Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
齊藤 寛之*; 町田 晃彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*
Physica B; Condensed Matter, 714, p.417234_1 - 417234_3, 2025/10
「高温高圧下における重水素化ニッケルの重水素組成に関する中性子回折研究[Phys. B Condens. Matter. 587 (2020) 412153]」の正誤表を記した。
山口 敏男*; 町田 真一*; 服部 高典
Molecules (Internet), 30(16), p.3417_1 - 3417_18, 2025/08
被引用回数:00.1MPa/298Kから4GPa/523Kの条件下の1(mol/kg)のScCl
D
O水溶液の構造を、その場中性子回折法と経験的ポテンシャル構造精製法(EPSR)により調べた。主要なSc(III)種は、歪んだ五角形二錐形幾何構造を有する[Sc(OH
)
]
であり、接触イオン対種[ScCl
(OH
)
]
(n=1-3)および[Sc(OH
)
]
が存在し、平均Sc-Cl距離とSc-OH
距離はそれぞれ2.42と2.11
である。水和塩化物イオンは、0.1MPa/298Kでは平均7.8個、4GPa/523Kでは平均10.9個の水分子の周囲に囲まれており、Cl-H
O距離は双方とも3.10
である。GPa域の圧力を加えると、常温下での水の四面体ネットワーク構造が、平均配位数12.6のデンスランダムパッキングに変化し、第一近接距離が2.77から2.89
に増加する。水分子間の水素結合は線形を維持するが、高温高圧下では大きく歪む。
Zhao, X.*; Zhang, Z.*; 服部 高典; Wang, J.*; Li, L.*; Jia, Y.*; Li, W.*; Xue, J.*; Fan, X.*; Song, R.*; et al.
Nature Communications (Internet), 16, p.7713_1 - 7713_8, 2025/08
被引用回数:0熱効果は、固体状態の冷凍技術の一つの解決策の基盤を成すもので、通常は固体状態の相転移付近で発生し、冷凍温度範囲が限定されている。ここでは、前例のない概念である「全温度帯バロカロリック効果」を導入し実現する。すなわち、KPFにおいて77.5Kから300Kの極めて広い温度範囲(潜在的に4Kまで)で観測される顕著なバカカロリック効果である。この温度範囲は、一般的な室温、液体窒素、液体水素、液体ヘリウムの冷却領域をカバーしている。直接測定されたバーカロリック断熱温度変化は、250MPaの圧力を解放した際に、室温で12K、77.5Kで2.5Kに達する。この効果は、圧力依存性の中性子粉末回折、ラマン散乱解析、第一原理計算により示されるように、菱面体高圧相への持続的な相転移に起因する。構造的不安定性を考慮した熱力学的エネルギーランドスケープを記述する。この独自の全温度帯バロカロリック効果は、従来の多段式シナリオを超えた、高度に適用可能な固体状態冷凍技術への新たなアプローチを提供する。
大橋 智典*; 坂巻 竜也*; 舟越 賢一*; Steinle-Neumann, G.*; 服部 高典; Yuan, L.*; 鈴木 昭夫*
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (Internet), 120(1), p.240926a_1 - 240926a_13, 2025/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Mineralogy)0-6GPa, 1000-1300Kのドライおよび含水NaSi
O
融体の構造と高温高圧から回収したガラスの構造をその場中性子回折及びX線回折により調べた。また、0-10GPa, 3000Kの融体の構造をab-initio分子動力学シミュレーションにより調べた。その場中性子実験から、-O-D-O-架橋種の形成によりD-O距離が圧縮とともに増加することが明らかになり、分子動力学シミュレーションでも再現された。圧力による-O-D-O-形成は、水素がより強固に取り込まれることを反映しており、実験的に観測されたケイ酸塩融体中の水の高い溶解度のメカニズムとして働く。一方、0-10GPa, 3000KにおけるドライNa
Si
O
の圧縮は、Si-O-Si角の曲げに支配される。さらに、含水Na
Si
O
融体の分子動力学シミュレーションから、圧力上昇とともに、2(
Si-O
+ Na
)
Si-(O-
Si-O)
+ 2Na
およびSi-O
+ Na
+ Si-OH
Si-(O-H-O-Si)
+ Na
で示される反応により、ナトリウムイオンがネットワーク修飾の役割を果たさなくなることを示唆している。
町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 町田 真一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*
Physical Review B, 111(22), p.224413_1 - 224413_6, 2025/06
被引用回数:1 パーセンタイル:76.22(Materials Science, Multidisciplinary)Mn金属を高温高圧で水素化することにより形成される反強磁性Mn重水素化物、fcc-MnDxとhcp
-MnDxの結晶構造と磁気構造をin-situ中性子粉末回折により調べた。重水素原子はfcc及びhcp金属格子の八面体格子間を部分的に占有していた。N
el温度は
-MnD
で543(10)Kであった。
-MnD
では、飽和磁気モーメントは0.82(1)
、N
el温度は347(3)Kであった。
-MnD
と
-MnD
について決定されたN
el温度は、以前の研究で提案されたそれぞれのSlater-Pauling曲線によって予測されたものと一致した。更新されたN
el温度は、電子バンド構造計算に基づくより正確なSlater-Pauling曲線の開発に示唆を与える。
Beyer, D. C.*; Spektor, K.*; Vekilova, O. Y.*; Grins, J.*; Barros Brant Carvalho, P. H.*; Leinbach, L. J.*; Sannemo-Targama, M.*; Bhat, S.*; Baran, V.*; Etter, M.*; et al.
