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引間 亮一*; 平野 享*; 山下 雅之*; 石山 宏二*; 丹野 剛男*; 真田 祐幸; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2013-040, 51 Pages, 2014/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発では、岩盤の力学特性や初期応力状態を評価して岩盤力学モデルを構築し、坑道掘削時の力学的安定性を評価するとともに、岩盤の長期的な挙動を評価することが重要な課題とされている。坑道掘削前のボーリングコアなど限られた情報からでは、割れ目を含む原位置岩盤の力学特性を精度よく評価することは困難であるため、原位置岩盤の力学特性を簡便で精度よく把握する手法として、掘削機械の掘削データから得られる掘削体積比エネルギーに基づく原位置岩盤物性評価手法に関する研究を実施した。その結果、以下の知見を得た。(1)基礎実験から得られたSEによる強度推定式より、原位置の岩盤強度を概ね正しく評価することができ、その誤差は2030%であった。(2)基礎実験から得られた削孔速度による強度推定式では、岩盤強度を正しく評価できないことがわかった。(3)1つの推定式からより広範囲の岩盤強度を算出できる可能性を示した。本報告書は、2010年度2012年度の3年間で実施した共同研究の成果をまとめたものである。
引間 亮一*; 平野 享*; 山下 雅之*; 石山 宏二*; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 丹野 剛男
平成25年度(2013年)資源・素材学会秋季大会講演集, p.247 - 248, 2013/08
日本原子力研究開発機構では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の一環として、超深地層研究所計画を進めている。本報告では、瑞浪超深地層研究所の深度500m研究アクセス北坑道の掘削において、油圧式削岩機の掘削データを取得して掘削体積比エネルギーに基づく原位置岩盤評価を試みた。その結果、掘削体積比エネルギーは岩盤の状態を表す岩盤等級やRQDとおおむね同様の傾向を示し、特に一軸圧縮強度と強い相関を示すことが確認できた。さらに、日常の施工データを用いることで岩盤の連続的な性状を示すことができ、その性状は切羽観察記録とおおむね対応していることが確認できた。
相馬 宣和*; 及川 寧己*; 平野 享*; 松井 裕哉; 浅沼 宏*
物理探査, 66(2), p.69 - 83, 2013/04
本研究では、地下空洞内部から、簡便かつ安価に周辺の地下構造を評価する手法の確立を目的として、ボーリング掘削時に受動的に得られる弾性波を利用した地下イメージング方法を検討している。本稿では、日本原子力研究開発機構の瑞浪超深地層研究所の研究坑道において、力学調査目的の岩石コア採取時の掘削音の観測を行い、坑道周辺の3次元的な反射イメージングを試みた。その結果、掘削音の観測はボーリング作業の施工工程にほとんど影響せずに実施でき、坑道周辺の3次元反射イメージングが可能なことがわかった。
平野 享*; 瀬野 康弘*; 引間 亮一; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-019, 51 Pages, 2011/09
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標とする研究プロジェクトである。その中で実施された、深度200mにおける立坑掘削中のひずみ計測は、超深地層研究所計画で研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)での目標の一つとされる「研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を主な目的とするものである。具体的には、深度200mからの換気立坑掘削に先立ち、研究坑道からボーリング孔(07MI1012号孔)を掘削して孔中に埋設型ひずみ計・連続式挿入型傾斜計・光ファイバ式ひずみ計を設置し、換気立坑掘削に伴う応力解放や、湧水抑制対策の一環として実施したプレグラウトの影響が、岩盤ひずみ・変位としてどのように現れるのかを原位置調査によって把握した。
