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岩松 和宏*; 室屋 裕佐*; 山下 真一*; 木村 敦; 田口 光正; 勝村 庸介*
Radiation Physics and Chemistry, 119, p.213 - 217, 2016/02
被引用回数:1 パーセンタイル:10.51(Chemistry, Physical)TIARA施設において、多チャンネルの光検出器を利用した、200から950nmまでの波長範囲を計測可能な光吸収スペクトル測定システムを構築し、AVFサイクロトロンからの12.5MeV/u He, 18.3MeV/u C及び17.5MeV/u Neイオンを用いた時間分解光吸収測定実験を行った。放射線化学反応のよく調べられているKSCN水溶液を試料としてイオン照射した結果、従来の100分の1程度の計測時間で(SCN) の過渡吸収スペクトルが観測され、260-660nmにおける吸光度の感度は0.001-0.003であった。NaBr水溶液を試料とした場合には、BrとBrに起因する2つの吸収ピークが同時観測され、その時間挙動が明らかになった。以上、イオン照射による化学反応を短い計測時間で詳細に観測できるシステムの構築に成功した。
山口 憲司; 鵜殿 治彦*
International Journal of Hydrogen Energy, 32(14), p.2726 - 2729, 2007/09
被引用回数:14 パーセンタイル:36.66(Chemistry, Physical)本研究では、FeSiを基とする材料により太陽光を電気エネルギーに変換し、これにより水を電気分解し水素製造を安価に行う新しい材料の研究開発活動を紹介する。この方法による水素製造は炭素を放出することなく、「環境」に対しても低負荷であると考えられる。本研究では、-FeSiなるシリサイド系の半導体材料に焦点を当て、太陽電池材料としての特性をSiと比較する。-FeSiは0.87eVのバンド幅を有する直接遷移型の半導体で、1eVで10cmという非常に大きな吸収係数を有するとされる。このため、素子の薄膜化が可能で大幅な資源的節約が図れる。本研究で紹介する-FeSiの製法はイオンビーム技術やナノ構造評価手法の発展的応用であり、これまでに100nm程度の高品位薄膜が開発されている。
田口 光正; 小嶋 拓治
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.141 - 142, 2004/11
本研究では、シングル重イオン照射によって生成する活性種挙動の時間変化を追跡することにより化学反応メカニズムを解明することを目的として、照射による活性種を反応初期から動的に観測する測定法の開発を行った。セル内の試料水溶液の上面にモニター光を発するための薄膜シンチレーターを設置し、イオンビーム下流側から発光を観測する、高時間分解能な分光測定法を開発した。水溶液試料上面のシンチレーターを通過したイオンからの発光は水溶液を通過し光ファイバーに集光される。この時の特定波長での発光強度(I0)はイオン入射直後に最大値を示し減衰する。また、シンチレーターを通過し水溶液中に入った重イオンは水分子と反応し、OHラジカルや水和電子などの活性種を生成する。これら活性種と水溶液中の溶質分子とが反応してできた反応中間体はシンチレーターからの特定波長の光を吸収するため、その分減衰した発光強度(I)が観測される。KSCN水溶液に220MeV Cイオン照射した場合、照射直後の数10ナノ秒の発光強度に差異が観測された。これは照射初期に生成するOHラジカルとの反応で生成した(SCN)ラジカルの吸収に由来すると考えられる。
吉田 陽一*; Yang, J.*; 佐伯 昭紀*; 田川 精一*; 柴田 裕実*; 南波 秀樹; 小嶋 拓治; 田口 光正
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.143 - 144, 2004/11
AVFサイクロトロンの重イオンを用いたパルスラジオリシス研究のため、ナノ秒の時間分解能を持つ重イオン時間分解光吸収システムを構築した。Cイオンがシンチレータを通過する際に発する光を分析光として用い、水溶液試料を入れたサンプルセルの底面に設けたレンズ集光機能を持つ光ファイバーを通して光検出器に導き、フォトンカウンティング法により水中に生成する活性種を測定した。観測波長を480nmとし、水の有る場合と、無い場合の光強度の差を用いて、水和電子の吸光度を算出した。光強度の絶対値の評価ができていないため詳細な定量的議論ができないものの、水和電子の減衰には、10ns程度の速い減衰過程とそれに続く遅い減衰過程があることがわかった。このような二成分の減衰は軽イオンを用いた海外での研究や、吸収でなく発光測定法による研究においても観測されており、速い減衰過程は高密度励起に起因すると考えられる。
