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論文

モンモリロナイトの膨潤挙動に及ぼす層間対イオンの影響; 分子動力学シミュレーションによる支配因子の評価

四辻 健治*; 舘 幸男; 佐久間 博*; 河村 雄行*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.63 - 81, 2022/12

放射性廃棄物の処分システムにおいて、粘土鉱物を主体とするベントナイトの物理的・化学的挙動を予測するうえで、モンモリロナイトの膨潤現象を理解することは重要である。本論文では、異なる層間対イオンを有するモンモリロナイト層間の結晶膨潤挙動を支配する因子を、分子動力学(molecular dynamics: MD)シミュレーションによって調査した。MDシミュレーションと分析試験の結果の比較から、5種類の単一イオン型(Na$$^{-}$$, K$$^{-}$$, Cs$$^{-}$$, Ca$$^{-}$$, Sr$$^{-}$$)のモンモリロナイト層間への水分子吸着量は、層間対イオンの水和数および層間対イオンの外圏・内圏錯体の差異に強く依存していることが確認された。また、これらの結果のより詳細な分析から、層間における対イオンの水和数は、対イオンの水和自由エネルギー、体積および対イオンの分布状態により決まることが示された。さらに、仮想的に対イオンのパラメータを変動させたMDシミュレーションの結果から、層間対イオンの水和自由エネルギーと電荷とが影響因子として競合することにより外圏錯体率が支配されていることが明らかになった。これらの結果から得られた影響因子を含む経験式によって、層間対イオンの異なるモンモリロナイト層間の膨潤挙動を定量的に予測することが可能となる。

論文

Diffusion of tritiated water, $$^{137}$$Cs$$^{+}$$, and $$^{125}$$I$$^{-}$$ in compacted Ca-montmorillonite; Experimental and modeling approaches

深津 勇太; 四辻 健治*; 大窪 貴洋*; 舘 幸男

Applied Clay Science, 211, p.106176_1 - 106176_10, 2021/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:73.05(Chemistry, Physical)

Mechanistic understanding and predictive modeling of radionuclide diffusion in Na- and Ca-montmorillonite are essential to evaluate the long-term evolution of the bentonite barrier and their impact on radionuclide migration during geological disposal of radioactive wastes. Thus, the diffusion behavior of $$^{137}$$Cs$$^{+}$$, $$^{125}$$I$$^{-}$$, and tritiated water (HTO) in compacted Ca-montmorillonite was investigated as a function of porewater salinity and dry density via both experiments and models. The effective diffusion coefficient (De) followed in the order of $$^{137}$$Cs$$^{+}$$ $$>$$ HTO $$>$$ $$^{125}$$I$$^{-}$$. The De of $$^{137}$$Cs$$^{+}$$ decreased with increasing salinity, whereas the dependence of De of $$^{125}$$I$$^{-}$$ on salinity was uncertain. The cation excess and anion exclusion effects for Ca-montmorillonite were lower than those for Na-montmorillonite. The integrated sorption and diffusion (ISD) model, assuming the homogeneous pore structure and the electrical double layer (EDL) theory for 2:1 electrolyte (CaCl$$_{2}$$), could account for the observed trends for De in Ca-montmorillonite. The lower dependence of De on the porewater salinity in Ca-montmorillonite was caused by the reduction of the EDL thickness for divalent cations (Ca$$^{2+}$$) in comparison with that for monovalent cations (Na$$^{+}$$). The multipore model could improve the fit for De of $$^{125}$$I$$^{-}$$ at low salinity due to the reduction of interlayer pore volumes and anion exclusion effect, however, the disparity at higher densities was considerably larger. From these results, cation diffusion for compacted Ca-montmorillonite could be mainly explained by the electrostatic interactions in the homogeneous pore model; in contrast, anion diffusion was sensitive to both electrostatic interactions and heterogeneous pore structures. The proposed ISD model is an effective tool to evaluate the radionuclide diffusion and sorption behavior in both compacted Ca-montmorillonite and Na-montmorillonite.