ACS Omega (Internet), 10(15), p.15029 - 15035, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)SiH八面体部位を特徴とするヒドリドケイ酸塩は、水素貯蔵と水素化物イオン伝導に関連する潜在的な性質を持つかなり新しい化合物のクラスである。ここでは、Zintl相水素化物BaSiH
を4GPa以上の圧力でH
流体と反応させ、その後常圧まで減圧して得られた新しい代表的なBaSiH
について報告する。SiH
イオンはBa
対イオンによって八面体に配位している。Ba原子とSi原子の配置は理想的なfcc NaCl構造からわずかにずれている。IRとラマンスペクトルからSiH
の屈曲と伸縮モードがそれぞれ800-1200と1400-1800cm
の範囲で観測された。BaSiH
は95
Cまで熱的に安定であり、それ以上ではBaH
とSiに分解する。DFT計算により、直接バンドギャップは2.5eVであることが示された。BaSiH
の発見により、ギガパスカル圧力(10GPa以下)のシリサイドの水素化反応からアクセス可能なヒドリドケイ酸塩の化合物クラスが固まった。BaSiH
の構造的性質は、超伝導ポリハイドライドBaSiH
を予測されるより高い圧力で水素化するための中間体(あるいは前駆体)であることを示唆している。
Li, F.*; Tang, X.*; Fei, Y.*; Zhang, J.*; Liu, J.*; Lang, P.*; Che, G.*; Zhao, Z.*; Zheng, Y.*; Fang, Y.*; et al.
Journal of the American Chemical Society, 147(17), p.14054 - 14059, 2025/04
被引用回数:1 パーセンタイル:73.80(Chemistry, Multidisciplinary)2,2'-ビピラジン(BPZ)の圧力誘起重合により結晶性グラファンナノリボン(GANR)を合成した。中性子回折データのリートベルト精密化,核磁気共鳴スペクトル,赤外スペクトル,理論計算を行った結果、BPZは
積層した芳香環の間でディールス・アルダー重合し、並外れた長距離秩序を持つ伸びたボート型GANR構造を形成することがわかった。未反応の-C=N-基がボートの両端を橋渡ししており、さらなる機能化の余地がある。このGANRのバンドギャップは2.25eVであり、光電応答は良好である(I
/I
=18.8)。われわれの研究は、高圧トポケミカル重合法が、特定の構造と望んだ特性を持つグラファンの精密な合成に有望な方法であることを強調している。
Efthimiopoulos, I.*; Klotz, S.*; Kunc, K.*; Baptiste, B.*; Chauvigne, P.*; 服部 高典
Physical Review B, 111(13), p.134103_1 - 134103_13, 2025/04
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)X線回折、中性子回折、ラマン散乱、第一原理計算を用いて、ReOの高圧力下での挙動を15GPaまで包括的に調べた。常圧
=3
構造は0.7GPaで空間群
=3の立方晶相に連続的に相転移し、その後少なくとも15GPaまで安定であることがわかった。過去この圧力領域で報告されていた単斜晶
構造や菱面体晶
=3
構造への転移は、試料に高輝度放射光X線を照射したことによる試料の劣化によるものであり、人工的なものであることが分かった。また今回、
=3相の構造の圧力依存性と正確な状態方程式および天然試料と同位体濃縮
O試料のラマン散乱データを示した。このデータから、リジッドなReO
八面体が圧力とともに回転することによって、相転移および高密度化が起こることが分かった。
Wang, Y.*; Zeng, X.-T.*; Li, B.*; Su, C.*; 服部 高典; Sheng, X.-L.*; Jin, W.*
