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論文

Corrosion behavior of cold-worked austenitic stainless steels in liquid lead-bismuth eutectic

倉田 有司

Journal of Nuclear Materials, 448(1-3), p.239 - 249, 2014/05

 被引用回数:18 パーセンタイル:7.29(Materials Science, Multidisciplinary)

液体鉛ビスマスと鋼材の両立性は、加速器駆動システムを開発する上で、重要な研究課題である。オーステナイト系ステンレス鋼では、耐照射性向上のため冷間加工を施すことが想定される。本論文では、オーステナイト系ステンレス鋼の液体鉛ビスマス中腐食挙動に及ぼす冷間加工の影響を検討した。溶体化、20%冷間加工, 50%冷間加工した316SS及びJPCA(15Cr-15Ni-Ti)の腐食試験を、酸素濃度をコントロールした液体鉛ビスマス中で実施した。500$$^{circ}$$Cで中間の酸素濃度(1.4$$times$$10$$^{-7}$$wt.%)の鉛ビスマス中では、フェライト化がわずかに認められた。550$$^{circ}$$C, 1000hの低酸素濃度(4.2$$times$$10$$^{-9}$$wt.%)の鉛ビスマス中では、冷間加工度の増加とともに、316SS, JPCAのフェライト化深さは増加した。550$$^{circ}$$Cで高酸素濃度(10$$^{-5}$$wt.%程度)の鉛ビスマスの場合、1000hでは酸化のみが観察されたが、3000hでは酸化,フェライト化とPb-Biの侵入が起こり、冷間加工はフェライト化とPb-Bi侵入を加速した。オーステナイト系ステンレス鋼の冷間加工は鉛ビスマス中の腐食を加速する例が多いことから、耐照射性だけでなく耐食性についても注意することが必要である。

論文

Corrosion behavior of Si-enriched steels for nuclear applications in liquid lead-bismuth

倉田 有司

Journal of Nuclear Materials, 437(1-3), p.401 - 408, 2013/06

 被引用回数:17 パーセンタイル:10.42(Materials Science, Multidisciplinary)

液体鉛ビスマスと鋼材の両立性は、加速器駆動システムや鉛ビスマス冷却炉を開発するうえで、重要な研究課題である。Siを添加した鋼材は、鉛ビスマスとの優れた両立性が期待される。原子力システムへの適用を目的として、2.5wt.%のSiを添加した316SS及び1.5wt.%のSiを添加したMod.9Cr-1Mo鋼が製造された。本論文では、これらの鋼材の液体鉛ビスマス中における腐食試験結果を報告する。腐食試験は550$$^{circ}$$Cで酸素濃度を2.5$$times$$10$$^{-5}$$wt.%及び4.4$$times$$10$$^{-8}$$wt.%にコントロールした2条件で実施された。316SSへの2.5wt.%のSi添加及びMod.9Cr-1Mo鋼への1.5wt.%のSi添加は、高酸素濃度の鉛ビスマス中では形成する酸化膜の厚さを減少させる効果があった。これに対して、10$$^{-8}$$wt.%程度の低酸素濃度の鉛ビスマス中では、形成した酸化膜は、Ni溶出あるいはPb, Biの侵入を防ぐ十分な防護性を保持してはいないことがわかった。

論文

Progress review of research and development on accelerator driven system in JAEA

大井川 宏之; 辻本 和文; 佐々 敏信; 倉田 有司; 武井 早憲; 斎藤 滋; 西原 健司; 大林 寛生; 菅原 隆徳; 岩元 大樹

KURRI-KR(CD)-40 (CD-ROM), p.16 - 30, 2013/00

原子力機構では、高レベル放射性廃棄物に含まれるマイナーアクチノイド(MA)の核変換を目的とした加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発を進めている。熱出力800MWのADSが1基で、電気出力1GWの軽水炉10基で生じるMAを核変換できる。原子力機構では、超伝導陽子加速器、核破砕ターゲットとビーム窓、未臨界炉心の核設計と安全性評価等に関するさまざまな研究開発を進めている。さらに、核変換技術に関する基礎的な実験を行うため、J-PARCの第2期計画として核変換実験施設の建設を検討している。

論文

Development of aluminum powder alloy coating for innovative nuclear systems with lead-bismuth

