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角田 一樹; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 鹿子木 将明*; 後藤 一希*; Zhou, W.*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 奥田 太一*; et al.
Communications Materials (Internet), 1, p.89_1 - 89_9, 2020/11
Weyl semimetals are characterized by the presence of massless band dispersion in momentum space. When a Weyl semimetal meets magnetism, large anomalous transport properties emerge as a consequence of its topological nature. Here, using in-situ spin- and angle-resolved photoelectron spectroscopy combined with ab initio calculations, we visualize the spin-polarized Weyl cone and flat-band surface states of ferromagnetic CoMnGa films with full remanent magnetization. We demonstrate that the anomalous Hall and Nernst conductivities systematically grow when the magnetization-induced massive Weyl cone at a Lifshitz quantum critical point approaches the Fermi energy, until a high anomalous Nernst thermopower of 6.2 VK is realized at room temperature. Given this topological quantum state and full remanent magnetization, CoMnGa films are promising for realizing high efficiency heat flux and magnetic field sensing devices operable at room temperature and zero-field.
飯本 武志*; 木下 哲一*; 坂口 綾*; 杉原 真司*; 高宮 幸一*; 田上 恵子*; 長尾 誠也*; 別所 光太郎*; 松村 宏*; 三浦 太一*; et al.
KEK Report 2016-3, 134 Pages, 2017/03
本報告書は、東電福島第一原子力発電所事故の後、高エネルギー加速器研究開発機構で開催された第13回(2012年)第17回(2016年)「環境放射能」研究会で報告された同事故に関連する取り組みを中心に、事故後5年間の関連する環境放射能研究をとりまとめたものである。
大矢 恭久*; 広畑 優子*; 中畑 俊彦*; 須田 泰市*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; 田辺 哲朗*
Fusion Science and Technology, 52(3), p.554 - 558, 2007/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで用いられた第一壁グラファイトタイル表面の水素同位体蓄積挙動を評価するために、SEM, TDS, XPS及びSIMSを用いて、主要なタイルの堆積・損耗分布及び水素同位体蓄積量を調べた。その結果、第一壁上側は厚いボロン膜に覆われていた。一方、第一壁下側ではボロンと炭素の混合膜が形成していた。ポロイダル方向の重水素分布は比較的均一であることがわかったが、TDSによる重水素脱離挙動はタイルの位置により大きく異なっていた。第一壁上側では厚いボロン膜に覆われており、重水素TDSスペクトルは第一壁下側のボロン濃度が低い膜中の重水素脱離温度と比べて低い温度で放出ピークが観測された。また、第一壁タイルにおけるD/H比はダイバータタイルで測定されたD/H比よりも明らかに大きく、第一壁へのNBIによる高エネルギーの重水素の打ち込みによる影響が考えられた。さらに、ダイバータと比較して第一壁では放電実験中の温度が573Kと低いため、打ち込まれた重水素の脱離が少なく、D/H比が高くなったと推察された。
中島 宏; 柴田 徳思; 中根 佳弘; 増川 史洋; 松田 規宏; 岩元 洋介; 平山 英夫*; 鈴木 健訓*; 三浦 太一*; 沼尻 正晴*; et al.
Proceedings of 14th Biennial Topical Meeting of the ANS Radiation Protection and Shielding Division (CD-ROM), p.267 - 282, 2006/00
大強度・高エネルギー陽子加速器コンプレックスである大強度陽子加速器施設(J-PARC)は、600MeVリニアック、1MW出力3GeVシンクロトロン,0.75MW出力50GeVシンクロトロンから構成される。これらの加速器はそれぞれ、核変換実験施設に200kW, 600MeVビームを、物質生命科学実験施設に1MW, 3GeVビームを、ハドロン実験施設に0.75MW, 50GeVのビームを供給する予定である。これらJ-PARCの特徴ゆえ、放射線遮蔽の観点からは、克服すべき問題が多数存在する。これらに対して、J-PARCでは合理的な遮蔽設計を行うために、多様な遮蔽計算手法を、それぞれ、その妥当性を検証しながら用いている。そこで、ここでは、J-PARCのために行われている放射線遮蔽研究の現状について報告する。
中島 宏; 中根 佳弘; 増川 史洋; 松田 規宏; 小栗 朋美*; 中野 秀生*; 笹本 宣雄*; 柴田 徳思*; 鈴木 健訓*; 三浦 太一*; et al.
