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佐藤 聡; 日引 俊*; 池田 遼; 柴本 泰照
Progress in Nuclear Energy, 180, p.105593_1 - 105593_11, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)加圧水型原子炉(PWR)の冷却材喪失事故では、ダウンカマーに流入するコールドレグに注入された緊急炉心冷却(ECC)水の流れにより、原子炉圧力容器(RPV)内壁に加圧熱衝撃(PTS)が発生するリスクがある。PTSは、ECC水によるダウンカマー壁の急冷によって発生し、ECC水の温度、壁面へのジェットの衝突位置と速度、壁面上の液膜の速度、液膜の厚さ、下降流の広がりなどに強く影響される。したがって、コールドレグからダウンカマーに流出するECC水の流れは、PTS事象に強く影響する可能性がある。この流動現象を理解するために、円管からの自由流出に関する研究をレビューした。流動条件の分類、流動条件間の遷移条件、端部深さ比、円管内の流れの自由表面形状、管から流出するナッペの形状に関する実験結果は、ほぼ一致した形で得られている。これに対し、コールドレグからダウンカマーへの流れを考慮する場合、自由空間ではなく狭い隙間への流れ、円管出口の角の丸みの存在、炉心からコールドレグへ流れる蒸気流の影響など、特殊な状況での流れ場を扱う必要がある。しかし、これらの要因を考慮した先行研究は少ないため、今後蓄積すべき知見としてまとめた。
日下 博幸*; 池田 亮作*; 佐藤 拓人; 飯塚 悟*; 朴 泰祐*
Journal of Advances in Modeling Earth Systems (Internet), 16(10), p.e2024MS004367_1 - e2024MS004367_38, 2024/10
被引用回数:3 パーセンタイル:69.68(Meteorology & Atmospheric Sciences)マイクロスケールの都市気候シミュレーションのための気象学Large-eddy simulation (LES)モデルと数値流体力学(CFD)モデルとのギャップを埋めるために、本研究では都市域を対象とした気象学LESモデルを開発した。このモデルはメソスケール(都市スケール)からマイクロスケール(街区スケール)までの都市機構のシミュレーションを行うことができる。本論文では、このLESモデルの概要を紹介する。このLESモデルは、建物や樹木を解像してマイクロスケールのシミュレーションを行うことができる点で、標準的な数値気象モデルと一線を画していると言える。また、大気成層の影響や物理過程を考慮することも標準的なCFDモデルと異なる点である。本モデルの特筆すべき特徴は、(a)ラジオシティ法による都市キャノピー層内の多重反射の考慮や、建物影・ビル影の考慮など長波放射・短波放射の3次元計算、(b)様々な暑さ指数の出力、(c)ミスト散布や街路樹、高反射舗装やクールルーフ、屋上緑化の効果の評価、(d)3次元並列化の実装によるスーパーコンピュータでの動作と、GPU版の実装である。本研究では、モデルの紹介に続き、対流境界層におけるサーマルや、都市キャノピー内・都市キャノピー上の流れや乱れの様子、都市街区における熱環境・熱ストレスのシミュレーションなど、様々な実験を行いその基本性能を確認した。本研究で開発したモデルは、都市気候学の基礎的・応用的研究に取り組むためのコミュニティツールとなることを目指している。
国枝 賢; 山本 和喜; 今野 力; 岩元 洋介; 岩本 修; 若林 泰生*; 池田 裕二郎*
Journal of Neutron Research, 24(3-4), p.329 - 335, 2023/01
核データライブラリJENDL-5のためにBe(p,xn)反応二重微分断面積の評価を行った。本研究ではまず、理化学研究所で開発された若林関数を内挿法などを工夫してデータベース化し、MCNPやPHITSを用いて薄膜ターゲットに対する検証解析を実施した。それにより、JENDL-4.0/HEや米国のENDF/B-VIII.0と比べて良い予測を与えることを確認した。更に反応断面積の絶対値を若林関数オリジナル値から15%(測定データ間の差異の範囲内で)減少させることにより、更に核データとしての精度が高まることを確認した。以上の知見を投入した新たな核データライブラリJENDL-5を用いることにより、
Be(p,xn)反応からの中性子スペクトルや収量を世界一の予測精度で計算することが可能である。
勝部 大樹*; 大野 真也*; 高柳 周平*; 尾島 章輝*; 前田 元康*; 折口 直紀*; 小川 新*; 池田 夏紀*; 青柳 良英*; 甲谷 唯人*; et al.