引間 亮一; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 丹野 剛男; 平野 享*; 山下 雅之*; 石山 宏二*
平成23年度(2011年)資源・素材学会秋季大会講演集, p.265 - 266, 2011/09
地層処分技術に関する研究開発では、坑道掘削時の力学的安定性評価を行うことに加えて、岩盤の長期的な挙動を評価することが重要となっている。さらに、坑道掘削後には掘削影響領域が生じ、地下水や物質の選択的な移行経路になることも想定される。しかし、坑道掘削前の岩芯など限られた情報からでは、力学特性や割れ目の分布などの不確実性を伴う原位置岩盤を正確に評価することは困難であり、広範囲にわたる地下施設では、すべての位置を精密な原位置調査を実施することは現実的でない。一方、岩盤性状の変化は削岩機やTBMの掘削データから推定できることが以前から知られており、掘削体積比エネルギーが岩盤性状を現す一つの指標として提案されている。本報告では、既存文献から掘削体積比エネルギーを用いて掘削影響領域を評価できる可能性を示した。掘削体積比エネルギーは、施工時の掘削機械のデータから算出できるため、トンネル線形に沿った連続したデータとして取得でき、広範囲にわたる原位置での岩盤物性や掘削影響領域を評価することができる可能性は高いと期待される。
丹野 剛男; 平野 享*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-013, 59 Pages, 2011/06
本報告は、2009年度に実施した岩盤力学に関する次に示す項目の調査研究成果をとりまとめたものである。(1)掘削ずりを用いた室内物理・力学試験結果の妥当性の確認、(2)第1段階で作成した岩盤力学モデルの妥当性の確認、(3)研究坑道周辺岩盤の予察的変形解析、(4)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究、(5)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究、(6)掘削影響領域の評価に関する基礎的研究。(1),(2)については、新たに試験を実施し妥当性を確認することができた。(3)については、調査対象の大きさにより変形解析の結果が異なることが確認された。(4)については、コンプライアンス可変型構成方程式が一軸圧縮試験での岩石の挙動を表すのに有効であることを確認した。また原位置によるコンプライアンス可変型構成方程式の実証試験案を示した。(5)については、熱-水-応力の連成現象の一因として石英の圧力溶解について実験を行い、実験結果から石英の溶解に関する式を示すことができた。(6)については、コア法による応力測定及び弾性波を利用したSWD(Seismic While Drilling)法により掘削影響領域の推定方法を提案することができた。
市川 康明*; Choi, J. H.*; 丹野 剛男; 平野 享*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-007, 91 Pages, 2011/06
結晶質岩の長期挙動を解明するために、古典破壊力学理論を総括し、破壊靱性値以下の荷重状態においても亀裂が進展して破壊に至る亜臨界亀裂進展を取り上げて、力学・化学連成現象の観点からその原因を考察し、花崗岩の長期挙動における亜臨界亀裂進展現象について考察を加えた。また、亜臨界亀裂進展現象の主たる要因である圧縮応力下におけるケイ酸塩鉱物の化学的な溶解現象について、実験室でその現象を再現し、現象の理解を試みた。さらに、これまでの研究内容を総括するとともに、実験結果をもとに、温度溶液(pH)・固体圧力と溶液の間隙水圧を変数とした石英に対する溶解速度式を提案した。
國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 早野 明; 竹内 竜史; 三枝 博光; 大山 卓也; 水野 崇; et al.