Radiation Protection Dosimetry, 115(1-4), p.564 - 568, 2005/12
被引用回数:8 パーセンタイル:49.16(Environmental Sciences)大強度陽子加速器計画(J-PARC)では、世界最高出力の高エネルギー加速器施設が建設されている。そこで、施設の合理的な遮蔽設計を行うために、J-PARCの遮蔽設計では、簡易計算手法と詳細計算手法を組合せた設計手法が使われている。ここでは、J-PARCの遮蔽設計にかかわる研究の現状について報告する。
中畑 俊彦*; 大矢 恭久*; 吉河 朗*; 須田 泰市*; 小柳津 誠*; 芦川 直子*; 西村 清彦*; 柳生 純一; 木津 要; 信太 祐二; et al.
no journal, ,
JT-60Uにて行われているボロニゼーションを模擬し、静岡大学のP-CVDにて膜調製を行った高純度ボロン膜に対して飽和量の重水素を照射した後、加熱とSIMS測定を繰り返し行い、膜中に捕捉された水素同位体放出過程に関する以下の知見を得た。673K, 773K, 873Kでの等温加熱実験の結果、膜中に捕捉された重水素は表面に偏在しており、表面での再結合反応を律速段階として放出していることがわかった。各加熱温度での等温加熱実験の結果と質量平衡方程式による解析により、各温度での実効的な再結合定数をそれぞれ算出し、実効的な活性化エネルギーを1.80.02eVと決定した。この値は、Gaussian 03を用いた計算結果とH-H結合の生成エネルギーの関係から算出された値よりもわずかに大きい。この違いは膜内における拡散の影響と考えられる。一方、算出された活性化エネルギーをもとに数値解析した昇温脱離スペクトルのピーク位置が実験結果と一致することから、質量平衡方程式から算出された活性化エネルギーを用いて、実機における水素同位体の放出過程を模擬できることが期待される。
小林 和容; 林 巧; 五十嵐 恵美*; 須田 泰市*; 大矢 恭久*; 山西 敏彦; 奥野 健二*
no journal, ,
ITER及び将来の核融合炉建設に向けて、環境へのトリチウム放出や作業従事者被ばくを低減し安全を確保する観点から、材料表面におけるトリチウムの汚染挙動を把握することは非常に重要である。特に、ホットセルでのメンテナンス時等において各種材料は高濃度のトリチウムに曝される。それら各種材料のトリチウム汚染挙動を把握するために、建屋内に用いられる有機系材料であるアクリル樹脂,ブチルゴム及びエポキシについてトリチウム水蒸気への曝露・除染試験をし、脱離係数を求めるとともに、その後さらにパージガス中の水分濃度をパラメーターに、材料表面に残留するトリチウムの除染効果について検討した。これまで、エポキシ塗料に関しては、パージガス中の水分濃度をパラメーター(100ppm, 1000ppm, 10000ppm)にデータを蓄積してきた。本報告では、アクリル樹脂及びブチルゴムに関して検討するとともに、FT-IR等により材料表面に吸着したトリチウムの化学形を明らかにするとともにその付着(吸着)・除染メカニズムについて検討した。
西川 祐介*; 小柳津 誠*; 須田 泰市*; 吉河 朗*; 篠崎 崇*; 宗像 健三*; 藤井 俊行*; 山名 元*; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; et al.
no journal, ,
LiSiOペブルを用い、日本原子力研究開発機構の核融合中性子源施設(FNS)にて14MeV中性子照射を、京都大学原子炉実験所にて熱中性子照射を実施し、生成する照射欠陥の熱アニーリングによる消滅過程を速度論的に解明し、トリチウム放出過程と比較検討した。等温加熱アニーリング実験としての加熱を行った後、照射した試料を電子スピン共鳴(ESR)測定を行った。また熱中性子照射した試料に関して、等速昇温加熱実験によるトリチウム放出挙動を調べた。測定結果より、両照射試料において、酸素空孔に電子が1つ捕捉されたE'-センターを含む種々の欠陥が生成され、欠陥量は熱中性子照射試料の方が多いことがわかった。また熱中性子照射試料より14MeV中性子照射試料の方が生成した欠陥が速く消滅することが示唆された。さらに減衰曲線の形状から、照射欠陥の消滅挙動には速い過程と遅い過程の2つの過程が存在することが確認された。これら2つの過程の活性化エネルギーを算出した結果、14MeV中性子及び熱中性子照射試料の速い過程においてはそれぞれ、0.13eV, 0.12eVであり、ほぼ同じ値を示した。一方、遅い過程においてはそれぞれ、0.39eV, 0.56eVで明確な差が確認された。特に、遅い過程は酸素の拡散によるE'-センターの消滅の活性化エネルギーであり、その差は、酸素が拡散する際の、試料内における欠陥密度の差による障壁の差であると考えた。
