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神谷 佳希*; Shin, S.*; Sabarudin, A.*; 梅村 知也*; 植木 悠二; 玉田 正男
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 42, 2011/01
三次元的に気孔が連通した"モノリス"と呼ばれる多孔担体は、従来の粒子充填構造の担体と比較して、流体透過性が高く、また、物質移動が対流により促進される。そのため、通常の数倍から数十倍の速度で送液でき、かつそのような高速送液下でも分離や濃縮、酵素反応等の化学操作を効率よく行えることから、吸着分離剤や触媒担体として注目を集めている。本研究では、親水性相互作用(HILICモード)に基づく新規両性イオン型モノリスカラムの作製を試みた。スルホベタイン型官能基を有する機能性モノマーを主成分とする反応溶液を細管内に封入し、10kGy/hの線を1時間照射することにより、目的とするモノリスカラムを作製することができた。本カラムを用いてカテコールアミンの分離を試みた結果、アセトニトリル/酢酸緩衝溶液(85:15, v/v)のアイソクラチックな移動相条件にもかかわらず、10種類のカテコールアミンとその代謝物を30分以内で良好に分離することができた。
梅村 知也*; 小島 徳久*; 植木 悠二
分析化学, 57(7), p.517 - 529, 2008/07
被引用回数:1 パーセンタイル:4.16(Chemistry, Analytical)三次元的に連通した空孔を有する多孔質体(モノリス)は、従来の粒子充填型の担体と比較して、流体透過性が高く、また、物質移動効率に優れていることから、高速かつ高性能な分離・反応を低圧損で実現できる基盤材料・デバイスとして注目を集めている。著者らは、有機ポリマー製のモノリスカラムの高性能化と高機能化に取り組み、分離,精製,濃縮,反応等の化学操作を迅速かつ高効率に行えるデバイスの作製を検討してきた。さらに、これらのデバイスを組合せて、低コストで省力的なマイクロ化学分析システムの開発を進めている。本稿では、著者らが最近取り組んでいる内径1mmのセミミクロサイズのモノリスカラムの研究成果を中心にその有用性を紹介する。
植木 悠二; 梅村 知也*; 岩下 義和*; 堀田 弘樹*; 小竹 玉緒*; 角田 欣一*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 58, 2007/02
近年、高速液体クロマトグラフィーにおいて高速・高性能分離を達成するために、数m程度の貫通孔を持った連続多孔質分離媒体(モノリス)を利用するモノリスカラムの研究・開発が精力的に行われている。本研究では、線を利用することにより細孔径が制御された均質なメタクリル酸ヘキシル製モノリスカラムを細管内で直接作製することができた。最適なカラム作製条件を検討した結果、線量を10kGy/h,モノマー濃度を20%,モノマー中の架橋剤割合を25%とした場合、低分子化合物に対して実用的に十分な分離能を有し、かつ圧力損失が低い(線流速が1mm sのとき、カラム背圧は2.0MPa/200mm)カラムの作製に成功した。このときのアルキルベンゼン化合物に対する理論段高は30m程度となった。また、モノリスゲルは、粒径1m以下の微粒子ポリマー同士が結合したネットワーク構造を形成していた。
阿部 康弘*; 瀧上 眞知子; 杉野 公二*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 梅村 智也*; 角田 欣一*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 76(8), p.1681 - 1685, 2003/08
被引用回数:5 パーセンタイル:26.49(Chemistry, Multidisciplinary)フェノール,ブチルフェノール(BuP),ビスフェノールA(BPA)等のフェノール系内分泌攪乱物質(P-EDCs)50M水溶液の分解を過マンガン酸カリウム(KMnO)を用いて行い、Co線照射により生成したOHラジカルによるP-EDCsの分解と比較した。種々の有機酸及び無機炭素が、KMnO及びOHラジカルによるP-EDCsの分解で生成した。KMnO処理では、有機酸及び無機炭素は芳香族環の直接開裂で形成され、OHラジカル処理の場合にはOHラジカルの芳香族環への付加・置換反応に続く芳香族環の開裂により形成される。一方、BuP及びBPAを完全に取り除くために必要とされる電子数で分解効率の比較を行うと、KMnOはOHラジカルとほぼ同等であったが、フェノールの100%分解では、KMnOはOHラジカルの3倍量必要であった。しかし、フェノールを完全に有機酸及び無機炭素に変化させるために必要な電子数は720Mであり、両処理で同等であった。
植木 悠二*; 岩下 義和*; 堀田 弘樹*; 小竹 玉緒*; 角田 欣一*; 梅村 知也*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