倉田 有司; 佐藤 英友*; 横田 仁志*; 鈴木 徹也*

Proceedings of 2nd International Workshop on Structural Materials for Innovative Nuclear Systems (SMINS-2), p.177 - 188, 2012/12

液体鉛ビスマスは、長寿命放射性核種の核変換処理を目的とした加速器駆動システムや高速炉などの革新的原子力システムにおいて使用することが検討されている。このシステムの課題の一つは、鉛ビスマスによる腐食に対する鋼材の耐食性確保である。本研究では、鋼材の耐食性確保のため、Al粉末合金被覆法の開発を行った。Al, Ti, Fe粉末から作製したシート材をSUS316基材に載せ、レーザー加熱によって、Al合金被覆を施した。被覆層のAl濃度の制御は、シート材の組成,レーザーの走査速度などを調整することにより、可能となった。被覆を施した試験片を供試材として、酸素濃度を制御した550$$^{circ}$$Cの鉛ビスマス中で、1,000h及び3,000hの腐食試験を行った。腐食試験の結果、レーザー走査速度が遅く、Al濃度が5$$sim$$8mass%の被覆が、SUS316で観察された鉛ビスマスによる激しい腐食を防いでいることがわかった。

論文

Development of Al-alloy coating for advanced nuclear systems using lead alloys

倉田 有司; 横田 仁志*; 鈴木 徹也*

Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, 134(6), p.062902_1 - 062902_7, 2012/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:70.82(Engineering, Mechanical)

鉛合金を用いる原子力システムは、安全性の高い高速炉システム概念の一つとして有望であるが、液体鉛合金は高温で鋼材に対する腐食性が強いため、鋼材の耐食性を改善することが必要である。本論文は、液体鉛ビスマスを用いた原子力システムのために開発したAl, Ti, Fe粉末を用いレーザービーム加熱を利用したAl合金被覆法について記述している。このAl合金被覆において、形成される主な欠陥は、表面欠陥とクラックである。これらの欠陥をなくすためには、レーザービーム走査速度を下げること及び被覆層のAl濃度の調整が有効である。550$$^{circ}$$Cの液体鉛ビスマス中での腐食試験により、316SS上のAl合金被覆層は、被覆なしの316SSで顕著であった粒界腐食や鉛ビスマスの侵入を防いでいることがわかった。Al合金被覆の優れた耐食性は、鉛ビスマス中で再生される薄いAl酸化膜によっていることを明らかにした。Al合金被覆層の健全性と耐食性保持の観点から、適切なAl濃度の範囲は4-12wt%であることを示した。

論文

Development of aluminum-alloy coating on type 316SS for nuclear systems using liquid lead-bismuth

倉田 有司; 横田 仁志*; 鈴木 徹也*

Journal of Nuclear Materials, 424(1-3), p.237 - 246, 2012/05

 被引用回数:10 パーセンタイル:25.58(Materials Science, Multidisciplinary)

加速器駆動核変換システム等の液体鉛ビスマスを使用する原子力システムのために、Al, Ti, Fe粉末とレーザービーム加熱を用いたAl合金被覆法を開発した。ここで開発した被覆処理において形成される主な欠陥は、表面欠陥とクラックであった。これらの欠陥をなくすために被覆条件の最適化が行われた。550$$^{circ}$$Cで10$$^{-6}$$$$sim$$10$$^{-3}$$ wt%に酸素濃度を制御した液体鉛ビスマス中で、3000hの静的腐食試験を実施した。その結果、316ステンレス鋼上のAl合金被覆層は、被覆なしの316ステンレス鋼で認められた激しい腐食(Ni溶出,粒界腐食,鉛ビスマスの侵入等)を防いでいることがわかった。最適条件で被覆した表面欠陥やクラックのないAl合金被覆層は、550$$^{circ}$$Cの液体鉛ビスマス中で優れた耐食性を示す。

