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論文

Unified description of the fission probability for highly excited nuclei

岩元 大樹; 明午 伸一郎

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(2), p.160 - 171, 2019/02

 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

放射線挙動解析コードPHITSは、加速器駆動核変換システムや核破砕中性子源施設等における放射能・被曝線量評価及び施設の遮蔽設計に重要な役割を演じるが、PHITSの核破砕反応を記述するモデルINCL4.6/GEMは核分裂生成物の収量を大幅に過小評価することが知られており、モデルの高度化が求められている。本研究では、核分裂生成物の収量予測に重要なパラメータとなる「核分裂確率」を現象論的に記述するモデルを提案し、このモデルを粒子輸送計算コードPHITSに組み込まれている脱励起過程計算コードGEMの高エネルギー核分裂モデルに適用した。実験値との比較の結果、広範囲 のサブアクチノイド核種に対する陽子入射,中性子入射及び重陽子入射反応に対して、核分裂断面積を統一的に予測でき、その予測精度は従来モデルよりも大幅に改善することを示した。さらに、本モデルを用いた解析により、核分裂生成物の同位体分布を精度よく求めるためには、核内カスケード過程計算コードINCL4.6における高励起残留核の記述の修正が必要であることを明らかにした。

論文

Measurement of activation cross sections of aluminum for protons with energies between 0.4 GeV and 3.0 GeV at J-PARC

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 大樹

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 6, p.171 - 174, 2019/01

核破砕中性子源や核変換システムの核設計の精度向上のためには高精度な核反応断面積が必要となり、コスト削減やより精度の高い遮蔽設計のためには放射化断面積の精度向上が必要とされる。放射化断面積は、これまでに既存施設において測定されてきたものの実験データにおいてバラつきが大きく必ずしも十分な精度でない。特にJ-PARCの核破砕中性子源で用いられている3GeV陽子のデータはほとんどないため、ターゲット構造材の更なる安全性向上のために実験データが必要となる。そこで我々は、J-PARCの加速器施設を用いてターゲット構造材や窓材に使用される核種の測定するためにタングステン、金、インジウム、及びベリリウムの放射化断面積を0.4, 1.3, 2,2及び3GeVの陽子に対し測定した。また試料固定用に設置したアルミニウムの放射化断面積を測定することにより実験の妥当性を検証した。測定で得た実験データを評価済み核データ(JENDL-HE 2007)、及び核内カスケードモデル計算と比較検討した。この結果、アルミニウムの実験結果は、JENDL-HE 2007は実験と比較的よい一致を示すことがわかった。一方、PHITSの核内カスケードモデルによる計算は、実験を約40%程度過小評価することがわかった。この過小評価の原因はPHITSに含まれる蒸発過程モデル(GEM)に問題があることが考えられ、GEMの改良により実験結果を再現できることが分かった。アルミニウム以外の核種は現在解析中であるが、PHITSコードによる計算結果は実験値を再現するものとしないものとあり体系的に比較する必要がある。

論文

Sensitivity and uncertainty analysis of $$beta_{rm eff}$$ for MYRRHA using a Monte Carlo technique

岩元 大樹; Stankovskiy, A.*; Fiorito, L.*; Van den Eynde, G.*

European Physical Journal; Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 4, p.42_1 - 42_7, 2018/11

実効遅発中性子割合$$beta_{rm eff}$$は、原子炉の核設計において最も重要な安全パラメータの一つであり、その値は核データに起因する不確かさを含めて評価することが求められている。本研究では、モンテカルロ粒子輸送計算コードMCNPを用いて、鉛ビスマス冷却核変換研究炉MYRRHA臨界炉心及び未臨界炉心の$$beta_{rm eff}$$に対する感度解析及び不確かさ解析を実施した。感度解析では、千葉により提案された「修正中性子増倍率比法」を用いて$$beta_{rm eff}$$の感度係数を求めた。$$beta_{rm eff}$$の感度係数に対する本手法で導入されたスケーリング因子の依存性を統計的不確かさ低減の観点から調査した結果、感度解析および不確かさ解析に対するスケーリング因子の最適な値は$$20$$であることがわかった。このスケーリング因子を用いて求めた$$beta_{rm eff}$$の感度係数及びJENDL-4.0を一部修正したJENDL-4.0uの共分散データを用いて、MYRRHA臨界炉心及び未臨界炉心の核データに起因する不確かさを求めた。それらの値はそれぞれ2.2$$pm$$0.2%および2.0$$pm$$0.2%と評価され、その大部分は$$^{239}$$Pu及び$$^{238}$$Uの遅発中性子収率に起因することがわかった。

