyses. We found that single CENP-A nucleosome significantly alters higher order chromatin configuration. Based on these analyses, we propose a chromatin structure containing CENP-A nucleosomes and discuss the advantage of this structure in centromere formation and maintenance.