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北尾 彰朗*; 米倉 功治*; 米倉 さおり*; Samatey, F.*; 今田 勝巳*; 難波 啓一*; 郷 信広
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 103(13), p.4894 - 4899, 2006/03
被引用回数:45 パーセンタイル:63.15(Multidisciplinary Sciences)細菌べん毛繊維は一種類の蛋白質フラジェリンが会合してできた生体超分子であり、細菌の運動はべん毛モーターのトルクによって誘起されるべん毛繊維の左巻き-右巻き超らせん構造転移によって制御される。われわれは、大規模分子動力学シミュレーションによってさまざまな実験データを満足する原子レベルの超らせん構造を構築するとともに、構造多型の分子メカニズムを解明することに成功した。超らせん構造構築のメカニズムには以下の3種類の相互作用が鍵となることがわかった。パーマネント相互作用はさまざまな超らせん構造において常に保たれる。スライディング相互作用は可変な疎水性及び親水性アミノ酸残基ペアの間で形成され、大きなエネルギー変化なしに蛋白質サブユニット間のずれを許容する。スイッチ相互作用の形成と解消はサブユニット間相互作用とサブユニット内相互作用をそれぞれ安定化する。われわれは構造多型の原因は両者の相互作用のフラストレーションであると結論付けた。超らせん構造間の転移は「変形=緩和」機構によって起こる。すなわち、繊維構造は幾何学的に急速に変形させられ、その後相互作用を再構成しながら徐々にエネルギー的準安定状態へ緩和することを明らかにした。