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論文

Tolerance of spin-Seebeck thermoelectricity against irradiation by swift heavy ions

岡安 悟; 針井 一哉*; 小畠 雅明; 吉井 賢資; 福田 竜生; 石田 真彦*; 家田 淳一; 齊藤 英治

Journal of Applied Physics, 128(8), p.083902_1 - 083902_7, 2020/08

The ion-irradiation tolerance of thermoelectric devices based on the spin Seebeck effect (SSE) was investigated by using 320 MeV gold ion (Au$$^{24+}$$) beams modeling cumulative damages due to fission products emitted from the surface of spent nuclear fuels. For this purpose, prototypical Pt/Y$$_3$$Fe$$_5$$O$$_{12}$$/Gd$$_3$$Ga$$_5$$O$$_{12}$$ SSE elements were irradiated with varying the dose level at room temperature and measured the SSE voltage of them. We confirmed that the thermoelectric and magnetic properties of the SSE elements are not affected by the ion-irradiation up to $$10^{10}$$ ions/cm$$^2$$ fluence and that the SSE signal is extinguished around $$10^{12}$$ ions/cm$$^2$$, in which the ion tracks almost fully cover the sample surface. We also performed the hard X-ray photoemission spectroscopy (HAXPES) measurements to understand the effects at the interface of Pt/Y$$_3$$Fe$$_5$$O$$_{12}$$. The HAXPES measurements suggest that the chemical reaction that diminishes the SSE signals is enhanced with the increase of the irradiation dose. The present study demonstrates that SSE-based devices are applicable to thermoelectric generation even in harsh environments for a long time period.

論文

Hard X-ray photoelectron spectroscopy study of Pt/Y$$_{3}$$Fe$$_{5}$$O$$_{12}$$

小畠 雅明; 吉井 賢資; 福田 竜生; 川崎 郁斗; 岡根 哲夫; 山上 浩志; 矢板 毅; 針井 一哉; 家田 淳一; 岡安 悟; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 30, p.011192_1 - 011192_6, 2020/03

スピンゼーベック効果を示す系として注目されているPt/Y$$_{3}$$Fe$$_{5}$$O$$_{12}$$(YIG)系に対し、放射光を用いた硬X線光電子分光(HAXPES)により表面及び界面の電子状態測定を行った。本系ではスピンゼーベック効果のほかに特異な性質を示すことが報告されている。例えば、外部磁場が存在しない状況でもホール効果を発現する。この起源として、YIG中のFe$$^{3+}$$イオンがPt膜に染み出し、磁性を持つ金属間化合物を生成している可能性が提案されている。そこでHAXPESの分析深さを利用し、界面近傍の鉄イオン等の電子状態を測定した。Ptの厚みが2nm, 5nm, 8nm, 10nmの試料を測定したところ、2nmと5nmの試料において鉄イオンの分析を行うことができた。Fe 1s光電子スペクトルからは、鉄イオンが3+のものと金属的な0価に近い2つの状態が存在することが判明し、上記の可能性を支持する結果が得られた。Pt 4fやO 1sスペクトルなども測定しており、詳しい結果は当日報告する。

論文

Weak-coupling mean-field theory of magnetic properties of NiGa$$_{2}$$S$$_{4}$$

野村 拓司*; 山本 裕史*; 吉井 賢資

Journal of the Physical Society of Japan, 89(2), p.024704_1 - 024704_10, 2020/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Multidisciplinary)

三角格子上のスピン系の磁性は物性物理の分野で古くから取り扱われている。スピン間に反強磁性的相互作用が存在する場合は、フラストレーションにより複雑な磁気状態が発生すること等から、様々な系の性質が調べられている。本系では、このような系の一つであるNiGa$$_{2}$$S$$_{4}$$の性質を平均場近似により調べた。バンド計算で求まった電子状態を基にしたHatree-Fock法により、中性子回折で観測されているインコメンシュレートなスピン秩序状態を再現することができた。Ni 3d電子間のクーロン相互作用は2eV程度と小さく、Niスピンの値もS=1.1ボーア磁子程度と小さいことから、弱相関系でありNi-Sの共有結合が強いことも判明した。スピン間の相関関数を求めたところ、中性子非弾性散乱の結果と矛盾しない結果も得られた。

