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柚原 俊一
原子力工業, 40(6), p.10 - 73, 1994/06
高速増殖原型炉「もんじゅ」の初臨界達成を機に、「もんじゅ」のこれ迄の歩みと現況、将来への展開を概略的に述べ、我が国の高速炉開発の最先端の状況を紹介する。本ワイド特集は、「もんじゅ」の1)使命と開発の経緯、2)設計、3)研究開発、4)建設、5)試運転、6)今後の展開の6章で構成する。現況については試運転の章で、最小臨界の達成も含めて重点的に紹介する。今後の「もんじゅ」の展開では、実証炉への反映、高速炉新技術実証のツールとしての役割等について記述する。
柚原 俊一*; 堀 雅夫*; 沢井 定*
PNC TN9530 88-014, 49 Pages, 1988/11
我が国の原子力委員会は昭和62年6月、5年振りに「原子力開発利用長期計画」を改訂した。本計画は高速増殖炉の基本的な開発政策についても見直しし、以下の主要政策を明示している。 (1) 軽水炉に引き続く主要な原子力発電プラントとしての高速炉の使用 (2) 高速増殖炉を中心とするプルトニウム利用体系の確率 高速増殖炉開発の展開については、(1)もんじゅ開発の推進、(2)実証炉1号開発の推進、(3)高度技術の開発及び(4)革新技術の開発を主要な柱としている。 これらの開発戦略に基づき、「もんじゅ」及び「常陽」を中心とする高速増殖炉の研究開発は動燃を主体として進められている。 高速実験炉「常陽」は順調に運転を継続し、高速原型炉「もんじゅ」の建設は計画通りの進捗で、昭和63年10月末で57.1%の進捗率である。 高速実証炉DFBR-1については、設計及び建設の主体である原電、研究開発の主体となる動燃、電中研、原研、これらの4機関の協力のもとに設計研究及び所要の研究開発が推進されている。 高速増殖炉の要素技術となる研究開発については、安全、燃料、構造・材料、炉物理、プラント機器及びシステム等の種々の分野で進められている。
佐藤 義則*; 野村 茂雄*; 吉持 宏*; 吉沼 明彦*; 大原 清海*; 中嶋 元治*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 88-198, 95 Pages, 1988/04
高速実験炉「常陽」MK-I炉心で75MW出力期間のみで使用された燃料集合体PPJDOB(最大中性子照射量4.810n/cm, E0.1MeV)及び「常陽」MK-I炉心で全期間使用された燃料集合体PPJX13(同、6.410n/cm, E0.1MeV)の燃料被覆管について、外観検査、引張試験等を実施した。その結果を従来得られている結果と合わせて検討した。主な結果を以下に示す。(1)照射による外径変化は、K、S材で最高0.1%、R材で最高0.4%程度であった。(2)試験温度400、450の引張試験の結果、照射材の引張強さ及び0.2%耐力は非照射材より増加し、伸びは減少した。(3)試験温度500における引張試験の結果、被覆管内面に接する試験雰囲気が引張特性に大きく影響することが分った。(4)急速加熱バースト試験の結果、照射材の破損温度は非照射材より若干低い傾向を示した。(5)1000における照射後の高温内圧クリープ試験による破断寿命は、非照射材より若干短くなった。(6)擦り痕による被覆管強度の低下は見られなかった。
小野瀬 庄二*; 伊藤 正彦*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 88-196, 50 Pages, 1988/01
Phenix PNC-3燃料は、「もんじゅ型」燃料ピンを含む高燃焼度確性試験として仏国の高速原型炉「フェニックス」で最高1.910E23n/†(E0.1MeV)まで照射された。これらの燃料ピンの二種類のSUS316鋼試作被覆管(50MK、50MS)について、照射による微細組織の変化をエネルギー分散型X線分析装置を備えた200KV透過型電子顕微鏡を用いて調べた。この結果次のことが明らかになった。(1)最大スエリング量(V/V)は、得られたデータの範囲では照射温度520で現われ、50MK及び50MS材とも11%であった。(2)50MK及び50MS材のスエリング潜伏期は、以前の試作材47MK、47MS材に比べ長くなっている。これはリンの含有率が310倍多く、リンの添加が耐スエリング性向上に寄与するためと考えられる。(3)両照射材に照射誘起相として、M6C、´相、G相及びLaves相の析出が観察された。
