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核融合研究開発部門
JAEA-Evaluation 2016-002, 40 Pages, 2016/03
日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年10月31日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価の指針」(平成21年2月17日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規定」(平成17年10月1日制定、平成21年8月19日改正)等に基づき、「核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発」に関する事前評価を核融合研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、核融合研究開発・評価委員会は、原子力機構から提出された平成27年4月から平成34年3月までの次期中期計画の概要、核融合研究開発部門の運営ならびに核融合研究開発の実施状況に関する説明資料の検討、及び核融合研究開発部門長による口頭発表と副部門長も交えての質疑応答・意見交換を行った。本報告書は、核融合研究開発・評価委員会より提出された事前評価の内容、並びに、委員会による指摘事項とそれに対する措置を取りまとめたものである。
核融合研究開発部門
JAEA-Evaluation 2016-001, 128 Pages, 2016/03
日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年10月31日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価の指針」(平成21年2月17日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規定」(平成17年10月1日制定、平成21年8月19日改正)等に基づき、「核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発」に関する事後評価を核融合研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、核融合研究開発・評価委員会は、原子力機構から提出された平成22年4月から平成26年11月までの核融合研究開発部門の運営ならびに核融合研究開発の実施状況に関する説明資料の検討、及び核融合研究開発部門長による口頭発表と副部門長も交えての質疑応答・意見交換を行った。本報告書は、核融合研究開発・評価委員会より提出された事後評価の内容、並びに、委員会による指摘事項とそれに対する措置を取りまとめたものである。
高橋 良和; 諏訪 友音; 名原 啓博; 尾関 秀将; 辺見 努; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 松井 邦浩; 河野 勝己; 押切 雅幸; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 25(3), p.4200904_1 - 4200904_4, 2015/06
被引用回数:3 パーセンタイル:20.23(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構はITER中心ソレノイド(CS)コイル用導体の調達を担当し、製作したCS導体をコイル製作担当の米国に送付することになっている。CSコイルは高さ約12m、外径約4mで、6個のモジュールを積み重ねた構造を有する。導体の単長は最大910mであり、通電電流値は13Tの磁場中において40kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、576本のNbSn素線と288本の銅素線で構成される撚線を、矩形の中に円形の穴がある高マンガン鋼(JK2LB)製ジャケットに挿入し、ジャケットを圧縮成型したものである。圧縮成型される前のジャケットは、外寸法51.3mm、穴の直径35.3mm、単長7m、重さ約90kgである。このジャケットは、出荷前に非破壊検査により、最大許容サイズの欠陥がないことを確認する必要がある。内及び外表面の欠陥は、渦電流探傷(ECT)法 で、内部の欠陥は、超音波探傷(UT)法で行われる。UTにおいて、矩形の中に円形の穴がある形状であるので、超音波の入射の方向を工夫する必要があった。表面のECT及び内部のUTについて、その技術と検査実績を報告する。
海老澤 昇; 木内 重巳*; 菊池 勝美*; 河野 勝己; 礒野 高明
JAEA-Testing 2014-003, 37 Pages, 2015/03
ITER CSモデル・コイル試験装置は、直径1.5mの空間に13Tの高磁場を発生する 中心ソレノイド(CS)モデルコイルを用いて核融合炉用超伝導導体の試験を行うための装置であり、大別するとヘリウム冷凍機システム、電源システム、真空システム及び計測システムで構成される。本報告は、上記ヘリウム冷凍機システムについて、2011年3月に発生した東日本大震災から2012年12月に行われたヘリウム液化試験運転までの期間を対象に本システムの整備状況についてまとめた。
高橋 良和; 名原 啓博; 尾関 秀将; 辺見 努; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 松井 邦浩; 河野 勝己; 押切 雅幸; 宇野 康弘; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 24(3), p.4802404_1 - 4802404_4, 2014/06
被引用回数:25 パーセンタイル:72.88(Engineering, Electrical & Electronic)ITER計画において、原子力機構は中心ソレノイド(CS)コイル用導体の調達を担当している。導体の単長は最大910mであり、通電電流値は13Tの磁場中において40kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、576本のNbn素線と288本の銅素線で構成される撚線を、矩形の中に円形の穴がある高マンガン鋼(JK2LB)製ジャケットに挿入し、ジャケットを圧縮成型したものである。撚線は5段階の撚線で構成され、6本の4次撚線を中心チャンネルの周りに撚り合せたものである。最近、従来の設計より短い撚りピッチの撚線の導体が短尺導体試験(サルタン試験)において繰り返し通電による超伝導性能劣化がない非常に良い特性を示した。しかし、撚りピッチが短いため、同じ外径の撚線を製作するには、より大きなコンパクションを撚線製作時に加える必要があるので、コンパクション・ローラを工夫し、超伝導素線へのダメージを小さくする必要がある。本講演では、この短い撚りピッチの撚線の製作技術及び素線へのダメージの検査方法などについて報告する。