論文

X-ray absorption spectroscopy and magnetocaloric study of Pr$$_{1-x}$$Sr$$_{x}$$CoO$$_{3}$$ (0$$leq x leq$$0.5)

松村 大樹; 辻 卓也; 吉井 賢資

Materials Chemistry and Physics, 238, p.121885_1 - 121885_5, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Materials Science, Multidisciplinary)

ペロブスカイトPr$$_{1-x}$$Sr$$_{x}$$CoO$$_{3}$$(0$$leq x leq$$0.5)についてX線吸収分光測定を行うとともに、x=0.5で観測される110Kの磁気異常の起源を探るため磁気熱量効果測定を行った。Co${it K}$吸収端のX線吸収測定からは、xが増えるとともにCoの原子価が増加し、Co-O結合距離が縮まることが分かった。また、CoO$$_{6}$$多面体の歪みも増大することが分かった。Co-O結合距離の縮み方は、xが大きいほど大きいことも分かった。測定温度範囲である17-300Kでは、Co${it K}$吸収端の吸収スペクトルには異常は見られなかった。磁気熱量効果の結果と合わせ、110Kの異常は磁気構造の変化であることが分かった。

論文

Dielectric and magnetocaloric study of TmCrO$$_{3}$$

吉井 賢資; 池田 直*

Journal of Alloys and Compounds, 804, p.364 - 369, 2019/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:66.53(Chemistry, Physical)

ペロブスカイトTmCrO$$_{3}$$の誘電性と磁気熱量効果について調べた。この物質は最近、磁気秩序温度125K以下においてCrスピンの弱強磁性秩序と強誘電性が共存するマルチフェロイック物質であると報告されている。誘電応答からは、室温近傍で10000程度の大きな誘電率が観測されたものの、交流抵抗の解析などから、これは伝導キャリアの応答によるものであることが分かった。磁気熱量効果の測定からは、磁気転移温度125Kでの転移は2次であり、もしマルチフェロイックであれば期待されうる磁歪は存在しないことが強く示唆された。すなわち、この物質が強誘電性を持つことは示されなかった。

論文

Spin rotation, glassy state, and magnetization switching in ${it R}$CrO$$_{3}$$ (${it R}$=La$$_{1-x}$$Pr$$_{x}$$, Gd, and Tm); Reinvestigation of magnetization reversal

吉井 賢資

Journal of Applied Physics, 126(12), p.123904_1 - 123904_8, 2019/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Applied)

標記3種のペロブスカイトクロム酸化物の磁性で観測される負の磁化について再検討し、この現象が希土類スピンの回転と関連することを提案する。負の磁化は熱力学的に不安定で通常見られず、近年、新しい磁化反転機構として提案されている現象である。例えば系の一つLa$$_{1-x}$$Pr$$_{x}$$CrO$$_{3}$$では、xが0.85から微小量増えるだけで負の磁化が観測されなくなる。この現象につき、希土類スピンが低温で回転相転移を起こすGdCrO$$_{3}$$やTmCrO$$_{3}$$などと比較し、La$$_{1-x}$$Pr$$_{x}$$CrO$$_{3}$$でも希土類スピンが磁場に対して回転することが負の磁性と関係すると提案した。また交流帯磁率測定により、スピン回転は低温での単分子磁石的なスピングラス挙動の起源であることも分かった。単分子磁石は高密度メモリ等の応用可能性がある系として盛んに研究されており、応用的に興味深い結果である。また、スピン回転を利用することにより、外部磁場の反転を用いない磁化反転を実現できることも提案する。

論文

Electrical and crystallographic study of an electrothermodynamic cycle for a waste heat recovery

Kim, J.*; 山中 暁*; 中島 啓*; 加藤 孝典*; Kim, Y.*; 福田 竜生; 吉井 賢資; 西畑 保雄; 馬場 将亮*; 武田 雅敏*; et al.