黒田 幸雄*; 平井 功*; 伊藤 正彦*; 新谷 聖法*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 88-188, 54 Pages, 1988/01
「もんじゅ」1サイクル照射程度の燃焼度を目途として、「常陽」MK-2炉心において、B4Cペレット最高燃焼度4.710E21captures/‡(最高積算照射量1.3410E22n/†、E0.1MeV)まで照射された制御棒材料照射リグAMIR-1(PRA010)について照射後試験を行った。この結果、下記のことが明らかとなった。(1)集合体及びコンパートメントに外径変化、腐食等の異常は認められなかった。(2)Heガス放出率は、全てのキャプセルにおいて10%以下であった。また、放出ガスはHeが100%でありE3Hの存在は認められなかった。(3)B4Cペレットには、照射温度が高くなるほど細かく割れる傾向がある。(4)B4Cの室温における熱伝導率は、410E21captures/‡の照射によって、未照射B4Cの約15%の値、0.009cal/㎝・sec・degに減少した。(5)製造条件の照射挙動に与える影響は、製造メーカーの違いでは認められなかったものの、結晶粒度が大きいほどスエリング量は大きい。
坂田 智明*; 中嶋 元治*; 柚原 俊一*; 大原 清海*; 佐藤 義則*
PNC TN9410 88-187, 37 Pages, 1988/01
高速実験炉「常陽」MK-I炉心燃料集合体PPJX12のラッパ管(最大中性子照射量6.410E22n/†、E0.1MeV)について、材料の健全性を評価することを目的とし外観検査、引張試験、密度測定、硬さ測定、金属組織観察を実施した。主な結果は以下のとおりである。(1)400及び450での引張試験の結果、0.2%耐力、引張強さは共に非照射材より増加し、一様伸び、破断伸びは共に減少した。(2)密度測定の結果、密度は非照射材より減少し、スエリング量は体積変化で最大0.6%であった。(3)硬さは、照射により最大Hv90程度増加した。(4)金属組織観察の結果、主に結晶粒界に炭化物の析出が見られた。以上の結果から、PPJX12の材料健全性が確認できた。
柚原 俊一*; 阿部 康弘*; 谷山 定美*; 両角 勝文*; 大滝 清*; 谷 賢*
PNC TN9410 87-200, 66 Pages, 1987/07
高速原型炉「もんじゅ」のサーベイランス試験およびサーベイランス・バックアップ試験を補完するとともに、実証炉以降の高速炉設計に必要な構造材料の照射データ・ベースを拡充する目的でR&D試験が策定されている。これらの試験の一環として、「常陽」MK-2炉心の構造材料照射用反射体を用いて、SUS304圧延鋼板より採取した材料強度試験片の照射を実施した。照射後試験片について、引張およびクリープ試験を実施した結果、以下のことが明らかになった。(1) 引張試験の結果、0.2%耐力は照射により若干増加したが、一様伸び、破断伸びおよび破断絞りは照射により低下した。これらの結果は「もんじゅ」設計降伏強さ(Sy)、設計引張強さ(Su)および中性子照射環境における伸びの制限値(10%)を十分上回るものであった。(2) クリープ試験の結果、クリープ破断強度および破断伸びは照射により低下したが、「もんじゅ」設計クリープ破断応力強さ(SR)を上回るものであった。また、クリープ寿命比は「もんじゅ」設計基準曲線を十分満足していた。(3) 金相組織の観察結果、照射により結晶粒界及び結晶粒界に析出物が観察された。
谷 賢*; 小形 佳昭; 柚原 俊一*
PNC TN9410 86-138, 51 Pages, 1986/02
