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竹田 武司
JAEA-Data/Code 2025-005, 106 Pages, 2025/06
JAEAでは、加圧水型軽水炉(PWR)解析のためのRELAP5/MOD3.3コードの入力データを、主に大型非定常実験装置(LSTF)の参照4ループPWRである敦賀発電所2号機の設計情報を基に作成してきた。PWR解析に関する代表的なOECD/NEAの活動として、BEMUSEプログラムの枠組みにおける低温側配管大破断冷却材喪失事故(LBLOCA)の計算が挙げられる。また、わが国の新規制基準に係るPWRの炉心損傷防止対策の有効性評価事象には、低温側配管LBLOCA時の非常用炉心冷却系(ECCS)の再循環機能喪失事象が含まれる。本検討において、PWRの安全設計上想定すべき設計基準事故の一つであるLBLOCAを解析するための入力データを整備した。本報告書では、PWRLBLOCA解析の入力データの主な特徴を示す。PWRの原子炉容器、加圧器(PZR)、高温側配管、蒸気発生器(SG)、SG二次系、クロスオーバーレグ、低温側配管、ECCSなどをモデル化し、参照4ループPWRを2ループで模擬した。その際、PZRは3ループ分を模擬するループAに接続し、破断口は1ループ分を模擬するループBに設置した。PWRのコンポーネントのノード分割は、LSTFのコンポーネントのノード分割を参照した。また、PWRLBLOCA解析の主な入力データに対して、解釈を加えるとともに、設定根拠などの付加情報を提供した。さらに、整備した入力データを用いて、ECCS再循環機能喪失事象を対象とした過渡解析を実施した。RELAP5/MOD3.3コードによる既往研究の計算と比較することにより、過渡解析は概ね妥当であることを確認した。加えて、RELAP5/MOD3.3コードを用いて感度解析を実施し、破断口の流出係数や代替再循環注水流量が燃料棒被覆管表面温度に及ぼす影響を明らかにした。本報告書では、設定した条件の範囲内での感度解析結果について示し、ECCS再循環機能喪失事象に対する既往研究の計算内容の一部を補完する。
Go, G.*; Goli, D. P.*; 江崎 蘭世; Tserkovnyak, Y.*; Kim, S. K.*
Physical Review Research (Internet), 7(2), p.L022066_1 - L022066_7, 2025/06
It remains an open question whether or not the scalar spin chirality itself can exhibit a Hall-type transport. In this work, we show that the answer is yes: The scalar spin chirality is Hall-transported in Kagome ferromagnets and antiferromagnets under an external bias, engendering a phenomenon which we dub the scalar spin chirality Nernst effect. Our findings call for the need to lift the conventional assumption that the scalar spin chirality is a static quantity in order to discover the active roles of the scalar spin chirality in transport properties.
豊田 晃大; 鬼澤 高志; 若井 栄一*
Research & Development in Material Science (Internet), 21(5), p.2632 - 2637, 2025/06
316FR steel, a modification of 316 austenitic stainless steel, will be used as a structural material in the sodium cooled fast reactor (SFR), one of the initiatives being developed in Japan to achieve carbon neutrality in order to combat global warming. To withstand the high-temperature operating environment of the SFR, the alloy design of the 316FR steel has been optimized to have high creep strength for a long time with controlled precipitation by optimizing the alloy composition. In order to clarify that 316FR steel can maintain its properties under the high temperature (around 550C) irradiation environment of the SFR, the authors mainly conducted in-situ observations under electron beam irradiation at high temperatures to investigate in detail the irradiation effects on the precipitates (mainly carbides), which are characteristic of 316FR steel. As a result, it was found that the precipitates in 316FR steel are more stable than those in type 304 stainless steel under irradiation without coarsening at grain boundaries or within grains. The characteristics and attractiveness of 316FR steel, the results obtained, and the mechanism of creep behavior under irradiation are also explained.