Advanced Sustainable Systems (Internet), 2(11), p.1800067_1 - 1800067_8, 2018/11

 被引用回数:1 パーセンタイル:82.39(Green & Sustainable Science & Technology)

An innovative electrothermodynamic cycle (pyroelectric effect with an external electric field) was recently presented, which is based on temporal temperature variations in wasted heat from engine exhaust gas. In this paper, for further improvement, a generating mechanism of the cycle is investigated using in-operando time-resolved synchrotron X-ray diffraction with generating assessment. The polarizations of the sample are gained from both crystal/domain changes and simultaneous electrical measurements. Three types of materials are prepared: soft and hard types of lead zirconate titanate (PZT) and lead magnesium niobate-lead titanate (PMN-PT). Among them, PMN-PT has the highest generating power. When an external electric field is applied, the PMN-PT exhibits only 180$$^circ$$ domain rotations, whereas PZTs exhibit both 90$$^circ$$ and 180$$^circ$$ rotations. A strong driving force for 180$$^circ$$ rotation depresses rotations in other angles and increases polarization changes. The results show that the material development, which has only 180$$^circ$$ switching domains, has potential for use in the establishment of a high-efficiency waste heat recovery system.

論文

Pyroelectric power generation with ferroelectrics (1-x)PMN-xPT

Kim, J.*; 山中 暁*; 中島 啓*; 加藤 孝典*; Kim, Y.*; 福田 竜生; 吉井 賢資; 西畑 保雄; 馬場 将亮*; 武田 雅敏*; et al.

Ferroelectrics, 512(1), p.92 - 99, 2017/08

 被引用回数:6 パーセンタイル:49.21(Materials Science, Multidisciplinary)

We have been investigating a novel electrothermodynamic cycle based on temporal temperature variations using the pyroelectric effect to utilize the waste heat as renewable energy. An improved generating performance with relaxer ferroelectric ceramics was achieved using 75Pb(Mg$$_{2/3}$$Nb$$_{1/3}$$)O$$_3$$-25PbTiO$$_3$$ which is well known for the high dielectric and pyroelectric properties. The potential was evaluated by using the hysteresis loops and generating properties are analyzed both in laboratory and engine dynamometer. Results showed 0.48 mW/cm$$^3$$ in engine dynamometer assessment, which is 3 times larger than the previous study using Pb(Zr,Ti)O$$_3$$.

論文

Magnetocaloric effect of Sr-substituted BaFeO$$_{3}$$ in the liquid nitrogen and natural gas temperature regions

吉井 賢資; 林 直顕*; 水牧 仁一朗*; 高野 幹夫*

AIP Advances (Internet), 7(4), p.045117_1 - 045117_6, 2017/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:80.54(Nanoscience & Nanotechnology)

本研究では、川崎市の明治大学生田キャンパスにおいて、土壌を深さ30cmまでコアサンプラーを用いて採取し、逐次抽出法を適用することで、放射性セシウムの深度別存在形態分析を行った。土壌試料は、生田キャンパス内の人の手が加えられていない6地点で、植生を考慮し採取した。表層土壌を一地点につき、深度別形態分析用の土壌を採取するポイントを中心に、30cm四方の4点(深さ5cm)でスコップを用いて採取した。また、生田キャンパスの北東で、コアサンプラーを用いて、深さ30cm分の土壌を採取した。採取したコア土壌は、5cmごとに分割し、ねじ口U-8式容器に充填した。放射性セシウム濃度は深度別に、2.5Bq kg$$^{-1}$$ (0-5cm)、22.3Bq kg$$^{-1}$$ (5-10cm)、3.4Bq kg$$^{-1}$$ (10-15cm)、0.3Bq kg$$^{-1}$$ (15-20cm)、0.8Bq kg$$^{-1}$$ (20-25cm)、1.0Bq kg$$^{-1}$$ (25-30cm)であった。川崎市で採取した土壌中の放射性セシウムは、表層から土壌の深さ方向に浸透していることが示唆される。

論文

Relationship between the material properties and pyroelectric-generating performance of PZTs

山中 暁*; Kim, J.*; 中島 啓*; 加藤 孝典*; Kim, Y.*; 福田 竜生; 吉井 賢資; 西畑 保雄; 馬場 将亮*; 山田 昇*; et al.