JAEA-Review 2011-007, 145 Pages, 2011/03
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」,「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」,「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。第2段階の調査研究では、研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握、研究坑道の施工・維持・管理にかかわる工学技術の有効性の確認を目的とした調査研究を進めるとともに、第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の調査研究計画の策定を進めている。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」における2009年度に実施した(1)調査研究,(2)施設建設,(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
及川 寧己*; 相馬 宣和*; 當舎 利行*; 松井 裕哉; 平野 享*; 丹野 剛男; 引間 亮一
JAEA-Research 2010-048, 45 Pages, 2011/02
地下深部で掘削した坑道の周辺では、岩盤に加わる力の変化や発破の影響などで新たな亀裂が発生し、岩盤の性質が変化する。この性質が変化した領域を「掘削影響領域」と呼んでいる。掘削影響領域の範囲や性質の変化は、処分場の性能評価や地下施設の設計に大きな影響を及ぼすため、その調査や評価が必要となっている。しかし、現状の掘削影響領域の調査では、実際の坑道において、専用機器等を用いた大がかりな調査を行うことから、多大な時間とコストを費やしている。そこで、掘削影響領域を簡便かつ安価に調査するための手法の開発を目的として、ボーリング掘削のみで得られる情報(本研究では、ボーリングによって採取した岩芯及びボーリング時の振動)を最大限に活用する手法の開発に必要な基礎的研究を行った。本報告書は、2008年度2009年度の2年間で実施した共同研究の成果をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。次に第2章では、原子力機構の瑞浪超深地層研究所、深度200mボーリング横坑で行われたボーリング掘削で採取された岩芯を用いてAcoustic Emission/Deformation Rate Analysis法(AE/DRA法)により周辺岩盤の応力状態の把握を試みた。続いて第3章では、瑞浪超深地層研究所、深度200mボーリング横坑で行われたボーリング掘削振動を取得し、弾性波伝搬速度推定法と反射イメージング法により空洞周辺の地質構造評価を試みた結果を報告した。
堀内 泰治; 平野 享*; 池田 幸喜; 松井 裕哉
第40回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.242 - 247, 2011/01
日本原子力研究開発機構は、瑞浪超深地層研究所立坑中心の深度200m付近から掘削したパイロットボーリング孔を利用し、深度500m地点に高精度歪計を設置し、200mからの研究坑道掘削中に取得した深度500m地点での岩盤の歪データを用い、地球潮汐といった定常的な外力変動や地震及び発破などの瞬間的な外力変動による岩盤の変形状況を分析した。その結果、評価できるデータの取得期間は短かったが、今回使用した高精度歪計は、地球潮汐や地震時のみならず鉛直深さで300m程度離れた場所の発破の微少変形も観測しえたことから、掘削面前方の岩盤の剛性の違いなどの岩盤状況を相当離れた位置から把握できる可能性が示された。
松井 裕哉; 丹野 剛男; 平野 享*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*; 石井 卓*
JAEA-Research 2010-043, 87 Pages, 2010/12
予察的解析の妥当性評価を目的として、壁面観察結果に基づきクラックテンソルを算定し、地中変位計測と比較して、その妥当性を評価し、立坑内から実施したパイロットボーリング調査や地表からの調査段階で設定したクラックテンソルの比較を行った。(1)2004年度の予察的解析で設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析値は地中変位計測値よりも小さい値を示した。一方、壁面観察結果から設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析の結果、計算された最大値は計測値に近い値を示した。(2)これは、2004年度の評価で十分考慮できていない非常に連続性の高いNE系の割れ目の情報が新たに考慮されたためである。換気立坑より掘削したパイロットボーリング調査結果に基づきクラックテンソルを求めて両者と比較した結果、パイロットボーリング調査で把握された割れ目の方向分布は壁面観察の方向分布と近いこと、求められたクラックテンソルは両者の中間に位置することがわかった。(3)パイロットボーリングデータにおける深度350mと深度500m間の割れ目の統計量の関係より深度500mにおけるクラックテンソルを推定した。推定されたクラックテンソルを用いて深度500mにおける換気立坑と水平展開坑道の変形解析を行った結果、2004年度の結果よりも岩盤のヤング率は低減し、支保工に作用する応力は増加した。
大久保 誠介*; 引間 亮一; 平野 享*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-031, 45 Pages, 2010/10
岩石や岩盤は、クリープや応力緩和のような時間依存性挙動を示すことが知られている。高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、建設時及び操業時は言うまでもなく、坑道埋め戻し後も千年程度の長期に渡る坑道の安定性の評価が要求される。このため、長期に渡る岩石や岩盤の時間依存性挙動を把握することは、そのような坑道の長期安定性を評価するうえで重要な課題である。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2009年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。つぎに第2章では、1997年度から継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。つづいて第3章では、非線形粘弾性論をよりどころとして、岩石や岩盤の時間依存性挙動を表現するコンプライアンス可変型構成方程式とそのパラメータの取得法について総括した。また、2008年度までに得られた試験結果を踏まえて、土岐花崗岩の時間依存性挙動と中間温度(40C80C)での稲田花崗岩の時間依存性挙動に関する所見を述べた。最後に第4章では、拡張したコンプライアンス可変型構成方程式を用いた有限要素解析により、土岐花崗岩の長期挙動に関する予察的検討を行った。最後に、数値解析結果に基づいて原位置試験計画に関する所見を述べた。
竹内 真司; 國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 早野 明; 竹内 竜史; 三枝 博光; 大山 卓也; et al.