論文

Present status for research and development on accelerator driven system in JAEA

辻本 和文; 大井川 宏之; 倉田 有司; 西原 健司; 菅原 隆徳; 武井 早憲; 斎藤 滋; 大林 寛生; 岩元 大樹

Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/12

原子力エネルギーを持続的に利用していくための最も重要な課題の一つは高レベル放射性廃棄物(HLW)の取り扱いである。分離変換技術は、HLWの潜在的有害度やHLWの地層処分に関する管理負担を低減有効であると考えられ、原子力機構ではHLW中の長寿命核種の核変換システムの一つとして加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発を行ってきている。原子力機構が提案しているADSは、熱出力800MWの液体鉛ビスマス冷却システムである。ADSの実現には解決すべき課題が幾つかあるが、大きく以下の3つの分野に分けることができる;(1)ADS用超伝導加速器の開発,(2)液体鉛ビスマス関連技術開発,(3)未臨界炉の炉心設計。これらの技術開発課題に関して、原子力機構ではさまざまな研究開発を実施しており、本発表では現在の研究開発の状況及び将来計画について報告する。

論文

Application of electromotive force measurement in nuclear systems using lead alloys

倉田 有司

Electromotive Force and Measurement in Several Systems, p.107 - 124, 2011/10

イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を固体電解質、白金/ガスを参照極とした酸素センサーによる起電力測定は、液体鉛ビスマス中の酸素濃度をオンラインで正確に計るための有用で信頼できる方法である。白金/ガス参照極センサーの精度は、酸素濃度既知のガスや飽和酸素濃度の鉛ビスマスを用いた起電力測定によって確かめられた。この白金/ガス参照極センサーは、450$$^{circ}$$C以上で鉛ビスマス中の酸素濃度を正確に測定することができる。また、白金/ガス参照極のYSZセンサーであっても、YSZ外表面への異物の付着などにより、異常出力を出すことがある。このような場合、YSZ外表面の白金処理により、異常出力を出すようになったYSZセンサーを再活性化することが可能である。このような利点を持った白金/ガス参照極センサーは、液体鉛ビスマス中の酸素濃度をモニターするための信頼できるセンサーとして、長時間にわたって使用されている。

論文

Development of aluminum alloy coating for advanced nuclear systems using lead alloys

倉田 有司; 横田 仁志*; 鈴木 徹也*

Proceedings of ASME 2011 Small Modular Reactors Symposium (SMR 2011) (CD-ROM), 7 Pages, 2011/09

鉛合金を用いる中小型原子力システムは、安全性を向上させた高速炉システム概念の一つとして有望である。液体鉛合金は高温で鋼材に対する腐食性が強いため、鋼材の耐食性を改善することが必要である。本論文は、液体鉛ビスマスを用いた原子力システムのためのAl合金被覆の開発に焦点を当てている。Al, Ti, Fe粉末を用い、レーザービーム加熱を利用したAl合金被覆法が開発された。このAl合金被覆において、形成される主な欠陥は、表面欠陥とクラックであった。これらの欠陥をなくすための条件は、レーザービーム走査速度を下げることと被覆層のAl濃度の調整である。550$$^{circ}$$Cの液体鉛ビスマス中での腐食試験により、316SS上のAl合金被覆層は、被覆なしの316SSで顕著であった粒界腐食や鉛ビスマスの侵入を防いでいることがわかった。Al合金被覆の優れた耐食性は、鉛ビスマス中で再生される薄いAl酸化膜によっていることが明らかになった。Al合金被覆層の健全性と耐食性保持の観点から、適切なAl濃度の範囲は4$$sim$$12wt%である。

論文

Corrosion experiments and materials developed for the Japanese HLM systems

倉田 有司

Journal of Nuclear Materials, 415(3), p.254 - 259, 2011/08

 被引用回数:11 パーセンタイル:24.46(Materials Science, Multidisciplinary)

日本では、加速器駆動システムや重金属冷却炉に用いられる鉛ビスマス中での腐食試験やこれらのシステムのために開発された材料の研究が行われている。種々の鉄鋼材料の腐食試験により、鉛ビスマス腐食における温度依存性,酸素濃度依存性,鋼材中の元素の影響が明らかにされた。鋼材中のCr, Ni, Siの影響が再確認され、316ステンレス鋼やMod.9Cr-1Mo鋼に、Siを増量した鋼材の腐食試験が行われた。Siを増量した316ステンレス鋼やMod.9Cr-1Mo鋼は、鉛ビスマス中である程度の耐食性向上を期待することができるが、酸素濃度の変動やより高温での使用を考慮すると、この方法による耐食性改良には限界が認められた。そのため、鉛ビスマス中でより強固な保護的酸化膜の形成を期待できるAlを含む合金層を被覆する方法を開発した。このAl粉末合金被覆法によって作製した試料は、550$$^{circ}$$Cの鉛ビスマス中の腐食試験で、優れた耐食性を示すことがわかった。