Advanced Sustainable Systems (Internet), 1(3-4), p.1600020_1 - 1600020_6, 2017/04

我々がプロジェクトとして取り組んできている自動車排ガスを用いた温度変化発電に関し、変換素子の材料選定等に重要となる性能指数について、素子の物理量の温度変化の測定を行うことで調べた。測定結果を用い、これまで提案されていたいくつかの性能指数の温度変化を詳しく調べて比較することで、$$F_D$$と呼ばれる指数が最も発電量との相関が高いことを示した。この指数には唯一誘電正接($$tandelta$$)が含まれており、誘電体内での電気エネルギー損失が重要であることを示唆する結果となっている。

論文

Absence of a polar phase in perovskite chromite $$R$$CrO$$_{3}$$ ($$R$$=La and Pr)

吉井 賢資; 池田 直*; 下条 豊; 石井 慶信*

Materials Chemistry and Physics, 190, p.96 - 101, 2017/04

 被引用回数:10 パーセンタイル:43.92(Materials Science, Multidisciplinary)

ペロブスカイト構造を持つクロム酸化物LaCrO$$_{3}$$, PrCrO$$_{3}$$およびLa$$_{0.5}$$Pr$$_{0.5}$$CrO$$_{3}$$の磁性と誘電性について調べた。これら酸化物は、近年、磁性と誘電性が重畳したマルチフェロイックであると報告されている$${it R}$$CrO$$_{3}$$系($${it R}$$:希土類)に属するため、対称系もマルチフェロイックであるとすれば興味深い。磁化測定からは、対象系はネール温度が240-288 Kの反強磁性体であることを観測した。中性子回折測定からは、これらの結晶構造は中心対称性を持つ斜方晶$${it Pnma}$$であり、NdCrO$$_{3}$$で報告された単斜晶構造とは異っており、強誘電体にはならないことを観測した。この結果と誘電率測定から、対象系の10000ほどの大きな誘電率は、電気双極子ではなく電荷の移動によるものと結論した。

論文

日本原子力研究開発機構における研究開発の現状

藤田 雄二; 吉井 賢資

電気評論, 101(2), p.43 - 58, 2016/02

日本原子力研究開発機構は、平成27年度から国立研究開発法人の指定を受け、我が国唯一の総合的原子力研究開発機関として、原子力による新しい科学技術や産業の創出を目指して基礎研究、応用研究からプロジェクト開発的研究に至るまで幅広い研究開発を行っている。特に、科学的技術的専門性を最大限に活用して、東京電力福島第一原子力発電所事故からの復旧・復興に向けた取組み、原子力安全研究、核燃料サイクル技術の確立を目指した研究開発、放射性廃棄物処理に関わる研究等を重点的に実施すべき業務として進めてきた。平成27年度は、新たに策定した「第3期中長期計画」の初年度に当たる。本稿では原子力機構における平成27年度の研究開発の主な成果を中心に、現状と今後の動向を紹介する。

論文

Observation of all-in type tetrahedral displacements in nonmagnetic pyrochlore niobates

鳥越 秀平*; 石本 祐太朗*; 青石 優平*; 村川 寛*; 松村 大樹; 吉井 賢資; 米田 安宏; 西畑 保雄; 樹神 克明; 富安 啓輔*; et al.

Physical Review B, 93(8), p.085109_1 - 085109_5, 2016/02

 被引用回数:4 パーセンタイル:67.67(Materials Science, Multidisciplinary)

We observed all-in type Nb tetrahedral displacement in nonmagnetic pyrochlore niobates A$$_{2}$$Nb$$_{2}$$O$$_{7}$$ (A = Nd$$_{0.5}$$Ca$$_{0.5}$$ and Y$$_{0.5}$$Ca$$_{0.5}$$) through the analysis of the neutron pair distribution function and the extended X-ray absorption function spectroscopy. The all-in type Nb tetrahedral displacement, which has the character of a charge singlet state, is driven by the formation of the bonding orbital. The diffuse scattering in the X-ray diffraction, which has the resonant component in the Nb $$L$$3 edge, indicates that the all-in type Nb tetrahedral displacement has the periodicity with its short-range correlation.

論文

Novel electrothermodynamic power generation

Kim, Y.*; Kim, J.*; 山中 暁*; 中島 啓*; 小川 孝*; 芹沢 毅*; 田中 裕久*; 馬場 将亮*; 福田 竜生; 吉井 賢資; et al.