高速実験炉「常陽」MK-1炉心燃料集合体PPJX12の燃料被覆管(最大中性子照射量6.410E22n/cm、E0.1MeV)を用いて、「常陽」MK-1被覆管の引張試験において見られた特異破断の原因を究明するための試験を行った。試験雰囲気の影響を調べるため、被覆管内面を窒素雰囲気とした引張試験及び急速加熱バースト試験を実施した。主な結果は以下のとおりである。(1)「常陽」MK-1被覆管の500での引張試験において、燃焼度が約25,000MWD/T以上の場合に見られた特異破断は、試料保管中及び試験中に被覆管内面が空気にさらされたことによることが明らかとなった。被覆管内面を窒素雰囲気に維持すれば、特異破断は生じない。(2)急速加熱バースト試験においても、引張試験の場合と同様、空気雰囲気の影響が認められたが、被覆管内面を窒素雰囲気とすれば、破損温度の低下は見られない。(3)以上の結果から、いわゆるFAE(fueladjacencyeffect:燃料隣接効果)は炉内における燃料ピンの使用条件下では無視できると考えられる。
伊藤 正彦*; 山口 勤*; 谷 賢*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 85-144, 39 Pages, 1985/07
「常陽」MK-II炉心で、最高燃焼度451020captures/cm3(最高積算中性子量2.671022n/cm2)まで使用された制御棒(MCR002)について、B/4Cペレット、被覆管、ダッシュラム等の外観検査、寸法測定、熱伝導率測定、組繊観察等の照射後試験を行った。この結果、次のことが明らかとなった。 1)燃焼度が51020captures/cm3を超えたB/4Cペレットは破壊していた。 2)B/4Cペレットのスエリングは燃焼度が421020captures/cm3で1.1%D/Dであった。 このB/4Cペレットのスエリングに伴い、彼覆管に破大0.2%の外径変化が認められた。 3)インシュレータとして使用されていたAl/2O/3ペレットにも、スエリングが認められた。 4)照射量が2.671022n/cm2のダッシュラムのスエリングによる外径変化は0.19%であった。5)B/4Cの室温における熱伝導率は、燃焼度が4.51020captures/cmで0.012cal/cm・sec・degとなり、未照射材の熱伝導率(0.063cal/cm・sec・deg)の約1/5に減少した。 6)B/4CペレットスタックヘのNaの侵入の証拠は得られなかった。
井滝 俊幸; 甲野 啓一; 山内 勘; 柚原 俊一*; 柴原 格; 田地 弘勝*
日本原子力学会誌, 27(5), p.435 - 449, 1985/05
被引用回数:4 パーセンタイル:54.51(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」MK-I炉心燃料集合体について、一連の照射後試験をほぼ完了し、燃料集合体の照射挙動の全容が明らかとなった。全体的に見ると、集合体の機能を損うような変形や燃料要素の破損は一切なく、MK-I炉心全期間中集合体は十分健全な状態で使用されたことが確認された。MK-I炉心での使用条件は、原型炉条件に比べると穏やかなものであり、顕著な照射挙動はまだ現れてきてはいないが、それでも高燃焼度で予測されるような照射挙動の前兆は、程度の差こそあれ、ほぼ確認された。燃料集合体の製造、照射、照射後試験にわたって、一貫したデータが集積されて、MK-I燃料設計、製造の妥当性がここに示され、次の段階への基盤を築くことができた。
伊藤 正彦*; 山口 勤*; 谷 賢*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 85-136, 45 Pages, 1985/03
