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諸岡 聡; 徐 平光; 菖蒲 敬久; 鈴木 裕士
no journal, ,
中性子回折法は、中性子線の優れた透過能を生かすことで、数センチメートルオーダーの材料深部の応力・ひずみを非破壊で測定できる唯一の測定技術として知られており、種々の機械構造物の残留応力測定を通して、高性能、高信頼性、長寿命化を目指した製品開発や構造設計に大きく貢献している。著者らの所属する応力・イメージング研究グループでは、研究用原子炉施設JRR-3や大強度陽子加速器施設J-PARCで得られる中性子線や大型放射光施設SPring-8で得られる放射光X線、さらに、近年開発の進む小型中性子源の可能性にも着目しながら、回折やイメージング技術、小角散乱や全散乱技術を応用した材料強度研究を推進している。本発表では、10年ぶりに運転再開を果たしたJRR-3のT2-1ポートに設置された中性子応力測定装置RESAの現状について紹介する。
諸岡 聡; 徐 平光; 菖蒲 敬久
no journal, ,
中性子回折法は、中性子の優れた透過能を生かすことで、数十ミリメートルスケールの材料深部のひずみ・応力を非破壊で測定できる唯一の測定技術として知られており、種々の機械構造物の残留応力評価を通して、高性能・高信頼性・長寿命化を目指した製品開発や構造設計に大きく貢献している。一方で、材料強度や破壊機構を議論するうえでは、単に残留応力を測定するだけでなく、粒間ひずみや相間ひずみなどのミクロひずみや転位密度を定量的に評価することも重要である。これらの情報を得るうえで、中性子回折法は有効な手段であり、ミクロひずみや転位密度のバルク平均と力学特性の関係を求めて、材料の変形機構や強度発現機構を議論するのに適している。このように、中性子回折法は、残留応力に基づく機械部品等の健全性を評価する応力評価研究だけでなく、材料の力学特性や機能性向上を目指した材料工学研究などへの応用が期待できる。著者らの所属する応力・イメージング研究グループでは、研究用原子炉施設JRR-3や大強度陽子加速器施設J-PARCで得られる中性子や、大型放射光施設SPring-8で得られる放射光を併用しながら、回折やイメージング技術を応用した材料強度研究を促進している。我々はこれらの研究を推進するために、JRR-3のT2-1ポートに設置された中性子応力測定装置RESAと2台の中性子イメージング装置TNRF&CNRFを管理している。現在、2021年7月20日のJRR-3における施設供用運転の再開により、日本国内の中性子応力測定装置は、10年半ぶりにJRR-3のRESAとJ-PARCのTAKUMIの2台体制となった。このような恵まれた実験環境か活かし、学術利用及び産業利用の多くの利用者に本測定技術を利用していただき、世界をリードする数多くの研究成果を創出していきたいと考えている。本発表では、10年半ぶりに運転再開した中性子応力測定装置RESAの高度化状況,装置仕様,使用状況,残留応力測定例などの現状を紹介するとともに、現在の状況を踏まえた課題の抽出や今後の高度化計画などに言及する。