Advanced Energy Materials, 5(13), p.1401942_1 - 1401942_6, 2015/07

空中に廃棄されている自動車排ガスの廃熱の再利用は、現在社会のエネルギー問題の重要な位置を占めるが、その一つとして強誘電体(焦電体)の誘電・焦電効果を応用したエネルギー回生技術の研究が進められている。焦電体を自動車排ガス中に設置するとともに、エンジン運転に伴う熱振動に同期した電場を外部から加えることで、回生エネルギーは大幅に上昇する。本研究ではこの時用いる取り出し電気回路の改良を行うとともに、典型的な焦電体PbZr$$_x$$Ti$$_{1-x}$$O$$_3$$(PZT)を用いて実際に有効活用できる回生エネルギーが非常に小さいながらもプラスであることを初めて確認した。また回生運転と同時測定した時分割X線回折により、焦電体の結晶構造の変化やドメイン比といったミクロな機構に関する知見を得るとともに、さらに実機エンジンを用いた試験でも実際に有効活用できる回生エネルギーの取得を確認できた。

論文

Elemental substitution effects in multiferroic ${it R}$Fe$$_{2}$$O$$_{4}$$ (${it R}$: rare earths)

吉井 賢資; 船江 岳史*; 水牧 仁一朗*; 江尻 宏紀*; 池田 直*; 齋藤 寛之; 松村 大樹

Physica Status Solidi (C), 12(6), p.841 - 844, 2015/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:100

マルチフェロイック${it R}$Fe$$_{2}$$O$$_{4}$$ ($$R$$: Y, Ho-Lu, In)の元素置換効果について調べた。これまでほとんど報告例のない、非磁性のGa$$^{3+}$$を鉄サイトに置換した場合は、磁気転移温度$$T_{rm N}$$が減少した。これは過去、${it R}$FeCoO$$_{4}$$などでも示した通り、鉄サイト間の磁気相互作用が弱まったためである。Ga$$^{3+}$$置換した場合、室温の誘電率は母物質とほぼ変わらない1000-10000程度であった。また、誘電損失が減少することも判明した。この理由については現在不明であるが、損失の減少はエネルギー利用効率の上昇を示しており、応用に有利である。また$$R$$サイトの置換も行い、Dy$$^{3+}$$のような大きな$$R^{3+}$$を10%程置換できることが、放射光吸収分光により判明した。なお、置換試料では$$T_{rm N}$$が5-10K上昇した。この現象の起源についても現状では不明であるが、室温でマルチフェロイック状態を実現する一つの方向性を示しており、興味深い結果である。

論文

Electronic structure of BaFeO$$_{3}$$ studied by X-ray spectroscopy

水牧 仁一朗*; 藤井 将*; 吉井 賢資; 林 直顕*; 斎藤 高志*; 島川 祐一*; 魚住 孝幸*; 高野 幹夫*

Physica Status Solidi (C), 12(6), p.818 - 821, 2015/06

 被引用回数:6 パーセンタイル:6.71

新規強磁性体BaFeO$$_{3}$$の電子状態を、放射光による高エネルギー光電子分光とX線吸収分光により調べた。実験データおよび理論計算から、この物質は負の電荷移動エネルギーを持つ系であることを示した。すなわち、酸素2p電子のエネルギーが鉄3d軌道のエネルギーより高いため、酸素2p電子が鉄3d軌道を埋めやすい性質を持っている。通常の遷移金属酸化物では、酸素2p軌道のエネルギーは遷移金属3d軌道のそれより低いため、このようなことは起こらない。すなわち、BaFeO$$_{3}$$は、通常の酸化物とは異なる性質を持つ。この性質の起源として、鉄3d軌道のクーロン反発力と、鉄3dと酸素2p軌道の強い混成であることを提案した。

論文

Local structure around cesium in montmorillonite, vermiculite and zeolite under wet condition

辻 卓也; 松村 大樹; 小林 徹; 鈴木 伸一; 吉井 賢資; 西畑 保雄; 矢板 毅

Clay Science, 18(4), p.93 - 97, 2014/12

We have observed the local structure around cesium in silicate minerals under wet and dry conditions by using X-ray absorption fine structure (XAFS) technique at Cs ${it K}$-edge. The measurements under wet and dry conditions simulated changes of the actual environment. High transmission ability at Cs ${it K}$-edge provides XAFS measurement under various conditions. Montmorillonite, vermiculite, and zeolite were employed for the study. Vermiculite was obtained by wet classification of the actual soil at Fukushima. The result of XAFS measurement shows that water molecules in interlayer position are removed by cesium adsorption in the interlayer site of vermiculite. Cesium ion was adsorbed on one side of the interlayer site of swelled montmorillonite under wet condition. On the other hand, water molecules were not coordinated with cesium ion in the zeolite even in the case of wet condition.