論文

Effect of interlayer cations on montmorillonite swelling; Comparison between molecular dynamic simulations and experiments

四辻 健治*; 舘 幸男; 佐久間 博*; 河村 雄行*

Applied Clay Science, 204, p.106034_1 - 106034_13, 2021/04

 被引用回数:48 パーセンタイル:99.73(Chemistry, Physical)

This study investigated swelling behaviors of montmorillonite with interlayer cations including monovalent Na, K and Cs, and divalent Ca and Sr by molecular dynamics simulations and experimental measurements coupling X-ray diffraction and water vapor adsorption. The comparative analysis provides a consistent picture of the swelling mechanisms of montmorillonite and their dependence on the interlayer cations. From comparative analysis of the effects of the interlayer cations, the main factor affecting the swelling behaviors of montmorillonite with monovalent and divalent interlayer cations seems to be the hydration free energy of the interlayer cations. The crystalline swelling ability and the saturated water contents in the interlayer of montmorillonite can be correlated to the hydration free energy of each interlayer cations. The additional key factor is the preference of outer- or inner-sphere complex of interlayer cations and resulting cations distributions in the interlayer space. This effect has a significant impact in the case of monovalent cations, resulting different swelling behaviors between outer-sphere Na and inner-sphere K and Cs.

論文

分子動力学法によるモンモリロナイト層間中の水とイオンの物性評価; 拡散モデルへの反映

四辻 健治*; 舘 幸男; 河村 雄行*; 有馬 立身*; 佐久間 博*

粘土科学, 58(1), p.8 - 25, 2019/00

分子動力学シミュレーションによってモンモリロナイト層間間隙中の水分子やイオンの物性を調査した。膨潤挙動や安定な水和状態に対する層間陽イオンや層電荷による影響が最初に評価された。層間間隙中の水分子や陽イオンの拡散係数はバルク水と比較して小さく、層間間隙が広がるにつれてバルク水に近づくことが確認された。推定された層間間隙水の電粘性効果による粘性係数の変化は、1層あるいは2層水和状態において、また層電荷が高い条件において顕著であった。これらのMD計算によって得られた傾向は、既存の実測データや先行するMD計算事例とも整合することが確認できた。さらに、現状の拡散モデルに用いている電粘性効果を表現するモデルとパラメータは、MD計算結果と実測データの比較を通じて改善できることが示された。これらのMD計算によって得られる分子レベルでの現象理解は、圧縮モンモリロナイト中の拡散モデルの開発と改良に有益な情報を与えるものである。

論文

Stability of montmorillonite edge faces studied using first-principles calculations

佐久間 博*; 舘 幸男; 四辻 健治; 末原 茂*; 有馬 立身*; 藤井 直樹*; 河村 雄行*; 本田 明

Clays and Clay Minerals, 65(4), p.252 - 272, 2017/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:16.58(Chemistry, Physical)

層電荷0.33及び0.5を有する4種類のモンモリロナイト・エッジ表面(110), (010), (100)及び(130)の構造と安定性を評価するため、密度汎関数理論に基づく第一原理計算手法を用いて調べた。特にモンモリロナイト層状体が積層した場合の影響を調べるため、単層モデルと積層モデルを設定して、エッジ表面の安定性を比較した。ほとんどのケースで、層状体間の水素結合により、表面エネルギーは単層モデルよりも積層モデルの方が低くなり安定化する。このことは、エッジ面の表面エネルギーは膨潤状態に依存することを示唆している。エッジ面(010)及び(130)の最も低い表面エネルギーは、エッジ面近傍にMgイオンが露出することにより実現される。これらのエッジ面は、エッジにおける局所的な負電荷によって、カチオンに対する強い吸着サイトを有する。

論文

Diffusion and adsorption of uranyl ion in clays; Molecular dynamics study

有馬 立身*; 出光 一哉*; 稲垣 八穂広*; 河村 雄行*; 舘 幸男; 四辻 健治

Progress in Nuclear Energy, 92, p.286 - 297, 2016/09

 被引用回数:10 パーセンタイル:68.73(Nuclear Science & Technology)

