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幕内 恵三; Upul, R. M.*; Soebianto, Y. S.*; 吉井 文男
日本ラテックスアレルギー研究会会誌, p.31 - 37, 1999/07
天然ゴムラテックス(NRL)の放射線加硫(RV)では、タンパク質も変性し、抽出可能な水溶性タンパク質(WSPR)が増加する。このWSPRの除去法として、(1)RV NRLの遠心濃縮、(2)水溶性ポリマー(WSP)添加RV NRL乾燥フィルムの水洗、の2つの方法を報告した。今回は、WSPとして分子量のことなるポリビニリアルコールとポリビニルピロリドンを使用し、WSP添加と遠心濃縮の併用効果を検討した。最も脱タンパク質効果のあったのは低分子量WSPをゴム濃度30%のRV NRLに添加後遠心濃縮する方法で、重合度500の低分子量PVAを2phr添加し、遠心濃縮したRV NRLからのゴムフィルムは、20分間水洗でWSPRが検出限界(5g/g)以下となった。以上の結果から、WSPRの極めて少ない前加硫ラテックスの製法として、低分子量WSP添加・遠心濃縮法が有効であるとの結論を得た。
幕内 恵三
ポリマーダイジェスト, 50(11), p.17 - 28, 1998/11
アレルギー抗原物質であるラテックス中の水溶性タンパク質の放射線加硫による除去について最近の研究成果を紹介した。まとめると、(1)天然ゴムラテックスのタンパク質は放射線加硫の過程で分解し、水溶性タンパク質が増加する。(2)タンパク質は放射線分解後もアレルギー抗原を保持する。(3)水溶性タンパク質は、ラテックスを希釈した後遠心分離することにより除去できる。(4)放射線加硫ラテックスにPVAのような水溶性ポリマーを添加すると、リーチングによって水溶性タンパク質が容易に除去される。(5)水溶性ポリマー添加法は、ゴムフィルムのタック低減にも有効である。
伊達 宗行*
原子力工業, 41(3), p.5 - 7, 1995/00
日本原子力研究所が作った新しい研究組織、先端基礎研究センターについての解説。導入部として、基礎研究の宿命をのべる。とくに原子力については核分裂の発見からその応用までがあまりに急だったことが核アレルギーの源となっていることで、原研の基礎研究は国内的には我が国独自の原子力基礎科学を確立するという使命とともに、核アレルギーの解消に向けての世界をリードする国際貢献が重要であることを強調している。本文は以下数節にわけて原研の計画と現状について紹介している。
幕内 恵三; 吉井 文男; 百武 健一郎; 久米 民和; 鈴木 健二*
日本ゴム協会誌, 68(4), p.263 - 268, 1995/00
天然ゴムラテックスタンパク質のアレルギー反応に対する放射線照射の影響を、受身皮膚アナフィラキシー(PCA)試験、テックス中の水溶性成分の分子量分布、ラテックスフィルム中の窒素含有量及びタンパク質分子量から検討した。照射ラテックスでは、硫黄加硫のものよりは弱いアレルギー反応が認められた。アレルギー反応の線量依存性は認められなかった。ラテックス中の水溶性成分及びフィルム中の窒素量は放射線照射によって増加したが、1%アンモニア水による水洗で容易に除去された。放射線照射で水溶性の高分子量成分は増大するが、タンパク質の高分子量成分は減少することがわかった。これらの結果から、放射線加硫後もゴムタンパク質は抗原性を有するが、水溶性が増大するため、水洗で容易に除去されると結論した。