Langmuir, 37(42), p.12313 - 12317, 2021/10
被引用回数:4 パーセンタイル:19.05(Chemistry, Multidisciplinary)超音速分子ビーム(SSMB)を用いて、アナターゼ型TiO(001)表面の酸素空孔の酸化を調べた。SSMBによって表面およびサブサーフェイスの酸素空孔を除去できた。格子間空孔が酸素空孔の大部分と考えられるが、SSMBによって効果的に除去できた。表面の酸素空孔は、TiO
結晶成長後の状態では安定であるが、SSMBを用いて同様に効果的に除去できた。
Ma, B.*; 勅使河原 誠; 若林 泰生*; Yan, M.*; 橋口 隆生*; 山形 豊*; Wang, S.*; 池田 裕二郎*; 大竹 淑恵*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 995, p.165079_1 - 165079_7, 2021/04
被引用回数:2 パーセンタイル:24.59(Instruments & Instrumentation)理研加速器駆動型小型中性子源における冷中性子モデレータの最適化を行った。安全かつ管理の容易な物質であるメシチレンをモレデータ材として選択し、粒子・重イオン輸送計算コードシステム(PHITS)を用いて、20Kメシチレンモデレータに室温ポリエチレン(PE)プレモデレータ組み合わせ、スラブ形状で結合した冷中性子の最適化を行った。冷中性子強度を増加させるために、メシチレンとPEの厚さ, 反射体、及び遮へい配置のパラメータを検討した。中性子発生ターゲットから2mの位置で冷中性子強度1.1510
n/cm
/
Aを達成した。これは現在のPEモデレータの12倍である。メシチレンが冷中性子モデレータ材料として魅力的なモデレータ材であることを示した。
池田 修悟*; 金子 耕士; 田中 佑季*; 川崎 卓郎; 花島 隆泰*; 宗像 孝司*; 中尾 朗子*; 鬼柳 亮嗣; 大原 高志; 望月 健生*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 89(1), p.014707_1 - 014707_7, 2020/01
被引用回数:2 パーセンタイル:17.51(Physics, Multidisciplinary)Magnetism in EuNiIn has been studied by specific heat, magnetic susceptibility, magnetization,
Eu M
ssbauer spectroscopy, and neutron diffraction experiments. The specific heat shows two magnetic transitions at
and
at zero magnetic field. An antiferromagnetic ground state of EuNiIn
has a uniaxial magnetic anisotropy along the b-axis, revealed by the magnetic susceptibility and the M
ssbauer spectroscopy. Single crystal neutron diffraction experiments clarify that this antiferromagnetic structure in the ground state is characterized by the commensurate propagation vector
= (1/2, 1/2, 1/2) which reveals no distinct anomaly at
. The magnetization curve along the b-axis at 2 K shows four successive magnetic field-induced transitions up to 50 kOe and, reaches 7
/f.u. above 190 kOe, The magnetic phase diagram in EuNiIn
has unique characteristics with five magnetic states in low magnetic field.
