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神谷 潤一郎; 高野 一弘*; 和田 薫; 柳橋 享*
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 21(3), p.144 - 153, 2023/06
J-PARC加速器等の超高真空装置の到達圧力は、表面から熱脱離する吸着気体分子量と材料内部の気体分子成分の表面への拡散・放出量で決まるといわれている。先行研究ではvacuum firingとよばれる高真空下での高温熱処理により材料中の水素を低減できることがわかっているが、各ガス種の放出ガス量の低減効果やその原因解明といった、さらなる超高真空化を実現するために必要な研究事例はこれまでなかった。今回、超高真空材料として最も利用されるステンレス鋼について、vacuum firingの放出ガス量への効果とその機構解明を目的に研究を行った。その結果、真空容器のビルドアップ試験によりvacuum firingは各種ガスの放出ガス量を有意に低減できることがわかった。さらに昇温脱離分析と表面分析により、vacuum firingは材料中の水素の拡散放出、材料表面の各種ガスの熱脱離をさせたうえで、表面に鉄酸化膜・クロム酸化膜を形成し、それらの表面が拡散障壁ならびに再吸着防止の役割をしていること示唆する結果を得た。この結果は、今後J-PARC加速器真空システムの超高真空維持の基盤となる成果である。
神谷 潤一郎; 高野 一弘*; 油座 大夢*; 和田 薫
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 20(2), p.107 - 118, 2022/05
チタンは放出ガスが少ないため超高真空容器としての利用が真空装置において広がっている。我々はチタン表面の酸化膜を除去することで、チタン製真空容器自体を気体吸着型真空ポンプとして活用する開発を行っている。光電子分光測定で、チタンを真空中加熱することで表面酸化酸化物が内部へ拡散し金属チタンが真空面に露出することを明らかにした。そのうえでチタン製真空容器を加熱することで、真空封止しても高真空を長時間維持できることを実証した。別の手法として、アルゴンスパッタリングにより表面酸化膜を除去することによるチタン製真空容器の超高真空ポンプ化に成功した。大気開放による表面の再酸化を防ぐために、酸化膜を除去したチタン表面に低温ゲッター材をコーティングすることを発案した。このような表面改質を施した真空容器を用いて、10回以上の大気開放を繰り返しても10-8Pa台の到達圧力が維持できること実証した。本成果はJ-PARC加速器真空システムの安定運転維持につながるとともに、既存の真空ポンプがなくても高真空を維持することが可能となることから、持続可能な開発目標に寄与するイノベーション技術へとつながる案件である。
高野 一弘; 古徳 博文*; 小林 史憲*; 宮尾 智章*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎
JAEA-Technology 2021-017, 35 Pages, 2021/11
J-PARC LINACにおいて、LINACと3GeVシンクロトロンをつなぐビーム輸送ラインであるL3BTの真空排気系は、粗引き排気用にターボ分子ポンプとルーツポンプ、メイン排気用にイオンポンプが使用されている。また、L3BTには、LINACのビームラインに対して0度、30度、90度、100度の位置にビームダンプが真空仕切り窓を介して接続されており、それぞれのビームダンプの排気系としてルーツポンプが使用されている。これらルーツポンプのコントローラーは放射線による故障を防ぐために、加速器トンネルに設置したポンプ本体から100m程度離れた位置に設置している。これまでインバーターを使用したルーツポンプコントローラーからの電気ノイズがビームモニターへ悪影響を与えることから、インバーターを取り外した特殊仕様のコントローラーを利用していた。しかし特殊仕様のコントローラーでは、ポンプの排気性能の不安定さや性能のばらつき等の不具合が発生していた。今回、ルーツポンプコントローラーのインバーターに対し、各種のフィルター、ケーブル種、アースのとり方等を調査した。その結果、最適なノイズ対策を実施することで、ビームモニターの使用が可能となる状態までノイズが低減されたことを確認できたため、ここに報告する。
伊奈川 潤; 北辻 章浩; 音部 治幹; 中田 正美; 高野 公秀; 秋江 拓志; 清水 修; 小室 迪泰; 大浦 博文*; 永井 勲*; et al.
