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中島 健次; 川北 至信; 伊藤 晋一*; 阿部 淳*; 相澤 一也; 青木 裕之; 遠藤 仁*; 藤田 全基*; 舟越 賢一*; Gong, W.*; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(3), p.9_1 - 9_59, 2017/12
J-PARC物質・生命科学実験施設の中性子実験装置についてのレビューである。物質・生命科学実験施設には23の中性子ビームポートがあり21台の装置が設置されている。それらは、J-PARCの高性能な中性子源と最新の技術を組み合わせた世界屈指の実験装置群である。このレビューでは、装置性能や典型的な成果等について概観する。
関根 由莉奈; 遠藤 仁*; 岩瀬 裕希*; 竹田 茂生*; 向井 貞篤*; 深澤 裕; Littrell, K. C.*; 佐々木 善浩*; 秋吉 一成*
Journal of Physical Chemistry B, 120(46), p.11996 - 12002, 2016/11
被引用回数:8 パーセンタイル:65.71(Chemistry, Physical)コントラスト変調中性子小角散乱法を用いてコレステロール置換プルラン(CHP)が形成するナノゲルの内部微細構造の評価を行った。溶媒の重水分率の異なるCHPナノゲル水溶液の散乱強度を分離してCHPナノゲルを構成するプルラン、コレステロール、プルランーコレステロールのcross-termの部分散乱関数を求めて解析を行った。結果、プルラン鎖が形成するナノゲル骨格は半径8.1nmの大きさであった。また、CHPナノゲル内において、約3個のコレステロール分子から成る架橋点が19個形成され、フラクタル次元2.6で分布していることを明らかにした。また、架橋点と高分子鎖のcross-termを解析したところ、部分鎖の大きさは半径約1.7nmであった。以上の結果より、ナノゲルの内部微細構造を明らかにした。
長谷川 伸; 高橋 周一*; 岩瀬 裕希*; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成
Polymer, 54(12), p.2895 - 2900, 2013/05
被引用回数:7 パーセンタイル:70.04(Polymer Science)耐熱性及び機械特性に優れた芳香族炭化水素であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材の放射線グラフト重合性を支配する要因について検討した。PEEK膜へのスルホン酸含有スチレン誘導体であるスチレンスルホン酸エチルエステルへのグラフト重合は、PEEKの結晶化度が1126%で進行(72時間でグラフト率50%以上)するのに対し、結晶化度26%以上ではほとんど進行しない。そこで、X線小角散乱を用いて結晶化度の異なるPEEK膜の結晶モルフォロジー変化を調べたところ、結晶化度26%以上で、PEEK膜内に相関長(d)が14nmのラメラ構造が形成されていることを見いだした。グラフト重合性とラメラ構造形成の有無の関係から、結晶化度26%以上でPEEK膜へのグラフト重合性が消失する理由として、ラメラ構造の形成によるモノマー拡散の阻害によることが明らかとなった。
岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 八巻 徹也; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成
Macromolecules, 45(22), p.9121 - 9127, 2012/11
被引用回数:16 パーセンタイル:43.21(Polymer Science)燃料電池用高分子電解質膜の発電性能,耐熱性,機械特性の向上には、電解質特性を支配するナノ-マイクロメートルに及ぶ階層構造を明確にすることが重要である。そこで、放射線グラフト重合法を利用して作製したグラフト型電解質膜の中で、導電率,機械特性や発電性能が詳細に調べられている架橋テフロンからなる電解質膜について、中性子及びX線小角散乱(SANS, SAXS)を測定した結果、グラフト鎖からなるイオンチャンネルは、48-57nmのラメラ周期、直径480nmのラメラ結晶、及び1.7nmのイオンチャンネル内のスルホン酸の会合に対応する階層構造を有することがわかった。さらに、散乱プロファイルのグラフト率依存性より、ラメラ内部の非晶相に局所的にグラフト相(イオンチャンネル)が形成するため、低いグラフト率で高い伝導性を示すことが判明した。