大橋 裕介; 池田 泰久*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 321(2), p.683 - 691, 2019/08
被引用回数:6 パーセンタイル:46.78(Chemistry, Analytical)ウラン取扱施設の廃液から発生する沈澱廃棄物はウランと鉄を含んでいるものが存在する。本研究では、硝酸を使用せず廃棄物からウランを選択的に分離する方法を検討した。0.52.5Mの硫酸及び塩酸1M、過塩素酸5Mに溶解したウランは、シュウ酸を添加することにより、選択的に沈澱した。また、2.5Mの硫酸中でシュウ酸とNCPを添加した場合は、新たな不溶性のウラン化合物が生成していると推察され、ウランの沈澱率が向上した。FeとAlを含む硫酸溶液から選択的にウランが沈澱分離し、沈澱率は約99%となった。
大橋 裕介; 田中 祥雄; 綱嶋 康倫; 池田 泰久*
Journal of Nuclear Science and Technology, 54(3), p.382 - 390, 2017/03
被引用回数:11 パーセンタイル:66.92(Nuclear Science & Technology)金属廃棄物の除染廃液から鉄を含んだスラッジが発生している。これらからウランを回収する方法として、-2-pyrrolidone (NCP)を沈澱剤として用いた方法を検討した。その結果、スラッジを溶解した硝酸溶液からのウラン沈澱率はモル比[NCP]/[U(VI)]=20の条件で97.7%であった。また、Fe, Al, F
, SO
の沈澱率は1%以下であり、選択的にウランが沈澱することが分かった。また、沈殿物のか焼物中のU, Fe, Al, F, Sの含有率はいずれもウラン転換原料に求められる基準を満たしており、本手法はスラッジから純度の高いウランを効率的に得られる方法として適用が期待できる。
大橋 裕介; 原田 雅幸*; 浅沼 徳子*; 安藤 詞音; 田中 祥雄; 池田 泰久*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 311(1), p.491 - 502, 2017/01
被引用回数:1 パーセンタイル:9.18(Chemistry, Analytical)ウランを含んだ廃棄物からのウラン回収法として、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)吸着材の適用性を確認するため、ウラン廃棄物を溶解した塩酸溶液からの金属イオンのPVPPへの吸着及び溶離挙動を確認した。その結果、Na(I)及びAl(III)が高い濃度で存在しても、U(VI)種は選択的にPVPPに吸着されることが分かった。吸着したU(VI)種は純水によってPVPPから選択的に溶離し、溶離液から不純物含有量の少ないウランが得られた。これらの結果から、PVPP吸着材はウラン廃棄物処理への適用が期待できる。
大橋 裕介; 浅沼 徳子*; 原田 雅幸*; 田中 祥雄; 池田 泰久*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 309(2), p.627 - 636, 2016/08
被引用回数:9 パーセンタイル:59.47(Chemistry, Analytical)ウランを含有する廃棄物からのウラン回収法として、常温で液体である尿素-コリンクロリド共晶物を用いた電解析出法を提案した。焼結アルミナ及び使用済みNaF吸着材中のウランは92%以上が選択的に共晶物に溶解した。共晶物のサイクリックボルタモグラム測定の結果、-0.7V付近にU(VI)の還元ピークが見られ、-1.5Vでの定電位電解の結果、カソード炭素電極にウラン析出物が生成された。この結果から、尿素-コリンクロリド共晶物はウラン廃棄物からのウラン回収に効果的な媒体であることを確認した。
中村 仁宣; 清水 靖之; 牧野 理沙; 向 泰宣; 石山 港一; 栗田 勉; 池田 敦司*; 山口 勝弘*
Proceedings of INMM 57th Annual Meeting (Internet), 9 Pages, 2016/07
日本国の統合保障措置は2004年に、核燃料サイクル工学研究所(JNC-1)においては2008年より導入され、査察業務量の低減及び核物質転用に対する抑止効果を高めることを目的とし、従前の中間在庫検認(IIV)に代わり短時間通告ランダム査察(RII)が導入された。そのRII手法は運転停止中(インターキャンペーン)を想定して設計されたため、運転時は改訂が必要であった。原子力機構では再処理施設の潜在的な安全上のリスクを低減するため、2014年4月よりPCDFの運転(溶液からMOX粉末への転換)を決定したことから、運転と統合保障措置の要件を満足させる最適な査察手法の検討に着手し、検知確率を減らすことなく、査察業務量を増加させることのない新たな査察手法をIAEA及び規制庁に提案した。IAEA等との協議の結果、同提案は受け入れられ、2014年3月に導入することができた。新たな査察手法では、査察日を事前確定型への変更、推定量の核物質を低減、リモートモニタリングデータの提供の実施、運転状態確認査察の改善及び適時性をもった在庫申告等の改善を図った。その結果、在庫情報等の提供に係る業務量は若干増加したものの、統合保障措置における要件とPCDFの運転を両立させることができ、2年間の運転に対する保障措置の効果的かつ効率的な実施に貢献した。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 67, 2016/02
本研究ではバイスタンダー効果における一酸化窒素(NO)の役割を調べた。ヒト正常線維芽細胞に線(LETは0.2keV/
m)あるいは炭素イオンビーム(108keV/
m)を照射した後、非照射細胞と共培養した。24時間の共培養後に非照射細胞の生存率と培養液に含まれるNOの酸化物である亜硝酸イオンの濃度を測定した。非照射細胞の生存率低下は照射細胞に曝露する線量に依存したが線質には依存しなかった。非照射細胞の生存率と亜硝酸イオン濃度には負の相関関係が認められた。一方で、NO発生剤であるNOC12を培養液に加えるだけでは、細胞の生存率は低下しなかった。以上の結果から、細胞内で生成されるNOの量がバイスタンダー効果の決定因子の一つであるが、細胞間情報伝達因子ではない可能性が示された。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 小林 泰彦
