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宇田川 豊; 永瀬 文久; 更田 豊志
JAERI-Research 2005-020, 40 Pages, 2005/09
急冷開始温度及び急冷前の冷却速度がLOCA時の被覆管延性低下に及ぼす影響を調べることを目的とし、未照射PWR用1717型ジルカロイ-4被覆管から切り出した試料を水蒸気中、1373及び1473Kで酸化し、ゆっくりと冷却(徐冷)してから急冷した。試験条件のうち、徐冷の速度を27K/s、急冷開始温度を10731373Kの範囲で変化させて複数の試験を行い、冷却条件の異なる試料を得た。酸化,急冷した試料に対しリング圧縮試験,ミクロ組織観察,ビッカース硬さ試験を実施した。急冷開始温度低下に伴い、金属層中に析出する相の面積割合が大幅に増加し、被覆管の延性が明確に低下した。徐冷速度の減少に伴い、析出した相の単位大きさ及び硬さの増大が生じたが、面積割合及び被覆管の延性はほとんど変化しなかった。析出相は周りの金属層より硬く、また酸素濃度が高いことから、その延性は非常に低いと考えられる。したがって、析出相の面積割合増大が、急冷開始温度低下に伴う延性低下促進の近因である。
斎藤 伸三; 森 治嗣*; 落合 政昭; 戸田 三朗
JAERI-M 8570, 42 Pages, 1979/11
軽水炉の反応度事故時における燃料棒の非定常冷却過程を明らかにするため、ジルカロイ製中実丸棒及び管を用いサブクール条件下で模擬実験を行い、詳細に検討した。その結果、冷却過程は、クエンチング温度Tqとリウェッティング温度Trによって3つの領域に分けられ、Tq以上およびTr以下の領域における挙動は従来の沸騰曲線から説明出来るが、TqからTrの領域は従来に明らかにされていない熱伝達挙動を示し蒸気膜の崩壊に伴なう激しい流体の乱れが大きく急冷に寄与していることが高速度カメラによる撮影からも確認された。また、Tqは冷却水のサブクール度の増加とともに水の最大加熱温度をはるかに上廻るようになり、一方、Trははとんどその影響を受けず最大過熱温度と一致した。本実験条件では、LOCA時と異なりリウェット領域から 膜沸騰領域への試験体軸方向の熱伝導は少なく、半径方向の熱伝達が支配的である。