高柳 敏幸; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 6(13), p.3241 - 3247, 2004/07
被引用回数:29 パーセンタイル:67.72(Chemistry, Physical)300個のヘリウム原子からなるクラスターに付着したカリウム原子の光吸収ダイナミクスを最近われわれが開発した非断熱ハイブリッド量子シミュレーション法を用いて理論的に調べた。この方法では、カリウム原子のP電子を量子的に取り扱い、ヘリウム原子の運動は半古典経路積分セントロイド分子動力学法によって取り扱う。数十個のトラジェクトリーを計算した結果、初期励起の種類やクラスター初期構造に依存せず、すべての場合でカリウム原子がクラスターから脱離することがわかった。K*Heエキシマーの生成メカニズムを調べるため、ダイナミクスが断熱ポテンシャル面上で起こると仮定した計算も行い、型の電子励起を行った場合にエキシマーが生成することを見いだした。これらの計算結果は過去の実験結果と定性的に一致する。また、エキシマー中のヘリウムの溶媒和構造を経路積分分子動力学法によって調べ、第一励起状態では6個のヘリウム原子が第一溶媒和相に束縛されるのに対し、第二励起状態では2個だけが束縛されることがわかった。
平出 哲也
放射線化学, (75), p.46 - 51, 2003/03
1980年代から低温でいろいろな物質中でポジトロニウム形成の増加現象が見られてきたが、その後、長い間、誤った解釈がされてきた。1998年、新しい機構でこの現象を説明し、予言される現象を実験により確かめてきた。このポジトロニウム形成機構を現在まで行ってきた実験結果をもとに説明し、また、この機構をもとにポジトロニウム形成の放射線化学的実験手法としての可能性についても述べ、解説する。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*
Applied Surface Science, 169-170(1-4), p.287 - 291, 2001/06
固体表面上の吸着角度に依存した励起分子の化学反応を調べるため、試料表面から放出される脱離イオン断片の収量を種々の放出角度で観測することができる検出器を設計・製作した。実験システムとしては超高真空チャンバー中で、試料の表面清浄化を行うことができるほかに、放射光の水平偏光面内で回転することができる飛行時間質量分析器を備えている。この装置を高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設に持ち込み、Si(100)上のベンゼン多分子層について予備実験を行った。結果としては、あるベンゼン平面内()に遷移モーメントをもつ共鳴内殻励起において表面平面に対して垂直方向10度以内を向いたベンゼン分子が非常に大きなHイオン脱離(解離)確率を示すことが見いだされた。
松本 貴裕*; 鈴木 淳市; 大沼 正人*; 金満 義彦*; 舛本 泰章*
Physical Review B, 63(19), p.195322_1 - 195322_5, 2001/05
被引用回数:57 パーセンタイル:89.84(Materials Science, Multidisciplinary)ナノクリスタルシリコンの光吸収スペクトルを光透過法,吸収法,小角散乱法により決定した。その結果、ナノシリコンは、量子サイズ効果を持つ間接遷移型の半導体であることが示された。また、小角散乱によりバンドの広がりがナノシリコンサイズの1.6乗に比例することを明らかにした。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-006, 68 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者から研究テーマを公募する。若手研究者には、13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得させるとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを目的としている。本報告書は、平成9年度及び平成10年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。
技術協力課*
JNC TN1400 2000-004, 93 Pages, 2000/07