林 巧; 中村 博文; 磯部 兼嗣; 小林 和容; 山西 敏彦; 須田 泰市*; 奥野 健二*
no journal, ,
水素同位体の金属-水界面での移行挙動は、界面の物理化学的構造と水素及び酸素との相互作用により大きく変動し得る。これらの現象の理解は、ブランケットや熱交換器等での冷却水へのトリチウム透過など核融合炉のトリチウムの安全取扱上、非常に重要であるが、系統的な実験結果は報告されていない。本研究では、まず比較的水素移行挙動がよく理解されている純鉄配管と高純度のトリチウムを用い、トリチウムの金属から水中への移行挙動を水中でのトリチウムの存在化学形を監視しながら連続測定した。その結果、(1)界面の酸化膜の成長により、金属から水へ移行する水素同位体の存在化学種が水素状から水状へと劇的に相対変化する。酸化膜を機械的に除去すると一時的に水素状トリチウムが増加。(2)純鉄-水界面にマグネタイトが成長しても水素同位体透過防止効果を促進しない。(3)パージガス種を変えても大きな変化はないこと、等が判明した。
林 巧; 中村 博文; 磯部 兼嗣; 小林 和容; 須田 泰市*; 大矢 恭久*; 奥野 健二*; 山西 敏彦
no journal, ,
純鉄配管内に封入したトリチウム(1kPa)の外側水ジャケットへの移行挙動実験を、423Kにて、水中でのトリチウムの化学形をモニタリングしつつ実施した。水へのトリチウム移行速度はガス透過計数からの計算値の約1/5程度で、水中加温で自然に形成されるマグネタイト酸化物層(0.060.07micro-meter/h)に大きく影響することなく定常的にトリチウムが移行し続けた。水中に移行したトリチウムは実験開始直後はHT成分が約30%見られたが、その後時間とともに1%以下に減少し、酸化物層の自然形成との関係が示唆された。また、パージガスとして水素を導入したが、実験条件の範囲内では顕著なトリチウム移行挙動の変化は見られなかった。
柴田 徳思; 中島 宏; 中根 佳弘; 増川 史洋; 松田 規宏; 三浦 太一*; 沼尻 正晴*; 鈴木 健訓*; 竹内 康紀*
no journal, ,
J-PARCは400MeVLNAC, 3GeVシンクロトロン,50GeVシンクロトロンと物質生命,ハドロン,ニュートリノの3つの実験施設から構成される。J-PARCの放射線安全設計は遮へいの外側,管理区域の境界,事業所の境界に置ける線量計算に基づいてる。異なる計算法の精度の確認のためビームダンプ,遮へい,漏洩,放射化について解析した。空気の放射化,冷却水の放射化,土の放射化と地下水への影響も評価した。J-PARCは複合加速器なので、インターロックシステムは放射線安全上重要である。計画外被ばくを避けるために注意深く設計されたインターロックシステムを組み込んだ。
石角 太一郎*; 臼田 実男*; 井上 達哉*; 飯島 慶仁*; 前原 幸夫*; 古本 秀行*; 岡 潔; 池田 徳彦*
no journal, ,
原子力機構において技術開発を進めてきた複合型光ファイバは、高エネルギーと映像情報の両方を扱うことができる特殊なファイバである。この複合型光ファイバは、核融合炉及び大型原子力施設における保守保全技術開発に役立つ特殊ツールとして誕生した。原子炉内部の燃料集合体や熱交換器の伝熱配管など、本ファイバが役立つ狭隘箇所は数多くある。本技術は汎用性が高いため、現在では、種々の計測機器と統合された診断治療機器として医療分野への応用を積極的に推進中である。本報では、小型肺腺癌に対してnon-surgicalな治療法として、複合型光ファイバを適用して、経気管支鏡的な光線力学的治療(PDT)を実施することを検討した。その結果、小型末梢型肺線癌に対する新たなインターベンション治療として、複合型光ファイバによるPDTは、大いに期待できる治療法であることを示した。
古本 秀行*; 臼田 実男*; 前原 幸夫*; 今井 健太郎*; 石角 太一郎*; 本多 英俊*; 岡 潔; 梶原 直央*; 大平 達夫*; 池田 徳彦*
no journal, ,
原子力機構において技術開発を進めてきた複合型光ファイバは、高エネルギーと映像情報の両方を扱うことができる特殊なファイバである。この複合型光ファイバは、核融合炉及び大型原子力施設における保守保全技術開発に役立つ特殊ツールとして誕生した。原子炉内部の燃料集合体や熱交換器の伝熱配管など、本ファイバが役立つ狭隘箇所は数多くある。本技術は汎用性が高いため、現在では、種々の計測機器と統合された診断治療機器として医療分野への応用を積極的に推進中である。本研究では、腫瘍切除のために胸部外科手術を実施する患者に対し、複合型光ファイバスコープを予め経気管支的にアクセスさせ、肺を切除した後に肺の外部から腫瘍位置を確認することが可能かどうかについて検討を行った。この目的のため、実際に切除した人の肺の中に、複合型光ファイバスコープを挿入してアクセスした結果、腫瘍の位置が肺の外部から確認可能であることが明らかとなった。これによって、胸部外科手術の腫瘍位置確認に対する新たな手法として、複合型光ファイバスコープによるアシストが有用であることを示した。