「常陽」MK―II炉心で,最高燃焼度341020captures/cm3(最高照射量21022n/cm2)まで使用された制御棒(MCR006)について,B/4Cペレット,被覆管,ダッシュラム及び接続管の外観検査,寸法検査,熱伝導率測定及び組織観察を行った。この結果,下記のことが明らかになった。1)燃焼度が71020captures/cm3を超えるとBCは熱衝撃に伴うき裂が成長し,破壊する。また,この破壊に伴って,被覆管内でペレット片の移動が起きた。2)ペレットのスエリング及びペレット片の移動に伴うACMIが認められた。このACMIの生じた被覆管の歪はオーバリティーの最大部でも0.2%を超えない。3)3Cペレットのスエリングは,燃焼度が341020captures/cm3(照射温度750850)で0.7%であり,MK―I炉心におけるB/4Cのスエリング挙動から予想されたスエリング量と一致した。4)ダッシュラムのスエリングは0.1%であり,MK―I炉心で照射されたラッピングワイヤ(溶体化処理材)のスエリング量と一致した。5)接続管の硬度測定からはサーマルストライピングに影響する制御棒上部における温度変動の可能性は検知できなかった。6)B/4Cペレットの熱伝導率は燃焼度が51020captures/cm3でO.Olca-/cm・sec・(室温)となり未照射材の熱伝導率(0.063ca-/cm・sec・)の約1/6に減少した。また,熱伝導率の温度依存性は未照射材に比べて小さくなる。
伊藤 正彦*; 小野瀬 庄二*; 柚原 俊一*
PNC TN9410 85-132, 63 Pages, 1985/01
「常陽」MK-I炉心で386から511の温度範囲において、3.15.01022n/cm2(E〉0.1MeV)まで照射された燃料被覆管及びラッパ管(いずれも10%冷間加工SUS36綱)について照射による組織の変化を透過型電子顕微鏡を用いて調べた。ボイド及び転位組織の観察並びに析出物の同定を行った結果、次のことがわかった。)3.15.01022n/cm2まで照肘された燃料被覆管及びラッパ管に観察されたボイドの平均径は90230A、密度は0.5121014voids/cm3であった。このボイドに伴うスエリングの最大値は491で4.31022n/cm2まで照射された燃料被覆管に生じ、0.35%であった。2)3.15.01022n/cm2まで照射された燃料被履管及びラッパ管とも転位網及び転位ループが認められた。燃料被履管の場合、転位密度は470以下で5.310.41010cm/cm3であり、照射温度が高い程減少する。転位ループについては、照射温度が418511の範囲における平均径は360620Aで、その密度は3351014loops/cm3であった。転位ループの平均径は照射温度が高い程大きく、密度は低い。3)燃料被履管及びラッパ管とも結晶粒界にeta相の析出が認められ、その近傍にフェライト相が認められた。Eta相の析出は400付近から始まり、照射により析出が促進されることがわかった。4)燃料被履管とラッパ管に見られた微細組織の差は照対温度の相違によるものであった。
柚原 俊一*
PNC TN260 82-04, 251 Pages, 1982/11
日米耐震専門家会議は1981年7月日本において開催し、配管系及びメカニカルスナッバの特性について検討した。本年6月には、「常陽」の1次主冷却系ホットレグ配管のメカニカルスナッバへの交換工事が完了した後の現地振動試験が実施されたことにともない、米側耐震専門家の試験視察及び試験に関する技術計論会を実施した。米国においてはWARD(Westinghouse Advanced Reactor Div.)においてCRBRPの冷却系配管用のコールドクランプの開発と、1次主冷却系クロスオーバレグ配管の1/3スケールモデル配管の 振動試験を実施中で、設計解析手法の確立を目標として精力的に研究を推進しており、またHEDL(Hanford Engineering Development Lab.;Westinghouse Hanford Co.)では、ETEC(Energy Technology Engineering Center)で実施した保温材付1BNa配管(サポート用のクランプはFFTFに使用したものと同一)の振動試験をサポート条件などを種々に変更して実施し、非線形解析結果と比較し、解析手法の妥当性を検討している状態である。今回、米側からの招請を受け、これらの一連の振動試験の実施状況を実見し、試験結果について報告を受け、試験成果の実機設計への反映の方法、実機設計の妥当性の検証方法について討論し、原型炉「もんじゅ」の主冷却系配管の設計に活用しうる情報を入手するため、9月18日28日までの約10日間の試験視察を行った。なお,本視察に際して、CRBRPのポンプ及びSGのモックアップ試験を実施しているETEC訪問の機会を得た。