JAEA-Technology 2021-001, 144 Pages, 2021/08
プルトニウム研究1棟では、施設廃止措置計画に従い管理区域解除に向けた準備作業を進めており、その一環として実施した施設内に貯蔵する全ての核燃料物質の搬出を、令和2年12月のプルトニウム等核燃料物質のBECKYへの運搬をもって完了させた。今後計画されている他施設の廃止措置に活かすため、一連の作業についてまとめ記録することとした。本報告書では、運搬準備から実際の運搬作業の段階まで、核燃料物質使用許可の変更申請のための保管室の臨界評価、運搬容器の新規製作と事業所登録、運搬計画の立案・準備作業及び運搬作業等に項目立てして詳細を記録した。
神谷 潤一郎; 古徳 博文*; 黒澤 俊太*; 高野 一弘; 柳橋 享*; 山本 風海; 和田 薫
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 24(8), p.083201_1 - 083201_23, 2021/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Physics, Nuclear)J-PARC 3GeVシンクロトロンのビーム運転実績を積み重ねるにつれ、大強度陽子ビームの運転が真空システム対して当初の想定よりもより大きな影響があることがわかった。これらの影響は大強度ビームによる装置の誤動作とビームラインの圧力上昇という、2つのカテゴリーに分けられる。前者の典型例は、大強度ビーム起因の放射線によるターボ分子ポンプコントローラーの故障およびそれに伴うポンプ本体のタッチダウンによる故障である。我々はこの問題をコントローラーとポンプ間のケーブルを200mまで長尺化することに加え、高強度のタッチダウンベアリングを開発することで解決した。後者の典型例は、ビーム強度の増加に伴うビームラインの急激な圧力上昇である。我々は蓄積したデータの傾向を詳細に分析しイオン衝撃ガス脱離モデルを適用することで、この動的圧力の機構解明を行った。さらに圧力上昇抑制には表面分子量の低減と排気速度増加が重要であることを示し、実際のビームラインに対して両者を実現できる非蒸発型ゲッターポンプをインストールした。結果、大強度ビーム運転時の圧力上昇を大幅に低減することに成功した。
神谷 潤一郎; 高野 一弘; 油座 大夢*; 和田 薫
Proceedings of 12th International Particle Accelerator Conference (IPAC 21) (Internet), p.3471 - 3474, 2021/08
J-PARC加速器ではチタン材を低放射化性能を持つ超高真空材料という理由からビームライン真空ダクトの材料として用いている。チタンは気体分子を吸着するゲッター材であるが、通常表面が酸化膜に覆われておりゲッター機能は持っていない。この酸化膜を除去することで、ビームパイプ自身を真空ポンプとして活用できる可能性がある。これによりビームラインが連続的な真空ポンプとなり超高真空を安定的に維持することができ、加速器真空システムのさらなる高度化に帰することとなる。実験によりアルゴンスパッタリングによって表面チタン酸化膜を除去することができ、10Pa台の超高真空を達成することができた。さらに加速器にインストールするために避けては通れない大気暴露による性能劣化を防ぐために、スパッタしたチタン表面に低温ゲッター材をコーティングを実施することを発案した。スパッタおよびコーティングを施した試験機について、10回以上の大気暴露を繰り返しても、ゲッター性能が維持できることを実証した。本発表では、チタン製真空容器をゲッターポンプとして用いる手法とその実測結果について報告を行う。
柴田 恵一; 深堀 智生; 高野 秀機; 石橋 健二*; 渡辺 幸信*; 小林 捷平*; 馬場 護*; 親松 和浩*
日本原子力学会誌, 39(10), p.863 - 865, 1997/00
1997年5月19日~24日にイタリアのトリエステで核データ国際会議が開催された。参加者総数は425名で、主要国別参加者数は、ロシア68名、米国52名、イタリア49名、日本46名、ドイツ34名であった。会議のトピックスは核反応機構、装置と実験、核構造と崩壊、評価とデータセンター活動、原子炉技術・安全・燃料サイクル、標準とドシメトリー、FP消滅処理・アクチニドリサイクル、環境・保障措置・核不拡散、加速器技術・応用・宇宙科学、天体物理、医学利用、産業利用の12テーマであった。本稿では主なトピックスでの講演内容を紹介する。
石垣 徹; Harjo, S.; 米村 雅雄*; 神山 崇*; 森 一広*; 茂筑 高士*; 相澤 一也; 新井 正敏; 江幡 一弘*; 高野 佳樹*