長谷川 伸; Chen, J.; 越川 博; 岩瀬 裕希*; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成; 岩瀬 裕希*
Proceedings of 12th International Conference on Radiation Curing in Asia (RadTech Asia 2011) (Internet), p.238 - 239, 2011/06
耐熱性、及び機械特性に優れた芳香族炭化水素膜であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材へのスルホン酸含有スチレン誘導体の放射線グラフト重合を検討した。PEEK膜へのスルホン酸含有スチレン誘導体であるスチレンスルホン酸エチルエステル(E4S)へのグラフト重合は、PEEKの結晶化度11から26%において穏やかに進行し、72時間でグラフト率50%以上に達した。しかしながら、結晶化度26%以上では、グラフト重合がほとんど進行しなかった。SAXSを用いてこれら結晶化度の異なる試料についてモルホロジーの変化を検討したところ、結晶化度26%以上でd=14nmのラメラ周期構造を見いだした。こうして、結晶化度26%以上でのPEEK膜へのグラフト重合の抑制は、ラメラ周期構造の形成によるモノマー拡散の阻害によることが明らかとなった。
長谷川 伸; 高橋 周一*; 岩瀬 裕希*; 小泉 智; 森下 憲雄; 佐藤 賢*; 成田 正*; 大沼 正人*; 前川 康成
Polymer, 52(1), p.98 - 106, 2011/01
被引用回数:40 パーセンタイル:16.76(Polymer Science)高温耐久性,機械的強度に優れた芳香族炭化水素系高分子膜であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜を用いた燃料電池用電解質膜の調製と、調製された電解質膜の構造解析の検討を行った。市販されている結晶化度11%及び32%のPEEK膜へスチレンスルホン酸誘導体であるスチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)のグラフト重合は、結晶化度に依存し、32%ではほとんど進行しなかったのに対し、結晶化度11%においてグラフト重合は徐々に進行しグラフト率50%以上に達した。合成した電解質膜の機械強度は、100MPaであり、基材膜の強度の88%を維持した。また、グラフト重合反応機構について、電子スピン共鳴スペクトルの解析により、照射によって生じるラジカルはフェノキシラジカルであり、このラジカルを起点にグラフト重合が進行していることを見いだした。小角中性子散乱(SANS),小角X線散乱測定(SAXS)解析により、グラフト型電解質膜は、イオンチャンネル間距離13nmと、1.8nmのイオンチャンネルのミクロ構造を持つものであり、ナフィオンのイオンチャンネル(5nm)とは異なることが明らかとなった。
岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 八巻 徹也; 前川 康成; 小泉 智
International Journal of Polymer Science, 2011(2011), p.301807_1 - 301807_7, 2011/00
被引用回数:8 パーセンタイル:67.71(Polymer Science)高耐久性や高導電性を有する燃料電池用グラフト電解質膜を開発するためには、グラフト重合プロセスの基礎的理解が必要不可欠である。そこで本研究では、時間分解小角中性子散乱(SANS)測定により、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)へのスチレンのグラフト重合過程を調べた。具体的には、前照射(15kGy)を行ったPTFE膜をスチレンモノマーに浸漬して60Cで保持したまま、所定時間ごとにグラフト重合中のPTFE膜のSANS測定を行った。グラフト開始から200分以内の初期過程では、PTFEの結晶と非結晶の界面からグラフト鎖は生長し、PTFE微結晶を覆うようにグラフト相が形成された。その後、グラフト相のサイズはさらに増大し、やがてグラフト相どうしが連結していくことが明らかとなった。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 飯倉 寛; 松林 政仁; 山口 大輔; 前川 康成; 橋本 竹治
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 605(1-2), p.95 - 98, 2009/06