論文

Establishment of a novel detection system for measuring primary knock-on atoms

Tsai, P.-E.; 岩元 洋介; 萩原 雅之*; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 佐藤 大樹; 安部 晋一郎; 伊藤 正俊*; 渡部 浩司*

Proceedings of 2017 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC 2017) (Internet), 3 Pages, 2018/11

一次はじき出し原子(PKA)のエネルギースペクトルは、モンテカロル放射線輸送コードを用いた加速器施設設計の放射線損傷評価において重要である。しかし、計算コードに組み込まれている物理モデルは、PKAスペクトル について実験値の不足から十分に検証されていない。これまで、従来の固体検出器を用いた原子核物理実験の測定体系において、劣った質量分解能や核子あたり数MeV以上と高い測定下限エネルギーのため、実験値は限られていた。そこで本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて、PKAスペクトルを測定するための2つの時間検出器と1つのdE-Eガス検出器からなる新しい測定体系を設計した。その結果、本測定体系は、質量数20から30のPKAにおいて、核子当たり0.3MeV以上のエネルギーを持つPKA同位体を区別できる。一方で、質量数20以下のPKAにおいては、PKAの質量数を識別できる下限エネルギーは核子当たり0.1MeV以下に減少する。今後、原子力機構のタンデム施設、及び東北大学のサイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにおいて、設計した測定体系の動作テストを行う予定である。

論文

High-energy nuclear data uncertainties propagated to MYRRHA safety parameters

Stankovskiy, A.*; 岩元 大樹; $c{C}$elik, Y.*; Van den Eynde, G.*

Annals of Nuclear Energy, 120, p.207 - 218, 2018/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.14(Nuclear Science & Technology)

高エネルギー核データの不確かさ伝播による加速器駆動システムMYRRHAの安全に関する核特性パラメータの影響を調査した。既存の高エネルギー核データライブラリ及び高エネルギー核反応モデルを用いて断面積データの共分散マトリックスを作成し、これを用いて、全炉心出力及び鉛ビスマスに蓄積される放射能の高エネルギー核データに起因する不確かさをランダムサンプリング法に基づいて評価した。本評価手法は、粒子輸送計算を直接行う必要がなく、最良推定値に対するサンプル平均の収束性を調査することが可能である。本手法により、全炉心出力に対する信頼性のある不確かさを得るには300程度のランダムサンプル数が必要であることを示し、その不確かさは14%と評価した。さらに、陽子・中性子照射により蓄積される放射能濃度の不確かさの評価値は、5%から60%に及ぶことがわかった。トリチウム等のいくつかの核種に対しては、信頼性のある不確かさを得るのに数千のランダムサンプル数が必要であることが明らかになった。

論文

Measurement of displacement cross sections of aluminum and copper at 5 K by using 200 MeV protons

岩元 洋介; 吉田 誠*; 義家 敏正*; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 嶋 達志*

Journal of Nuclear Materials, 508, p.195 - 202, 2018/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.14(Materials Science, Multidisciplinary)

加速器施設の材料損傷評価で使用される放射線輸送計算コードのはじき出し損傷モデルを検証するため、大阪大学核物理研究センターのサイクロトロン施設において、極低温下での200MeV陽子照射による、はじき出し断面積の導出に必要な金属試料の照射欠陥に伴う電気抵抗増加を測定した。照射装置は、GM冷凍機を用いて2つの照射試料を同時に熱伝導冷却する構造とし、熱伝導と電気的絶縁性に優れた2枚の窒化アルミ板により、照射試料となる直径250$$mu$$mのアルミニウム及び銅線を挟み込む構造とした。その結果、ビーム強度3nA以下において温度5K以下を保ちつつ、欠陥に伴う金属の電気抵抗率増加の測定に成功した。また、照射前後の電気抵抗率変化、陽子フルエンス及びフレンケル対あたりの抵抗率増加から導出したはじき出し断面積は欠陥生成率を考慮したPHITSの計算値に近いことがわかった。

論文

Proton-induced activation cross section measurement for aluminum with proton energy range from 0.4 to 3 GeV at J-PARC

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 大樹

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(8), p.955 - 961, 2018/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:31.68(Nuclear Science & Technology)