Wilson, J.*; 笹本 広; 舘 幸男; 川間 大介*
Applied Clay Science, 275, p.107862_1 - 107862_15, 2025/05
被引用回数:0高レベル放射性廃棄物の処分場では、鉄または鋼製ベースの容器/オーバーパック及びベントナイト緩衝材が用いられる。25年以上にわたり、鉄とベントナイトの相互作用に関わる研究が行われ、その中では、特に膨潤性粘土(スメクタイト)の鉄に富んだ層状珪酸塩(膨潤能が欠落する鉱物も存在)への変質可能性について検討がなされた。このような変質が生じると、人工バリア材の一つである緩衝材に期待されている膨潤性の欠落或いは低下を引き起こし、せん断応力に対するオーバーパックの保護性、水や溶質の移行抑制にも影響を与える。鉄とベントナイトの相互作用に関わるデータの多くは、実験及び地球化学モデリングによるものであり、ナチュラルアナログによるデータには乏しい。これらの既往データによれば、スメクタイト(アルミ質のモンモリロナイト)が鉄に富んだ固相(層状珪酸塩を含む)に変質したものや、グリーンラスト又は磁鉄鉱のような腐食生成物を伴う鉄に富んだ変質ゾーンが生成される可能性が示唆される。一方、このような変質ゾーンについての実態は複雑であり、現状での理解は不十分な部分もある。25年以上にもわたり研究が行われているにもかかわらず不確実な部分も多いが、今回のレビューにより、鉄とベントナイトの相互作用に伴い生じる尤もらしいシナリオが認識され、考えられ得る緩衝材特性への影響についても提示された。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 永武 拓; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(5), p.432 - 456, 2025/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)ワイヤメッシュセンサ(WMS)の精度を明らかにするため、単一の球形気泡と気泡流に対してWMSの静電場シミュレーションを実施した。単一気泡の静電場シミュレーションでは、様々な気泡位置における電流密度分布と、送信ワイヤから受信ワイヤまでの電流経路を示した。その結果、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく系統的誤差があることを明らかにした。また、数値流体解析コードJAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research (JUPITER)で得られた気泡流結果に対して静電場シミュレーションを実施したところ、線形近似やMaxwellの式などの、WMS信号からボイド率への既存の変換方法では0と1の間の瞬間ボイド率の中間値を定量的に推定できなかった。また、WMS信号に対してボイド率0.2という大きなばらつきがあり、瞬間ボイド率を定量的に計測することが困難であることがわかった。一方で、時間平均ボイド率においては、流路の中心付近のボイド率は線形近似を使用して推定でき、流路壁面近くのボイド率はMaxwellの式を使用して推定できることがわかった。
宇佐美 博士; 吉永 恭平*; 藤川 圭吾*
日本原子力学会誌ATOMO, 67(5), p.295 - 299, 2025/05
日本原子力研究開発機構では、東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に資するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を超えて緊密に融合・連携させることにより、基礎的・基盤的研究や、産学が連携した人材育成の取組を推進している。令和6年度から「シビアエンジニアリングマネジメント学」という新たな学問体系を基軸としたこれまでにないユニークな研究人材育成事業を開始したため、本事業の概要や狙い、現在までの取組状況について紹介する。
佐藤 優樹; 寺阪 祐太; 一場 雄太*
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(4), p.389 - 400, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)Understanding the distribution of radioactive substances and dose-equivalent rates during the decommissioning of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS) is crucial for developing detailed decontamination plans and minimizing worker exposure to radiation. This study used an integrated Radiation Imaging System comprising a Compton camera, survey meter, and simultaneous localization and mapping device to visualize the dose-equivalent rate and radioactive contamination distribution around the startup transformer of Unit 3 at the FDNPS. While previous measurements using this system have helped visualize radioactive hotspots where radioactive contamination has accumulated in pipes or specific equipment, this demonstration test helped visualize the radioactive contamination widely distributed on the ground or concrete surfaces inside the nuclear power station. Furthermore, the reconstructed image intensity of radioactive contamination was compared with the dose rate at the target surface, showing for the first time the possibility of creating a calibration curve between the two.