高野 克敏; 小泉 徳潔; 増尾 大慈*; 夏目 吉久*
溶接学会論文集(インターネット), 32(1), p.8 - 14, 2014/03
TFコイルの巻線部で使用するラジアル・プレート(RP)は、完全オーステナイト・ステンレス鋼で製作された高さ13m, 幅9m, 厚さ10cmの大型構造物であるにも拘わらず、数mmの高精度な製作公差が求められるとともに、4Kにおいて高強度な機械特性を満足する必要がある。また、TFコイルの製作はITER計画における製作工程を満足するため数週間に1枚のRPを製作する必要があり、RPの製作は効率的手法を採用する必要がある。このため、原子力機構は、RPの製作方法として、厚肉のステンレス鋼板から、機械加工でRPを10分割した部分セグメントを製作して、これらを溶接して組み立てる製作手法を主案としている。一方、本方法で製作するRPセグメントは、材料の歩留まり、機械加工の観点から無駄が多く、合理的な製作手法を開発することが求められている。そこで、原子力機構では、熱間等方加圧(HIP)による拡散接合法を用いたRPセグメントの製作技術の開発を進めてきた。開発の結果、従来の製作方法と比べて材料が約半分に、機械加工の切削量が約1/3に低減できるとともに、高精度な製作精度を達成した。また、要求値を満足する機械特性を得ることができ、技術的に有効な製作手法であることを示すことができた。
高橋 良和; 名原 啓博; 辺見 努; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 濱田 一弥; 松井 邦浩; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 23(3), p.4801504_1 - 4801504_4, 2013/06
被引用回数:11 パーセンタイル:50.58(Engineering, Electrical & Electronic)ITER計画において、原子力機構は2010年3月からトロイダル磁場(TF)コイル用導体を調達している6極の中で、先駆けて実機導体の製作を開始した。TFコイルは高さ14m,幅9mで、7個のダブルパンケーキから構成されている。導体の単長は最大760mであり、通電電流値は11.8Tの磁場中において68kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、900本のNbSn素線と522本の銅素線で構成される撚線を円形のステンレス製ジャケットに挿入し、ジャケットを圧縮成型したものである。完成した導体の撚線の撚りピッチが、撚線製作時のピッチより長いことがわかった。この原因を究明するため、撚線の引張試験や引込中の撚線の回転測定などを行った。この結果、撚線をジャケットに挿入している間に、撚線が撚り戻る方向に回転したために、長くなったことが解明された。これらの結果を定量的に報告する。
高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4801904_1 - 4801904_4, 2012/06
被引用回数:7 パーセンタイル:41.4(Engineering, Electrical & Electronic)ITER計画において、原子力機構は2010年3月からトロイダル磁場(TF)コイル用導体を調達している6極の中で、先駆けて実機導体の製作を開始した。TFコイルは高さ14m,幅9mで、7個のダブルパンケーキから構成されている。導体の単長は最大760mであり、通電電流値は11.8Tの磁場中において68kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、900本のNbSn素線と522本の銅素線で構成されている。2010年12月までに、約60トンのNbSn素線を製作した。これは、日本の分担分の約55%に相当する。また、11本の実機導体を製作し、日本分担分(33本)の約30%に相当する。実機導体は、ほぼ毎月1本ずつ製作している。本発表では、760mの銅ダミー導体の製作を通して確立した導体製作技術を中心に、高品質を確保する品質管理技術などの量産技術を紹介する。この量産体制の確立は、ITER建設の推進に大きく貢献している。
高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
Nuclear Fusion, 51(11), p.113015_1 - 113015_11, 2011/11
被引用回数:12 パーセンタイル:46.81(Physics, Fluids & Plasmas)ITER計画において、原子力機構はトロイダル磁場(TF)コイル用NbSn導体の調達を行っている。製造しているNbSn素線の量は、これまでの経験と比較して非常に多く、要求されている超伝導性能はITERの工学設計活動(EDA)において製作・試験されたモデルコイルの性能と比較して非常に高いものである。このため、素線製造において、製造過程における品質管理技術及び製品の検査結果を元に統計的管理を行うことが重要である。導体製造技術においては、精度の高い外径寸法及びジャケットの溶接部において高い気密性が要求されているため、品質管理として形状検査技術及び高感度なリーク試験方法を開発した。これらの技術を用いて、2010年1月に導体製作装置が完成し、760mの銅ダミー導体が成功裏に製作され、導体製造技術が適正なものであることが立証された。2010年3月より、世界に先駆けてTFコイル用導体の製造を開始した。
濱田 一弥; 高橋 良和; 礒野 高明; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 河野 勝己; 押切 雅幸; 堤 史明; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; et al.