大強度陽子加速器施設(J-PARC)において広く用いられる構造材に対する陽子入射の核破砕反応による放射化断面積をシステマティックに測定するための一連の実験を開始した。J-PARCの3GeVシンクロトロン陽子加速器施設において提案した測定方法の妥当性の確認のため、実験データが比較的豊富に存在するアルミニウムの断面積を測定した。陽子入射に伴い、アルミニウムより$$^{7}$$Be, $$^{22}$$Na、および$$^{24}$$Naを生成する断面積を、0.4, 1.3, 2.2, 3.0GeVのエネルギーに対し測定した。有効照射陽子数決定法により実験データの妥当性を確認し、問題ないことを確認した。本実験で得た断面積を、既存の実験データ,評価済み核データ(JENDL-HE/2007)およびPHITSによる計算値と比較した。JENDL-HE/2007は実験データと一致を示したものの、PHITSによる計算値は40%程度過小評価した。この原因には、PHITSに用いられる蒸発モデルに起因すると考えられたため、Furihataにより提案されたGEMモデルを適用したところ、実験を再現できるようになった。

論文

Design study of beam window for accelerator-driven system with subcriticality adjustment rod

菅原 隆徳; 江口 悠太; 大林 寛生; 岩元 大樹; 松田 洋樹; 辻本 和文

Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 10 Pages, 2018/07

本研究では、加速器駆動核変換システム(ADS)の大きな課題の一つであるビーム窓の設計検討を行った。ADS炉心に未臨界度調整棒を導入し、燃焼期間中の陽子ビーム電流値を低減することでビーム窓の設計条件を緩和し、新たな設計条件で検討を行った。ADS核計算においては、ADS3Dコードを使用し、未臨界度調整棒を導入することで陽子ビーム電流値を従来の20mAから13.5mAへ低減できることを示した。この条件を元に、ビーム窓および核破砕ターゲットに対して、陽子・中性子輸送計算(PHITSコード)、熱流動解析(STAR-CCM+コード)、構造解析(ANSYSコード)を実施した。これらの連成解析の結果、成立性の高いビーム窓概念の設計条件を提示した。最も堅牢な概念は、半球型で外径470mm、先端厚さ3.5mm、座屈圧力9となる概念である。

論文

Radiation damage calculation in PHITS and benchmarking experiment for cryogenic-sample high-energy proton irradiation

岩元 洋介; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 中本 建志*; 吉田 誠*; 石 禎浩*; 栗山 靖敏*; 上杉 智教*; 八島 浩*; et al.

Proceedings of 61st ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High-Intensity and High-Brightness Hadron Beams (HB 2018) (Internet), p.116 - 121, 2018/07

放射線挙動計算コードPHITSにより放射線照射による材料損傷評価の基礎データを解析するため、入射粒子と核反応から生成する二次粒子によるターゲット1次はじき出し原子(PKA)のエネルギーを考慮した照射損傷モデルを開発した。このモデルを用いた解析により、100MeV以上の高エネルギー陽子による照射損傷において、二次粒子により生成したターゲットPKAの寄与が入射陽子によるPKAの寄与に比べて大きいことがわかった。また、高エネルギー陽子照射に対する照射損傷モデルを検証するため、サンプルを極低温まで冷却するギフォード-マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置を開発した。本装置を用いて、125及び200MeV陽子を照射した銅とアルミニウムについて、はじき出し断面積に関連する極低温での欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。実験値と計算値の比較の結果、欠陥生成効率を考慮したはじき出し損傷の計算値が実験値を良く再現することがわかった。

論文

Research and development activities for accelerator-driven system in JAEA

菅原 隆徳; 武井 早憲; 岩元 大樹; 大泉 昭人; 西原 健司; 辻本 和文

Progress in Nuclear Energy, 106, p.27 - 33, 2018/07

 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

原子力機構では、高レベル放射性廃棄物から分離されるマイナーアクチノイドを核変換するため、加速器駆動未臨界システムの検討を行っている。ADSの研究開発には幾つもの固有の課題があり、本発表では実現性および信頼性が高いADS概念を実現するための2つの活動について紹介する。実現性については、加速器と未臨界炉の境界となるビーム窓の設計が大きな課題の一つである。このビーム窓の設計条件を緩和するため、未臨界度調整機構の導入を検討した。この炉心概念を対象として、粒子輸送, 熱流動, 構造解析の連成解析を行い、より実現性の高いビーム窓概念を提示した。信頼性に関しては、ビームトリップがADS固有かつ深刻な課題となっている。過去の検討では、既存の加速器の運転データをもとに、ADS用加速器のビームトリップ頻度を評価した。このビームトリップ頻度を改善するため、本検討では多重加速器概念を提案し、そのビームトリップ頻度を評価した。その結果、多重加速器概念は、より信頼性の高いADSプラントの運転を実現できることが示された。