冬島 拓実; 佐谷戸 夏紀; 大塚 薫; 遠藤 泰一; 飛田 正浩*; 竹本 紀之
JAEA-Testing 2024-008, 38 Pages, 2025/03
材料試験炉(Japan Materials Testing Reactor: JMTR)では燃料試料及び材料試料を照射するため、キャプセルに試料を装荷して照射試験を行ってきた。照射試験では、多種多様な照射試料を目標とする温度で照射するため、キャプセルの熱計算が重要である。令和3年3月にJMTRは廃止措置計画が認可され、環境技術開発部では現在、JMTRの代替としての海外の試験研究炉を用いた照射試験を実施している。海外の試験研究炉を用いた照射試験に向けてキャプセルの設計・検討に必要な熱計算を行う際、米国のオークリッジ国立研究所で開発された1次元熱計算コードGENGTCを用いている。GENGTCはこれまでパソコン性能の向上に伴って改良・拡張が繰り返されてきたが、従来のGENGTCを用いたプログラムには機能の一部に不良事象箇所が確認されていた。そこで、その原因を究明してプログラムを修正するとともに、FORTRAN77言語のプログラムからExcelのマクロ計算機能を使用したVisual Basic言語のプログラムに変更した。また、当該コードをさらに利用しやすくするためのプログラムの整備を行った。本稿はそれらの改良箇所について報告を行うものである。
明午 伸一郎; 岩元 大樹; 杉原 健太*; 平野 幸則*; 堤 和昌*; 斎藤 滋; 前川 藤夫
JAEA-Technology 2024-026, 123 Pages, 2025/03
J-PARC核変換実験施設ADSターゲット試験施設(TEF-T)の設計をベースとし、J-PARC陽子ビーム照射施設の概念検討を行った。これは、文部科学省の分離変換技術評価タスクフォースの提言「ADSの工学的課題解決に加え、多様なニーズへの対応の可能性を含め、既存のJ-PARCの陽子加速器を利用可能な利点を最大限活用する施設仕様を検討することが望ましい。」を受けたものである。TEF-T設計で不要となった設備を削減する一方、多様なニーズに対応可能な設備の具体化を行った。多様なニーズとして、諸外国の大強度加速器施設の利用法の調査を行った。その結果、1)材料照射試験、2)核破砕中性子を用いた半導体機器のソフトエラー試験、3)医療用RI製造および4)陽子ビーム利用を主な利用目的と特定し、これらの利用に必要な施設の検討を行った。施設概念の検討にあたっては、2022年に施設のユーザーコミュニティを立ち上げ、ユーザーの意見を広く取り入れて施設設計に反映した。本報告書は、陽子ビーム照射施設の概念検討結果、多様なニーズとその対応、施設建設に向けたロードマップおよび今後の課題についてまとめたものである。
普天間 章; 眞田 幸尚; 中間 茂雄; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 長久保 梓; 澤幡 義郎*; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; et al.
JAEA-Technology 2024-021, 232 Pages, 2025/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、航空機を用いた空からの測定方法が採用されている。日本原子力研究開発機構は、原子力規制庁からの受託事業として、有人ヘリコプター及び無人ヘリコプターを使用して、東京電力福島第一原子力発電所周辺の航空機モニタリングを継続的に実施してきた。本報告書では、令和5年度に実施したモニタリング結果について取りまとめ、過去のモニタリング結果との比較から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる計数率から空間線量率への換算精度向上のために、地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮する前後の解析結果を比較し、本手法による換算精度向上の効果を評価した。さらに、有人ヘリコプターについては、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用し、ラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響を評価した。加えて、より効率的に広範囲な航空機モニタリングを展開するため、無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2024-017, 208 Pages, 2025/03
東京電力(株)福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和5年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点サーベイ、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。モニタリングの重要度を相対的に評価するスコアマップを作成するとともに、スコアの年次変化について分析した。海水中のトリチウム濃度の評価結果を原子力規制庁へ報告する体制を構築・運用し、ALPS処理水の海洋への放出前後のトリチウム濃度の変動について解析評価した。令和5年度までに総合モニタリング計画に基づき実施された海域モニタリングの測定結果を集約するとともに、過去からの変動などに関して解析評価を行った。階層ベイズ統計手法を用いて、令和5年度調査での走行サーベイや歩行サーベイ等の調査により取得した空間線量率分布データを統合し、空間線量率統合マップを作成した。避難指示解除区域への帰還後に想定される複数の代表的な生活行動パターンを設定し、積算の被ばく線量を算出するとともに当該地方自治体・住民に向けた説明資料を作成した。これらの他、令和5年度測定結果のWebサイトでの公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析測定データのCSV化を実施した。
林崎 康平; 廣岡 瞬; 山田 忠久*; 砂押 剛雄*; 村上 龍敏; 齋藤 浩介
Ceramics (Internet), 8(1), p.24_1 - 24_12, 2025/03
Zirconolite is a wasteform that can immobilize Pu. Herein, zirconolites comprising Ce as a Pu simulant and Al as a charge compensator of Ce/Pu were synthesized by sintering raw CaO, ZrO, TiO
, CeO
, and Al
O
powder mixtures at 1400
C in static air. The reduction behavior and phase transformation of zirconolites during their heat treatment in an Ar-H
gas flow were investigated. All zirconolite compositions first underwent reduction at
1050
C by forming a small domain of perovskite phase. Ce-Al co-doped zirconolite showed a smaller fraction of phase transformation in perovskite than Ce-doped zirconolite, indicating the advantage of using a charge compensator to prevent perovskite formation.