ウラニルイオン(UO$$_2^{2+}$$)の拡散・吸着挙動は、放射性廃棄物処分の性能評価において重要である。溶液中のUO$$_2^{2+}$$, K$$^{+}$$, CO$$_3^{2-}$$, Cl$$^{-}$$, H$$_{2}$$Oの拡散挙動が分子動力学計算によって評価された。UO$$_2^{2+}$$の拡散係数が最小であり、H$$_{2}$$Oの自己拡散係数の26%であった。高濃度の炭酸イオンを含む溶液中では、UO$$_{2}$$CO$$_{3}$$やUO$$_{2}$$(CO$$_{3}$$)$$^{2-}$$の炭酸錯体として存在することが確認された。モンモリロナイト及びイライトと水溶液が共存する系におけるUO$$_2^{2+}$$やK$$^{+}$$の吸着・拡散挙動が分子動力学計算によって評価された。分配係数(Kd)は粘土鉱物の層電荷とともに増加し、UO$$_2^{2+}$$のKdはK$$^{+}$$のKdよりも小さいと評価された。さらに、2次元方向での拡散係数は、吸着層では比較的小さく、高い層電荷をもつイライトでは極めて小さな値を示した。

論文

Diffusion model considering multiple pore structures in compacted bentonite

四辻 健治; 舘 幸男; 大窪 貴洋*

CMS Workshop Lectures, Vol.21, p.251 - 257, 2016/06

処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。ISDモデルは、圧縮ベントナイト中の間隙水化学および核種の収着・拡散挙動を整合的に評価するモデルである。特にISDモデルの拡散パートは電気二重層理論と均質間隙モデルに基づいており、カチオンの過剰な実効拡散係数と細孔間隙でのアニオン排除を整合的に説明できる。現状のISDモデルは1価カチオン/アニオンの実効拡散係数をある程度定量的に評価できるが、多価カチオンや錯体形状の化学種に対しては実測データの再現性が悪い。モデルを改良するには、溶質・溶媒および粘土鉱物間の相互作用を分子レベルで高度化するとともに、不均質間隙構造を考慮したモデル化を進める必要がある。そこで本研究では、多重間隙構造を考慮して現状ISDモデルの高度化を検討した。多重間隙モデルによる解析の結果、実効拡散係数の塩濃度依存性が、現状の均質間隙モデルより緩和され、拡散モデルが改善されることがわかった。

論文

Clay-based modeling approach to diffusion and sorption in the argillaceous rock from the Horonobe URL; Application to Ni(II), Am(III), and Se(IV)

舘 幸男; 陶山 忠宏; 四辻 健治; 石井 康雄; 高橋 宏明*

CMS Workshop Lectures, Vol.21, p.241 - 250, 2016/00

放射性廃棄物地層処分の安全評価において粘土質岩石中の核種の収着・拡散挙動は把握すべき重要なプロセスである。幌延深地層研究所における泥岩試料中のNi(II), Am(III), Se(IV)の拡散・収着挙動を、実験とモデルの両面から調査した。透過拡散試験によって得られた実効拡散係数は、先行研究の結果も含めて、Cs$$^{+}$$, Ni$$^{2+}$$, HTO, I$$^{-}$$, Se(SeO$$_{4}$$$$^{2-}$$), Am(Am(CO$$_{3}$$)$$^{2-}$$)の順に低下する傾向となった。一方で、拡散試験から得られた収着分配係数は、バッチ収着試験によって取得された値との整合的であった。これらの結果は、粘土成分(スメクタイトとイライト)の寄与を仮定した収着モデル、電気二重層理論と単純化された間隙モデルを考慮した拡散モデルとを組み合せた、粘土を主体としたモデル化手法によって解釈された。この粘土を主体としたモデルによって、一連のデータを概ね説明することが可能であり、この手法が多様な核種に対して適用可能と評価された。

論文

Integrated sorption and diffusion model for bentonite, 2; Porewater chemistry, sorption and diffusion modeling in compacted systems

舘 幸男; 四辻 健治; 陶山 忠宏; Ochs, M.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 51(10), p.1191 - 1204, 2014/10

 被引用回数:20 パーセンタイル:84.35(Nuclear Science & Technology)