論文

Measurement of activation cross sections of the target and the proton beam window materials at J-PARC

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 大樹

Journal of Physics; Conference Series, 1021(1), p.012016_1 - 012016_4, 2018/06

核破砕中性子源や核変換システムの核設計の精度向上のためには、高精度な核反応断面積が必要となり、今後重要と考えられる加速器施設のデコミッショニングのシナリオ構築のためには放射化断面積の精度向上が必要とされる。放射化断面積は、これまでに既存施設において測定されてきたものの、実験データにおいてバラつきが大きく必ずしも十分な精度でない。特にJ-PARCの核破砕中性子源で用いられている3GeV陽子のデータはほとんどないため、ターゲット構造材の更なる安全性向上のために実験データが必要となる。そこで我々は、J-PARCの加速器施設を用いてターゲット構造材に使用される核種の測定を行う予定とし、テスト実験としてアルミの放射化断面積を0.4, 1.3, 2,2及び3GeVの陽子に対し測定した。この結果、本実験のデータは、精密はビーム制御と高精度はモニタにより、既存の実験より高精度なデータを取得できることがわかった。本実験データを用いて評価済み核データ(JENDL-HE 2007)と核内カスケードモデルの計算結果との比較を行った。この結果、JENDL-HE 2007は実験と比較的よい一致を示すことがわかった。一方、PHITSの核内カスケードモデルによる計算は、実験を約40%程度を過小評価することがわかった。この過小評価の原因はPHITSに含まれる蒸発過程モデル(GEM)に問題があることが考えられ、GEMの改良により実験結果を再現できることが分かった。

論文

The Measurements of neutron energy spectrum at 180 degrees with the mercury target at J-PARC

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 大樹

Journal of Physics; Conference Series, 1021(1), p.012017_1 - 012017_4, 2018/06

180$$^{circ}$$方向に放出される核破砕中性子は将来のADS(加速器駆動未臨界システム)の遮蔽計算や核物理の観点から重要である。しかし、測定の困難さからこれまでほぼ全く測定されてこなかった。われわれは初めて180$$^{circ}$$方向に放出された水銀核破砕中性子のエネルギースペクトルをJ-PARCのMLFへの陽子ビーム輸送ライン(3NBT)においてNE213液体シンチレーターを用いて測定した。ターゲットに照射される陽子エネルギーは3GeVで、強度は1$$times$$10$$^{10}$$個以上である。中性子のエネルギーはn-$$gamma$$弁別を用いて信号を分離した後飛行時間法で決定した。またPHITSを用いて実験のセットアップを模して計算を行い、実験値との比較を行なった。本稿では実験概要及び測定結果などを報告する。

論文

Target test facility for ADS and cross-section experiment in J-PARC

明午 伸一郎; 岩元 大樹; 松田 洋樹; 武井 早憲

Journal of Physics; Conference Series, 1021(1), p.012072_1 - 012072_4, 2018/06

J-PARCセンターで進めている核変換実験施設(TEF)では、加速器駆動システム(ADS)のためのターゲット開発を行うためにADSターゲット試験施設(TEF-T)及び未臨界炉心の物理的特性等を探索するための核変換物理実験施設(TEF-P)の建設を計画している。本セクションでは、TEF-Tの核設計評価、陽子ビーム輸送系及び付帯設備の検討を進めており、これらの現状については報告を行う。また、本セクションではTEF-Pへ10W以下となる微弱なビームを安定に供給するために、TEF-Tに入射する大強度の負水素ビームにレーザーを照射しレーザー荷電変換によるビーム取り出し法の技術開発を行っており、この現状について報告する。更に、施設の更なる安全のために、J-PARC加速器施設を用いて核反応断面積測定や弾き出し損傷(DPA)断面積の測定を行う予定としており、これらの現状についても報告する。