no journal, ,
茨城県は、J-PARC を核として、北茨城周辺地域に「つくば」と並ぶ21世紀を担う先端科学技術拠点の形成を目指し「サイエンスフロンティア21構想」を策定し、県を整備主体と想定した茨城県中性子ビーム実験装置の整備を位置付けた。平成15年度には、中性子の産業利用を先導するため、J-PARCの稼働開始時期に合わせてJ-PARCの物質・生命科学実験施設中性子源に県独自に中性子ビーム実験装置を2台(汎用型中性子回折装置(材料構造解析装置),生命物質構造解析装置)整備することを決定した。本講演では、茨城県より設置提案を行っている、茨城県材料構造解析装置の概要について発表を行う。茨城県材料構造解析装置は、非結合型ポイゾン減速材(37mm厚側)に設置され、減速材-試料間距離を26.5mとすることで、0.155.0の領域で、d/d0.16%(一定値)を実現する。さらに、低角バンク,小角バンクを設置することにより、d80nmまでの広いd領域の測定が可能である。標準的な試料量を実験室X線での量程度とした場合、測定時間は5分程度になる。茨城県材料構造解析装置は高スループット回折装置として考えられており、分析装置のように手軽で迅速な測定を実現することで、本装置を各ユーザの材料設計・合成・評価サイクル(DSCサイクル)に組み込むことが可能となり、中性子の新物質開発への貢献や新たな産業応用の促進を図ることが可能になる。
日下 勝弘; 大原 高志; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 尾関 智二*; 栗原 和男; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; 江幡 一弘*; et al.
no journal, ,
茨城県が提案するJ-PARC生命物質構造解析装置は現存する生体高分子用回折計BIX-4と比べて約50倍の測定効率を目指し設計開発が進められている。この性能を達成するため、本装置はより中性子強度が強く、広いパルス時間幅を持つ結合型減速材を配するビームラインに導入される。この広いパルス時間幅を持つ入射中性子を用いることにより隣接するブラッグ反射は時間軸方向に部分的に重なりを持つことが予想される。装置設計パラメータはこれらの反射の重なりを考慮し決定されなければならない。また生体高分子中の水素原子の位置情報を十分な精度で得るためにはこの重なった反射の分離方法の確立が必要不可欠である。そこで反射の重なりの度合い、ブラッグ反射の測定収率、時間軸に沿った反射プロファイルを装置設計パラメータをもとにシミュレーションするコンピュータプログラムを開発した。このプログラムを用いたシミュレーションの結果をもとに生体高分子の構造解析に焦点をおいた装置設計パラメータ及び反射分離戦略の考察を行ったのでこれを報告する。
石垣 徹; 星川 晃範; 米村 雅雄*; 神山 崇*; Harjo, S.; 相澤 一也; 佐久間 隆*; 友田 陽*; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県はJ-PARCの産業利用を推進することを目的として、汎用型粉末散乱装置(茨城県材料構造解析装置)を建設することを決定した。この回折計はハイスループット回折装置として考えられており、材料の開発・研究者は、この装置を材料の開発過程の中で化学分析装置のように手軽に用いることが可能である。この装置は、背面バンクで0.18d()5の範囲を分解能%で測定することが可能であり、5d()800の範囲については徐々に変化する分解能でカバーしている。リートベルト解析が可能なデータを測定するための標準的な測定時間は実験室X線装置程度の量で数分である。産業利用を促進するためには、利用システムの整備が必要である。われわれは、中性子回折は使いたいが、詳しくない産業界及び学術利用者のためのサポートシステムも確立する予定である。装置の建設は、既に開始されており、2008年には、J-PARCのデイワン装置の一つとして完成の予定である。
大原 高志; 栗原 和男; 日下 勝弘; 細谷 孝明; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県生命物質構造解析装置は、J-PARCの物質生命科学実験施設に設置される単結晶回折計で、生体高分子及び有機低分子の構造解析を目的とする。本装置は中性子線源からの距離が40mあり、中性子を効率的に輸送する光学系が必要不可欠である。今回、本装置の中性子光学系として、スーパーミラーガイド管を設計した。ガイドの形状のうち、水平方向には曲率半径4300mのカーブドガイドを用いることで高エネルギーの線及び中性子線を除去し、さらに先端部のテーパードガイドで中性子を集光する。一方、垂直方向は多段階のテーパードガイドを組合せることでミラー表面での中性子の反射回数を減らし、反射による中性子の減少を抑えた。McSTAS及びIDEASを用いたモンテカルロシミュレーションによって試料位置での中性子の強度などを評価したところ、ストレートガイドを用いた場合と比較して0.7で2倍、1.0でも1.6倍のゲインが得られた。
