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涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
Advanced Experimental Mechanics, 7, p.103 - 109, 2022/08
高放射化物を閉空間に閉じ込めた状態で切断・減容化する技術開発の一環として、鉛含有量が異なる放射線遮へいガラスに対して、Nd-YAGレーザーの照射条件(パワー及び照射回数)を変えた照射試験を実施した。鉛含有量、照射パワー及び照射回数の増加とともに、大きな黒色で凹形状の照射損傷とその周りにき裂が生じた。損傷に及ぼす機械的特性の影響を調べるために、非照射部及び照射部の一般的な機械特性を調べた。評価された機械的特性を基に算出された熱衝撃破壊靭性値は、鉛含有量の増加ともに減少する。黒色の照射領域の微小硬さは、非照射より10%小さくなり、レーザー照射による機械的特性の変化が確認された。
涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
実験力学, 22(2), p.96 - 104, 2022/06
高放射化物のレーザー溶断技術の開発の一環として、放射線遮へいガラス及び無鉛ガラスに対してパルスレーザー照射試験及び押込み試験を行った。鉛含有量が低いガラスに比べ、鉛含有量が高いガラスの損傷が大きく、損傷発生の閾値が低かった。押込み試験結果を基に、カルマンフィルタ及び有限要素を組み合わせた逆解析により、ガラスの微小塑性挙動を表す材料構成式の定数を同定した。流動応力は、鉛含有量の増加とともに低下し、レーザー照射により低下した。一方、塑性流動抵抗値は、鉛含有量の増加とともに増加し、レーザー照射により増加した。非照射及び照射領域における破壊エネルギーとき裂先端周りの塑性領域寸法を実験結果を基に算出した。それぞれの値は、鉛含有量の増加とともに減少し、レーザー照射により低下した。
山崎 和彦*; 加藤 裕典*; 二川 正敏; 勅使河原 誠
実験力学, 21(4), p.308 - 313, 2021/12
本研究では、可視波長のナノ秒パルスレーザーによる耐放射線性鉛ガラスの発色と損傷について評価した。試験体として鉛含有量の異なるPbO-55wt%, 71wt%及びPbOを含まないガラスの3種類の耐放射線ガラスを用いた。ピークパワー1kWのナノ秒パルスレーザー照射により、相変化を伴う変色とダメージ形成が観測された。高鉛濃度ガラスはレーザー強度に対する着色の閾値が低いが、損傷形成の閾値は両PbOガラスともほぼ同じであった。一方、PbOを含まないガラスにレーザー照射しても変化は見られなかった。また、ラマンスペクトルにおける波数200-500cmおよび1000cmの強度変化の結果から、ナノ秒パルスレーザー照射によるPbOの光化学反応および熱反応を考察した。
直江 崇; 勅使河原 誠; 二川 正敏; 水谷 春樹; 村松 壽晴; 山田 知典; 牛塚 悠司*; 田中 伸厚*; 山崎 和彦*
Proceedings of 8th International Congress on Laser Advanced Materials Processing (LAMP 2019) (Internet), 5 Pages, 2019/05
レーザー切断は、J-PARC核破砕中性子源標的容器等の放射性廃棄物の減容処分方法の1つである。レーザーによる切断は、非接触で実施されるため従来の機械切断方法等と比較して遠隔操作による切断作業に適している。しかしながらレーザーは、切断時に生じる放射性物質を含むスパッタやヒュームの飛散が、周囲に汚染を広げるデメリットがある。近年、レーザー溶接において、ビームプロファイルの制御によるスパッタ飛散の低減技術が開発された。レーザー切断に本技術を適用する手始めとして、レーザー切断時における溶融部の挙動について物理モデルを構築するために、高速度ビデオカメラを用いて溶融部を可視化した。その結果、ヒュームとスパッタの発生は、時間的に独立していることを確認した。
光原 昌寿*; 原田 絵梨香*; 山崎 重人*; 池田 賢一*; 波多 聰*; 中島 英治*; 大塚 智史; 皆藤 威二
可視化情報学会誌, 31(122), p.98 - 103, 2011/07
ODSフェライト鋼の高温強度には、酸化物や相が寄与すると定性的には理解されているものの、高温強度や変形機構の解明に繋がる定量的な組織評価の研究例は少ない。本研究では、この点に着目し、強化の主役と考えられる酸化物の3次元的分散状態を定量評価する手法を確立し、実際の高温変形挙動との対応について検討を行った。3次元分布の取得には電子線トモグラフィーを、高温強度の評価には、コイルばねクリープ試験をそれぞれ用いた。
山崎 和彦*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 菊池 俊明*; 半沢 正利*; 森田 泰治; 池田 泰久*
Progress in Nuclear Energy, 47(1-4), p.414 - 419, 2005/00
被引用回数:3 パーセンタイル:24.22(Nuclear Science & Technology)N-シクロヘキシル-2-ピロリドン(NCP)の沈殿法による使用済FBR燃料の簡易再処理プロセスの開発研究を実施している。工学技術的及び経済的成立性を評価するため、沈殿挙動についての基礎的検討をもとに将来の200tHM/yのプラントの1/20スケールの装置を整備した。おもに沈殿槽及び沈殿分離装置から成る本再処理システムには、経済的理由により連続運転が求められる。試験の結果、沈殿槽は所定の滞留時間(約30分)でウラニルイオンのNCP沈殿を安定に生成することができ、沈殿分離装置は高い効率でスラリーより沈殿を分離できることが確かめられた。さらに、洗浄操作により核分裂生成物元素に対する除染効率の向上が可能なことを見いだした。
菊池 俊明*; 山崎 和彦*; 草間 誠*; 近沢 孝弘*; 田巻 喜久*; 半沢 正利*; 古志野 伸能*; 浅沼 徳子*; 原田 雅幸*; 川田 善尚*; et al.