圧縮ベントナイトに対する統合収着・拡散モデルを、間隙水化学モデル, 熱力学的収着モデル, 電気二重層に基づく拡散モデルを整合的に組合せることにより構築した。この統合収着・拡散モデルは、複雑な化学形をとるアクチニド(炭酸錯体が形成される条件下でのNp(V), Am(III), U(VI))を対象に、公開された拡散・収着データ($$D$$$$_{rm a}$$, $$D$$$$_{rm e}$$, $$K$$$$_{rm d}$$)の部分モンモリロナイト密度依存性に対し適用が検討された。その結果、以前に報告している1価の陽イオン(Cs$$^{+}$$, Na$$^{+}$$)や陰イオン(Cl$$^{-}$$, I$$^{-}$$, TcO$$_4^{-}$$)と同様に、実測データとモデルとの整合性が確認された。以上より、統合収着・拡散モデルは、圧縮ベントナイト中の複雑な化学種の収着・拡散挙動の評価にも適用することが可能であるといえる。

論文

Diffusion modeling in compacted bentonite based on modified Gouy-Chapman model

四辻 健治; 舘 幸男; 西巻 祐一郎*

Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1665, p.123 - 129, 2014/07

圧縮ベントナイト中の核種の収着と拡散現象の定量評価のために、統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。平均化された狭隘間隙と電気二重層理論を仮定したISDモデルは、多様な環境条件での1価の陽イオン/陰イオンの拡散データを定量的に説明可能である。しかし、多価の陽イオン,陰イオンや複雑な化学種に対して、系統的な差異が認められていた。本研究では、排除体積効果及び誘電飽和効果を現状のISDモデルに取り入れ、拡張Poisson-Boltzmann方程式の数値解析評価を試みた。表面近傍におけるイオン濃度分布は影響されるものの、間隙全体でみるとその効果は打ち消され、結果として、これらの改良モデルの実効拡散係数への影響はいずれも小さかった。一方で、有効電荷をもつ水和イオンとしての拡散を仮定したモデルでは、拡散データは良好に再現される結果となった。

論文

Diffusion and sorption of Cs$$^{+}$$, Na$$^{+}$$, I$$^{-}$$ and HTO in compacted sodium montmorillonite as a function of porewater salinity; Integrated sorption and diffusion model

舘 幸男; 四辻 健治

Geochimica et Cosmochimica Acta, 132, p.75 - 93, 2014/05

 被引用回数:81 パーセンタイル:93.63(Geochemistry & Geophysics)

放射性廃棄物地層処分の安全評価において重要となる圧縮ベントナイト中の核種の収着・拡散挙動を把握・評価するため、圧縮モンモリロナイト中のCs$$^{+}$$, Na$$^{+}$$, I$$^{-}$$, HTOの収着・拡散挙動に及ぼす間隙水の塩濃度影響を、実験とモデルの両面から検討した。密度800kg/m$$^{3}$$の圧縮モンモリロナイト中の実効拡散係数(De)と分配係数(Kd)を、異なる塩濃度条件下(0.01-0.5M)で取得した。Deは陽イオン濃集と陰イオン排除の効果を示し、この効果は塩濃度とともに大きく変化した。CsとNaのKdも塩濃度とともに大きく変化した。一方、見かけの拡散係数(Da)は塩濃度によってあまり変わらなかった。これら一連の試験結果は、イオン交換収着モデル、狭隘間隙中の電気二重層を考慮した拡散モデルを統合した統合収着拡散(ISD)モデルによって解釈された。このISDモデルを、さらに圧縮ベントナイト中の1価の陽イオンと陰イオンの拡散データに適用し、幅広い密度条件下で拡散データを説明可能であることを確認した。

論文

Diffusion and sorption of Sr$$^{2+}$$ in compacted sodium montmorillonite as a function of porewater salinity

舘 幸男; 四辻 健治

Proceedings of 5th International Meeting on Clays in Natural and Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement (USB Flash Drive), p.899 - 900, 2012/10