論文

Shielding analysis of Transmutation Experimental Facility

岩元 大樹; 松田 洋樹; 明午 伸一郎

Journal of Physics; Conference Series, 1021(1), p.012049_1 - 012049_4, 2018/06

400MeVに加速された最大出力250kWの負水素イオンビームを条件に、J-PARCセンターが建設を計画している核変換実験施設(TEF: Transmutation Experimental Facility)におけるADSターゲット試験施設(TEF-T: ADS Target Test Facility)の遮蔽解析を行った。解析にはMonte Carlo粒子輸送計算コードPHITSを使用し、高エネルギー核反応モデルにINCL4.6及びGEMを用いた。解析対象は鉛ビスマス標的から生成される中性子を遮蔽するターゲットステーション、ビーム調整に使用するビームダンプ、鉛ビスマス標的を取り扱うホットセル、及び400-MeV LINACから鉛ビスマス標的までのビーム輸送系の遮蔽構造とし、解析によりTEF-T全体の施設の構造を決定した。さらに、解析の結果、鉛ビスマス標的から陽子ビーム入射に対し180度方向に生成・放出される中性子が施設の遮蔽設計に重大な影響を与えることが分かった。

論文

Measurement of displacement cross-section for structural materials in High-Power Proton Accelerator Facility

明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 岩元 大樹; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 吉田 誠*; 石田 卓*; 牧村 俊助*; 中本 建志*

Proceedings of 9th International Particle Accelerator Conference (IPAC '18) (Internet), p.499 - 501, 2018/06

核変換システム等のハドロン加速器施設では、ビーム出力の上昇に伴いターゲット材料に対する損傷の評価が重要となる。加速器施設で用いられているターゲット材料等の損傷は、原子あたりの弾き出し損傷(DPA)が広く用いられており、カスケードモデルに基づく計算で得られた弾き出し損傷断面積に粒子束を乗ずることで評価されている。DPAによる損傷評価は広く一般的に用いられているものの、20MeV以上のエネルギー範囲における陽子に対する損傷断面積の実験データは数点しかなく十分でない。最近の研究において、タングステンの弾き出し損傷断面積が計算モデル間で約8倍異なることが報告されており、ターゲット材料の損傷評価のためには弾き出し損傷断面積の実験データ取得が重要となる。そこで、我々はJ-PARC加速器施設の3GeVシンクロトロン加速器施設を用い、弾き出し損傷断面積の測定実験を開始した。弾き出し損傷断面積は、冷凍機(GM冷凍機)で極低温(4K)に冷却された試料に陽子ビームを照射し、照射に伴う抵抗率の変化により得ることができる。本発表では、銅に3GeV陽子を入射する場合の弾き出し損傷断面積の測定結果を速報として報告する。

論文

Monte Carlo uncertainty quantification of the effective delayed neutron fraction

岩元 大樹; Stankovskiy, A.*; Fiorito, L.*; Van den Eynde, G.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(5), p.539 - 547, 2018/05

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.14(Nuclear Science & Technology)

実効遅発中性子割合$$beta_{rm eff}$$は原子炉物理学で最も基本的なパラメータの一つであるが、これまで、その解析の困難さから、モンテカルロ法によって$$beta_{rm eff}$$の核データに起因する不確かさを定量評価した例はなかった。本研究では、モンテカルロ粒子輸送計算コードMCNPを用いて、モンテカルロ法に基づく2つの手法(モンテカルロ感度法及びランダムサンプリング法)の、$$beta_{rm eff}$$の不確かさ定量評価に対する適用性を、統計的な収束性の観点から調査した。解析における$$beta_{rm eff}$$の妥当性評価ではVENUS-F臨界炉心の実測値を用いた。解析の結果、モンテカルロ感度法については、千葉が提案した「修正中性子増倍率比法」を用いることにより、従来手法であるBretsherが提案した「即発中性子増倍率比法」よりも$$beta_{rm eff}$$の感度係数に対する統計的な不確かさを大幅に低減できることを見出した。モンテカルロ感度法とランダムサンプリング法による解析値の比較の結果、修正中性子増倍率比法を用いたモンテカルロ感度法が、$$beta_{rm eff}$$の不確かさ定量評価に実用上最も適していることを示した。当手法で得られた感度係数とJENDL-4.0を一部修正したJENDL-4.0uの共分散データを用いることにより、VENUS-F臨界炉心に対する$$beta_{rm eff}$$の核データに起因する不確かさは約2.7%と評価され、その大部分は$$^{235}$$Uの遅発中性子収率に起因することが分かった。

論文

Conceptual design study of beam window for accelerator-driven system with subcriticality adjustment rod

菅原 隆徳; 江口 悠太; 大林 寛生; 岩元 大樹; 辻本 和文

Nuclear Engineering and Design, 331, p.11 - 23, 2018/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:31.68(Nuclear Science & Technology)