長谷川 成生; 柚原 俊一*; 加納 茂機; 中山 紘一; 中筋 孝; 小圷 亨
PNC TN941 80-127, 124 Pages, 1980/08
「もんじゅ」ナトリウム機器の接触・摺動部に使用される構成材料のナトリウム中トライボロジー挙動を解明し,対策をたてることは重要課題の一つである。この観点から,スクリーニング試験により選定したステライトN-6,コルモノイN-5,インコネル718,LC―1Cおよび主要炉構成材のSuS316,SuS304,21/4cr―1Moについてトライポロジー挙動解明のための一連のパラメータ試験を行っている。試験パラメータのうち,ナトリウム中の酸素濃度とトライポロジー挙動との関係も究明されるべき問題点の一つとなっている。そこで「もんじゅ」設計において一次系コールドトラップ温度を140(または145)から120に下げるように指向されたのを機に,コールドトラップ温度(以下C/T)をパラメータとした以下の試験を開始した。今回,その一部の結果が得られたので中間報告する。試験項目,試験条件は下記の通りである。1.腐食試験ナトリウム温度‥600,浸漬時間‥2,000時間,C/T温度‥120,ナトリウム流速‥0m/sec 2.摩擦試験ナトリウム温度‥600,浸漬時間‥Max.2,000時間,C/T温度‥120,負荷応力‥0.3kg/mm2,ナトリウム流速‥0.7m/s 3.自己融着試験ナトリウム温度‥450700,負荷保持時間‥200時間,負荷応力‥4kg/mm2,C/T温度‥120,ナトリウム流速‥0m/sec,受入材と予浸漬材の比較,引張破断法により詳価得られた主な結果は次の通りである。1.腐食試験 1)C/T120と140における腐食の様相には,明らかな違いはみとめられない。2)ステライトN-6は試験後重量が増加し,その他の材料は減少傾向を示した。2.摩擦試験 1)ステライトN-6同志およびLC―IC同志の動摩擦係数はC/T120と140の結果で顕著な差がみられない。2)ナトリウム浸漬時間による動摩擦係数の変化は少なく,ナトリウム腐食による材料表面変質の動摩擦係数に対する影響はみとめられない。3.自己融着試験1)ステライトN-6同志は受入材および予浸漬材とも破断応力にC/T温度の影響はみられない。コルモノイN-5同志の受入材は,高温側でC/T145よりC/T120の破断応力が若干高い。予浸漬材は受入材に比べ,破断力が低下する
柚原 俊一*; 加納 茂機; 中筋 孝
PNC TN941 80-55, 126 Pages, 1980/04
316SS燃料被覆管のプトリウム浸漬後の引張性質データを求めることが,燃料集合体の設計・製作及び健全性評価のための基礎資料として要請されている。本報告では,連続的な温度勾配を有する材料試験ループ1のM―2試験部に外国製316SS被覆管4種を含む13種のヒートの「もんじゅ」及び「常陽」用の316SS試作燃料被覆管を約5000時間浸漬し,これらの被覆管の引張性質に及ぼす浸漬温度の影響を調べに,得られた結果を要約すると以下の通りである。1)未浸漬の受け入れ被覆管とナトリウム浸漬後の被覆管の引張特性を比較すると,400から650での温度範囲でのナトリウム浸漬により,耐力及び引張強さは低下し,伸びは増加した,浸漬前後の引張性質の変化の度合は,浸漬温度により異り,500で最も大きかった。2)結晶粒度及び冷間加工度が引張性質の引張試験温度依存性に及ぼす影響は,受け入れ被覆管の場合と比較して,ナトリウム浸漬によっても傾向的には変らない。また微量ホウ素成分はナトリウム浸漬前後の引張性質の変化量を少なくすること,すなわち安定性に寄与していることが考えられる。