Fusion Engineering and Design, 86(6-8), p.1506 - 1510, 2011/10
被引用回数:12 パーセンタイル:66.82(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構は、国際熱核融合実験炉(ITER)の日本の極内実施機関として、トロイダル磁場コイル及び超伝導導体の調達を担当している。TFコイル用導体は、直径0.8mmの超伝導素線900本,銅線522本を束ね合せて、直径43.7mm,肉厚2mmのステンレス保護管(ジャケット)に収めた構造であり、最大長さは760mである。超伝導導体の調達は、2008年から開始され、メーカーの協力を得て素線,撚線,ジャケット管及び導体製作装置の製作が進展した。その結果、2010年12月に導体を製作する準備が整った。まず、はじめに導体の製作作業要領を実証するために、760m長さの模擬導体の製作を行い、成功裏に完了した。TF導体の製作は日本以外に、欧州,韓国,米国,ロシア及び中国も担当しており、日本は他極に先駆けて導体製作技術を確立し、実機導体の製作を開始した。講演では、模擬導体製作技術として、溶接,検査,撚線の引込み,巻取り等に関する結果を報告する。
小泉 徳潔; 村上 陽之; 辺見 努; 中嶋 秀夫
Superconductor Science and Technology, 24(5), p.055009_1 - 055009_12, 2011/05
被引用回数:18 パーセンタイル:59.52(Physics, Applied)核融合炉で使用されるケーブル・イン・コンジット(CIC)導体では、巨大な電磁力を受けて、内部の素線が曲げ変形して、臨界電流性能が劣化するという現象が観測されている。本劣化を定量的に評価するためには、素線の曲げ変形と臨界電流性能の劣化を簡易的に評価する解析モデルの構築が必要である。そこで、著者らは、NbSn線を曲げた場合の臨界電流値の劣化を、素線構成材料NbSn,銅,ブロンズ,バリア材(Ta, Nb)の弾性変形に加えて、新たに、銅及びブロンズの塑性変形、フィラメント断線の影響を考慮して計算する解析モデルを開発した。本解析モデルを用いた計算結果と一様に曲げ歪を加えたNbSn線の臨界電流値の測定結果を比較し、解析結果がよく一致することを確認した。これにより、モデルの妥当性を検証した。加えて、曲げ変形で銅,ブロンズが塑性変形、あるいは一部のフィラメントが断線した後に、曲げ戻すと素線が引張歪を受けて、臨界電流値が曲げ前のそれよりも高くなりうることを解析的に示し、他の研究者が示した試験結果を定量的に説明することもできた。
高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/03
ITER計画において、原子力機構はトロイダル磁場(TF)コイル用NbSn導体の調達を行っている。製造しているNbSn素線の量は、これまでの経験と比較して非常に大きく、要求されている超伝導性能はITERの工学設計活動(EDA)において製作・試験されたモデルコイルの性能と比較して非常に高いものであり、素線製造において、品質管理技術が重要である。導体製造技術においては、精度の高い外径寸法及びジャケットの溶接部において高い気密性が要求されているため、総合的な品質管理技術が要求される。2010年1月に導体製作装置が完成し、760mの銅ダミー導体が成功裏に製作され、導体製造技術が適正なものであることが立証された。そこで、2010年3月より、TFコイル用導体の製造を開始した。これらの技術の要点を記述する。
布谷 嘉彦; 辺見 努; 名原 啓博; 松井 邦浩; 礒野 高明; 高橋 良和; 小泉 徳潔; 奥野 清
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 20(3), p.1443 - 1446, 2010/06
被引用回数:4 パーセンタイル:30.68(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構は従来の約1.4倍の臨界電流密度を持つITER超伝導コイル用NbSn超伝導素線の開発を行った。開発した素線の臨界電流値の磁場,温度、及びひずみ依存性を原子力機構が開発した装置を用いて測定した。特にひずみ特性に関して詳細に調べ、複合材に本来的にある熱収縮量の違いに起因する素線内部の残留ひずみの大きさを初めて直接測定した。さらに、超伝導特性のひとつである上部臨界磁場特性が、残留ひずみと外部から付加されるひずみを考慮に入れたひずみテンソルの高次のべき乗展開で表せることを実験的に見いだした。これらの成果に基づき臨界電流値を磁場,温度、及びひずみで表す関係式を導出した。そして、開発した素線を用いたITER超伝導コイルの超伝導特性を本関係式を用いて予測し、コイル設計の妥当性を示した。
