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松林 政仁; 市川 博喜; 小林 久夫*; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.275 - 282, 1996/00
JRR-3M中性子ラジオグラフィ装置の高性能を活かす高解像度撮像システムを現在開発中である。本システムは蛍光コンバータ、石英鏡、レンズ、冷却型CCDカメラから構成される。冷却型CCDカメラは、線型応答性、ダイナミックレンジの応さ、画像歪みの無さ等の点において優れている一方、放射線に対する感度が高いため、ホワイトスポットの発生という問題を抱えている。この問題の解決には、中央値フィルタに判断能力を持たせたフィルタを開発し対処した。また、蛍光コンバータの試作を行い、高解像度化を進めた。さらに、本システムの応用例としてCTを行い、良好な結果が得られた。
三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 藤根 成勲*; 米田 憲司*; 神田 啓治*; 西原 英晃*; 松林 政仁; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.140 - 147, 1996/00
近年、X線ラジオグラフィと相補的な性格を持つ中性子ラジオグラフィが、熱流動科学において量子工学に基づく革新的な可視化・計測技術として注目されている。しかしながら現在使用されている実時間中性子ラジオグラフィの撮像速度が30フレーム/秒であることから、高速の過渡現象を可視化・計測するには撮像速度が致命的であった。本研究では、高速の過渡現象を可視化・計測するためにJRR-3Mを定常中性子源として用いた高速度中性子ラジオスコピーシステムを開発した。本システムを用いてアルミニウム製矩形ダクト中の空気-水二相流及び重水中における溶融金属の振る舞いの可視化を1000フレーム/秒で行った。得られた画像の質は、流れの振る舞いを観察し、ボイド率、気泡上昇速度、気泡サイズの分布を計測するのに十分であった。
浅野 等*; 竹中 信幸*; 藤井 照重*; 村田 裕*; 持木 幸一*; 田口 亮*; 松林 政仁; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.623 - 629, 1996/00
実時間中性子ラジオグラフィを用いて冷凍機の診断を行った。実験ではJRR-3M熱中性子ラジオグラフィ装置及び武蔵工業大学が開発した実時間画像処理装置を用いた。冷凍機運転状態での蒸発器におけるフレオンの蒸発、凝縮器における凝縮流、キャピラリーチューブ内のフラッシング及びアキミュレータ内の流れが可視化され、動的振る舞いが明らかとなった。キャピラリーチューブの内径は0.8mmで、冷却型CCDカメラを用いて可視化を行った。
小田 将広*; 玉置 昌義*; 松林 政仁; 小林 久夫*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.199 - 205, 1996/00
これまで中性子ラジオグラフィ画像に関して試料の厚みと中性子透過率との関係を評価してきた。その中で、いくつかの物質に関しては冷中性子ラジオグラフィによって得られる透過率曲線が指数関数によって表現できないことがわかった。この問題を解決するために、深いブラッグカットオフ特性を持つベリリウムをフィルタとして用いて実験を行った。その結果、ベリリウムフィルタにより改善が確認され、巾広いスペクトルを有する冷中性子ビームを用いた中性子ラジオグラフィの定量的解析に有用であることが分かった。
松林 政仁; 小林 久夫*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.161 - 167, 1996/00
最近、中性子量子統計と中性子CT画像中のゆらぎとの間の関係に関して対数透過率の重要性が議論されている。本研究においては、対数透過率はCT再構成画像の投影線に沿ったCT値の積分量として定義され、相対的統計特性がシューティング、試料の投影画像、バックグラウンド画像に関していろいろな平滑化パラメータを用いて理論的に解析された。さらに、CT値の統計特性は、実験結果を用いて対数透過率に関して解析され、理論的予測と比較された。
小林 久夫*; 松林 政仁
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.283 - 290, 1996/00
中性子ラジオグラフィにおいて得られる画像には、コリメータの幾何学的形状、試料と撮像系との距離によって決定されるボケが必ず含まれる。試料の厚みが薄い場合には試料と撮像系を密着させることによりボケを最小とすることができるが、厚みのある試料の場合はボケが無視できない。これは、一般的に中性子ビームの取入口の形状が点でなく面であることに起因している。この問題を解決するために、フーリエ変換を用いたボケなし画像の再構成法について検討した。
西 義久*; 木下 泉*; 古谷 正裕*; 竹中 信幸*; 松林 政仁; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.548 - 555, 1996/00