放射性廃棄物地層処分の安全評価において重要となる圧縮ベントナイト中の核種の収着・拡散挙動を把握・評価するため、圧縮モンモリロナイト中のSrの収着・拡散挙動に及ぼす間隙水の塩濃度影響を、実験とモデルの両面から調査した。密度800kg/m$$^{3}$$の圧縮モンモリロナイト中のSrの実効拡散係数(De)と分配係数(Kd)を、4種類の塩濃度(0.01, 0.05, 0.1, 0.5M)の条件下で取得した。Deは塩濃度とともに大きく減少した。Kdも同様に塩濃度とともに大きく減少し、バッチ収着試験の傾向性と整合的であった。これらの収着・拡散挙動は、イオン交換を考慮した収着モデル、狭隘間隙中の電気二重層を考慮した拡散モデルを統合した統合収着拡散(ISD)モデルによって解釈された。このISDモデルは、基本的に2価カチオンの収着・拡散挙動評価にも適用できると評価されるものの、特に低塩濃度領域におけるモデルの改良を検討する必要がある。

論文

Advanced diffusion model in compacted bentonite based on modified Poisson-Boltzmann equations

四辻 健治; 舘 幸男; 西巻 祐一郎*

Proceedings of 5th International Meeting on Clays in Natural and Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement (USB Flash Drive), p.427 - 428, 2012/10

処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。従来のISDモデルでは、多価イオンや錯体状化学種などの複雑な化学種に対してモデルの適用性が不満足であり、また付加的なフィッティング・パラメータの導入などモデル構造上の問題があった。そこで本報告では、より広範な処分条件へのモデルの適用、また圧縮系における拡散現象のさらなる理解を目的として、ISDモデルの基本仮定に立ち返ることによりモデル高度化要因を検討し、影響評価を試みた。本報告では高度化要因として、排除体積効果及び誘電飽和効果の影響を考慮し、ISDモデルに取り入れて影響解析を実施した。その結果、実効拡散係数への影響はいずれも小さく、したがって実測データとの不整合性はこれらの高度化要因に起因するものではないことが示された。

報告書

拡張Poisson-Boltzmann方程式による圧縮ベントナイト中の拡散モデルの高度化検討

四辻 健治; 舘 幸男; 西巻 祐一郎*

JAEA-Research 2011-047, 105 Pages, 2012/02

JAEA-Research-2011-047.pdf:4.34MB

処分環境における圧縮ベントナイト中の核種の拡散係数や収着分配係数等の整合的な推定評価を目指し、原子力機構では統合収着・拡散モデル(ISDモデル)の開発を進めてきた。従来のISDモデルでは、多価イオンや錯体状化学種などの複雑な化学種に対してモデルの適用性が不満足であり、また付加的なフィッティング・パラメータの導入などモデル構造上の問題があった。そこで本報告では、より広範な処分条件へのモデルの適用、また圧縮系における拡散現象のさらなる理解を目的として、ISDモデルの基本仮定に立ち返ることによりモデル高度化要因を検討し、影響評価を試みた。まずPoisson-Boltzmann方程式の境界条件の厳密な設定、及び電粘性効果を考慮することによりISDモデルの拡散パートを改良した。さらに高度化要因として、排除体積効果,誘電飽和効果及びイオン間静電相互作用の影響を考慮し、ISDモデルに取り入れて影響解析を実施した。その結果、実効拡散係数への影響はいずれも小さく、したがって実測データとの不整合性はこれらの高度化要因に起因するものではないことが示された。

論文

Diffusion and sorption of Cs$$^{+}$$, I$$^{-}$$ and HTO in samples of the argillaceous Wakkanai Formation from the Horonobe URL, Japan; Clay-based modeling approach

舘 幸男; 四辻 健治; 清田 佳美*; 油井 三和

Geochimica et Cosmochimica Acta, 75(22), p.6742 - 6759, 2011/11

 被引用回数:58 パーセンタイル:82.39(Geochemistry & Geophysics)