石垣 徹; 星川 晃範; 米村 雅雄*; 神山 崇*; 森 一広*; 茂筑 高士*; 相澤 一也; 新井 正敏; 江幡 一弘*; 高野 佳樹*; et al.
no journal, ,
茨城県はJ-PARCの産業利用を推進することを目的として、汎用型粉末散乱装置(茨城県材料構造解析装置)を建設することを決定した。この回折計はハイスループット回折装置として考えられており、材料の開発・研究者は、この装置を材料の開発過程の中で化学分析装置のように手軽に用いることが可能である。この装置は、背面バンクで0.18d()5の範囲を分解能%で測定することが可能であり、5d()800の範囲については徐々に変化する分解能でカバーしている。リートベルト解析が可能なデータを測定するための標準的な測定時間は実験室X線装置程度の量で数分である。産業利用を促進するためには、利用システムの整備が必要である。装置の建設は、既に開始されており、2008年には、J-PARCのデイワン装置の一つとして完成の予定である。今回は装置の建設状況についての報告を行う。
日下 勝弘; 大原 高志; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 栗原 和男; 細谷 孝明; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県がJ-PARC, MLF施設に設置予定の生命物質構造解析装置は現存する最高性能の生体高分子用中性子回折計BIX-4の50倍以上の測定効率を目指して設計・開発が進められている。本装置はこの高い測定効率を実現するため、結合型減速材を配するビームラインに設置することが決まっている。結合型減速材からの中性子ビームはパルス時間幅が広いため、格子定数の大きな単結晶試料の回折パターンを測定する場合、隣接するブラッグ反射が時間・空間方向に重なりを示すことが予想される。生体高分子中の水素位置を決定するに十分な分解能の積分反射強度データを得るためには、重なりを持つ反射の積分強度も高い精度で分離しデータとして用いなければならない。また、装置設計はこのブラッグ反射の重なりとその分離を考慮して行わなければならない。そこでわれわれは、反射重なりの度合い、反射の測定収率,時間軸に沿ったピークプロファイルを、装置設計パラメータをもとにシミュレーションする3つのプログラムを開発した。これらのプログラムを用いたシミュレーションの結果をもとに、最適な装置設計パラメータ及び反射分離法の検討を行ったのでこれを報告する。
日下 勝弘; 大原 高志; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 栗原 和男; 細谷 孝明; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県が原子力機構の協力のもとJ-PARC, MLFに建設を開始した生命物質構造解析装置(BIX-P1)は最大格子長約150の単結晶試料の回折データが測定可能で、現存する最高性能の生体高分子用中性子回折計BIX-3,4(JAEA)の100150倍の測定効率を目指している。本装置はこの高い測定効率を実現するため、結合型減速材を配するビームラインに設置される。しかし、結合型減速材からの中性子ビームはパルス時間幅が広く、隣接する反射が時間・空間方向に重なりを示すことが予想される。よって、装置設計パラメータはこのブラッグ反射の重なりとその分離を考慮し決定しなければならない。そこで、われわれは回折計の設計パラメータをもとにTOF回折データをシミュレーションする3つのプログラムを独自に開発し、(1)反射重なりシミュレーションによる光学系パラメータと試料-検出器間距離の検討,(2)ブラッグ反射の収率シミュレーションによる最適な検出器配置と高効率な測定方法の検討,(3)ブラッグ反射の時間方向のプロファイルシミュレーションによる反射分離方法の考察を行った。本発表ではそれぞれの検討・考察の結果を報告する。
石垣 徹; 星川 晃範; 米村 雅雄*; 神山 崇*; 相澤 一也; 佐久間 隆*; 友田 陽*; 森井 幸生; 新井 正敏; 林 真琴*; et al.