青木 勝敏*; 町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 服部 高典
高圧力の科学と技術, 35(1), p.4 - 11, 2025/03
鉄は水素と反応して、高温高圧下で体心立方、面心立方、六方最密充填、二重六方最密充填構造の固溶体を形成する。中性子回折は、金属格子中に溶解した水素原子の占有位置と占有率を決定するための最も強力なツールである。水素の占有位置や占有率を含む構造パラメータは、中性子回折データのリートベルト解析によって精密化される。本原稿では、10年以上にわたって蓄積してきた鉄水素化物のリートベルト精密化に関するノウハウを紹介する。
田代 信介; 内山 軍蔵; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 渡邉 浩二*; 阿部 仁; 山根 祐一
Nuclear Technology, 211(3), p.429 - 438, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)火災事故の下での放射性物質を閉じ込めるHEPAフィルターと関係付けたグローブボックス(GB)における閉じ込め安全性の評価に寄与するために、工学規模の装置を用いて代表的なGBパネル樹脂として可燃性のポリマーであるポリメチルメタクリレート(PMMA)や難燃性のポリマーであるポリカーボネートの燃焼試験を行った。燃焼試験ではPMMAやPCの質量減少速度(MLR)ならびに放熱速度(HRR)のような燃焼特性を調べた。同一寸法の平板形状のPMMAやPCの燃焼では、燃焼させるセルへの給気流量条件を変えた場合のMLRやHRRはPMMAよりPCの方が大きくかつ給気流量に対して一定であり、さらに直径を変えて断面積(S)条件も変えた場合のPMMAの燃焼におけるMLRやHRRはSに対して比例する特性が得られた。これらの結果を用いて、平板形状のPMMAやPCの断面積に対するMLRならびにHRRの関係式を導出した。
佐谷戸 夏紀; 大塚 薫; 冬島 拓実; 遠藤 泰一; 大塚 紀彰; 北岸 茂; 飛田 正浩*; 磯崎 太*; 松本 聡*; 竹本 紀之
JAEA-Technology 2024-016, 247 Pages, 2025/02
文部科学省が行う最先端研究基盤事業の補助対象事業として、材料試験炉JMTR(Japan Materials Testing Reactor, 50MW)では「世界最先端研究用原子炉の高度利用による国際的研究開発拠点の整備」が採択された。本事業の一環として、JMTRでは平成22年度から「軽水炉実機水環境模擬照射装置」を整備した。本装置は、温度、圧力、水質(溶存酸素、溶存水素等)を制御し、軽水炉(BWR及びPWR)条件の水環境を模擬しながら、炉内構造材等の中性子照射が行える照射装置である。さらにPWR条件用の照射装置には、ホウ素やリチウムを添加するための薬液注入機能を追加した。本装置の整備後は試験運転を実施し、本装置の性能を確認した。本報告書は、軽水炉実機水環境模擬照射装置の整備及び整備後に実施した本装置の試験運転についてまとめたものである。
岡崎 伸生*; 服部 高典
CROSS Reports(インターネット), 3, p.001_1 - 001_8, 2025/02
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)のBL11に設置されているビームラインPLANETでは、これまで測定したデータをリモート解析したいという要望があったが、それを定常的に行える仕組みが整備されていなかった。この要望に応えるため、リモートデスクトップ接続環境として広く使われているNoMachineを用い、リモート解析が行える仕組みを構築した。このシステムはクラウド上に構築されており、ユーザーはNoMachineクライアントを利用することで、インターネット環境さえあればどこからでも解析することが可能となった。
佐藤 優樹
FBNews, (577), p.2 - 6, 2025/01