論文

Role of ADS in the back-end of the fuel cycle strategies and associated design activities; The Case of Japan

大井川 宏之; 辻本 和文; 西原 健司; 菅原 隆徳; 倉田 有司; 武井 早憲; 斎藤 滋; 佐々 敏信; 大林 寛生

Journal of Nuclear Materials, 415(3), p.229 - 236, 2011/08

 被引用回数:28 パーセンタイル:5.33(Materials Science, Multidisciplinary)

分離変換技術は高レベル放射性廃棄物(HLW)の放射性毒性の総量を大幅に削減するとともに、処分場の可処分容量を増加させる可能性を持つ。加速器駆動核変換システム(ADS)は、階層型核燃料サイクルにおいてHLW中のマイナーアクチノイド(MA)を効果的に核変換するための強力なツールであり、軽水炉から高速炉への移行期に柔軟に対応できるとともに、高速炉サイクルと共存することでサイクル全体の信頼性や安全性を補強することができる。原子力機構では鉛ビスマス冷却ADSの設計を進めており、特に未臨界炉と核破砕ターゲットの設計に注力している。日本では、原子力委員会が2008年から2009年にかけてチェックアンドレビューを行い、分離変換技術の導入効果,研究開発の現状及び今後の進め方が議論された。

論文

Investigation of safety for accelerator-driven system

菅原 隆徳; 西原 健司; 辻本 和文; 倉田 有司; 大井川 宏之

Proceedings of 1st International Workshop on Technology and Components of Accelerator-driven Systems (TCADS-1), p.347 - 357, 2011/06

加速器駆動未臨界システム(ADS)は、未臨界状態で外部中性子源により運転されることから、一般的な臨界炉に比べて安全性が高いとされている。本検討では、ADSで起こりうる異常な事象を系統的に整理し、炉心損傷の可能性が考えられる事象について詳細な安全解析を実施することで、ADSが炉心損傷の可能性を包含していないかどうかを検討した。レベル1PSAの結果に基づいて異常な事象を整理し、その結果を踏まえて安全解析を行った結果、対象としたすべての事象で炉心損傷は起こらず、再臨界事故も起こらない結果が得られた。基準外事象においては クリープ破断による炉心損傷の可能性が考えられるものの、その発生頻度は極めて低く、対象としたADSは炉心損傷及び損傷に伴う再臨界の可能性が非常に低いシステムであるといえる。

論文

Applicability of Al-powder-alloy coating to corrosion barriers of 316SS in liquid lead-bismuth eutectic

倉田 有司; 佐藤 英友*; 横田 仁志*; 鈴木 徹也*

Materials Transactions, 52(5), p.1033 - 1040, 2011/05

 被引用回数:4 パーセンタイル:61.61(Materials Science, Multidisciplinary)

加速器駆動システムに用いる液体鉛ビスマス中での耐食材料を開発するため、Al, Ti, Fe粉末を用いた新しい被覆法をSUS316に適用した。異なるAl濃度の被覆を施したSUS316試験片を用いて、10$$^{-6}$$$$sim$$10$$^{-4}$$mass%に酸素濃度をコントロールした550$$^{circ}$$Cの鉛ビスマス中で、1000hの腐食試験を実施した。被覆なしのSUS316では鉛ビスマスの侵入を伴う粒界腐食などが観察されたが、Al合金被覆はそのような厳しい腐食を防ぐのに有効であることがわかった。2.8mass%のAlを含む被覆層は必ずしも十分な腐食抵抗を示さない場合があったが、4.2mass%のAlを含む被覆層は優れた耐食性を示した。Al濃度が17.8mass%の被覆層では、被覆処理中にクラックが発生した。Al濃度を約4mass%以上とした粉末Al合金被覆は、液体鉛ビスマスに対する耐食被覆として有望である。

論文

Study on the structural integrity of fuel claddings against beam trips for accelerator-driven system

武井 早憲; 西原 健司; 倉田 有司; 辻本 和文; 大井川 宏之

Proceedings of 19th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-19) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/05