井上 達哉*; 石角 太一郎*; 揖斐 孝之*; 佐藤 明*; 堀内 翔*; 蓮実 健太*; 岡 潔; 臼田 実男*
no journal, ,
原子力機構において技術開発を進めてきた複合型光ファイバーは、高エネルギーと映像情報の両方を扱うことができる特殊なファイバーである。この複合型光ファイバーは、核融合炉及び大型原子力施設における保守保全技術開発に役立つ特殊ツールとして誕生した。原子炉内部の燃料集合体や熱交換器の伝熱配管など、本ファイバーが役立つ狭隘箇所は数多くある。本技術は汎用性が高いため、現在では、種々の計測機器と統合された診断治療機器として医療分野への応用を積極的に推進中である。本報では、肺の末梢部にできる小型肺がんに対する仮想気管支鏡ナビゲーションとラジアル走査型超音波気管支鏡・ガイドシース法(EBUS-GS)と末梢肺へ到達可能な複合型光ファイバーを適用して、経気管支鏡的な光線力学的治療(PDT)を実施することを検討した。本研究の結果、CTで発見されるような末梢型小型肺がんの低侵襲的な治療法が開発される可能性が広がると期待される。
別所 光太郎*; 松村 宏*; 三浦 太一*; 飯本 武志*; 木下 哲一*; 坂口 綾*; 杉原 真司*; 高宮 幸一*; 田上 恵子*; 長尾 誠也*; et al.
no journal, ,
「環境放射能」研究会は、JCO臨界事故を契機として2000年にスタートし、自然環境放射能、放射線・原子力施設環境放射能を基本テーマに、その他の討論主題12件を挙げる形で、毎年23月につくば市の高エネルギー加速器研究機構で開催されてきた。毎回、研究会終了後には、査読付きのProceedings論文集を刊行している。東京電力福島第一原子力発電所事故の後に開催された2012年の第13回以降は、同事故に関連する環境放射能・放射線測定に関連した研究発表が、研究会での報告の多くの割合を占めるようになった。また、環境放射能を専門とする研究者にとどまらず、様々な分野の研究者や技術者、自治体関係者、一般市民の方々なども参加するより幅広い情報交換の場となった。この傾向は、2017年の第18回研究会においても継続している。「環境放射能」研究会世話人会では、事故から5年を迎えるのを機に、事故以降5年間の関連する環境放射能研究を、第13回(2012年)第17回(2016年)「環境放射能」研究会での発表(計326件)を中心にとりまとめる作業を2016年3月にスタートさせ2017年3月に出版物を発行した。本報告は、このとりまとめ活動の概要を報告するものである。
角田 一樹; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 鹿子木 将明*; 後藤 一希*; Zhou, W.*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 奥田 太一*; et al.
no journal, ,
異常ネルンスト効果は強磁性体に熱流を流した際に、温度勾配と磁化の外積方向に電場が生じる現象である。これまで、異常ネルンスト効果による熱電能は磁化の大きさに比例すると考えられてきたが、近年、反強磁性体を含むいくつかの磁性材料でこの経験則が破綻していることが明らかになってきた。特に強磁性ホイスラー合金CoMnGaの室温における熱電能は約6.0V/Kに達しており、Feなどの典型的な強磁性体の約10倍の大きさに匹敵する。このような巨異常ネルンスト効果には、フェルミ準位近傍のトポロジカルに非自明な電子構造が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、組成比を緻密に制御したCoMnGa薄膜に着目し、スピン・角度分解子電子分光,熱輸送測定,第一原理計算を行うことで異常ネルンスト効果による熱電能と電子構造の対応関係を解明した。
角田 一樹; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 鹿子木 将明*; 後藤 一希*; Zhou, W.*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 奥田 太一*; et al.