3)「もんじゅ」製作準備設計2)で燃料集合体の設計にさいして適用されたSy(耐力),Su(引張強さ)値とナトリウム浸漬後の「もんじゅ」用試作被覆管の引張強度データを比較すると,浸漬後の被覆管の耐力及び引張強さはSUS316焼鈍材のSy,Su値よりは上まわるが,SUS31620%冷間加工材のSy,Su値よりは下まわる。従って時間に依存しない設計応力強さSmについても同様なことが云える。4)500以上の温度でナトリウムに浸漬された被覆管は,浸漬後の引張により浸漬表層部で浅い粒界割れが生ずるが,この表層粒界割れは粒界腐食変質層を越えては進展しないものと考えられる。
加納 茂機; 長谷川 成生; 中山 紘一; 小圷 亨; 柚原 俊一*; 中筋 孝
PNC TN941 79-144, 47 Pages, 1979/08
「もんじゅ」機器接触部材についてナトリウム中自己融着特性を求めることが要請されている。自己融着部の引張破断応力により自己融着特性を求める方法では,いままでに純度管理されていないトリウム中およびコールドトラップを190または145で純度管理したナトリウム中で各種材料組合せを試験した結果を報告している。これらのデータは材料の選定のため使用された。今回は選定された表面硬化材および「もんじゅ」主要構造材について,コールドトラップを140または145で純度管理した450700ナトリウム中における200時間自己融着特性の浸漬温度依存性について報告する。得られた主な結果は次のとおりである。▲1)自己融着にもとづく引張破断応力の増加は明白な浸漬温度依存性を示す。▲2)SUS304同士およびSUS316同士の組合せは500以上で自己融着し,引張破断応力は浸漬温度の上昇とともに直線的に増加する。▲3)フェライト鋼はオーステナイトステンレス鋼より自己融着による引張破断応力が高い。▲4)LC―1C同士の組合せは700でも自己融着しにくい。ステライトN-6同士,コルモノイN-5同士,インコネル718同士の組合せは700で自己融着し,600で自已融着しない。コルモノイN-5のみは引張破断が自己融着部ばかりでなく肉盛層内でも生ずる。▲5)700ナトリウム中200時間浸漬によりコルモノイN-5のみが明白なナトリウム腐食をうける。LC―1Cは部分的に台金よりはく離した。これは溶射層(0.2mm厚)が厚すぎたためおよびグリッドブラスト法,溶射端面の処理法に問題があったためであり,現在この点に留意し試験片の製作を行なっている。▲
小圷 亨; 加納 茂機; 長谷川 成生; 柚原 俊一*; 中山 紘一; 中筋 孝
PNC TN941 79-105, 39 Pages, 1979/07
「もんじゅ」のナトリウム機器摺動部には耐自己融着,低摩擦の観点より表面硬化材の使用が考えられているが,これら材料の自己融着・摩擦現象は,高温ナトリウム中での長時間の使用により腐食の影響をうけると考えられる。本報では流動ナトリウム中浸漬時間が摩擦係数に及ぼす影響をしらべるため,試験温度600,コールドトラップ温度140,浸漬時間2000時間,ナトリウム流速0.7m/sec,負荷応力0.3kg/mm2,摺動ストローク+-5mm,摺動速度00.63mm/secの条件においてステライトN-6,コルモノイN-5,インコネル718,LC-1CおよびSUS316の動摩擦係数(K)を求めた。得られた結果は次のとおりである。▲本試験時間ではコルモノイN-5を除き/Kのナトリウム浸漬時間依存性はなく,ナトリウム腐食による材料表面変質の影響はみとめられなかった。▲コルモノイN-5は表面に明白な腐食変質層を生成する。▲LC-1C(コーティング厚‥0.2mm)はコーティング端部で剥離を生じたのでコーティング法の改善が必要である。▲/Kは次のとおりであった。▲ステライトN-6/self0.150.35▲コルモノイN-5/self0.151.5▲インコネル718/self0.651.15▲LC-1C/self0.350.55▲SUS316/self1.01.2▲
長谷川 成生; 加納 茂機; 中山 紘一; 小圷 亨; 柚原 俊一*; 中筋 孝
