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Lee, J.; 児玉 有; Rossi, F.; 弘中 浩太; 小泉 光生; 堀 順一*; 佐野 忠史*
第44回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2023/11
核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでは、試料中に含まれる少量の核分裂性物質を特定し定量する能力を向上させるための技術として、中性子飛行時間法を用いた中性子共鳴核分裂中性子分析(Neutron Resonance Fission Neutron Analysis: NRFNA)の技術開発を進めている。本発表会では、核分裂性物質の非破壊分析のために進めているNRFNA技術の紹介及びその基礎実験の結果について報告する。
中村 詔司; 芝原 雄司*; 遠藤 駿典; 木村 敦
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1361 - 1371, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:72.91(Nuclear Science & Technology)廃止措置の対象核種の中からNbについて、熱中性子捕獲断面積()および共鳴積分(I)を放射化法により測定した。また、Nbの半減期を質量分析により測定した。ニオブ93試料は、京都大学複合原子力科学研究所の研究炉に整備されている水圧輸送艦を用いて照射した。金-アルミ合金線、およびコバルト-アルミ合金線を用いて、照射位置における中性子束成分を測定した。厚さ25mのガドリニウム箔を用いた照射も行って、熱および熱外中性子による反応率の寄与をより分けた。ガドリニウムの厚さから、カットオフ・エネルギーは0.133eVに設定した。ニオブ試料中に含まれている不純物により生成されるTaの放射能を減衰させるために、約2年間ニオブ試料を冷却した。線スペクトロスコピーにより照射されたニオブ試料およびモニタの生成放射能を測定した。Westcottコンベンションに基づいて解析を行い、およびIを、それぞれ1.110.04barnおよび10.50.6barnと導出することができた。線測定の後に、ニオブ試料の質量分析を行い、反応率を導出した。線スペクトロスコピーと質量分析で得られたデータを組み合わせることにより、Nbの半減期を、(2.000.15)10年と導出することができた。
中村 詔司; 芝原 雄司*; 木村 敦; 遠藤 駿典; 静間 俊行*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(9), p.1133 - 1142, 2023/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)近年、鉛冷却高速炉や加速器駆動システムの研究が進められており、Pb同位体の中性子捕獲断面積の高精度化が求められている。Pbは、天然存在比は小さいが中性子捕獲反応により長寿命放射性核種Pb(1730万年)を作るため、その重要性は高いと考えられる。しかし、原子炉を用いた通常の放射化法では、生成するPbからの放射線が弱いため測定するのが難しい。そこで、マススペクトロメトリーを適用した断面積測定を行った。本発表ではマススペクトロメトリーを適用したPbの中性子捕獲断面積測定について実験の詳細と得られた結果を報告する。
弘中 浩太; Lee, J.; 小泉 光生; 伊藤 史哲*; 堀 順一*; 寺田 和司*; 佐野 忠史*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1054, p.168467_1 - 168467_5, 2023/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)We propose neutron resonance fission neutron analysis (NRFNA), an active nondestructive assay (NDA) technique, to improve the capability to identify and quantify a small amount of fissile material in a sample. NRFNA uses pulsed neutrons to induce fission reactions in the sample. Fission neutrons are detected by a neutron-gamma pulse shape discrimination (PSD) scintillation detector with time-of-flight (TOF) technique. The obtained nuclide-specific resonance peaks in the neutron energy spectrum provide information to identify and quantify a fissile material in the sample. The possibility of using PSD for NRFNA was confirmed through a test experiment using a natural uranium sample. We successfully observed the resonance peaks from U(n,f) reaction and showed that NRFNA would be useful for measuring a small amount of fissile material in a sample.