Chinese Physics B, 34(4), p.046203_1 - 046203_6, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Multidisciplinary)二次元ファンデルワールス強磁性体FeGeTe
(FGT)は、その高いキュリー温度、容易な調整性、空気中での優れた構造安定性から、スピントロニクスデバイスへの応用に大きな可能性を秘めている。理論的研究により、外部パラメータとしての圧力が強磁性特性に大きく影響することが示されている。本研究では、5GPaまでの高圧中性子粉末回折(NPD)実験を行い、FGTの静水圧による構造及び磁気特性の変化を調べた。NPDデータは、静水圧による見かけ上の抑制にもかかわらず、FGTにおける強磁性の頑健性を明らかにした。圧力が0から5GPaまで増加すると、キュリー温度は225(5)Kから175(5)Kまで単調減少し、Feの秩序モーメントが劇的に抑制されることがわかった。圧力による構造相転移は5GPaまで観測されなかったが、結合長と結合角の変化を定量的に解析した結果、交換相互作用が大きく変化していることがわかった。
青木 勝敏*; 町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 服部 高典
高圧力の科学と技術, 35(1), p.4 - 11, 2025/03
鉄は水素と反応して、高温高圧下で体心立方、面心立方、六方最密充填、二重六方最密充填構造の固溶体を形成する。中性子回折は、金属格子中に溶解した水素原子の占有位置と占有率を決定するための最も強力なツールである。水素の占有位置や占有率を含む構造パラメータは、中性子回折データのリートベルト解析によって精密化される。本原稿では、10年以上にわたって蓄積してきた鉄水素化物のリートベルト精密化に関するノウハウを紹介する。
岡崎 伸生*; 服部 高典
CROSS Reports(インターネット), 3, p.001_1 - 001_8, 2025/02
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)のBL11に設置されているビームラインPLANETでは、これまで測定したデータをリモート解析したいという要望があったが、それを定常的に行える仕組みが整備されていなかった。この要望に応えるため、リモートデスクトップ接続環境として広く使われているNoMachineを用い、リモート解析が行える仕組みを構築した。このシステムはクラウド上に構築されており、ユーザーはNoMachineクライアントを利用することで、インターネット環境さえあればどこからでも解析することが可能となった。
Yang, X.*; Che, G.*; Wang, Y.*; Zhang, P.*; Tang, X.*; Lang, P.*; Gao, D.*; Wang, X.*; Wang, Y.*; 服部 高典; et al.
Nano Letters, 25(3), p.1028 - 1035, 2025/01
被引用回数:2 パーセンタイル:76.22(Chemistry, Multidisciplinary)飽和sp-カーボンナノスレッド(CNTh)は、その高いヤング率と熱伝導率が予測され、大きな関心を集めている。中心環へのヘテロ原子の導入がCNThの形成に影響を与え、化学的に均質な生成物が得られることが示されているが、ペンダント基が重合プロセスに与える影響については、まだ未解明である。本研究では、フェノールの圧力誘起重合を調べ、0.5GPaと4GPa以下で起こる2つの相転移を明らかにした。20GPa以上では、フェノールは水酸基とカルボニル基を持つ重合度4のCNTに重合する。ヒドロキシル基の水素移動は、重合度6のナノスレッドの形成を妨げることがわかった。この発見は、さらなるカラム内重合を阻止する水酸基の重要な役割を浮き彫りにし、今後のメカニズム研究やナノ材料合成に貴重な示唆を与えるものである。
Che, G.*; Fei, Y.*; Tang, X.*; Zhao, Z.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Wang, X.*; Ju, J.*; Dong, X.*; Wang, Y.*; et al.
