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熊谷 友多
放射線化学(インターネット), (99), p.53 - 56, 2015/04
分離核変換サイクルにおける発熱性核種の線源利用への展開を目指して、線を用いた水処理法の吸着剤併用による高度化を目的として、水溶性有機物の放射線分解に対するゼオライトの添加効果を調べた。模擬物質として2-クロロフェノール(2-ClPh)の水溶液を用いて、線照射による分解反応に対する各種ゼオライトの添加効果、溶液pHの影響、2-ClPh濃度の影響を調べた。その結果、モルデナイト型ゼオライト(NaMOR)の添加により2-ClPhがNaMORに吸着し、照射により吸着した2-ClPhが分解することを明らかにした。さらに、2-ClPhが分子状で溶存するpH条件が吸着に適しており分解効率が向上すること、2-ClPh濃度の増加とともに吸着量が増加し、分解が促進されることを明らかにした。
清水 三郎; 池添 康正; 佐藤 章一
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 48(3), p.1003 - 1005, 1975/03
被引用回数:3エタンーアンモニア系の線分解において、最大G値0.5でエチルアミン生成が観察された。ラジカル捕捉剤として酸素を用い、エチルアミンはイオン反応およびラジカル反応により生成することが明らかとなった。酸化窒素を過剰に添加した場合にはエチルアミン生成は抑制されたが適量の添加ではその収量は2.4倍に増加する現象を見出した。この増加は水素原子とアルキルラジカルによる、エチルラジカルが酸化窒素に捕捉されて生ずるアセトアルドキシムの還元に基づくものと解釈された。
小池 満; 立川 圓造; 橋本 均; 大久保 隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 10(4), p.234 - 241, 1973/04
原子炉において水を減速材、冷却材として用いた場合、原子炉運転下では水は絶えず循環もしくは沸とう状態にある。今回Nガスを吸き込むことにより、水の沸とう状態を作り、水の放射線分解を調べた。G(H)はガスの流速とともに10から0.26に増加し、一次生成物がかなり効率よく気相にstripされることを示している。又、系に充分なO又はHOを添加した場合G(H)は分子収率に等しくなる。適当な設定を用いて得られた結果を解析するとHの逆反応を10%以下に抑制するに必要なHO濃度は3~510Mと計算される。
小池 満; 立川 圓造; 橋本 均; 大久保 隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 10(2), p.111 - 117, 1973/02
循環水の放射線分解を高線量下で調べる目的で、特別に線照射ループを設計し、純水および酸素、過酸化水素添加水の放射線分解を調べた。見掛上のG(H)は10であり、この値は前に行ったケミカルシム照射装置による原子炉照射により得られた結果とよく一致しており、分子生成物の約1-200は本質的に逆反応をうけないことを示している。しかしながら水素の発生にともなう酸素の発生はみられず、ループ構成材料の腐食反応による酸素の取り込み過程がみられる。酸素、過酸化水素添加系からの水素の発生は非常に特異的である。照射とともに急激な立上りにつづいて平衡状態がみられ、更に高線量下で再び発生量は増加する。この発生曲線を水の分解に対するフリーラジカルモデルにもとづき、OHの平衡濃度にもとづいて検討した。
小池 満; 立川 圓造; マツイタカオ*
Journal of Nuclear Science and Technology, 6(4), p.163 - 169, 1969/04
抄録なし
熊谷 友多
no journal, ,
ゼオライト-水混合系での2-クロロフェノール(2-ClPh)の放射線分解について研究した。本研究ではモルデナイト型ハイシリカゼオライト(MOR)を用いた。MORは2-ClPhを吸着することに注目し、ゼオライト-水系の放射線分解に対する吸着と界面での反応の影響を調べた。その結果、線照射によりMORに吸着した2-ClPhが分解することが分かった。吸着した2-ClPhの分解は水溶液中での分解と同種の生成物を生じた。また、吸着した2-ClPhの分解効率は水溶液中と同程度であった。しかし、2-ClPhの脱塩素化で生じる塩化物イオンの濃度はMORの添加により増加した。これは、塩化物イオンはMORにほとんど吸着しないため、吸着した2-ClPhの分解で生じた塩化物イオンが水溶液に溶出したためと考えられる。これらの結果は、吸着と界面での反応がゼオライト-水混合系の放射線分解において重要な役割を持つことを示すものである。