福島第一原子力発電所(1F)事故により1Fサイト内外に飛散・沈着した放射性物質の分布を3次元的に可視化するために、放射性物質可視化カメラであるコンプトンカメラに、3次元測域センサを基盤とした環境認識デバイス、ならびにロボットを組み合わせた統合型放射線イメージングシステム(iRIS: integrated Radiation Imaging System)を開発した。本稿では、ホットスポット位置を含む放射能汚染分布を3次元的に可視化する手法について、その原理を説明するとともに、1Fサイト内における実証例を紹介する。さらには当該システムを用いて生成した放射能汚染のイメージデータについて、VRおよびAR技術を用いて可視化するための要素技術開発についても紹介する。
Metcalfe, R.*; Benbow, S. J.*; 川間 大介*; 舘 幸男
Science of the Total Environment, 958, p.177690_1 - 177690_17, 2025/01
花崗岩が隆起している条件を対象とした地層処分の安全評価においては、隆起による地質条件の変化とそれに伴う放射性核種の移行・遅延特性への影響を考慮する必要がある。このような地質環境の長期変遷を考慮した安全評価では、十分に現実的な数値モデルと適切なパラメータを適用する必要がある。しかしながら、隆起過程には、岩石特性や核種移行特性の変化などを含む複雑な連成現象が含まれるため、モデルの開発には困難を伴う。ここでは、いくつかの代表的な放射性核種を対象とした連成モデル解析を通じて、現実的で保守的なプロセスの概念化とモデルパラメータの設定を検討するための方法論を提示する。
佐藤 里奈; 吉村 和也; 眞田 幸尚; 三上 智; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 金井塚 清一*; 佐藤 哲朗*; 森 翼*; 高木 毬衣*
Environment International, 194, p.109148_1 - 109148_8, 2024/12
被引用回数:1 パーセンタイル:31.14(Environmental Sciences)周辺線量当量による個人の外部被ばく線量評価は、個人線量計が適用できない、予測的及び遡及的な評価に用いられる。しかし、様々なパラメータを用いるため個人線量測定による評価よりも誤差を含む傾向がある。そこで本研究では、周辺線量当量から個人の外部被ばく線量を精度良く評価するため、生活パターンと、建物や乗り物による遮蔽効果を考慮して実効線量を評価するモデルを作成した。モデルパラメータは、2020から2021年に福島第一原子力発電所の被災地域で測定した屋内外の環境放射線のロバストなデータセットを基に評価した。モデルの精度は、2020年に福島県内で測定した106人日の個人線量と比較し評価した。モデルによる推定実効線量は、実測個人線量をよく表し、モデルが個人線量計と同様に個人の被ばく線量推計に活用できることが示された。さらに、このモデルは、環境放射線データを用いることで、個人の被ばく線量を予測的及び遡及的に精度良く評価でき、放射線防護に有用なツールである。
Metcalfe, R.*; 舘 幸男; 笹尾 英嗣; 川間 大介*
Science of the Total Environment, 957, p.177375_1 - 177375_17, 2024/12
放射性廃棄物の地層処分の安全評価では、将来において地下水を介した放射性核種の移行が岩盤のバリア性能によって遅延されることを示す必要がある。サイトが選定される前の初期段階の安全評価は、特定のサイト条件を考慮しない一般的なものであり、保守的なパラメータ値や簡略化された安全評価モデルに基づくことになる。その後の特定のサイトを対象とした安全評価では、長期的な地質環境の変遷やその放射性核種の移行・遅延への影響を考慮可能な、より現実的なモデルが必要となる。隆起はそのような長期的な地質環境の変遷の一つである。ここでは、日本の既往の研究に基づき、花崗岩の特性が隆起に伴ってどのように変化するかについての知見をレビューする。また、花崗岩の隆起に伴う放射性核種の移行と遅延過程に関する概念モデルと一般的なシナリオを提示し、安全評価を支える現実的な数値モデルの基礎を提示する。