JAEA-Review 2010-029, 28 Pages, 2010/08
独立行政法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」,「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」,「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。2010年度は、第2段階の調査研究を進めていくとともに、第3段階の調査研究を開始する。本計画書は、2010年に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、2010年度の超深地層研究所計画の(1)調査研究計画,(2)施設建設計画,(3)共同研究計画などを示したものである。
堀内 泰治; 平野 享; 池田 幸喜; 松井 裕哉
JAEA-Technology 2010-017, 122 Pages, 2010/07
大深度立坑を掘削する際に掘削前方の岩盤のひずみ変化は、立坑掘削において安全上最も重要となる突発湧水や山はね等の突発事象の発生可能性を予測し、それらに対する施工対策を講じるための情報を得る手段の一つと期待される。日本原子力研究開発機構の瑞浪超深地層研究所では、研究坑道掘削工事において掘削したパイロットボーリング孔に高精度ひずみ計を設置し、研究坑道掘削中に取得された深度500m地点での岩盤のひずみデータについて、地球潮汐といった定常的な外力変動や地震及び発破などの瞬間的な外力変動によって、岩盤でどのような変形が生じたかを分析した。その結果、評価できるデータの取得期間は短いものの、その間のデータ分析などから幾つかの重要な知見を得た。また、今回使用した高精度ひずみ計は、鉛直深さで300m程度離れた場所の発破による微少変形を観測しえたことから、掘削面前方の岩盤の剛性の違いなどの岩盤状況を相当離れた位置から把握できる可能性が示された。
竹内 真司; 國丸 貴紀; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 鶴田 忠彦; 松岡 稔幸; 早野 明; 竹内 竜史; 三枝 博光; 大山 卓也; et al.
JAEA-Review 2010-014, 110 Pages, 2010/07
独立行政法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」,「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」,「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」における2008年度に実施した(1)調査研究,(2)施設建設,(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
丹野 剛男; 平野 享*; 松井 裕哉
Rock Stress and Earthquakes; Proceedings of 5th International Symposium on In-situ Rock Stress (ISRS-5), p.521 - 526, 2010/07
日本原子力研究開発機構は、地表からの調査段階で実施した初期応力測定結果から施設スケールにおける初期応力分布を精度良く評価する手法を開発してきた。本評価手法では、応力場が重力に起因する応力成分と地殻運動による水平応力成分から形成されると仮定し、また、領域内の初期応力状態に影響する岩種の相違や断層などの地質的不均一性のモデル化が必要であるとした。これを踏まえて、3次元有限要素法及び3次元境界要素法を用いた二種類の数値モデルを構築した。次いで、その検証として、これらのモデルを用いて、瑞浪超深地層研究所周辺の初期応力評価を行った。その評価において、外力は未知数であるが、初期応力測定結果を用いた逆解析で求めることができ、この外力を用いて、順解析により瑞浪超深地層研究所周辺の応力状態を計算した。現在施工中である瑞浪超深地層研究所の深度100m及び深度200mで応力測定を実施し、解析結果と比較した。その結果、解析された初期応力状態は、モデル化された地質的不均一性に依存して二種類の解析モデルで異なるものの、深度100m及び深度200mの測定結果とおおむね一致した。