被引用回数:31 パーセンタイル:8.52(Instruments & Instrumentation)燃料電池の発電特性は燃料電池セル中の水の分布・挙動と直結する。燃料電池の水分布は電解質膜のイオンチャンネル内に存在するミクロスケールの水,ガス拡散相やセパレータの流路に滞留したマクロスケールの水といったように広い空間スケールにわたって存在し、総合的に発電特性を支配すると考えられている。今回、ミクロスケールからマクロスケールの水分布を広範囲な空間スケールについて横断的に観察するための計測手段として、中性子小角散乱と中性子ラジオグラフィを結合させた計測システムを開発した。本計測法により、実作動状態下の燃料電池単セル内のミクロからマクロスケールの水分布状態を観察することを世界に先駆けて成功した。
小泉 智; Zhao, Y.; 富田 陽子*; 近藤 哲男*; 岩瀬 裕希; 山口 大輔; 橋本 竹治
European Physical Journal E, 26(1-2), p.137 - 142, 2008/05
被引用回数:36 パーセンタイル:19.57(Chemistry, Physical)セルロースは一般には水に不溶であるが微生物(酢酸菌)が生成するバクテリアセルロースゲルは総体積の99%もの水を含むことができる。これは驚異の含水率における超分子系と位置付けることができる。そのからくりを解き明かすべく中性子超小角散乱法によってセルロース組織中のアモルファス領域と水の分布を解析すると、水は数ナノメータサイズのミクロフィブリル(微結晶)の周辺から階層的に閉じ込められていることが明らかとなった。この階層構造は微生物の生態(特に細胞運動)と深く関連があり微生物の培養条件との関連を論じる。また構造階層性と含水率の関係を散乱法で求められたフラクタル次元をもとに解析した。
奥 隆之; 岩瀬 裕希; 篠原 武尚; 山田 悟; 広田 克也*; 小泉 智; 鈴木 淳市; 橋本 竹治; 清水 裕彦
Journal of Applied Crystallography, 40(s1), p.s408 - s413, 2007/04
被引用回数:24 パーセンタイル:10.74(Chemistry, Multidisciplinary)中性子磁気レンズを搭載した集光型中性子小角散乱装置を開発した。中性子磁気レンズ(MNL)は、永久磁石NdFeBと高飽和磁化材料パーメンジュールから成る発展型Halbach永久六極磁石である。磁気レンズの内径は35mm、長さは1200mmであり、その内部に、六強磁場強度分布
B
=(
/2)
,
=11,500T/m
が形成される。ここで、
は磁石中心軸からの距離である。磁気レンズ内表面での中性子の反射を抑制するため、磁気レンズ内表面は中性子吸収材であるCd薄板で覆われているほか、磁気レンズ内部に30mm
のCdスリットが設置されている。よって、実効的な磁気レンズの口径は30mm
である。磁気レンズは、偏極中性子に対してのみ、集光レンズとして機能するので、中性子偏極素子として、磁気スーパーミラーを装置に搭載した。また、中性子磁気レンズで集光した集光中性子ビームは、大面積の
He二次元中性子検出器と高分解能シンチレーション二次元中性子検出器を用いて検出される。講演では、本装置の中性子集光光学系の性能と、集光型小角散乱装置の性能について、議論する。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 鈴木 淳市; 奥 隆之; 笹尾 一*; 田中 宏和*; 清水 裕彦*; 橋本 竹治
Journal of Applied Crystallography, 40(s1), p.s414 - s417, 2007/04
被引用回数:12 パーセンタイル:21.97(Chemistry, Multidisciplinary)これまで推進してきたJRR-3に設置された小角散乱装置SANS-Jの高度化によって、測定可能な波数範囲を、310
から2
と、従来の2ケタから4ケタに拡張することに成功したので、この成果について発表する。中性子集光物質レンズと高分解能二次元検出器を用いることで、低波数の観測限界を3
10
から3
10
に拡張することに成功した。さらに新規に設置した高角度検出器を活用することで、高波数の観測限界を0.2
から2
に拡張することに成功した。一台の小角散乱装置で、超小角領域を含む4ケタの波数領域を観測できる装置はこれまでに類がなく、世界に先駆けて実現した。
中村 充孝; 岩瀬 裕希; 新井 正敏; Kartini, E.*; Russina, M.*; 横尾 哲也*; Taylor, J. W.*
Physica B; Condensed Matter, 385-386(1), p.552 - 554, 2006/11