高速炉用の蒸気発生器として1次ナトリウムで加熱した液体金属と水との直接接触伝熱を利用したものが提案されている。この蒸気発生器は、従来型の伝熱管を介して水とナトリウムが熱交換する蒸気発生器と比較して、ナトリウム-水反応対策設備の大幅な合理化が可能でコンパクトであり、高速増殖炉の建設コストの低減が期待できる。これまで、溶融金属中に水を注入する伝熱実験が行われてきたが、溶融金属中の水の蒸発のメカニズムについては既存研究も見あたらず、それに関する知見もなかった。したがって従来は、不活性ガスの挙動に関する研究や温水中のフロンの蒸発に関する研究からの類推で検討を行うことが多かった。今回JRR-3M中性子ラジオグラフィ装置を用いて溶融金属中の水の蒸発現象を可視化し、従来の実験とは異なった知見が得られた。
J.T.Lindsay*; 藤根 成勲*; 三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 米田 憲司*; 小林 久夫*; 松林 政仁; M.N.Islam*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.571 - 577, 1996/00
ガスタービンエンジンのノズル中に堆積するコーキングは、このタイプのエンジンが最初に製造されて以来問題となっていた。X線を用いた非破壊検査は、このコーキングのような原子番号の大きな物質(金属)中の原子番号の小さな物質(カーボン)の検出には不向きであり、通常は破壊検査により堆積状態の確認が行われていた。中性子ラジオグラフィのコーキング検出への応用は、初期の段階においては中性子ビーム中に含まれる熱外中性子や高速中性子の影響により成功しなかった。後に行われた良質の熱中性子ビームを用いた撮影によりノズルの構造材であるステンレス鋼とコーキングの間のコントラストが増加し、さらに冷中性子ビームを用いることによりコントラストの増加が大きくなることが確認された。
J.T.Lindsay*; 松林 政仁; M.N.Islam*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.644 - 649, 1996/00
これまでポリマー中における水の拡散特性については、数多くの研究がなされ、水の拡散特性を時間、温度、圧力あるいはポリマーの厚さの関数として与える手法が開発されてきた。これらの手法の多くは、与えられた実験条件下において各パラメータの関数としてポリマー中に吸収された水の総量を与えるものであり、水の濃度プロファイルを与えるものではなかった。本計測では、市販品の4種類のエポキシ樹脂接着剤を用いてエポキシ中へ浸入していく水の濃度プロファイルを中性子ラジオグラフィのフィルム法を用いて計測した。試料の積算時間及び水の温度をパラメータとして試料の中性子ラジオグラフィ撮影及び重量測定を行い、画像処理及び解析により水の濃度プロファルを得た。
小澤 守*; 梅川 尚嗣*; 松田 健*; 竹中 信幸*; 松林 政仁; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.610 - 616, 1996/00
流動層熱交換器に関してボイド率の分布は、一つの重要な設計要因である。この分野における最近の研究の進展により、特に熱交換用管群周りのボイド率の動的挙動把握の重要性が強調されている。本研究では、実時間中性子ラジオグラフィ及び画像処理を模擬流動層内の管群周りの流動に適用し、実時間二次元ボイド率分布の計測を行った。その結果、画像データから流動層熱交換器周りの定量及び定性的な流動情報が得られ、中性子ラジオグラフィの流動層への適用の有用性が確認された。
中村 秀夫; 柴本 泰照; 安濃田 良成; 久木田 豊; 三島 嘉一郎*; 日引 俊*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.665 - 672, 1996/00
TMI-2事故時には、溶融炉心が圧力容器下部ヘッドに落下、固化して高温のデブリを形成し、高圧条件下で長時間下部ヘッドを加熱した。しかし、その際下部ヘッドの健全性を維持させた機構については、充分解明されていない。溶融炉心の固化過程では、蒸気発生を伴う固気液3相の流動が生じたと考えられる。ここでは、固化後の形態を左右すると思われるこのような混相流動に関する基礎的知見を得る為、下部ヘッドを模した偏平U字断面の小型容器を用い、JRR-3Mの中性子ラジオグラフィによる可視化と高速ビデオによる観察を試みた。高増倍率のイメージインテンシファイヤの使用で、比較的ノイズが少なく明るいビデオ画像が得られた。その結果、大気圧下で300~500CのPb-Bi合金を空の容器、又は水中に落下させた場合につき、固化過程での金属内の流動や、混合、蒸気発生、気液流動、固化形態、及びこれら現象に及ぼす落下時の合金と冷却水の温度や量の影響に関する知見を得ることができた。
竹中 信幸*; 浅野 等*; 藤井 照重*; 和田 哲昌*; 松林 政仁; 鶴野 晃
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.118 - 125, 1996/00
中性子ラジオグラフィのCT法を用いて軽水炉燃料を模擬した44ロッドバンドル内スペーサ近傍の空気-水二相流の3次元ボイド率分布を計測した。ロッドバンドル内スペーサ近傍の二相流の振る舞いは軽水炉の安全性研究において重要でありながら他の手法によっては観察が困難であったが、本計測により明りょうに可視化された。その結果、スペーサの影響がはっきりと観察され、中性子ラジオグラフィを軽水冷却原子炉の安全性研究のための熱水力研究における計測に応用できることが分かった。