PNC TN941 79-26, 44 Pages, 1979/04
高速増殖炉の機器にはナトリウム中で接触,摺動する多くの部分があり,それら部分には耐摩擦,耐摩耗,耐自巳融着材の適用が図られている。これは燃料集合体ラッパ管パッド部にも適用される。▲今回,4種類の材料(ステライトN-6,コルモノイN-6,LC―1C各コーティング材およびインコネル718母材)をそれぞれ使用したパッド材を取付けたもんじゅサイズラッパ管部分供試品が試作された。この4種類の材料は,過去の試験によって選択されたものである。▲このラッパ管部分供試品から切出したパッド部試験片を,600のナトリウム中で2,000時間浸漬試験を行ない,次の結果が得られた。▲いずれの材料を使用したパッド材もパッド部表面とラッパ管内面間の寸法は,浸漬時の加熱のため局部的増減を示し,最大200mにおよんだ。▲ステライトN-6‥表面は全面腐食および粒界の選択腐食が認められた。かたさは若干低下したが,なおHv600を保った。表面粗さも若干粗くなった。▲コルモノイN-6‥表面は全面腐食が比較的激しく,B,Si等の元素の減少および表面変質層の生成か認められた。又かたさの減少が顕著でHv300に低下し,表面粗さも若干粗くなった。▲LC―1C‥表面の全面腐食は認められたが,断面組織は変化なく安定であった。かたさは若干増加してHvl,100に達し,また表面粗さも若干粗くなった。▲インコネル718‥表面の全面腐食は軽微であったか,Ti,Nb,Mo等の元素の減少が認められた。かたさの増減はなくHv500を保ち,表面粗さも変化はなかった。▲
長谷川 成生; 加納 茂機; 中山 紘一; 小圷 亨; 柚原 俊一*; 中筋 孝
PNC TN941 78-100, 48 Pages, 1978/01
ナトリウム冷却高速増殖炉機器摺動部材の研究開発として一連のナトリウム中あるいはアルゴン中の摩擦,摩耗試験が行なわれ,各種材料のそれらの特性が明らかにされている。その結果,摩擦,摩耗特性の優れた材料として数種類の材料を選定した。本試験では,これらの中から1)ステライトN-6同志,2)コルモノイN-5同志,3)インコネル718同志,4)ステライトN-6vsSUS304の材料組合せについてナトリウム温度360と400における長時間摺動(150時間)試験を行ない,従来の短時間摺動(15分)試験と比較検討した。その結果次のことがわかった。ステライトN-6同志,コルモノイN-5同志の動摩擦係数(k)は従来の短時間摺動試験と同程度で,長時間になっても低い値を持続した。(k=0.20.4)インコネル718同志のkは摺動初期で上昇し,高い値(約0.4から0.60.7)となったが,その後の変動は少なかった。ステライトN-6vsSUS304の組合せのkは摺動初期に変動がみられたが(0.40.8),時間とともに安定化傾向(0.60.7)を示した。ステライトN-6同志,コルモノイN-5同志の摩耗深さは摺動時間に伴なう増加量は少なかった。インコネル718同志の摩耗深さはステライトN-6同志,コルモノイN-5同志の23倍である。ステライトN-6vsSUS304の組合せの場合,摩耗深さが最も大きい。
鈴木 和久*; 柚原 俊一*; 小杉 久夫*; 谷 賢*; 永田 佐登志*; 古平 清*
PNC TN908 77-04, 1 Pages, 1977/08
高速実験炉「常陽」では原子炉の安全性を確保するために、その全供用期間にわたって主要部材の健全性を確認するためのサーベイランス試験を行うことを計画している。サーベイランス試験計画は、(1)原子炉構造材サーベイランス試験計画。(2)安全容器構造材サーベイランス試験計画。(3)1次主冷却系配管材サーベイランス試験計画。(4)2次冷却系機器配管材サーベイランス試験計画。からなり、本稿はこのうちの2次冷却系機器配管材のサーベイランス試験計画をとりまとめたものであり、長期間にわたる試験の試験方法、データの評価方法等の統一を目的としたものである。(本資料は、SN941-75-24(1975年4月)に若干の変更と追加があったので補正したものである。)