機構は、博士の学位をもった若手研究者の人材育成を図るため、平成9年度から博士研究員制度を導入した。同制度は、平成11年度で3年目を迎え、当初の目的を達成し、研究を終了した博士研究員も出始めている。同制度は、機構の先導的、基礎・基盤的な研究業務に関連して、独創性に富んだ若手研究者が13年間の期間に機構の承認した自らの研究テーマを自主的に遂行し、研究者としての業績を得るとともに、機構の研究業務を効率的に推進することを自的としている。本報告書は、平成11年度に実施した博士研究員による研究テーマの実施結果についてその概要をまとめたものである。なお、17件の研究テーマのうち、5件の研究テーマが平成11年度で終了した。
渡辺 立子; 横谷 明徳; 斎藤 公明
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 6 Pages, 2000/05
細胞内での局所的なエネルギー付与は、細胞応答の性質に影響する。X線誘発オージェ過程を利用すると、生体を構成する原子の近傍へのエネルギー付与の効果の研究が可能である。本研究では、DNAを構成するリンK殻光吸収によるDNA鎖切断誘発のメカニズムの詳細をシミュレーション計算により検討した。X線誘発オージェ過程のモデル化を行い、水溶液中の電子によるDNA鎖切断誘発過程の計算コードに導入した。DNA鎖切断の生成過程は、光吸収と二次電子による電離・励起がDNA構成原子と水和水に生じた直接作用、二次電子に生成した水ラジカルによる間接作用の両方を考慮した。計算で求めたDNA鎖切断収率は実験結果をよく再現し、リンK殻光吸収により増加した。この増感効果の主な原因は、リンK殻光吸収に伴い放出される低エネルギーの電子が他の電子に比べて高い効率で直接効果を起こすためと結論づけられた。
木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 82, p.141 - 145, 1998/00
天然環境条件におけるアクチノイドイオンの研究では、化学種の高感度かつ高選択的なスペシエーションが要求される。吸光光度法よりも高感度な検出法として、いくつかの光熱変換分光法があるが、接触測定が必要(光音響)、光学的アラインメントが困難(熱レンズ、光熱偏向)などの問題点がある。これらに代わる方法として、遠隔操作による完全に非接触的で光感度な検出を目的に、光学的ヘテロダイン干渉計を検出器に用いる新規な光熱変換分光を開発した。レーザー誘起光熱変位分光法(LIPDS)と名付けた本法の原理は、(1)光吸収による弾性波の発生、(2)弾性波の伝搬により生ずる試料セルの振動、及び(3)ヘテロダイン干渉計による微小変位の検出に基づく。プラセオジム(III)を用いて、検出原理の実証、測定条件の最適化を検討し、これまでに、吸光光度法の検出下限の10分の1までの光吸収スペクトルの検出が可能となった。
木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(7), p.717 - 719, 1997/07
被引用回数:1 パーセンタイル:14.47(Nuclear Science & Technology)天然環境条件におけるアクチノイドイオンの研究では、化学種の高感度かつ高選択的なスペシエーションが要求される。吸光光度法よりも高感度な検出法として、いくつかの光熱変換分光法があるが、接触測定が必要(光音響)、光学的アラインメントが困難(熱レンズ、光熱偏向)などの問題点がある。これらに代わる方法として、遠隔操作による完全に非接触で高感度な検出を目的に、光学的ヘテロダイン干渉計を検出器に用いる新規な光熱変換分光を開発した。レーザー誘起光熱変位分光法(LIPDS)と名付けた本法の原理は、(1)光吸収による弾性波の発生、(2)弾性波の伝搬により生ずる試料セルの振動、及び、(3)ヘテロダイン干渉計による微小変位の検出に基づく。ネオジム(III)を用いて検出原理の実証、測定条件の最適化を検討し、これまでに、吸光光度法の検出下限の10分の1までの光吸収スペクトルの検出が可能となった。
和田 幸男; 佛坂 裕泰*; 佐々木 聡; 冨安 博*
PNC TY8607 97-002, 158 Pages, 1997/05
本報告書は、平成4年から東京工業大学原子炉工学研究所の富安研究室と動燃事業団先端技術開発室とで継続的に進めている、光化学研究に関する平成8年度共同研究成果報告書である。本年度は昨年度に引き続き、アクチノイドおよびランタノイド元素の光化学分離および光励起量子効果利用に関する基礎研究を分担して行った。その結果、3M硝酸溶液中のPuおよびNpを光化学的に原子価調整し、TBP溶媒中に共抽出した後、選択的にNpだけを再び同じ3M硝酸溶液中に戻す、光化学逆抽出技術の原理実証に成功した。また、アクチノイドおよびランタニノイド元素の光化学的分離手段として可能性のある、これらの元素の大環状配位子錯体を用いた光励起一反応挙動実験を行った。その結果、多種類のLn3+を含む水溶液中の特定のLn3+錯体に固有な光吸収波長の光を照射することにより、そのLn3+を選択的に分離することが可能であると結論された。また、Cm3+の模擬物質として用いたEu3+に関する知見では、Eu3+と同程度の励起寿命と遥かに大きなモル吸光係数を持つCm3+に対しても適用可能であると推定された。
