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村上 洋; 西 孝樹*; 豊田 祐司*
no journal, ,
逆ミセルはナノメートルスケールの微小水滴内に蛋白質分子を可溶化することができる。そのため、蛋白質分子を含む逆ミセルはタンパク質の機能・物性のナノメートルスケール空間拘束効果や水和水環境依存性を調べるなど、水溶液ではできない研究が可能である。その研究のためには、タンパク質/逆ミセルの構造情報が必要であるが、よくわかっていない。本研究では、約3400cm-1に存在する水分子のOH伸縮振動バンドのスペクトルが逆ミセルのサイズに大きく依存することに着目し、蛋白質の可溶化により、蛋白質を含まない逆ミセルのサイズが変わるかどうかを調べる方法を提案する。それにより、蛋白質サイズと蛋白質を可溶化する前の逆ミセルの水滴サイズの大小関係にかかわらず、蛋白質を含む逆ミセルと含まない逆ミセルの水と界面活性剤の分子数比が溶液のそれらの濃度比に等しいことが示された。その結果をもとに、蛋白質を含む逆ミセルの構造パラメータを決定するためのモデルを提案する。
村上 洋; 佐田 智子; 山田 真紗子*; 原田 雅史*
no journal, ,
ナノメートルスケールの微小液滴を保持する逆ミセルは、水の構造・ダイナミクスに及ぼす空間束縛効果を調べるために適した系である。また、細胞内の水の状態のモデルの一つでもある。本研究の目的は、逆ミセル内の水のダイナミクスの温度変化を溶媒イソオクタンの融点付近の170Kから340Kの間で調べ、ダイナミクスの空間束縛効果の詳細を明らかにすることである。そこで、逆ミセル内に色素分子を導入し、色素分子の可視吸収スペクトルを観察することで、逆ミセル内部の水分子の挙動について検討した。そのスペクトル幅は溶媒の拡散運動とフォノン的運動に起因する。微小水滴の半径が1ナノメートル程度以下の逆ミセル中色素のスペクトル幅の温度依存性は色素水溶液や色素アルコール溶液の結果とは異なり、溶媒の拡散・フォノン的運動の温度変化に空間束縛効果が現れることがわかった。