no journal, ,
異常ネルンスト効果は強磁性体に熱流を流した際に、温度勾配と磁化の外積方向に電場が生じる現象である。これまで、異常ネルンスト効果による熱電能は磁化の大きさに比例すると考えられてきたが、近年、反強磁性体を含むいくつかの磁性材料でこの経験則が破綻していることが明らかになってきた。特に強磁性ホイスラー合金CoMnGaの室温における熱電能は約6.0V/Kに達しており、Feなどの典型的な強磁性体の約10倍の大きさに匹敵する。このような巨異常ネルンスト効果には、フェルミ準位近傍のトポロジカルに非自明な電子構造が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、組成比を緻密に制御したCoMnGa薄膜に着目し、スピン・角度分解子電子分光,熱輸送測定,第一原理計算を行うことで異常ネルンスト効果による熱電能と電子構造の対応関係を解明した。
角田 一樹; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 鹿子木 将明*; 後藤 一希*; Zhou, W.*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 奥田 太一*; et al.
no journal, ,
異常ネルンスト効果は強磁性体に熱流を流した際に、温度勾配と磁化の外積方向に電場が生じる現象である。これまで、異常ネルンスト効果による熱電能は磁化の大きさに比例すると考えられてきたが、近年、反強磁性体を含むいくつかの磁性材料でこの経験則が破綻していることが明らかになった。特に強磁性ホイスラー合金CoMnGaの室温における熱電能は約6.0V/Kに達しており、Feなどの典型的な強磁性体の約10倍の大きさに匹敵する。このような巨大異常ネルンスト効果には、フェルミ準位近傍のトポロジカルに非自明な電子構造が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、異常ネルンスト効果による熱電能と電子構造の対応関係を明らかにするため、組成比を緻密に制御したCoMnGa薄膜に対してスピン・角度分解光電子分光,熱輸送測定,第一原理計算を行った。その結果、フェルミ準位近傍にスピン偏極した複数のワイルコーンが存在していることが実験的に明らかとなった。第一原理計算との比較により、これらのワイルコーンが波数空間上で巨大な仮想磁場(ベリー曲率)を生み出す源となっていることを突き止め、電子構造と熱電能の対応関係を明らかにした。
角田 一樹; 鹿子木 将明*; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 後藤 一希*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 宝野 和博*; 奥田 太一*; et al.
no journal, ,
CoMnSiは少数スピン状態にギャップが開いており、多数スピンのみが伝導に寄与するハーフメタル強磁性体であることが理論的に予測されている。実際、CoMnSiを用いたトンネル磁気抵抗素子では2000%もの巨大な出力が報告されている。しかし、巨大磁気抵抗比は低温でのみ観測されており、室温では出力が300%程度に低下することが問題となっている。室温における性能低下の要因は、電子間相互作用に起因した多体効果や熱励起マグノンによる影響などいくつか理論的モデルが提唱されているが、低温から室温までのスピン偏極率を調べる実験手法が限られることから、有限温度におけるスピン偏極率低下のメカニズムは未解明のままである。本研究では、CoMnSi薄膜についてスピン・角度分解光電子分光を行い、バンド分散およびスピン偏極率の温度変化を詳細に追跡した。フェルミ準位近傍ではハーフメタル性を担うバルクバンドと、スピン偏極した表面バンドが混在していることが明らかとなった。また、スピン偏極率は温度の上昇に伴って低下しており、マグノンの熱励起を記述するブロッホの則によって現象をよく説明できることが明らかになった。
角田 一樹; 鹿子木 将明*; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 後藤 一希*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 宝野 和博*; 奥田 太一*; et al.
no journal, ,
Heusler alloy CoMnSi is theoretically predicted to be a half-metal ferromagnet exhibiting 100 spin-polarization. In fact, a huge output has been reported for tunnel magnetoresistance (TMR) devices using CoMnSi films. However, such a giant TMR ratio is observed only at low temperatures, and the output drastically decreases at room temperature. Several theoretical models have been proposed for the spin-depolarization at room temperature, but the mechanism remains unclear. In this study, we have fabricated CoMnSi films and performed temperature-dependent spin- and angle-resolved photoelectron spectroscopy. We confirmed a steep hole-band at point and electron-band at X point. Those experimentally observed bands are well reproduced by the calculations. More importantly, the temperature-dependent spin-polarization can be nicely fitted by Bloch law. This implies that the spin-depolarization can be explained by the thermally excited magnon model.