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丸山 敏毅; 巽 敏隆*; Voskresensky, D. N.*; 谷川 知憲*; 遠藤 友樹*; 千葉 敏
Proceedings of Science (Internet), 22, p.024_1 - 024_10, 2006/09
超新星や中性子星で存在する、低密度原子核物質や高密度での中間子凝縮物質において出現する「パスタ」構造について研究する。われわれの手法は相対論的平均場とThomas Fermi近似をとりいれた密度氾関数法による数値計算で、特に、クーロンポテンシャルと荷電粒子密度分布を無撞着な形で含んでいる。これを用いて低密度原子核物質や高密度でのK中間子凝縮物質での非一様なパスタ構造を計算し、クーロン力と表面張力がこの構造にどのように影響しているかを調べる。
丸山 敏毅; 巽 敏隆*; Voskresensky, D. N.*; 谷川 知憲; 千葉 敏
Physical Review C, 72(1), p.015802_1 - 015802_11, 2005/07
被引用回数:168 パーセンタイル:99.09(Physics, Nuclear)相対論的平均場を用いた密度氾関数法に基づく数値計算によって、飽和密度以下の原子核物質の「パスタ構造」と呼ばれる非一様構造と、状態方程式を調べた。従来の研究では、構造を仮定したり、電子密度や核子密度を簡単化して計算されていたが、本研究ではクーロンポテンシャルと粒子の密度を無撞着に計算し、これによって従来無視されていたクーロン遮蔽の効果を議論することが可能となった。研究で得られた結果としては、パスタ構造のサイズが、電子によるクーロン遮蔽効果によって変化すること、また、構造の現れる密度範囲がクーロン相互作用により影響を受けていることなどが明らかになった。
丸山 敏毅; 巽 敏隆*; Voskresensky, D. N.*; 谷川 知憲; 千葉 敏
Nuclear Physics A, 749, p.186c - 189c, 2005/03
K中間子凝縮の起こる高密度になると、K中間子凝縮相と通常原子核物質の混合相が現れ、ついで純粋K中間子凝縮物質へと変化する。この混合相ではバリオンと電子の2種類の独立した化学ポテンシャルの平衡を考慮する必要があるため、局所的に荷電のある「構造を持った混合相」が予測される。K中間子の自由度を含んだ相対論的平均場による密度汎関数法の手法による数値計算で、この混合相がいわゆるパスタ構造となることを確かめた。また、構造に対するクーロン遮蔽の効果を調べたところ、Maxwell構成法(局所的に非荷電な2相分離)と単純なGibbs条件(表面効果を無視した局所荷電のある2相分離)との中間的な様相を示し、この混合相の現れる領域が従来の研究によるものと異なることがわかった。
丸山 智幸*; 千葉 敏
Progress of Theoretical Physics, 111(2), p.229 - 243, 2004/02
相対論的平均場理論を用いて、原子核中での光子による共鳴を経由するイータ粒子生成における媒質効果の研究を行った。このために核子と共鳴に対するディラック平均場の強さを独立に変化させた。その結果、核子に対する平均場が核子の有効質量を減少させ、それが共鳴の幅を増加させ、逆に共鳴に対する平均場効果が小さいために共鳴のピーク位置がシフトし、この二つの効果によってC(,)反応で観測された共鳴の媒質効果が理解できることが判明した。
丸山 智幸*; 千葉 敏
Progress of Theoretical Physics, 111(2), p.229 - 243, 2004/02
被引用回数:6 パーセンタイル:41.15(Physics, Multidisciplinary)光子による核子の共鳴への励起と中間子放出による脱励起反応における媒質効果を相対論的平均場理論によって研究した。本反応の媒質効果を、核子と共鳴状態に対するDirac平均場をそれぞれ独立に変化させて調べた。その結果、核子に対するDirac平均場は核子の有効質量を減少させ、それによって共鳴の幅が広がり、一方共鳴に対する小さいDirac平均場がピークの位置を変化させることが分かった。この両方の相乗効果によってC()反応で観測された媒質効果を理解できることを示した。
丸山 智幸*; 千葉 敏
Journal of Physics G; Nuclear and Particle Physics, 25(12), p.2361 - 2369, 1999/12
被引用回数:7 パーセンタイル:42.04(Physics, Nuclear)相対論的平均場理論を用いて、中性子星物質の状態方程式と核子・原子核反応を記述するアイソベクター光学模型ポテンシャルの関連についての研究を行った。この研究により、中性子星物質の陽子混合率により決定され、かつ中性子星の急速な冷却をもたらすDirect URCA過程の可能性と、中間エネルギー領域における核子光学模型ポテンシャルのアイソベクター部のエネルギー依存性との関連が明らかにされた。したがって、核子の光学ポテンシャルを正確に決定することにより、中性子星物質の状態方程式や冷却過程についての不確定性を減らすことが可能であることが示された。
丸山 智幸*; 千葉 敏
JAERI-Research 99-006, 11 Pages, 1999/02
相対論的平均場近似を用いて、核子光学ポテンシャルのアイソベクター項と、中性子星における早い冷却過程であるDirect Urca(DU,直接過程)の有無に関わる高密度核物質の性質との関連を議論する。中性子星において、直接過程による冷却が起こるために必要な陽子混合比が1/9以上という条件が満たされるかどうかは、高密度核物質の対称エネルギーの密度依存性や核子アイソベクターポテンシャルのエネルギー依存性と強い相関がある。本研究では対称エネルギーとアイソベクターポテンシャルの関係を相対論的平均理論より統一的に導き、後者を決定することにより、中性子星の性質に関する重要な情報が得られることが示された。アイソベクター光学ポテンシャルは核反応機構の理解や核データ整備の観点からも重要であり、今後中間エネルギーにおける中性子及び陽子断面積の測定が進展することを期待する。