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下條 貴史*; 河合 洋明*; 若原 昭浩*; 岡田 浩*; 佐藤 真一郎; 大島 武
no journal, ,
近年、MBE法によりEuを添加したGaNで光励起によるレーザ発振が確認されているが、今回は光増幅器等への応用の可能性を調べるため、Euをイオン注入したAlGaNの光学利得の評価を行った。試料は有機金属気相結晶成長法(Organo-Metallic Vapor Phase Epitaxy: OMVPE)で厚さ1mのAlGaN層を成長し、これにEuをcm, 350keV, 室温の条件でイオン注入したものを用いた。Eu注入層の厚さは濃度分布の半値幅で評価すると約50nmである。イオン注入後は損傷回復のためにNH:N雰囲気中で1100C,2分間のアニール処理を行った。光学利得の測定は室温でVariable Stripe Length(VSL)法を用いて行い、光源はArFエキシマレーザ(波長193nm,パルス幅25ns)を使用し、パワー密度は800kW/cmとした。励起領域の長さに対する発光強度の関係を求め、その結果から光学利得は124cmと求められた。この値は注入損傷のないMBE法でのEu添加と比較しても同程度の値であり、イオン注入法を用いた希土類添加III族窒化物半導体による光デバイスが可能であると考えられる。
岡田 浩*; 竹本 和正*; 下條 貴史*; 秦 貴幸*; 古川 雄三*; 若原 昭浩*; 佐藤 真一郎; 大島 武
no journal, ,
発光素子とトランジスタを一体にした新しい窒化物半導体三端子型発光デバイスを開発し、その特性を評価した。デバイスの作製には-AlO(0001)基板上に有機金属気相成長法(MOVPE)によってエピタキシャル成長したAlGaN/GaNのHEMT構造を用いた。まず、イオン注入のマスク層としてSiO層を堆積し、フォトリソグラフィーにより注入領域の窓開けを行った後に、Euを200keV, 510cmでイオン注入した。イオン注入後はNHとN混合ガス雰囲気中で1050C, 60分間のアニールを行った。その結果、作製したデバイスは、室温においてゲートバイアスによるドレイン電流制御性を含む良好なFET動作を示した。チャネルにイオン注入を行ったデバイスでは、イオン注入を行わなかったデバイスに比べるとチャネル抵抗の増大が見られ、またドレイン電極端で赤色の発光が観測された。これらの結果は衝突励起によりEuからの発光が得られたことを示しており、このような従来デバイスと異なる発光機構を持つデバイスは、放射線性損傷に強い宇宙用発光素子として期待できる。