中村 詔司; 遠藤 駿典; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2022, P. 73, 2023/07
本研究は、廃止措置で問題になる放射性核種の放射能生成量を評価するのに資する中性子捕獲断面積に関するものである。京都大学複合原子力研究所の研究炉KURのTC-Pn照射設備を用いて、廃止措置で問題になる対象核種の中からSc, Cu, Zn, Ag, In及びWを選定して、それらの熱中性子捕獲断面積を測定した。測定試料には、高純度の金属試料を用意した。中性子束をモニタするために、Au/Al合金線, Co箔及びMo箔を用いた。モニタ及び金属試料を、KURが1MW運転時に、TC-Pnにて1時間照射した。照射後、照射カプセルを開封し、モニタと金属試料を回収し、それらを一つ一つビニル袋に密封した。そして高純度Ge検出器を用いて、金属試料から放出されるガンマ線を計測して、ガンマ線の収量から反応率を求めた。中性子束モニタ(Au, CoとMo)の反応率を、Westcottのコンベンションに基づいて解析し、熱中性子束成分を(5.920.10)10 n/cm/secと測定した。各々の金属試料について得られた反応率を評価済みの熱中性子断面積で除した時、用いた断面積が妥当であれば、モニタで得られる熱中性子束と同じ値を与えなければならない。今回、Sc, Znの断面積は、不確かさの範囲で評価値と一致した。しかし、その他の核種については不確かさ以上に評価値と食い違いがあり、熱中性子捕獲断面積の値は修正されなければならないことが分かった。
藤田 善貴; Hu, X.*; 武内 伴照; 武田 遼真; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 末松 久幸*; 井手 広史
KURNS Progress Report 2022, P. 110, 2023/07
ウランを使用しないテクネチウム-99m(Tc)の国産化を目的に、(n,)法によるモリブデン-99(Mo)製造に関する研究を行っている。この方法で生成されるMo比放射能は低いことからMoの娘核種であるTcを濃縮するため、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法によってTcを抽出し、アルミナカラムによってTcを濃縮する技術に着目した。還元されたTcはMEKに抽出されないとの報告があることから、本試験では、モリブデン酸ナトリウム水溶液への水素バブリングによるTc還元を試み、Tc収率への影響を調査した。その結果、論文で報告されたMEKへのTc抽出に対する影響は確認されず、酸性カラムへのTc吸着を阻害する可能性が示された。また、Tcの化学形を把握するための基礎的データとして、回収したTc溶液のラマン分光分析を実施した結果、1050cmあたりにシャープな弱いピークが確認された。今後、Tcの還元を確認するため、Tcの化学形の違いによるラマンピークの違いなどを調査していく。
Lee, J.; 伊藤 史哲*; 弘中 浩太; 高橋 時音; 鈴木 敏*; 小泉 光生; 堀 順一*; 寺田 和司*
第43回日本核物質管理学会年次大会会議論文集(インターネット), 4 Pages, 2022/11
中性子検出に広く使われているGS20リチウムガラスシンチレータは、応答は速いがn/g弁別能に乏しい。ガンマ線背景事象を適切に評価するためには、ガンマ線に対する応答特性を知る必要がある。特に中性子測定時は減速材中の水素原子核から発生する2.2MeVのガンマ線が主な背景事象となるが、このような高エネルギーガンマ線への応答特性の報告はほとんどない。このため、本研究では、GS20の応答特性についてNa-24ガンマ線源を用いて調べた。
中村 詔司; 芝原 雄司*; 遠藤 駿典; 木村 敦
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(11), p.1388 - 1398, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)本研究は、放射性核種のNpを取り上げて、よく熱化された中性子場を用いて放射化法によりNpの熱中性子捕獲断面積を測定した。Npの標準溶液を、照射試料に用いた。照射位置の中性子束は、Sc, Co, Mo, TaそしてAuを、中性子束モニタに使用した。Np試料とモニタを一緒に、京都大学研究炉の黒鉛照射設備にて30分間照射した。同様の照射を2回繰り返した。照射後に、Np試料を、それと放射平衡の関係にあるPaからの312keVガンマ線を測定して定量した。Npの反応率を、生成されたNpから放出されるガンマ線の収量から求めた。Npの熱中性子捕獲断面積は、2回照射の結果の加重平均を取って173.84.4barnと導出された。この結果は、飛行時間法により測定されたデータと、誤差の範囲で一致した。
中村 詔司; 遠藤 駿典; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2021, P. 93, 2022/07
核廃棄物中のマイナーアクチニドの核変換の観点から、本研究はNpを選定して、その熱中性子捕獲断面積を、良く熱化された中性子場を用いて放射化法により測定した。Np標準溶液を試料に使用した。熱中性子場は、中性子束モニタSc, Co, Mo, TaとAuを用いて測定した。Np試料は、モニタと一緒に、京大炉の黒鉛照射設備にて30分間照射した。結果の再現性を確認するために、同様の照射を繰り返した。照射後、Np試料は、Npと放射平衡の関係にあるPaからの312-keVガンマ線を用いて定量した。Npの反応率は、生成されたNpから放出されるガンマ線のピークカウント,検出効率,実験条件を用いて求めた。得られた反応率を熱中性子束で割り込むことで、Npの熱中性子捕獲断面積を173.84.7 barnと導出した。この結果は、飛行時間測定法で得られた報告値と不確かさの範囲内で一致した。
藤田 善貴; 関 美沙紀; Ngo, M. C.*; Do, T. M. D.*; Hu, X.*; Yang, Y.*; 武内 伴照; 中野 寛子; 藤原 靖幸*; 吉永 尚生*; et al.