加速器駆動核変換システムの設計において、核破砕ターゲット領域のビーム窓設計は重要な課題の一つである。本研究では、粒子輸送、熱流動、構造の連成解析を行い、実現性の高いビーム窓概念を得た。まず必要な陽子ビーム電流値を下げ、ビーム窓の設計条件を緩和することを目的に、ADS炉心に未臨界度調整棒(SAR)を導入した。この炉心について燃焼解析を行い、最終的に燃焼期間中の最大陽子ビーム電流値を20から13.5mAに低減可能であることを示した。燃焼解析の結果を受けて、粒子輸送、熱流動、構造の連成解析を行った。最終的な結果として、最も座屈耐性の強い以下の概念;半球形状、外半径235mm、ビーム窓先端の厚さ3.5mmそして座屈に対する安全率が9、の概念が得られた。座屈圧力は、過去の結果に対して2.2倍の値となった。以上の結果から、より実現性の高いビーム窓概念を提示することができた。

論文

Cross section measurement in J-PARC for neutronics of the ADS

明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 大樹

Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerators (AccApp '17) (Internet), p.396 - 402, 2018/05

核変換実験施設の要素技術試験の一環として、加速器とターゲットステーションの隔壁となるアルミ合金製の陽子ビーム窓の寿命評価のためにアルミの放射化断面積を測定した。J-PARCの3GeV陽子シンクロトロンのビームダンプにアルミフォイルを設置し、0.4及び3GeV陽子を入射しAl(p,x)$$^7$$Be, Al(p,x)$$^{22}$$Na及びAl(p,x)$$^{24}$$Na反応の断面積を測定した。J-PARCの加速器施設は、陽子ビームの強度モニタが高精度に校正されていること等により、既存の実験データより高い精度で断面積が測定できた。本実験結果と評価済み核データ(JENDL/HE-2007)の比較の結果、JENDL/HE-2007は最大で30$$%$$程度の違いはあるものの、概ね実験結果をよく再現することがわかった。PHITSコードよる計算との比較を行った結果、最新の核内カスケードモデルは、励起関数の形状は実験を再現するものの40$$%$$程度の過小評価を与えることがわかった。PHITSに用いられている統計崩壊モデル(GEM)の代わりにオリジナルのGEMモデルを用いて計算したところ、実験との一致が改善することがわかった。他の核種の反応断面積測定を今後予定しており、これにより核データや核反応モデルの高度化が期待できる。

論文

Reaction rate analyses of accelerator-driven system experiments with 100 MeV protons at Kyoto University Critical Assembly

Pyeon, C. H.*; Vu, T. M.*; 山中 正朗*; 菅原 隆徳; 岩元 大樹; 西原 健司; Kim, S. H.*; 高橋 佳之*; 中島 健*; 辻本 和文

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(2), p.190 - 198, 2018/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:31.68(Nuclear Science & Technology)

京都大学臨界集合体において、100MeV陽子と鉛ビスマスを組み合わせた核破砕中性子による加速器駆動システム(ADS)の反応率測定実験を行っている。反応率測定は、箔放射化法を用いた。解析にはMCNP6.1を用い、核データとして高エネルギー粒子輸送にはJENDL/HE-2007、中性子輸送にはJENDL-4.0、反応率にはJENDL/D-99を用いた。実験と解析の結果から、未臨界度に依存した反応率が明らかとなった。一方で、固定源計算における高エネルギー領域の反応率の精度については課題が残ることがわかった。

報告書

J-PARC核変換実験施設・ADSターゲット試験施設における鉛ビスマス漏洩事象時の影響評価

岩元 大樹; 前川 藤夫; 松田 洋樹; 明午 伸一郎

JAEA-Technology 2017-029, 39 Pages, 2018/01

JAEA-Technology-2017-029.pdf:2.68MB

J-PARC核変換実験施設のADSターゲット試験施設において、250kW出力ビーム運転時に ターゲットとして使用される鉛ビスマスが鉛ビスマス循環系から漏洩し、放射性物質が排気筒か ら外部へ放出された場合の事業所境界における公衆が受ける被ばく線量について、様々な保守的 仮定を想定しながら評価した。その結果、事業所境界における被ばく量は約660$$mu$$Svであり、その大部分は鉛ビスマスから核破砕生成物として発生する水銀, 希ガスおよびヨウ素による寄与であることがわかった。保守的な事象想定にもかかわらず、被ばく量の合計は一般公衆が受ける年間被ばく量よりも低い値であり、本施設が放射性物質の漏洩に対して十分な安全裕度を持つことが示された。

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