大強度陽子ビームなどを加速する加速器では、経験的にビームトリップ事象が頻繁に発生することが知られており、加速器駆動未臨界システム(ADS)の燃料被覆管に熱疲労による強度的な影響を与えるおそれがある。この影響を評価するため、定常状態とビームトリップによる過渡状態における燃料被覆管に生じる熱応力を評価した。まず定常状態における評価では、発生する熱応力を一次応力と二次応力に分け、改良9Cr-1Mo鋼の制限値と比較した。その結果、すべての熱応力は制限値よりも小さくなり、燃料被覆管は構造的な強度を有することがわかった。次に、ビームトリップによる過渡状態における評価では、一次応力と二次応力から算出される歪み振幅から許容ビームトリップ頻度を求めた。その結果、許容ビームトリップ頻度は年$$5times10^5$$以上となり、燃料被覆管はADS用加速器で予想されるビームトリップ頻度より20倍以上のビームトリップ事象を許容できることがわかった。

論文

Conceptual design study of beam window for accelerator-driven system

菅原 隆徳; 西原 健司; 大林 寛生; 倉田 有司; 大井川 宏之

Journal of Nuclear Science and Technology, 47(10), p.953 - 962, 2010/10

加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発において、核破砕ターゲット領域におけるビーム窓の概念設計研究は最も重要な課題の一つである。本研究では、陽子ビームプロファイルをこれまでのガウス分布から放物線分布及びフラット分布に変えることによって、より実現性の高い概念を提示することを試みた。具体的には、陽子・中性子輸送計算,液体鉛ビスマスターゲット領域の熱流動解析,ビーム窓の構造解析の各解析を詳細に行った。その結果、ガウス分布から放物線及びフラット分布に変えることで、これまで問題となっていたビーム窓先端部の熱負荷の削減を達成した。これにより、放物線分布の場合、座屈に対する耐性(座屈圧力)が約20%向上した。一方、フラット分布の場合、ビーム窓先端部の代わりにビーム窓周辺部での熱負荷が増加し、座屈圧力はほとんど向上しない結果となった。これらの結果から、現在のADS設計条件においては、本論文で提示した放物線分布が最もよい概念といえる。

報告書

鉛ビスマス冷却加速器駆動システムを用いた核変換技術の成立性検討

辻本 和文; 西原 健司; 武井 早憲; 菅原 隆徳; 倉田 有司; 斎藤 滋; 大林 寛生; 佐々 敏信; 菊地 賢司*; 手塚 正雄; et al.

JAEA-Research 2010-012, 59 Pages, 2010/07

JAEA-Research-2010-012.pdf:2.0MB

加速器駆動システム(ADS)において核破砕ターゲット及び冷却材として用いられる鉛ビスマス共晶合金(LBE)に関する研究やビーム窓候補材料に対する照射試験等により新たに得られたデータや知見に基づき、ADS概念の再構築を行い、その成立性を検討した。炉心の核・熱設計では、燃料被覆管候補材である改良9Cr-1Mo鋼のLBE中での最高使用温度の目安値を550$$^{circ}$$Cと設定し、熱出力800MWを維持するのに必要なビーム電流を可能な限り低減する概念を構築した。この炉心概念について、1サイクル600日の運転期間中の燃料被覆管及びビーム窓の健全性評価を行った。その結果、温度及び腐食並びに未照射条件での構造強度について、高い成立性を有することを確認した。材料特性に対する照射影響に関しては、既存データからの類推等により実機ADSの使用条件下においては影響がそれほど大きくはないことを示したが、今後の実験データのさらなる拡充が必要であり、その結果によっては運転サイクルの短縮等の対処が必要となる。ADSの安全性に関する検討では、レベル1PSA(確率論的安全評価)及び基準外事象の過渡解析を行い、炉心損傷及び損傷に伴う再臨界の可能性が非常に低いことを明らかにした。

論文

Characterization and re-activation of oxygen sensors for use in liquid lead-bismuth

倉田 有司; 阿部 勇治*; 二川 正敏; 大井川 宏之

Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.165 - 171, 2010/03

 被引用回数:11 パーセンタイル:29.27(Materials Science, Multidisciplinary)