KURNS Progress Report 2021, P. 118, 2022/07
核セキュリティ等の観点から放射化法((n,)法)によるMo製造の研究開発が進められている。この方法をMo/Tcジェネレータに適応するためには、Mo吸着材として用いられるアルミナ(AlO)の特性改善が不可欠である。これまで、開発したAlO試料から得られるTc溶液の品質を評価してきたが、溶液中へのMo脱離が課題だった。本研究では、市販のジェネレータを模した形状のカラムにAlO試料を充填し、Mo脱離低減のためのいくつかの措置を施してTc溶液の品質を評価した。以前実施した、AlO試料をMo溶液に浸漬させる静的吸着の条件と比較した結果、Mo溶液をAlOカラムに流す動的吸着の適用、Mo溶液の高濃度化、Mo添加量の低減によりMo脱離量が大幅に改善された。したがって、吸着方法および吸着条件の最適化による品質向上の可能性が示唆された。今後、本結果に基づきカラム形状およびMo吸着条件の最適化を図る。
白崎 謙次*; 田端 千紘*; 砂賀 彩光*; 酒井 宏典; Li, D.*; 小中 真理子*; 山村 朝雄*
Journal of Nuclear Materials, 563, p.153608_1 - 153608_11, 2022/05
被引用回数:2 パーセンタイル:53.91(Materials Science, Multidisciplinary)添加剤を変えながらウラン酸化物(U, )O (=Th, Np)固溶体を超臨界水熱合成で調製した。それらの試料の均質性をVegard則に基づいた結晶構造解析や、(U, Np, Na)O固溶体については、Na核核磁気共鳴(NMR)によって調べた。その結果、(i) (U, Th)O固溶体の場合は、炭酸アンモニウムを添加剤として、IV価ウランから出発し、(ii) (U, Np)Oの場合は、エタノールを添加剤として、VI価ウランから出発すると、均質な試料が得られることがわかった。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 鈴木 達也*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 末松 久幸*; 土谷 邦彦
Journal of Physics; Conference Series, 2155, p.012018_1 - 012018_6, 2022/01
モリブデン-99(Mo)の娘核種であるテクネチウム-99m(Tc)は、放射性医薬品で最も使用される放射性同位元素である。核不拡散や核セキュリティ等の観点から、放射化法((n, )法)によるMo製造技術開発が進められている。(n, )法によって生成されるMoの比放射能は極めて低いため、(n, )Moをジェネレータに適応させるには高いMo吸着容量を有するAlOの開発が必要不可欠である。本研究では、材料が異なる3種類のAlOを準備し、静的および動的吸着でのジェネレータへの適応性を比較した。MoOペレット片(1.5g)は、京都大学研究用原子炉(KUR)を使用して5MW, 20分間照射した。照射後、MoOペレット片は6Mの水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、動的吸着条件として1gのAlOを充填したPFAチューブ(1.59mm)に添加し、生理食塩水によりミルキングした。動的吸着でのAlOのMo吸着容量は、静的吸着と比較してわずかに減少した。Tc溶出率は、動的吸着では1.5mLのミルキングで約100%溶出されたが、静的吸着では約56-87%しか溶出されなかった。また、動的吸着ではMo/Tc比が、静的吸着と比較して大幅に減少した。以上より、Tc溶出特性は、Moの吸着方法(カラムの形状,線形流量など)に大きく影響されることが示唆された。
中村 詔司; 芝原 雄司*; 遠藤 駿典; 木村 敦
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(10), p.1061 - 1070, 2021/10
被引用回数:5 パーセンタイル:56.94(Nuclear Science & Technology)良く熱化された中性子場では、原理的には熱外中性子による寄与を考えることなく熱中性子捕獲断面積を導出することができる。このことを、京都大学原子炉の黒鉛照射設備にて放射化法を用いて示した。最初に、黒鉛照射設備が良く熱化された中性子場であることを確認するために、中性子束モニタ: Au, Co, Sc, Cu, and Moの照射を行った。Westcottのコンヴェンションに基づき、黒鉛照射設備が非常に熱化されていることを確認した。次に、実証としてこの照射場を用いてTa(n,)Ta反応の熱中性子捕獲断面積の測定を行い、20.50.4 barnを導出した。この結果は、評価値20.40.3 barnを支持した。また、Ta核種は、AuとMoモニタの間の感度を補間する中性子モニタとして使えることが分かった。
中村 詔司; 遠藤 駿典; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2020, P. 94, 2021/08