近年、高速・高性能分離を目的とし、数m程度の貫通孔を持った連続多孔質分離媒体(モノリス)を細管内で直接合成し、利用するモノリスカラムの研究が行われている。従来の熱重合法では加熱の均一性や重合開始剤の分散性に問題があり、完全に均質なゲルの作製は困難であった。本研究では、線を用いて細孔径が制御された均質な有機ポリマー製モノリスカラムの作製法の検討を行った。その結果、粒径1m以下の微粒子ポリマー同士が結合したネットワーク構造を有する均質なモノリスゲルを作製することができた。カラム性能に及ぼす吸収線量の影響について検討したところ、吸収線量の増加に伴いカラム性能は低下し、本実験では吸収線量10kGyのものが最も良いカラム性能を示した。次に、カラム性能に及ぼすモノリスゲル濃度の影響について検討したところ、総モノマー濃度を20%、モノマー中の架橋剤割合を25%とした場合、低分子化合物に対して実用的に十分な分離能を有し、かつ圧力損失が低いカラムの作製に成功した。
植木 悠二; 片貝 秋雄; 玉田 正男; 岩下 義和*; 堀田 弘樹*; 小竹 玉緒*; 角田 欣一*; 梅村 知也*
no journal, ,
熱重合法による有機ポリマー製モノリスカラムの研究開発に取り組み、これまでに低圧力損失ながらも十分な分離能を与える有機ポリマー製モノリスカラムの作製を行ってきた。しかし、熱重合法では加熱の不均一性,重合開始剤の分散性,重合反応に長時間(24時間)を要する等の問題があり、均質なモノリスゲルの作製には限界があった。そこで本研究では、線を用いて細孔径が制御された均質な有機ポリマー製モノリスカラムの作製法の検討を行った。その結果、放射線重合により作製したモノリスゲルには、熱重合において観察される20m程度の大きさの空隙はなく、より均質なゲルを形成することができた。カラム作製条件の最適化を図ったところ、モノマー濃度を20%,線量を10kGyh,重合時間を1時間,重合温度を0Cとした場合、十分な分離能を有し、かつ圧力損失が低いカラムの作製に成功した。また、このカラムの特徴を利用して流速グラジエント溶離(線流速:110mm s(05min))を試みたところ、分離能を損なうことなく、一般的な送液速度(線流速:1mm s)において30分かかっていた分析時間を7分に短縮することができた。
梅村 知也*; 脇田 佳典*; 小島 徳久*; 植木 悠二; 片貝 秋雄; 玉田 正男; 角田 欣一*; 原口 紘き*
no journal, ,
ポストゲノム研究の進展に伴い、低圧力損失でありながら高分離能を有するモノリスカラムの需要はさらに高まると予想される。カラムサイズや固定相の種類を増やし需要への対応を図るため、内径 250m以下や内径1mmのカラム,疎水性度の異なる逆相モノリスや、交換容量の異なる陽イオン交換及び陰イオン交換モノリス、を作製した。これらのカラムによる、100倍速でのアルキルベンゼンの高速分離,タンパク質やペプチドの分離例を紹介する。また、有機ポリマーモノリスは、モノマー溶液をカラムの細管内に満たし、熱重合で作製する。しかし、カラムの均一な加熱が困難なため、均一なモノリス層の作製が困難である。そのため、加熱することなくカラム全体で均一な重合が可能である放射線重合を利用してモノリスを作製し、モノリス形状の精密制御し、モノリス表層の高機能化を行った。その結果、放射線重合により作製したモノリス層には、熱重合において観察される20m程度の大きさの空隙はなく、より均質なモノリス層を形成することができた。このときの理論段高は30mとなり、熱重合(理論段高: 40m)と比較して1.3倍高い分離能を得ることができた。
植木 悠二; 佐藤 晴友*; 岩下 義和*; 堀田 弘樹*; 小竹 玉緒*; 角田 欣一*; 梅村 知也*
no journal, ,
これまでわれわれは、マイクロHPLCに適用可能な有機ポリマー製モノリス型キャピラリーカラムの研究・開発に取り組み、おもに内径0.25mm以下のカラムの作製を検討してきた。しかし、さまざまな検出機器との結合性を考えると、より口径の大きな1mm程度のモノリスカラムの作製が必要と考えられる。そこで本研究では、内径1mmのメタクリル酸エステル製逆相モノリスキャピラリーカラムの作製を試みた。カラム作製条件を詳細に検討した結果、機能性モノマーをメタクリル酸ラウリル,モノマー濃度を35%、架橋剤割合を10%としたとき、実用的に十分な分離能を有し、かつ圧力損失が低い(1.0MPa程度)内径1mmの有機ポリマー製逆相モノリスカラムを作製することができた。このカラムの理論段高は30m程度であった。流速及び溶媒グラジエント溶離の利用により分析時間の短縮を図ったところ、一般的な送液速度(線流速:1mm s)において100分かかっていた分析時間を1/15の7分以内に短縮することができた。また、タンパク質の分離を試みたところ、4種類のタンパク質を良好に分離することができた。
梅村 知也*; Syu, S.*; 大久保 勝貴*; 坂川 慎之助*; 植木 悠二; 瀬古 典明; 玉田 正男
no journal, ,
気孔(流路)同士が三次元的に繋がった「モノリス」と呼ばれる多孔質担体は、従来の粒子充填構造の担体と比較して、流体透過性が高く、また、物質移動が対流により促進される。そのため、通常の数倍から数十倍の速度で試料を送液しても、化学操作を効率よく行えるため、固液接触反応プロセスを革新する材料として注目を集めている。本講演では、放射線重合技術を利用したより精緻なモノリス骨格の作製・構造制御方法、並びに、モノリス固定相表面への機能(官能基)付与方法に関して紹介する。また、モノリスの利用例として、超ロングカラム(3m)を利用した超高性能分離、モノリスをコアとする2次元HPLCシステムによる生体関連物質の完全分離、金属触媒固定化モノリスによるカップリング反応の超高効率化などの研究成果も併せて紹介する。