論文

Current-induced enhancement of magnetic anisotropy in spin-charge-coupled multiferroic YbFe$$_{2}$$O$$_{4}$$

吉井 賢資; 松村 大樹; 齋藤 寛之; 神戸 高志*; 福永 守*; 村岡 祐治*; 池田 直*; 森 茂生*

Journal of the Physical Society of Japan, 83(6), p.063708_1 - 063708_4, 2014/06

 被引用回数:4 パーセンタイル:58.33(Physics, Multidisciplinary)

マルチフェロイックYbFe$$_{2}$$O$$_{4}$$について、電流印加冷却による磁性の変化を報告する。磁気転移温度250K近傍において電流印加して試料を冷却した場合、電流無しの場合に比べ、低温100K以下において、磁化が10-20%低下する。それに伴い、電流印加後のヒステリシスループ測定から、磁気異方性が10-20%増強されることが分かった。これらの現象は、強磁性ドメインと反強磁性ドメインのうち磁気異方性の大きい後者が優勢となること、あるいは、電荷秩序ドメインの生成が抑制されピニング効果が大きくなることを示唆する。応用的に見ると本現象は、磁場冷却による磁気異方性の増強である交換バイアスとは異なり、磁場が無くても異方性が増強されるため、磁化の安定化を起こす新しい手法と提案できる。

論文

Electronic structure of BaTiO$$_{3}$$ using resonant X-ray emission spectroscopy at the Ba-L$$_{3}$$ and Ti K absorption edges

吉井 賢資; 米田 安宏; Jarrige, I.*; 福田 竜生; 西畑 保雄; 鈴木 知史; 伊藤 嘉昭*; 寺嶋 孝仁*; 吉門 新三*; 福島 整*

Journal of Physics and Chemistry of Solids, 75(3), p.339 - 343, 2014/03

 被引用回数:5 パーセンタイル:68.96(Chemistry, Multidisciplinary)

強誘電体BaTiO$$_{3}$$3について、共鳴X線発光(RXES)及び部分蛍光法を用いたX線吸収分光(PFY-XAS)により電子状態を分析した。実験はSPring8の原子力機構ビームラインBL14B1と物質・材料研究機構ビームラインBL15XUで行った。Ba L$$_{3}$$吸収端でのPFY-XASスペクトルは、過去の文献とは異なり、キュリー点上下で変化しなかった。これは、Ba$$^{2+}$$イオンの位置はキュリー点で変位しないか変位が小さいことを示唆する。また、Ti K吸収端でのRXESスペクトルからは、発光ピークのエネルギーは入射光エネルギーによらずほぼ一定であった。この結果は、Ti 3d軌道が非局在的な性質を持っており、それによりTiイオンが変位して電気双極子の生成して強誘電体となるという、理論計算から提案された機構を支持することが分かった。

論文

Magnetic properties of R$$_{2}$$Fe$$_{3}$$O$$_{7}$$ (R=Yb and Lu)

吉井 賢資; 池田 直*; 福山 諒太*; 永田 知子*; 神戸 高志*; 米田 安宏; 福田 竜生; 森 茂生*

Solid State Communications, 173, p.34 - 37, 2013/11

 被引用回数:1 パーセンタイル:93.46(Physics, Condensed Matter)

R$$_{2}$$Fe$$_{3}$$O$$_{7}$$(R=YbおよびLu)の磁性を調べた。これらの物質は、マルチフェロイック電子強誘電体RFe$$_{2}$$O$$_{4}$$の関連物質である。磁気転移温度は270Kであり、RFe$$_{2}$$O$$_{4}$$の転移温度230-250Kより明らかに高かった。また、RFe$$_{2}$$O$$_{4}$$でも報告されている、スピングラスおよび交換バイアス現象を観測した。これらは、磁気的な乱雑性の存在を示しており、磁気熱量効果のブロードなピークと一致する結果であった。また、磁気熱量効果より得られた、室温に近い磁気冷却温度は、この物質群が応用に適していることを示す。

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