no journal, ,
本技術開発の目的は、ウラニルイオン選択的沈殿法を再処理主工程に適用することにより、簡易FBR再処理システムを構築することである。本検討では、まず、NCP(N-シクロヘキシル-2-ピロリドン:沈殿剤)の硝酸溶液中での選択的沈殿能の発現機構の解明,沈殿条件の詳細検討,TRU核種に対する沈殿能の把握などを行い、次いでこれらの知見をもとに、提案再処理システムの成立性について安全性,経済性などの見地から検討した。3年間に渡り実施した研究開発の成果を総括して発表する。
大曽根 龍次; Bucheeri, A.; 栗下 裕明*; 加藤 昌宏*; 山崎 和彦*; 前川 克廣*; 直江 崇; 二川 正敏
no journal, ,
液体水銀を用いた核破砕中性子源では、高強度のパルス陽子線が水銀ターゲットに入射すると、核破砕反応に起因する水銀の熱衝撃による圧力波が発生するとともに、キャビテーションによるピッティング損傷がターゲット容器内壁に形成される。この圧力波を抑制するために、ターゲット容器内の水銀にマイクロバブルを注入することが検討されている。本研究では、圧力波抑制のためのバブル生成用メゾノズルの製作法を提案した。本手法は、ガラスファイバーを含有する金属圧粉体を製作し、ガラスと金属粉の融点の差を利用し、粉末焼結により貫通穴を作成するものである。SUS316L及びモリブデンを用いて金属粉末の焼結性を調査した。その結果、モリブデンでは直径約100mで任意の長さの貫通穴を作成可能であることを確認した。
片山 昌治*; 高松 邦吉; 沢 和弘; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
豊田通商及び原子燃料工業との共同研究を通して、今後、自動車を代表とする日本のハイテク産業に役に立つ高温ガス炉の新たな利用として、豊田通商を中心とした(1)HTTRを用いたシリコンドーピング,(2)特定希土類の核変換による物質創成技術の開発、さらに原子燃料工業を中心とした(3)トリウムを含む新型燃料の利用の技術開発について検討を進めることとした。具体的には、(1)回転照射及び軸方向に濃度の異なるボロンフィルターを適用することで径・軸方向ともに均一度の高いSi半導体を製造可能であること、(2)相場価格と比較するためのSmとLuの生成コスト、(3)照射ブロックにおける燃料核をトリウム80%、ウラン20%の混合燃料核とした場合、許認可上の反応度欠損上限である1.8%dk/kに比べ小さく、HTTRへの装荷・運転が可能であること等がわかった。将来、ハイテク産業と原子力産業が一体となって、地球温暖化対策、資源の有効利用等で、持続可能な社会の構築に貢献できる可能性があり、本報では全体概要を紹介する。
大岡 靖典*; 田中 秀樹*; 山崎 正俊*; 後藤 実; 植田 祥平; 高木 直行*; 片山 昌治*
no journal, ,
高温工学試験研究炉(HTTR)を利用するシリコンドーピングによる物質創成や、希土類資源調達に伴い発生するトリウムを核燃料として有効に利用することを検討している。その中で、新型燃料としてトリウムを高温ガス炉の燃料に利用することを検討した。本報では、HTTRを用いた燃料照射試験における核的評価,燃料製造についての検討結果を報告する。
篠原 正憲; 柴田 大受; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた核変換による半導体及び希土類元素の製造の実現可能性について照射方法を検討した。その結果、Si半導体を製造するためには、短時間照射のためラビット照射設備のようなSi半導体の炉外への出し入れが可能な設備を設置することが望ましい。また、長時間の照射が必要である希土類元素の核変換には、I-I型材料照射試験用設備及びバスケット型照射試験用設備が有望である。