被引用回数:3 パーセンタイル:80.75(Physics, Condensed Matter)超イオン伝導体ガラスにおける高いイオン伝導機構はサイエンスの未解決の問題の一つである。われわれは、ISISに設置されているMARI分光器を用いて(AgI)(Ag
S)
(AgPO
)
系超イオン伝導体ガラスの非弾性中性子散乱測定を行った。その結果、超イオン伝導体ガラスにおいて1meVから3meVに渡るエネルギー領域での
依存性が、
=1.8
を超えたところで絶縁体ガラスよりも過剰な強度を持つことを見いだした。同じような現象は、HMIに設置されているNEAT分光器を用いた高分解能測定によって、別の超イオン伝導体ガラス(AgI)
(AgPO
)
においても観測された。これらの結果は明らかに、特異な低エネルギー振動励起が超イオン伝導体ガラスに普遍的な特徴であることを示唆するものである。
小泉 智; 岩瀬 裕希; 鈴木 淳市; 奥 隆之; 元川 竜平; 笹尾 一*; 田中 宏和; 山口 大輔; 清水 裕彦; 橋本 竹治
Physica B; Condensed Matter, 385-386(2), p.1000 - 1006, 2006/11
被引用回数:38 パーセンタイル:17.43(Physics, Condensed Matter)既存のピンホール型中性子小角散乱装置(SANS-J)に集光レンズと偏極素子を導入することで集光型偏極中性子小角散乱装置(SANS-J-II)へと高度化することに成功した。その結果、これまで観測が不可能であった数マイクロメートル(波数で0.0001 reciprocal angstromに相当)まで観測領域を拡大することに成功したのでこの成果を発表する。
新井 正敏; 岩瀬 裕希; 中村 充孝; 大友 季哉*; Kartini, E.*; 伊藤 恵司*; Levett, S. J.*; Bennington, S. M.*
AIP Conference Proceedings 832, p.299 - 302, 2006/05
(AgI)(Ag
S)
(AgPO
)
系の超イオン伝導体ガラスについて非弾性中性子散乱実験を行い、ボゾンピークと呼ばれる3meV付近の過剰な振動状態密度が塩の添加濃度とともに増加することを見いだした。さらに、ボゾンピーク強度の組成依存性は直流イオン伝導度と系統的に相関していることもわかった。これらの現象について、塩を添加したことによるネットワーク構造の広がり、つまり自由体積の観点から議論を行った。
小泉 智; 岩瀬 裕希; 田中 宏和; 橋本 竹治; 鈴木 淳市; 奥 隆之; 笹尾 一*; 清水 裕彦
波紋, 14(4), p.266 - 274, 2004/10
ソフトマター中性子散乱グループを中心として展開している、中性子小角散乱装置SANS-Jの改造の計画と現状をまとめた。改造の主な内容は、磁気レンズ及び物質レンズを用いた中性子集光技術の利用であり、これにより、これまで達成されていない0.0001
の実現を目指している(ここで
は散乱中性子の波数である)。さらに、集光技術を強度に活用すれば、数倍の強度増が可能となる予定である。また、偏極中性子の利用も新たに検討されていて、偏極解析を行うことで、実験的に非干渉性部分の除去が可能になる予定である。これらの改造を達成すると、集光型偏極中性子小角散乱装置(SANS-J-II)が実現する。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 奥 隆之; 鈴木 淳市
no journal, ,
小角散乱実験では、最適な分解能を得るために入射ビームをナローに絞る。そのために中性子の強度が不足するという問題点がある。この問題を克服するため、両凹面MgF物質レンズの活用した集光型小角散乱実験を試みた。物質レンズの有効な活用方法を決定するために、JRR-3に設置された小角散乱装置SANS-Jを使用して散乱実験を行った。測定の結果、最上流スリットを2mm
、試料直前のスリットを20mm
、さらにレンズを72枚使用するという光学条件で測定を行うと、観測限界
が
まで拡張された。従来のピンホール型(最上流スリット20mm
,試料直線スリット8mm
)の観測限界は
であったので、物質レンズを活用することで一ケタ拡張することに成功した。さらにピンホール型の観測限界と同等の分解能が得られるレンズを用いた光学条件を、最上流スリット20mm
,試料直線スリット20mm
、及びレンズ40枚と決定し、この条件で測定を行った場合、入射強度が従来と比較して3倍増加することが示された。
小泉 智; 元川 竜平; 岩瀬 裕希; 橋本 竹治
no journal, ,