no journal, ,
茨城県はJ-PARCの産業利用を推進することを目的として、汎用型粉末散乱装置(茨城県材料構造解析装置)を建設することを決定した。この回折計はハイスループット回折装置として考えられており、材料の開発・研究者は、この装置を材料の開発過程の中で化学分析装置のように手軽に用いることが可能である。この装置は、背面バンクで0.18d()5の範囲を分解能%で測定することが可能であり、5d()800の範囲については徐々に変化する分解能でカバーしている。リートベルト解析が可能なデータを測定するための標準的な測定時間は実験室X線装置程度の量で数分である。産業利用を促進するためには、利用システムの整備が必要である。われわれは、中性子回折は使いたいが、詳しくない産業界及び学術利用者のためのサポートシステムも確立する予定である。装置の建設は、既に開始されており、2008年には、J-PARCのデイワン装置の一つとして完成の予定である。
大原 高志; 栗原 和男; 日下 勝弘; 細谷 孝明; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県生命物質構造解析装置は、J-PARCの物質生命科学実験施設に設置される単結晶回折計で、生体高分子及び有機低分子の構造解析を目的とする。本装置は中性子線源からの距離が40mあり、中性子を効率的に輸送する光学系が必要不可欠である。今回、図1に示す形状のスーパーミラーガイド管を設計した。水平方向には曲率半径4300mのカーブドガイドを用いることで高エネルギーの線及び中性子線を除去し、先端部のテーパードガイドで集光している。一方、垂直方向は多段階のテーパードガイドを組合せることでミラー表面での中性子の反射回数を減らし、中性子束の減少を抑えた。モンテカルロシミュレーションによって試料位置での中性子の強度及びプロファイルを評価したところ、ストレートガイドを用いた場合と比較して0.7Aで2倍、1.0Aでも1.5倍のゲインが得られた。また、ビームのプロファイルについても、測定に用いるほぼすべての波長領域(0.73.8A)で矩形に近いものが得られた。
日下 勝弘; 大原 高志; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 栗原 和男; 細谷 孝明; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県がMLF施設に設置予定の生命物質構造解析装置は現存する最高性能の生体高分子用中性子回折計BIX-3の50倍以上の測定効率を目指して設計・開発が進められている。本装置はこの高い測定効率を実現するため、結合型減速材を配するビームラインに設置することが決まっている。結合型減速材からの中性子ビームはパルス時間幅が広いため、隣接するブラッグ反射が時間・空間方向に重なりを示すことが予想される。われわれはこれらの重なりを持つ反射の分離機能を含むTOF回折データ処理ソフトウェアを新たに開発しなければならない。また高い測定効率を実現するうえで、最適な検出器配置の検討も必要である。そこでわれわれは、装置性能指数及びTOF回折データを装置設計パラメータをもとにシミュレーションするプログラムを開発し、そのシミュレーションの結果をもとに、最適な検出器配置,データ測定戦略,反射分離戦略の検討を行ったのでこれを報告する。
田中 伊知朗*; 大原 高志; 栗原 和男; 日下 勝弘*; 細谷 孝明; 友寄 克亮*; 新村 信雄*; 尾関 智二*; 相澤 一也; 新井 正敏; et al.