マイナーアクチノイド核種の一つであるNpの熱中性子捕獲断面積の精度向上のために照射実験を行った。京都大学研究用原子炉(KUR)の黒鉛照射設備を用いて、放射化法にて行った。950BqのNp試料、及び中性子束モニタとして、Au/Al合金線, Co, Sc, Mo, Ta箔のセットを一緒に、黒鉛照射設備にて、30分照射した。中性子束モニタの反応率を、Westcott's Conventionに基づき解析して、照射場が良く熱化されていることを確認した。Np試料の量は、放射平衡の関係にあるPaのガンマ線収量から求めた。Np(n,)の反応率は、試料量と生成されたNpからのガンマ線の収量から求めた。Npの反応率を熱中性子束で割り込むことで、熱中性子捕獲断面積を導出する。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 大伍 史久; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2020, P. 136, 2021/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)によるMo製造の研究開発が進められている。放射化法で生成されるMoの比放射能は極めて低いことから、娘核種であるTcを濃縮するためメチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目した。照射ターゲットであるMoOペレットは、長時間照射すると還元されることが分かっている。本試験では、MoOが還元した際に酸化剤としてNaOClを使用する可能性を考慮し、MoOを溶解して得られたモリブデン酸ナトリウム水溶液中へのNaCl添加の有無がTc回収率に及ぼす影響を調べた。その結果、NaClはMEKへのTc抽出率を低下させる可能性が示唆された。
中村 詔司; 芝原 雄司*; 遠藤 駿典; 木村 敦
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(3), p.259 - 277, 2021/03
被引用回数:5 パーセンタイル:53.85(Nuclear Science & Technology)マイナーアクチノイド核種の一つであるAmの中性子捕獲反応断面積の精度向上に係る研究開発を行った。先ず、崩壊ガンマ線の放出率を高い精度で整備して、Amの原子炉中性子照射によるAmの基底状準位Amの生成量をガンマ線測定で調べた。次に、アイソマーと基底準位を合わせたAmの生成量を、Cmへ崩壊させてアルファ線測定で調べた。照射したAm試料量、生成されたAmとAmの収量、及び中性子束の情報からAm(n,)AmとAm(n,)Am反応の熱中性子捕獲断面積、および共鳴積分を導出することができた。
永井 崇之; 岡本 芳浩; 秋山 大輔*; 上原 章寛*; 藤井 俊行*; 関本 俊*
KURNS Progress Report 2019, P. 257, 2020/08
中性子照射及びホウ素同位体組成によるホウケイ酸ガラスの構造変化を理解することを目的に、2019年度に京都大学研究炉KURにて照射実験を行い、2020年度に照射後のラマン分光測定によるSi-O架橋構造への影響を評価する予定である。2019年度は、照射実験に供したガラス試料の照射前Si-O架橋構造をラマン分光測定で評価した。
中村 詔司; 遠藤 駿典; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2019, P. 132, 2020/08
マイナーアクチノイド核種の一つであるAmの中性子捕獲反応断面積の精度向上に係る研究開発を行った。まず、崩壊ガンマ線の放出率を高い精度で整備して、Amの原子炉中性子照射によるAmの基底状準位Amの生成量をガンマ線測定で調べた。次に、アイソマーと基底準位を合わせたAmの生成量を、Cmへ崩壊させてアルファ線測定で調べた。Am生成、及びAm生成の熱中性子捕獲断面積、及び共鳴積分を測定した。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 加藤 佳明; 佐谷戸 夏紀; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2019, P. 157, 2020/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)によるMo-99(Mo)製造の研究開発が進められている。この方法をMo/Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着剤として広く用いられているアルミナ(AlO)の特性改善が必要不可欠である。本研究では、4種類のAlO試料をそれぞれPFAチューブに充填したカラムを準備し、照射済MoOペレットを溶解したモリブデン酸ナトリウム水溶液(Mo溶液)を流すカラム吸着(動的吸着)によるMo吸着およびTc溶離特性を評価した。また、2019年度実施したAlO試料をMo溶液に浸漬させるバッチ吸着(静的吸着)による評価結果と比較した。その結果、動的吸着では静的吸着に比べてTc溶離効率の向上、Mo脱離量の減少が確認された。これは、AlO試料を細長いチューブに詰めることにより、溶液との接触が均一になったこと、接触時間が長くなったことが原因と考えられる。今後、カラム径や線流速によるTc溶離およびMo脱離に与える影響を調べる。
福島 昌宏; 大泉 昭人; 山中 正朗*; Pyeon, C. H.*
KURNS Progress Report 2019, P. 143, 2020/08
加速器駆動未臨界システム(ADS)の冷却材候補である鉛及びビスマスの核データ検証に資するため、局所的に構築した低濃縮ウラン領域において、鉛とビスマスのサンプル反応度価値測定を実施した。その結果、Biの測定値は解析値とよく一致したが、鉛は解析値が測定値を過大評価する結果となった。