既存のピンホール型中性子小角散乱装置(SANS-J)に集光レンズと偏極素子を導入することで集光型偏極中性子超小角散乱装置(SANS-J-II)へと高度化することに成功した。その結果、これまで観測が不可能であった数マイクロメートル(波数で0.0001 reciprocal angstromに相当)まで観測領域を拡大することができた。この実験手法を高分子ゲルの観察に応用し、体積相転移に伴いネックレス状ミクロドメインが出現することを明らかにしたのでこの成果を報告する。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 吉村 倫一*; 橋本 竹治
no journal, ,
高い界面活性能を持つことで近年注目されているヘテロジェミニ型界面活性剤の水溶液中での凝集構造を明らかにするために、中性子小角散乱(SANS)測定を行った。試料として新規に合成された1分子にカチオンとアニオンを有する両性ヘテロジェミニ型界面活性剤及び糖鎖含有ヘテロジェミニ型界面活性剤を使用した。測定は炭化水素鎖数及び界面活性剤濃度を系統的に変えながら行われた。界面活性剤水溶液の凝集構造は、分子の幾何学的充填の考察から予測できることが知られている。特に生体脂質分子の水溶液中の凝集構造はその予測が報告されている。しかしながら、今回測定した両性ヘテロジェミニ型では、その予測された構造とSANSで決定された構造が著しく異なることが明らかとなった。一方、糖鎖含有ヘテロジェミニ型では、炭化水素鎖数14以外は一致した。さらに膜厚を調べたところ、糖鎖含有ヘテロジェミニ型では二重膜構造を形成するのに対して、両性ヘテロジェミニ型は、分子二重膜中の向かい合う分子どうしが入り込み構造を取ることが明らかとなった。上記の幾何学的充填による考察では、分子同士が入り込むことを考慮していないために、SANSの結果を表現できなかったと結論づけられる。さらに、この入り込み構造を取ることで、分子が効率よくパックする、すなわち単位体積あたりに多くの界面活性剤が存在すると言える。このため、両性ヘテロジェミニ型はより高い界面活性を示すと考えられる。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 吉村 倫一*; 橋本 竹治
no journal, ,
一般に、カチオン又はアニオンの異なる分子を持つ一本鎖型界面活性剤を、分子内で共有結合したものをヘテロジェミニ型界面活性剤と呼ぶ。これは一本鎖型界面活性剤に比べて、界面張力が大きく低下すること、また臨界ミセル濃度が低いなどの特異的な性質を示す。この特異性の起源を明らかにするために中性子超小角散乱(F-USANS)の測定を行い水溶液中での凝集構造を解析した。これまで界面活性剤の水溶液中の凝集構造は、界面活性剤分子の疎水性尾部と親水性頭部の分子サイズを考慮した幾何学的充填条件による考察の結果とよく一致することが知られている。しかしながら、本研究で用いたヘテロジェミニ型界面活性剤では、従来の考察とF-USANSで決定した凝集構造(ユニラメラベシクル)で著しく異なることが明らかとなった。さらにF-USANSの解析結果からユニラメラベシクルの膜厚を定量的に評価すれば、ヘテロジェミニ型界面活性剤では分子二重膜中の向かい合う分子同士が入り込み構造(Interdigitated Structure)を取ることが明らかとなった。入り込み構造を取ることで、単位界面積あたり界面活性剤がより効率よく充填し、その結果、界面張力の低下がより促進されたこと、また臨界ミセル濃度がより低下したと結論づけられる。以上の結果は、分子材料設計における中性子超小角散乱法の活用例として大きな反響があり、本国際会議で発表を行う。
増井 友美; 小泉 智; 橋本 竹治; 岩瀬 裕希; 敷中 一洋*; Kwon, H.*; 角五 彰*; Gong, J.*
no journal, ,
アクチン分子は生体内に最も豊富に存在する球状タンパク質であり、生体内のアクチン結合タンパク質とともにコンプレックスを形成することで高次構造を形成し、細胞運動を担うことが知られている。このため、細胞運動を理解するためにアクチン分子が形成するコンプレックスの構造の研究は精力的に進められ、蛍光標識したアクチン分子を用いて蛍光顕微鏡観測を中心に研究が進められている。生体内のアクチン濃度は高いが、蛍光顕微鏡観測では高アクチン濃度では背景光が蛍光ノイズとなるため高濃度での振る舞いに関しては不明な点が多いのが現状である。本研究では、中性子超小角散乱法を利用することで、顕微鏡実験より高濃度での実験を実現し、アクチンコンプレックスの構造を追跡した。その結果、顕微鏡実験の濃度ではコンプレックスを形成しない条件下でも、アクチン濃度を高くすることによりコンプレックスを形成することを明らかにした。