Physical Chemistry Chemical Physics, 27(2), p.1112 - 1118, 2025/01
被引用回数:3 パーセンタイル:67.70(Chemistry, Physical)芳香族分子の圧力誘起重合(PIP)は、様々な炭素系材料を合成するための効果的な方法として浮上してきた。目的とする構造や機能を得るためには、適切な官能基化された分子前駆体の選択が極めて重要である。本研究では、1,4-ジフルオロベンゼン(1,4-DFB)をPIPの構成要素として選択した。1,4-DFBをその場高圧で調べた結果、約12.0GPaで相転移が起こり、18.7GPaで不可逆的な化学反応が起こることがわかった。生成物の構造解析と反応のカイネティクスから、直線的な成長を伴う擬六方晶積層フッ素ダイヤモンドナノスレッドの形成が明らかになった。高圧下のベンゼンの結晶構造と比較して、1,4-DFBは[001]軸に沿って高い圧縮を示す。この異方的な圧縮は、[01]軸に沿ったより強いH
相互作用と、[100]軸と[010]軸に沿った潜在的な圧縮阻害H
F相互作用に起因し、[01
]軸に沿った可能な反応経路を促進する。この研究は、分子スタッキングを調節し、反応経路に影響を与える官能基化の重要な役割を強調している。
Xu, J.*; Lang, P.*; Liang, S.*; Zhang, J.*; Fei, Y.*; Wang, Y.*; Gao, D.*; 服部 高典; 阿部 淳*; Dong, X.*; et al.
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), p.2445 - 2451, 2025/00
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)アルダー-エン反応は、アルケンとアリル水素との化学反応であり、C-C結合を構築する効率的な方法である。従来、この反応には触媒、高温、あるいは光触媒が必要であった。本研究では、触媒を用いずに室温下で加圧することで成功した1-ヘキセンのアルダー-エン反応を報告する。1-ヘキセンは4.3GPaで結晶化し、18GPaで重合してオレフィンを形成する。ガスクロマトグラフィー-質量分析法により、1-ヘキセンが高圧下でのアルダー-エン反応により二量体を生成することを発見した。その場中性子回折から、この反応過程はトポケミカル則に従わないことがわかった。理論計算により、1つのC-H 結合と2つのアルケン
結合を含む6員環遷移状態が示され、そのエネルギーは20GPaまで圧縮すると明らかに減少した。本研究は、触媒を用いずに室温でアルダー-エン反応を実現する新規かつ有望な方法を提供し、この重要な反応の応用を拡大するものである。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 80(6), p.695 - 705, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)これまで、水に富む塩化マグネシウム水和物系列(MgClH
O)では奇数の水和数nを持つものは欠落していた。本研究において、2GPa以上の高圧と300K以上の高温で生成する塩化マグネシウム七水和物、MgCl
7H
O (or MgCl
7D
O)を同定した。その結晶構造は、2.5GPa, 298Kでのその場単結晶X線回折と3.1GPa, 300Kでのその場粉末中性子回折の組み合わせによって決定された。単結晶試料では、望ましくない結晶相の核生成を防ぐためにアルコールを混合して成長させた。得られた結果は、水分子の配向乱れを示しており、密度汎関数理論計算によっても検証された。この乱れには水素結合の再結合が関与しており、水の高圧氷相や既知の乱れた塩水和物とは異なっていた。圧縮による収縮は主に一方向に起こる。この最も圧縮しやすい方向に垂直な面では、酸素原子と塩素原子が六角形状に配列していた。
服部 高典; 小松 一生*
日本原子力学会誌ATOMO, 66(12), p.618 - 622, 2024/12
超高圧中性子回折装置PLANETは、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に建設された国内初の高圧中性子実験専用のビームラインである。パルス中性子を用いたエネルギー分散型データ測定および最新の光学機器、高圧発生装置を導入することにより、これまでにない高い精度で、広い圧力温度範囲にわたる結晶・液体・ガラスの構造を解析できるようになっている。本稿では、どのようにしてそれが実現されたか紹介するとともに、最近発表された氷の水素結合の対称化の成果に関して紹介する。