宮部 昌文; 若井田 育夫
Resonance Ionization Spectroscopy 1996 of Air Conference Proceedings 388, 00(00), p.319 - 322, 1996/00
AVLISは原子炉の可燃性毒物であるガドリニウム157などの同位体分離に有用な方法である。その電離スキームを設計するには、原子の精密な分光データが必要であるが、これまでに報告されているエネルギー準位や光吸収断面積のデータは極めて少ない。そこで我々は3段階電離の最適スキームを選び出すための分光実験を行った。中間準位の探査は31000cm~37000cmの範囲で行い、33個の新しい準位を含む90個の奇準位を観測した。各準位のJ値は選択則や偏光組合せによるイオン量の変化から決定した。また準位の寿命や、関与する遷移の光吸収断面積の測定も行った。得られた断面積からスキーム断面積を計算して、幾つかの有望な電離スキームを選び出した。
荒川 哲人*; 笠井 昇; 山本 春也; 瀬口 忠男
JAERI-Review 95-019, 0, p.80 - 82, 1995/10
高分子フィルムにNi(15MeV)を照射したときの光の吸収量(吸光度)の変化を調べ、電子線照射と比較した。イオンの吸収線量を求め、線量に対する吸光度の変化を電子線照射と比較すると、約200倍大きくなった。しかし、電子線の場合にも、電流(線量率)を上げると、吸光度が増大することから、イオン照射では線量率の効果が大きく寄与していると考えられる。
北谷 文人
PNC TN8440 94-036, 38 Pages, 1994/09
紫外光用のミラー材として一般に用いられる酸化物、フッ化物膜材について249nmのレーザーを用いて吸収および破壊強度の測定を行った。この結果から、紫外用の膜材としては、酸化物に代表される高屈折率膜が損傷およびロスのネックになっていることがわかった。よって、高性能な短波長光学素子を製作する際には、フッ化物、フッ化物の組み合わせによる製膜や酸化物以外の膜の低吸収、高破壊強度を持つ高屈折率膜の製作が必要である。また、多重照射の試験結果から製膜の後、低エネルギーレーザーの照射によって膜性能を向上できることが、わかった。
小山 武志*; 道口 信行*; 大木 義路*; 西川 宏之*; 日馬 康雄; 瀬口 忠男
Japanese Journal of Applied Physics, 33(7A), p.3937 - 3941, 1994/07
被引用回数:2 パーセンタイル:17.85(Physics, Applied)エルビウムをドープした光ファイバに線を照射し、損失の増加を解析した。損失は主としてErの還元により生成するErによって誘起されるが、Erの濃度には依存しない。損失の増加はEセンターの生成式から導かれる2つの指数項と1つの直線項により表される。Eセンターの生成に関するホールトラッピングが還元を誘起する電子を供給し、損失の増加に重要な役割を果たしていると考えられる。
日夏 幸雄
Journal of Alloys and Compounds, 203, p.251 - 257, 1994/00
被引用回数:24 パーセンタイル:81.75(Chemistry, Physical)ペロブスカイト構造を持つアルカリ金属ウラン酸塩MUO(M=Li,Na,K,Rb)の磁気的性質について研究した。この研究では、理想的なペロブスカイト型構造を持つRbUOを合成した。4.2Kから室温までの磁化率測定から、約27Kで磁気転移することを見出した。ウラン5価による常磁性共鳴吸収スペクトルは4.2Kでも測定できなかった。磁化率と光吸収スペクトルの結果を、オクタヘドラル対称結晶場モデルで解析した。MUOの磁気転移温度、結晶場パラメータを比較、議論した。
日夏 幸雄
Journal of Solid State Chemistry, 110, p.118 - 123, 1994/00
被引用回数:8 パーセンタイル:38.03(Chemistry, Inorganic & Nuclear)理想的なペロブスカイト型構造を持つKUOを合成し、その磁化率を4.2Kから室温まで測定した。磁気的異常(磁気転移)が16.8Kで起こることを見い出し、この転移温度は磁場の大きさが増加すると減少することがわかった。Uイオンによる常磁性共鳴吸収スペクトルは、4.2Kでも測定されなかった。磁化率と光吸収スペクトルの結果をオクタヘドラル対称を持つ結晶場モデルで解析した。求めた結晶場パラメータを他のf化合物のデータと比較、議論した。