液体鉛ビスマスは、長寿命放射性核種の核変換処理を目的とした加速器駆動システムや高速炉において使用することが検討されている。このシステムでは、酸素濃度をコントロールすることが必要であり、酸素センサーはそのための重要な機器である。本研究では、酸素センサーの特性評価と鉛ビスマス中で正しい起電力を示さなくなったセンサーの再活性化処理を検討した。主として実験に用いた酸素センサーは、固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を使用し、Pt/ガスを参照極としたセンサーである。Pt/ガス参照極センサーは、400あるいは450$$^{circ}$$C以上で、ガス中及び鉛ビスマス中で、理論値とほぼ等しい起電力を示すことがわかり、6000h以上、鉛ビスマス中で使用された。その後、このセンサーは、正しい起電力を示さない状態になったが、YSZ表面の硝酸洗浄によって、この状態から回復させることはできなかった。しかしながら、センサーのYSZ表面に再活性化処理を施すことにより、このセンサーは、約400$$^{circ}$$C以上の鉛ビスマス中で、理論値に近い起電力を示すようになることがわかった。

論文

Investigation of beam window structure for accelerator-driven system

菅原 隆徳; 鈴木 一彦; 西原 健司; 佐々 敏信; 倉田 有司; 菊地 賢司; 大井川 宏之

Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), 11 Pages, 2010/00

加速器駆動未臨界システム(ADS)の成立性にかかわる課題の1つであるビーム窓の健全性確保について、有限要素法による構造解析を行い、成立性の高い設計概念の検討を行った。これまでの研究から、座屈防止が最も重要であることが確認されていたので、座屈防止を図るため、ビーム窓の板厚について、有限要素法コードによるパラメトリックサーベイを行い、ビーム窓形状の最適化を行った。併せて座屈評価上の安全率を合理化することを目的に、不整量を考慮した座屈解析も行い、ビーム窓のための安全率について検討を行った。検討の結果、ビーム窓の安全率として3程度を確保すれば十分であることを確認し、これによりビーム窓の基本的な成立性の見通しを得ることができた。安全率3、設計外圧を1.0MPaとして、パラメトリックサーベイの結果を評価した結果、先端部の板厚を2.0-2.4[mm]とし、遷移部の板厚を2.0-4.0[mm]の範囲とする長円型の概念が、現在のADS設計概念に対して最も成立性が高いことがわかった。

論文

Results of corrosion tests in liquid Pb-Bi at JAEA; Temperature and oxygen concentration dependence, and corrosion properties of Si-enriched steels

倉田 有司; 斎藤 滋

Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), 11 Pages, 2010/00

加速器駆動核変換システムの核破砕ターゲット及び冷却材の候補材料である液体鉛ビスマス中での腐食特性を調べるため、種々の鋼材の静的腐食試験を実施した。実験結果より、温度,鉛ビスマス中の酸素濃度,鋼材中のCr, Ni, Siの腐食挙動に及ぼす影響を評価した。試験温度範囲は450-600$$^{circ}$$Cである。温度の上昇は腐食の活性化をもたらし、550$$^{circ}$$C以上では、粒界腐食,鉛ビスマスの浸入,フェライト化が激しくなる。酸素濃度が下がると、450$$^{circ}$$Cでは、純鉄,316SSで明らかな影響が認められ、550$$^{circ}$$Cでは、低酸素濃度で、腐食はさらに激しくなる。Siを1.5%添加したMod.9Cr-1Mo鋼及びSiを2.5%添加した316SSでは、550$$^{circ}$$C飽和酸素の条件下で、添加したSiの耐食性改良効果が認められた。

報告書

加速器駆動未臨界システムの安全性検討;異常事象の検討と事故事象の安全解析

菅原 隆徳; 西原 健司; 辻本 和文; 倉田 有司; 大井川 宏之

JAEA-Research 2009-024, 83 Pages, 2009/09

JAEA-Research-2009-024.pdf:21.99MB

加速器駆動未臨界システム(ADS)は、未臨界状態で外部中性子源により運転されることから、一般的な臨界炉に比べて安全性が高いとされている。本検討では、ADSで起こりうる異常な事象を系統的に整理し、炉心損傷の可能性が考えられる事象について詳細な安全解析を実施することで、ADSが炉心損傷事故の可能性を包含していないかどうか検討した。レベル1 PSAの結果に基づいて異常な事象を整理し、その結果を踏まえて安全解析を行った結果、対象としたすべての事象で炉心損傷は起こらず、再臨界事故も起こらない結果が得られた。基準外事象においては、クリープ破断による炉心損傷の可能性が考えられるものの、その発生頻度は極めて低く、対象としたADSは炉心損傷及び損傷に伴う再臨界の可能性が非常に低いシステムであるといえる。

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