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宮嶋 佑典*; 斉藤 綾花*; 鍵 裕之*; 横山 立憲; 高橋 嘉夫*; 平田 岳史*
Geostandards and Geoanalytical Research, 45(1), p.189 - 205, 2021/03
被引用回数:4 パーセンタイル:27.51(Geochemistry & Geophysics)LA-ICP-MSによる方解石の同位体分析における不確実性は、主にデータの正規化と検証のために使われる標準試料の均質性によって支配される。本研究では、元素・同位体組成の均質な方解石の標準試料を作製するために、元素をドープした試薬溶液から沈殿させたアモルファス炭酸カルシウムを経由して、熱と圧力をかけて結晶化し、U, Pbと希土類元素を方解石に取り込ませた。X線吸収スペクトルから、Uは合成された方解石中にU(VI)として存在し、水性のウラニル・イオンとは異なる構造で存在することが示唆された。本研究の方解石へのUの取り込み率は、既報研究に比べ高かった。合成した方解石中の元素濃度のばらつきは12%未満で、概ね7%以内であった。U/Pb比のばらつきが各元素濃度のばらつきに応じて3-24%程度である一方で、Pb/Pb比のばらつきは1%以下であった。この合成方解石を標準試料として用いて、天然の方解石標準試料(WC-1)の年代測定を行ったところ、3%以内の不確かさで年代が求められた。本研究で提示した合成手法は、元素濃度を任意に調整した均質な方解石の合成に有効であり、また、合成試料はU-Pb地質年代学のための天然標準試料に代わる有望なものである。
宮嶋 佑典*; 斉藤 綾花*; 鍵 裕之*; 横山 立憲; 平田 岳史*
no journal, ,
炭酸塩は地球史を通じて陸海域に普遍的に存在している。炭酸塩の形成年代からは、生物進化や古環境変動、テクトニクスや流体移動の履歴を読み取ることができる。U-Pb放射年代測定法は、特に第四紀より古い炭酸塩に対しても有効な年代測定法として利用されているが、炭酸塩のUやPb濃度が一般に低いことや最適な標準物質がないことから、局所年代測定の実現は進んでいない。カルサイト標準物質として提案されている天然の炭酸塩試料は、UやPbの濃度やPb同位体比が不均質であるという問題点がある。本研究では、元素比および同位体比が均質なU, Pbを含むカルサイト標準物質の合成を試みている。元素を添加した母液から非晶質炭酸カルシウムを沈殿させ、それを加熱または加圧し結晶化させることで、Srなどの不適合元素をカルサイト中に取り込むことができる。この手法を応用し、UとPbを添加した母液から非晶質炭酸カルシウムを経由してカルサイトを合成した結果、カルサイト中にUとPbが取り込まれることが明らかになった。同様の手法を用いて、Pb同位体比が既知であり、U, Pbに加えて希土類元素を含む標準溶液を添加したカルサイトの合成を行った。本講演では、合成したカルサイト中のU, Pb, 希土類元素の濃度や同位体比の均質性を、レーザーアブレーション型誘導結合プラズマ質量分析計を用いた元素イメージング分析、およびスポット分析によって評価した結果を報告する。
宮嶋 佑典*; 斉藤 綾花*; 鍵 裕之*; 横山 立憲; 平田 岳史*
no journal, ,
炭酸塩は生物殻や鍾乳石を構成するほか、断層沿いや海底の熱水・冷湧水域で地球史を通じて形成されてきた。炭酸塩の年代測定には、LA-ICP-MSを用いたU-Pb放射年代測定が有効である。この年代測定では、アブレーション時やICP内で起こる元素分別が試料の主成分に応じて異なるため、それを補正するための標準物質が必要である。天然のカルサイト標準物質として、Roberts et al. (2017)によりWC-1が提案されているが、UやPbの濃度, 同位体比が不均質という問題点がある。本研究では、濃度・同位体比が均質なU, Pbを含むカルサイト標準物質の合成を行った。元素を添加した母液から非晶質炭酸カルシウム(ACC)を沈殿させる手法を応用し、UとPbを含む溶液を添加したACCを経ることで、U, Pbが取り込まれたカルサイトを合成した。合成したU, Pb添加カルサイト中の元素の均質性を評価したところ、10点分析の標準偏差でU/Ca比は8%以下、Pb/Ca比は13%以下の均質性があることがわかった。合成カルサイトのU, Pb同位体比の均質性を評価した結果、Pb/Pb比は1%程度均質である一方、U/Pb比は3%-11%の不均質があることがわかった。さらに、WC-1の年代測定によってテストを行った結果、参照年代と約3%の精度内で一致する年代値を得た。今後、このU, Pb添加カルサイトの同位体比の正確な値付けを行うことで、少なくとも約10%以内の精度での年代測定が可能と期待される。
宮嶋 佑典*; 斉藤 綾花*; 鍵 裕之*; 横山 立憲; 平田 岳史*; Roberts, N. M. W.*; Horstwood, M.*
no journal, ,
カルシウム炭酸塩の絶対年代測定は古環境の変遷やテクトニクス及び流体の循環に関する知見を与える。LA-ICP質量分析法によるU-Pb年代測定技術は、断層に存在するカルサイトなどの生物の層序やSr同位体層序で年代決定できない天然の炭酸カルシウムに適応可能な技術として重要である。天然から採取されたカルサイトであるWC-1(254.46.4Ma)は、LA-ICP質量分析において、元素分別効果を補正するために有用な標準物質である。しかしながら、分析試料の年代につく不確かさは、WC-1に認められるUとPbの不均質な分布に依存する。本研究では、UとPb濃度およびPb同位体組成が均質なカルサイトの合成を行った。UとPbをドープした試薬から沈殿させた非晶質炭酸カルシウムを結晶化させることにより、不適合元素であるUとPbをカルサイトへ包含させた。合成したカルサイトはU及びPb濃度について均質(それぞれ4%及び7%の2標準偏差)であった。また、Pb/Pb比の均質性は1%(2)以下である一方で、U/Pbの均質性は比較的低く、27%(2)であった。合成カルサイトの有効性を確認するため、WC-1の年代測定を合成カルサイトを用いた元素比補正によって実施したところ、3%程度の精度での正確な年代測定(246.67.3Ma)に成功した。