幌延深地層研究所の稚内層試料中のCs$$^{+}$$, I$$^{-}$$, HTOの拡散・収着挙動を、地下水のイオン強度影響に着目して、透過拡散とバッチ収着試験によって調査した。実効拡散係数$$D$$$$_{rm e}$$はイオン強度の影響が明瞭で、イオン強度の増加とともに、Csの$$D$$$$_{rm e}$$は減少、Iは増加、HTOは変化なく、陽イオン濃集,陰イオン排除の効果が確認された。Csの分配係数Kdは、拡散法とバッチ法で整合的な結果が得られ、イオン交換の競合の結果としてイオン強度とともに減少した。拡散・収着現象が、含まれるイライトとスメクタイトの粘土成分によって支配されると仮定し、粘土鉱物を主体としたモデル化アプローチを検討した。モデルによって一連の実験データがおおむね説明可能であり、粘土粒子とナノサイズ間隙がこの岩石中のイオンの移行挙動に支配的に寄与していることが示唆された。

論文

Diffusion and sorption of neptunium(V) in compacted montmorillonite; Effects of carbonate and salinity

舘 幸男; 中澤 俊之*; Ochs, M.*; 四辻 健治; 陶山 忠宏; 清田 佳美; 山田 憲和*; 油井 三和

Radiochimica Acta, 98(9-11), p.711 - 718, 2010/11

 被引用回数:25 パーセンタイル:84.31(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

放射性廃棄物地層処分の安全評価において重要となる圧縮ベントナイト中の核種の収着・拡散挙動を把握・評価するため、圧縮モンモリロナイト中のNp(V)の収着・拡散挙動に及ぼす炭酸濃度と塩濃度の影響を、実験とモデルの両面から調査した。密度800kg/m$$^{3}$$の圧縮モンモリロナイト中のNp(V)の実効拡散係数($$D$$$$_{rm e}$$)と分配係数($$K$$$$_{rm d}$$)が、塩濃度(0.05, 0.5MのNaCl)と炭酸濃度(0, 0.01MのNaHCO$$_{3}$$)の異なる4種類の条件下で取得した。炭酸が存在しない系では$$D$$$$_{rm e}$$は塩濃度とともに減少し、炭酸共存系では逆の傾向を示した。$$K$$$$_{rm d}$$は炭酸が共存する系で1桁減少する結果が得られた。これらの収着・拡散挙動は、地球化学平衡計算,イオン交換と表面錯体反応を考慮した収着モデル,狭隘間隙中の電気二重層を考慮した拡散モデルによって解釈された。現象論収着・拡散モデルが、圧縮系での複雑な化学種の収着・拡散挙動の予測評価に有効であることを示した。

報告書

地層処分安全評価のための現象論的収着・拡散モデル/データベースの開発; ベントナイト系プロトタイプモデル/データベースの構築

舘 幸男; 四辻 健治; 陶山 忠宏; Ochs, M.*; 油井 三和

JAEA-Research 2009-069, 83 Pages, 2010/03

JAEA-Research-2009-069.pdf:14.56MB

地層処分安全評価に資することを目的とした、ベントナイト/モンモリロナイトを対象とした統合収着・拡散モデル及びデータベースのプロトタイプ(ISD2009)を構築した。熱力学的収着モデルは、1サイト表面錯体(拡散層)モデルと1サイトイオン交換モデルを組合せた比較的単純なモデルを適用し、表面化学及び核種収着に関するモデルパラメータを、pH,塩濃度,炭酸等の主要な環境条件の依存性を含む信頼性の高い既往文献データに基づき、一貫性のある方法で構築した。さらに、均質な間隙構造と電気二重層に基づく拡散モデル,収着モデルとの統合化モデルを構築し、圧縮モンモリロナイト中の塩濃度や炭酸影響を含む信頼性の高い収着・拡散データへ適用することで検証を行った。収着/拡散/統合モデルのそれぞれにおいて、随伴鉱物の溶解反応等を含むベントナイト間隙水化学モデルを考慮しつつ、モンモリロナイト系で構築したモデル/パラメータをベントナイト系へ適用し、その妥当性を確認した。ここで検討対象としたCs, Np(V), Ni, Am等の核種に対する一連のモデル/パラメータを、ISD2009データベース/評価ツールとして構築し、今後の安全評価における活用法を提示した。

論文

Diffusion of cesium and iodine in compacted sodium montmorillonite under different saline conditions