小泉 徳潔; 辺見 努; 松井 邦浩; 中嶋 秀夫; 奥野 清; 久野 和雄*; 野元 一宏*
Fusion Engineering and Design, 84(2-6), p.210 - 214, 2009/09
被引用回数:16 パーセンタイル:70.97(Nuclear Science & Technology)ITER-TFコイルは高さ14m,幅9mのD型コイルであり、ITER工学設計で開発,試験されたTFモデル・コイルの約3倍の大きさとなっている。このため、その製作では新たな技術的課題が生じている。特に、導体長を0.05%の高精度で管理しながら巻線を実施する自動巻線技術、高さ14mのラジアル・プレート(RP)に導体を固定するカバー・プレート(CP)を約750mの長さにわたって溶接し、かつ、溶接による面外変形及び面内変形をそれぞれ2mm及び5mmに抑える技術では、これまでに経験したことがない高い技術が必要とされる。そこで、高精度自動巻線ヘッドを開発し、導体長を0.01%の高精度で測定しながら、1/3規模のD型巻線を試作して、高精度自動巻線が可能なことを示した。また、長さ1mのRP部分モデルを用いて、CP溶接試験を実施し、面外変形を0.8mmに抑えることができた。この結果から、固有歪法を用いて、実機RPのCP溶接による変形量を評価すると、面外変形が1mm、面内変形が5mmと評価され、要求値を満足できると期待できる。また、TFコイルの製作工程全般についても検討し、技術的にはその製作性に目処を立てることができた。
布谷 嘉彦; 高橋 良和; 濱田 一弥; 礒野 高明; 松井 邦浩; 押切 雅幸; 名原 啓博; 辺見 努; 中嶋 秀夫; 河野 勝己; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 19(3), p.1492 - 1495, 2009/06
被引用回数:1 パーセンタイル:12.1(Engineering, Electrical & Electronic)ITERポロイダル磁場コイル用導体インサート(PFCI)は、PFコイルの運転条件において、導体の性能を確認するために製作された。PFCIはITER CSモデルコイルの中に取り付けられ、外部磁場の中で試験される。PFCIはフルサイズの導体を約50m用いて、1層のソレノイド状に巻いたものである。その直径と高さは、それぞれ約1.5mと1mである。導体の定格運転電流値は、磁場6T及び温度5Kにおいて、45kAである。主要な試験項目は分流開始温度(Tcs),臨界電流値(Ic)及び交流損失の測定である。据付作業の重要なポイント,試験計画と方法、及び予備的な試験結果を報告する。
布谷 嘉彦; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 濱田 一弥; 松井 邦浩; 名原 啓博; 奥野 清
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 18(2), p.1055 - 1058, 2008/06
被引用回数:22 パーセンタイル:70.64(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構はITER TFコイル用NbSn超伝導線の開発を行った。温度4.2Kと磁場12Tにおいてのブロンズ法及び内部拡散法の製法による臨界電流密度がそれぞれ790A/mm以上及び980A/mm以上で、またヒステレシス損失が3Tの変動磁場において770mJ/cc以下となり、ITERの要求仕様を満たした。ITERの運転では、これらの超伝導線は外部からのひずみを受ける。このため、超伝導性能のひずみ依存性を測定することが重要である。そこで、ひずみ特性を測定する装置を新たに開発した。本装置では、素線を取り付け固定する治具として、超伝導線の長手方向に均一なひずみが印可できる馬蹄形状を用いることを特徴とする。ITER TFコイルの設計上の運転条件は、0.77の圧縮ひずみ,磁場11.3T、及び温度5.7Kであり、本条件での、ブロンズ法超伝導素線の臨界電流値は約92Aと測定された。これはITERの要求性能よりも約20高性能である。開発したNbSn超伝導素線の特性の詳細を報告する。
高橋 良和; 礒野 高明; 小泉 徳潔; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 名原 啓博; 辺見 努; 押切 雅幸; 宇野 康弘*; 奥野 清; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 18(2), p.471 - 474, 2008/06
