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小原 真司*; 鈴谷 賢太郎; 竹内 謙*; Loong, C.-K.*; Grimsditch, M.*; Weber, J. K. R.*; Tangeman, J. A.*; Key, T. S.*
Science, 303(5664), p.1649 - 1652, 2004/03
被引用回数:159 パーセンタイル:96.06(Multidisciplinary Sciences)無機ガラスは通常、共有結合性の強い構造ユニットが、長周期的な秩序を持つことなく、繋がってネットワーク構造を形成しているものである。代表的な無機ガラスであるケイ酸塩ガラス(MeO-SiO等)においては、SiO四面体同士が酸素の頂点共有で繋がりネットワーク構造を形成している。したがって、常識的な考えでは、アルカリ金属酸化物(MeO)あるいはアルカリ土類金属酸化物(MeO)のオルトケイ酸塩(モル比MeO/SiO or MeO/SiO=2)は、ガラス化しないと考えられる。なぜなら、オルトケイ酸塩はネットワーク構造を形成するだけの十分な量の(ネットワーク形成物質)SiOを(SiO四面体を)含有していないからである。しかし、われわれは、大変純粋なMgオルトケイ酸塩ガラス(MgSiO)を坩堝等の容器を使用しない融解-急冷法(コンテナレス法)で作成した。そして、このガラスでは、Mg-Oが、歪んだイオン結合性のMgO, MgO, MgOユニットを形成し、それらが頂点あるいは稜を共有して新奇なネットワーク構造を形成していることを見いだした。この結果は、コンテナレスと同様の環境になっている星間からの物質中にこのMgオルトケイ酸塩ガラスに似た新奇なガラス相が見られる理由を示している。
Weber, J. K. R.*; Tangeman, J. A.*; Key, T. S.*; Loong, C.-K.*; 竹内 謙*; 鈴谷 賢太郎
Physics and Chemistry of Glasses, Vol.43C 2002, p.68 - 70, 2002/00
かんらん石(Forsterite, MgSiO)は、地球のマントル上部の主要構成物質であるので、結晶及び同組成の融体の物性を構造的に理解することは地球科学において大変重要である。しかし、かんらん石の融点は非常に高温であるため、融体の構造及び物性を調べることは大変困難である。そこで、融体のアナロジーとして、かんらん石組成のガラス物質を作製し、その構造及び物性を十分に理解することは、地球科学的に大変意義あることと思われる。しかし、かんらん石はオルトケイ酸塩であるため、通常はガラスになりにくい組成である。そこで、われわれは、溶解容器を使用しないArガス浮上COガスレーザー溶融法によって、通常の方法ではガラスを作ることが困難なかんらん石組成のガラスを作成し、パルス中性子回折によってその短距離構造を調べた。その結果、このガラスの構造は、レギュラーなMgO八面体からなる結晶(かんらん石)構造とは大きく異なっており、歪んだMgO (n=3-6)が頂点、稜共有で繋がった特異なネットワーク構造を持つことがわかった