舘 幸男; 四辻 健治; 清田 佳美; 油井 三和

Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1193, p.545 - 552, 2009/05

圧密モンモリロナイト中の陽イオンと陰イオンの拡散収着挙動の塩濃度影響を、実験的評価とモデル評価の両面から評価した。精製ナトリウム型モンモリロナイトを乾燥密度800kg/m$$^{3}$$に調整し、0.01, 0.1, 0.5Mの3種類のNaCl溶液で飽和させた系で、Through-diffusion試験によって、セシウムとヨウ素の実効拡散係数と容量因子を取得した。信頼性の高いデータ取得の観点から、トレーサー減衰曲線,破過曲線,内部プロファイルの複数のカーブからパラメータを決定する手法の適用を試み、さらにin-diffusion試験,バッチ収着試験との比較を行った。取得された実効拡散係数は、陽イオンのセシウムでは塩濃度とともに減少し、陰イオンのヨウ素では逆の傾向を示した。セシウムの収着分配係数については、塩濃度とともに減少する傾向が得られ、バッチ収着試験の結果と整合的であった。これらの陽イオン・陰イオンの実効拡散係数の塩濃度依存性は、電気二重層に基づく拡散モデルによって解釈し、さらに収着モデルと組合せることにより、収着効果を含む見かけの拡散係数を説明できた。

論文

分子軌道法を用いた粘土鉱物エッジ表面の構造および反応性に関する研究

四辻 健治*; 武田 聖司; 木村 英雄

日本原子力学会和文論文誌, 7(2), p.166 - 176, 2008/06

粘土鉱物の溶解機構を明らかにするため、半経験的分子軌道法を用いて2:1型2八面体層状ケイ酸塩鉱物の外部平坦面及びエッジ表面を構造最適化し、主要な原子間の結合距離,結合強度及び結合エネルギーを評価することにより、表面構造の安定性及び反応性に関する解析を実施した。モンモリロナイトを対象にした外部平坦面の安定性に関する解析では、基準振動数はすべて実数となり、局所的には安定な構造であることがわかった。さらに、エッジ表面の反応性について調べるため、結晶成長理論を用いてパイロフィライトの(010)面を切り出し、pH依存性を考慮したプロトネーションを施して構造最適化した。得られた最適構造に対し、主要な原子間の結合距離,結合強度及び結合エネルギーを評価した結果、いずれのpH領域においても表面緩和が発生し、シラノール基の結合が比較的強く、アルミノール基の結合が弱いことがわかった。またパイロフィライトの溶解反応に関する律速段階は、アルカリ性条件下では外部表面側Si-O結合の加水分解反応であり、酸性条件下ではSi-O-AlブリッジにおけるAl-O結合の加水分解反応であると推定された。

口頭

ガラス固化体の長期的溶解に関する不確かさの影響解析

武田 聖司; 関岡 靖司; 四辻 健治; 木村 英雄; 稲垣 八穂広*

no journal, , 

長期ガラス溶解が時間の平方根に比例して進行する実験結果等から、長期ガラス溶解速度は拡散過程に律速され、時間とともに変化(減少)すると考えられる。また、ガラス溶解現象を支配するガラスの有効反応表面積は、金属容器の腐食膨張等による外部応力の作用やガラスの変質/溶解により有効表面積の時間的な変化が考えられる。従来のHLW地層処分の安全評価では、長期的なガラス溶解速度と有効反応表面積を一定と仮定した解析が行われているが、本研究ではこれらのガラス長期溶解に関するパラメータの時間依存性を考慮した決定論的手法による感度解析及びモンテカルロ法によるパラメータ不確かさ解析を行い、ガラス固化体の長期的溶解に関する不確かさが核種移行に与える影響を検討した。その結果、最新の知見に基づいた長期溶解速度の時間依存性式を導入することにより、従来の長期ガラス溶解速度一定とする評価に比べて人工バリア及び天然バリアからのCs-135の移行フラックスを数オーダー低下させる可能性があり、また、ガラス表面積の時間変動の条件、特にその表面積の増大率についても、ピークフラックスに有意な影響を与える可能性があることが示唆された。

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