被引用回数:16 パーセンタイル:62.77(Engineering, Electrical & Electronic)ITER-TFコイルは、18個のD型コイルで構成されている。運転電流値は68kA、最大磁場は11.8Tである。導体はNbSnのケーブル・イン・コンジット(CIC)型で、中心チャンネルを有し、単長は約800mである。撚線は、外径が0.82mmのNbSn素線900本と銅線522本で構成されている。製作された導体の性能を評価するために、長さ約3.5mの実寸導体を用いて、コイル運転条件における超伝導性能を測定した。サンプル導体は、ブロンズ法と内部拡散法の2種類のNbSn素線が用いられ、それぞれボイド率が29%と33%の2レベルで、合計4本の導体が試験された。試験の結果、最高磁場11.8T,電流値68kAにおける分流開始温度は、ブロンズ法で6.5-6.7K、内部拡散法で5.7-5.9Kであった。ボイド率の小さい方が0.1-0.2K程度高い温度を示した。どちらも、設計温度5.7K以上であることが確認できた。また、素線の超伝導特性と比較すると、素線に加わった歪みは約-0.7%であった。この値は妥当なものと考えられる。
濱田 一弥; 中嶋 秀夫; 河野 勝己; 高野 克敏; 堤 史明; 奥野 清; 藤綱 宣之*; 手島 修*
低温工学, 43(6), p.244 - 251, 2008/06
ITER中心ソレノイド(CS)用超伝導導体に使用するコンジット材は、低熱収縮率特性,高強度及び高靱性が要求され、650C240時間のNbSn超伝導生成熱処理(時効処理)に耐える必要がある。原子力機構が開発した高マンガン(Mn)鋼JK2は、上述の特性を満たす候補材料と考えられるが、高温での加工特性及び時効処理後の靭性の劣化を改善する必要があった。このため、これらの特性を改善した低炭素・ボロン添加型JK2(JK2LB)を開発した。JK2LB鋼をコンジットに使用するためには、冷間加工及び時効処理が機械強度に及ぼす影響を把握して、化学成分範囲や製造方法に反映する必要がある。本研究では、まず化学成分を変えたJK2LBサンプルに冷間加工を加え、機械特性の変化を測定し、コンジットに適した化学成分範囲を決定した。次に、JK2LB鋳造インゴットの内部品質を調査し、これを反映して素材の溶製工程の合理化を図った。さらに、最適な結晶粒径を得るための溶体化熱処理温度を調査した。以上の研究によって、冷間加工や時効処理が加えても、ITERの要求特性(耐力900MPa以上,破壊じん性(K(J)130MPa以上)を満たすコンジットの製作に成功した。
高橋 良和
超電導Web21(インターネット), (2008年1月), p.25 - 26, 2008/01
イーター計画では、2005年に建設サイトを南フランスのカダラッシュに決定し、2006年11月にITER協定が7極(日本・米国・ロシア・EU・韓国・中国・インド)により正式に調印した。その後、それぞれの極内において協定の批准を行い、2007年10月24日にITER協定が発効するとともに、ITER機構が正式に発足した。また、時を同じくして、日本国内の実施機関として、日本原子力研究開発機構が政府より指名された。そこで、昨年から現在までのITER計画の進捗状況及び日本の分担について、わかりやすく説明した。
濱田 一弥; 中嶋 秀夫; 河野 勝己; 高野 克敏; 堤 史明; 奥野 清
Fusion Engineering and Design, 82(5-14), p.1481 - 1486, 2007/10
被引用回数:17 パーセンタイル:73.75(Nuclear Science & Technology)国際熱核融合実験炉(ITER)のトロイダル磁場(TF)コイル構造物は、コイル容器,コイル間支持構造物及びラジアル・プレートから構成される。これらの構造物は溶接構造物であり、極厚のJJ1及び強化型316LN鋼(ST316LN)が使用される。コイル構造物の応力の高い部分に使用される材料に対するITERの4Kでの機械的要求値は、0.2%耐力に関してはJJ1鋼が1000MPa以上、ST316LN鋼は850MPa以上、破壊靱性値については両者とも200MPam以上である。日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、これらの材料の製作性と機械的特性を確認するために、実機規模での材料製作を実施した。実機と同じ製造設備とプロセスを用いて、11tonの鍛造JJ1ブロック,26tonの鍛造316LN鋼,200mm及び140mm厚さのST316LN熱間圧延板(合計17ton)を試作し、これらの材料から機械試験片を切り出し、4Kでの試験を実施した。測定された破壊靱性値は200MPam以上、0.2%耐力の平均値は、JJ1, ST316LN鍛造材,ST316LN熱間圧延板についてそれぞれ、1,126MPa, 1,078MPa, 1,066MPaであった。以上の結果により、ITERの機械的要求値を満たす、JJ1及びST316LN鋼を実機規模で製作できることを確認し、ITER調達準備が大きく進展した。