no journal, ,
茨城県生命物質構造解析装置は、茨城県によってJ-PARCに建設が進められているTOF単結晶中性子回折計である。本装置は135の格子長を持つ蛋白質の構造解析に対応できるとともに現在JRR-3に設置されているBIX-3/BIX-4に比べて約100倍の測定効率を持ち、2008年の完成後は構造生物学、化学の分野における産業利用を中心とした利用が期待される。本装置はさまざまなコンポーネントによって構成され、特に中性子光学系、検出器、試料周辺環境、ソフトウェアは装置の性能やユーザーの利便性を高める鍵となる。本発表では、それぞれのコンポーネントの詳細及び現在の開発状況について紹介し、本装置完成後の利用者の拡大を目指す。
三浦 健太*; Umenyi, A. V.*; 花泉 修*; 佐藤 隆博; 石井 保行; 大久保 猛; 山崎 明義; 江夏 昌志; 横山 彰人; 加田 渉; et al.
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TIARAでのイオンビーム照射技術を、光スイッチや発光素子などの光デバイスの作製に応用する研究を行っている。この研究の中で、今回は応用波長帯の拡大を目標に、GeイオンをSiO基板に注入した試料を作製し、その発光特性の評価を行ったので、これらの成果を発表する。具体的には、初めに、SiO基板へのGeイオン注入は、400kVイオン注入装置を用い、照射エネルギー350keV,照射量110ions/cmとし、室温で行った。次に、4つの試料を窒素雰囲気中で600C, 700C, 800C, 900Cでアニールした後、さらに大気中でアニール(800C)を行った。最後に、フォトルミネッセンス(PL)スペクトの励起光源としてHe-Cdレーザ(波長325nm)を使用し、モノクロメータ及びCCD検出器(-80Cに電子冷却)を用いて測定を行った。PLスペクトルの測定結果、窒素中で600C, 700C, 800Cのアニールを行った試料からは、波長400nm付近に発光ピークが確認できた。これらはGeナノ結晶による発光と考えられる。その中で、800Cでアニールした試料のみ、波長500nm付近の発光バンドも確認でき、さらにアニール温度を900Cに上げると、波長500nm付近にピークを持つブロードな発光スペクトルが観測された。この発光バンドとGeナノ結晶との関連性は現在調査中であるが、アニール温度によって発光波長帯を制御できる可能性があり、さまざまな色の可視発光デバイスへの応用が期待できる。
千葉 和宏*; 高野 成央*; 山本 充*; 寺西 美佳*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 田中 淳; 日出間 純*
no journal, ,
イネのUVB耐性にかかわる主要因子の一つは、UVB誘発シクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)を修復するCPD光回復酵素であるが、他のUVB耐性にかかわる因子は未だ不明である。われわれは、UVB耐性にかかわる遺伝子資源の探索を目的に、UVB耐性を示すイネ・ササニシキを親株とし、変異原として炭素イオンビーム(320MeV: C, 80Gy)を用いて、UVB感受性変異体イネ()の選抜に成功し、解析を進めてきた。その結果、usr1は第7染色体上の2つの遺伝子を含む、約52kbpの領域が欠失していることがわかった。次にusr1の生理学的特性について親株と比較したところ、既知のUVB耐性因子であるUV吸収物質の蓄積量、CPD及び6-4光産物の生成頻度に差は見られなかった。また、UVB照射後の根の生育を感受性の指標とした、光条件及び暗条件でのRoot bending assayを行った結果、は光条件、暗条件の両方で野生型よりもUVB感受性を示した。さらに、のUVB誘発CPD及び6-4光産物の光修復活性、暗修復活性をELISA法により解析したところ、野生型と比べて有意な差は見られなかった。これらの結果より、の示すUVB感受性は、既知のUVB耐性にかかわる因子ではなく新規の因子が関与している可能性が示された。