平野 享; 瀬野 康弘*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-013, 51 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画の第2段階では「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」が目標の一つとして設定されており、そのための調査研究の一環として本調査を実施した。深度200mの研究坑道から土岐花崗岩にボーリング孔を掘削し、研究坑道周辺の土岐花崗岩の物理・力学的特性,岩盤初期応力を把握した。その結果、岩石の物理・力学的特性はMIZ-1号孔の調査結果と同程度であると認められた。また、岩盤初期応力は、最大主応力1の方向がおおむね水平でNW-SE方向、その値は10.6MPaと認められ、SHに換算するとMIZ-1号孔の調査で予測された深度200mにおけるSHの方向や値とおおむね一致した。以上のことから、第1段階のMIZ-1号孔の調査は、深度200mにおいて有効であったと考えられる。そのほか深度200400mの掘削ずりから取得した物理・力学的特性と合わせて検討した結果、特性に認められるばらつきの割合は同一深度で約20%、深度方向で約40%であり、岩盤の不均一性の現われであると考えられた。
水田 義明*; 金子 勝比古*; 松木 浩二*; 菅原 勝彦*; 須藤 茂昭*; 平野 享; 丹野 剛男; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-011, 35 Pages, 2010/06
坑道掘削において3次元場における岩盤の初期応力を精度よく把握するには、広範囲の地質条件の不確定要素や不均一性などを扱わずに済む、坑道位置での調査が望ましい。しかしながら、地層処分の場合のように数平方kmスケールの地下構造物を建設するとなると、坑道位置での多数の調査を行うことは経済的に困難と考えられる。そこで、限られた数のボーリング孔の掘削による調査結果を用いて、任意地点の初期応力を予測する手法の開発が課題とされた。本報告書は、この課題の解決を目的として2004年度から2006年度まで、核燃料サイクル開発機構(現;日本原子力研究開発機構)が社団法人資源・素材学会に委託した「3次元応力場同定手法の高度化に関する研究」について成果をとりまとめたものである。本委託研究では初期応力評価の例題として東濃地域を取り上げた。はじめに数km数kmの領域の数値モデルを作成し、その領域内で実施した初期応力測定結果を拘束条件とする逆解析を行った。逆解析により領域内の広域応力・広域ひずみが得られ、これを用いた順解析は同領域内の任意地点の初期応力の平均的状態をおおむね予測していることを確認した。
平野 享; 瀬野 康弘*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-005, 41 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市において実施している研究プロジェクトである。プロジェクトは、現在、研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)にある。第2段階の調査研究においては、「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」及び「研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」が成果目標の一つとして設定されており、調査の種類や量と個別目標や課題に対する理解度や精度との関係を実例で把握し、調査の有効性の評価,サイトスケールで作成された第1段階の地質環境モデルの妥当性評価,ブロックスケールの同モデルの構築等を行うものとしている。その中で、岩盤力学に関する調査研究では、おおむね深度100m間隔で岩盤力学ボーリング調査を実施し、適宜、坑内での変位・ひずみ計測などの調査を実施し、これらを通じて上記目標や課題を達成するものとした。本報告は、以上に述べた調査研究の一環として、2008年度に実施した岩盤力学に関する調査研究成果をとりまとめたものである。
平野 享; 中間 茂雄; 山田 淳夫*; 瀬野 康弘*; 佐藤 稔紀*
JAEA-Research 2010-002, 48 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画の第2段階では「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」が成果目標の一つとして設定されており、そのための調査研究の一環として本調査を実施した。土岐夾炭累層に設けた深度100mの研究坑道からボーリング孔を掘削し、被覆層の力学的な地質環境(岩石の物理・力学的特性,岩盤初期応力)を把握した。その結果、岩石の物理・力学的特性はMIZ-1号孔の調査結果と同程度の値が示され、第1段階の調査で深度100mの物理・力学的特性がおおむね予測されていることを確認した。また、初期応力状態は、最大主応力の方向が、MIZ-1号孔の調査において土岐夾炭累層の下位に位置する土岐花崗岩で認められた方向と類似しており、また、広域ひずみ場とも調和していた。しかし、応力値は土岐花崗岩での値に外挿して得られるものとは異なり、土岐夾炭累層と土岐花崗岩の境界において初期応力が不連続的に変化する(応力のデカップリングが生じている)ものと考えられた。