後藤 実; 植田 祥平; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温ガス炉燃料の多様化に関するHTTRの利用可能性の検討を、トリウム燃料の利用に着目して行った。トリウム燃料の利用においては、その核特性を精度よく計算することが重要な課題の一つである。黒鉛減速体系のトリウム炉心の核特性に関しては、臨界集合体のデータが測定され、計算結果との比較が報告されている。一方、実機の高温ガス炉のトリウム装荷炉心に関する核特性に関しては公開されたものがほとんどない。本報では、トリウム燃料を装荷した高温ガス炉の核特性計算の検証に用いることを目的とし、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いたトリウム炉心の核特性データの測定について述べる。
片山 昌治*; 高松 邦吉; 沢 和弘; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
豊田通商,東海大学,原子燃料工業及び原子力機構は、高温ガス炉の燃料の多様化に関して、高温工学試験研究炉(HTTR)の利用の可能性を検討した。具体的には、シリコンドーピング,特定希土類の核変換による物質創成技術の開発、及びトリウムを含む新型燃料の利用であり、自動車産業と高温ガス炉を結ぶ新たな利用の可能性が見いだされた。
植田 祥平; 後藤 実; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温ガス炉燃料の多様化に資するため、トリウムを高温ガス炉燃料として利用する場合の健全性や照射挙動の確認を目的として、高温工学試験研究炉(HTTR)を利用したトリウム燃料の照射試験を計画し、試験方法や核特性評価を検討した。日本原子力研究開発機構のHTTR原子炉並びに原子燃料工業が所有する燃料製造施設では許可上、ウラン・トリウム混合酸化物燃料の取扱いが可能である。照射試験においては、燃料破損検出装置(FFD)による燃料健全性の連続監視を行うとともに、照射後に取り出した試験燃料は、ホットラボ施設において健全性評価、照射量評価が可能である。トリウム:ウラン混合比4:1、ウラン235濃縮度20%のトリウム燃料を用いたピンインブロック型試験燃料体を燃料カラムへ最大3体装荷する照射試験について、トリウム燃料の照射量の予測評価を行った結果、原子炉出力30MWで照射期間660日、燃焼度約21GWd/tのトリウム照射が可能であると評価された。
涌井 隆; 山崎 和彦*; 二川 正敏
no journal, ,
鉛含有量の異なる2種類の放射線遮へいガラスと無鉛ガラスにNd:YAGレーザーを照射した。本研究のレーザー照射条件では、無鉛ガラスの照射損傷は確認されなかったが、鉛ガラスの照射損傷は確認され、鉛含有量が多いガラスの照射損傷が大きかった。ビッカース硬さ,弾性係数及び破壊靭性値について、ビッカース圧子を用いた微小押込み試験による評価した。鉛ガラスのそれぞれの値は、無鉛ガラスの値の82-75%,90-80%及び71-65%であった。球状圧子を用いた微小押込み試験により得られた押込み荷重-深さ曲線に対して、カルマンフィルタを用いた逆解析を行った結果、鉛ガラスの降伏応力は、無鉛ガラスの87-67%であった。また、鉛含有量の低いガラスにおいて、照射損傷部の降伏応力は、非照射部の値の74%であった。
涌井 隆; 斎藤 滋; 山崎 和彦*; 酒井 知紀*; 森 孝太郎*; 二川 正敏
no journal, ,
J-PARCの水銀ターゲット容器において、陽子及び中性子に伴う照射損傷により、延性が著しく低下し、この照射損傷は水銀ターゲット容器の寿命を決定する主要因子の1つである。高出力で長期間運転するためには、照射損傷を定量的に評価することが極めて重要である。そこで、機械的特性を評価する試験方法として、簡便で迅速に試験を行うことが可能な押込み試験を検討している。照射損傷を模擬する手法として、イオン照射があるが、損傷領域が数ミクロンの極表層部に限られる。そこで、微小押込み試験を行い、試験から得られる荷重-深さ曲線に対して、カルマンフィルタと数値実験を組み合わせた逆解析を適用した機械的特性評価技術を提案する。その結果、照射材料の引張試験結果と同様な機械的特性の変化を捉えることができ、本評価技術の有効性を確認した。さらに、脆性材料である鉛ガラスに適用し、ガラス材料の微小塑性挙動を定量的に評価できることを明らかにした。