町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 杉本 秀彦*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 遠藤 成輝*; 片山 芳則*; 飯塚 理子*; 佐藤 豊人*; 松尾 元彰*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.8861_1 - 8861_2, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)前回の論文(Nature Commun. 5, 5063 (2014))では、988Kと6.3GPaで収集した中性子粉末回折パターンのリートベルト精密化によって、fcc Fe金属格子に溶解したD原子のサイト占有率を調べた。fcc金属格子には、八面体サイトと四面体サイトの2つのD原子収容可能な格子間サイトがある。リートベルト精密化により、D原子は主に八面体サイトを0.532占有し、わずかに四面体サイトを0.056占有することがわかった。その後、Antonov (Phys. Rev. Mater. 2019))による密度汎関数理論(DFT)計算の結果、四面体サイトの占有エネルギーは八面体サイトの占有エネルギーよりも著しく高く、988Kの高温でも四面体サイトの占有は起こりにくいことがわかった。消衰補正は粉末回折パターンに適用されることはまれであり、前回の精密化には含まれていなかった。その結果、八面体の占有率は0.60に増加し、四面体の占有率はゼロに減少した。D原子の八面体サイトのみの占有は、以前の結果とは対照的ではあるが、DFT計算と一致している。
町田 真一*; 服部 高典; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 阿部 淳*
高圧力の科学と技術, 34(3), p.134 - 142, 2024/09
J-PARC物質・生命科学実験施設PLANETビームラインにおいて、高圧中性子回折実験用ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を開発した。高圧発生には円錐形状で支持されたダイヤモンドアンビルを用いた。その結果、69.4GPaまでのDO氷の中性子データを得ることに成功した。また、中性子回折測定に適したガスケット材料を検討した。11種類の合金を試験し、SUS304, Inconel718, M2052 (73Mn-20Cu-5Ni-2Fe, at%)合金が優れた性能を示した。特にM2052ヌルマトリクス合金は、入射ビームがガスケットに当たることが避けられない中性子回折実験に有用であることが実証された。われわれは、D
O氷に対して少なくとも43.3GPaまでリートベルト解析が可能な中性子回折プロファイルを得ることができた。
高阪 勇輔*; 大石 一城*; 服部 高典
高圧力の科学と技術, 34(3), p.121 - 126, 2024/09
CrNbS
のカイラルヘリ磁性(CHM)とカイラルソリトン格子の観測により、遷移金属インターカレートジカルコゲナイドが注目されている。CrNb
S
のCHMのらせん周期に与える圧力の影響を調べるため、ピストンシリンダー型圧力セルを用いて1.2GPaまでの中性子小角散乱実験を行った。その結果、圧力の増加とともに磁気転移温度が低下することが観測された。さらに、CHMのらせん周期は圧力の増加とともに減少した。格子定数の減少に比べ、らせん周期の減少は非常に大きい。このことは、圧力を加えることによって、Dzyaloshinski-Moriya相互作用の振幅が弱まることを示している。
Yang, Q.*; Yang, X.*; Wang, Y.*; Fei, Y.*; Li, F.*; Zheng, H.*; Li, K.*; Han, Y.*; 服部 高典; Zhu, P.*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.7778_1 - 7778_9, 2024/09
被引用回数:16 パーセンタイル:90.60(Multidisciplinary Sciences)明るい一重項励起子と三重項励起子を同時に発現する発光材料は、オプトエレクトロニクス、サイネージ、情報暗号化において大きな可能性を秘めている。しかしながら、高性能の白色発光を実現するためには、蛍光と燐光の寄与が不均衡であることが大きな障害となっている。ここでは、水素結合の協同効果による圧力処理エンジニアリングによって、n--
遷移の混合を実現し、イソフタル酸(IPA)中で三重項状態の発光を7%から40%に高めることで、この課題に対処した。加圧処理したIPAでは、蛍光と燐光のハイブリッドに基づく優れた白色発光が得られ、フォトルミネッセンス量子収率は当初の19%(青色発光)から75%に増加した。その場での高圧IRスペクトル、X線回折、中性子回折から、圧力の上昇に伴い水素結合が連続的に強化されることが明らかになった。さらに、この強化された水素結合は、圧力処理後も常圧条件下まで保持され、バランスの取れた一重項/三重項励起子集団のための効率的な系間交差を目的としたIPAに与え、効率的な白色発光をもたらした。この研究は、有機低分子の三重項状態を明るくするルートを提案するだけでなく、一重項励起子と三重項励起子の比率を調節して、高性能の白色発光を構築するものである。