Isotope News, (741), p.21 - 25, 2016/01
International Journal of Radiation Biology誌2015年5月号で我々が発表した論文を中心にバイスタンダー効果について概説した。実験では、バイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、それに関連する分子メカニズムを調べるため、線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト正常線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量が増加すると非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は
線と炭素イオンビームで類似した。また、NOラジカルの特異的消去剤を投与すると非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、NOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカル産生はバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。バイスタンダー効果を制御することで放射線がん治療の副作用低減や治療効果を増強できる可能性にも言及した。
大橋 裕介; 原田 雅幸*; 浅沼 徳子*; 池田 泰久*
Journal of Nuclear Materials, 464, p.119 - 127, 2015/09
被引用回数:20 パーセンタイル:81.73(Materials Science, Multidisciplinary)固体廃棄物からのウランの電気化学的析出の実現性を検討するため、NaF、金属廃棄物中のウランをBMICl(1-butyl-3-methyl- imidazolium chloride)に溶解し、溶液中のウランの電気化学的挙動を調べた。U(VI)イオンはU(V)に-0.8から-1.3Vの範囲で非可逆的に還元されると推察され、この結果に基づき、-1.5Vにおいて定電位電解を実施したところ、F, Cl, N, Oを含むU(VI)とU(IV)の混合物が得られた。この結果から、固体廃棄物中のウランをBMIClによって電解回収できる可能性が示された。
鈴木 智也; 鷹尾 康一朗*; 川崎 武志*; 原田 雅幸*; 野上 雅伸*; 池田 泰久*
Polyhedron, 96, p.102 - 106, 2015/08
被引用回数:8 パーセンタイル:52.31(Chemistry, Inorganic & Nuclear)X線単結晶解析によりUO(NO
)
(
)
(
: 2-imidazolidone)とUO
(NO
)
(
)
(
: tetrahydro-2-pyrimidone)及びUO
(NO
)
(
)
(
: 1-methyl-2-imidazolidone)の錯体構造を明らかにした。また、融点と分子間水素結合距離を評価し、その関係を評価した。
横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦
International Journal of Radiation Biology, 91(5), p.383 - 388, 2015/05
被引用回数:12 パーセンタイル:66.76(Biology)本研究ではバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と関連する分子メカニズムを調べるため、線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量の増加につれて非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は
線と炭素イオンの間で類似していた。また、NOラジカルの特異的消去剤で処理することで非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、ヒト線維芽細胞においてNOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカルの産生は
線及び炭素イオンが誘発するバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。
佐々木 祐二; 佐伯 盛久; 須郷 由美; 池田 泰久*; 川崎 武志*; 鈴木 智也*; 大橋 朗*
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 22(1), p.37 - 45, 2015/05
被引用回数:15 パーセンタイル:41.82(Chemistry, Multidisciplinary)新抽出剤のMIDOA(メチルイミノジオクチルアセトアミド)を用いて、Pd(II), Nb(V), Ta(V), Cr(VI), Mo(VI), W(VI), Tc(VII), Re(VII)等の溶媒抽出を行い、関連化合物のIDOA(イミノジオクチルアセトアミド)やMIDEHA(メチルイミノジエチルヘキシルアセトアミド)、TODGA(テトラオクチルジグリコールアミド)、TDGA(チアジグリコールアミド)等の結果を比較した。これらの結果より、MIDOAによる分配比はIDOAやMIDEHAよりやや高いこと、Pd, Re分配比はTODGA, TDGAより高いことを明らかにした。
松本 英樹*; 冨田 雅典*; 大塚 健介*; 畑下 昌範*; 前田 宗利*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 池田 裕子; et al.
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 76, 2015/03
低線量/低線量率放射線に対して生物が示す特異的な応答様式には、放射線適応応答、放射線誘発バイスタンダー応答、放射線超高感受性、遺伝的不安定性等がある。我々は、原子力機構において開発された細胞局部照射装置(HZ1)および深度制御種子照射装置(HY1)を用いて、放射線誘発バイスタンダー応答による放射線適応応答の誘導機構の解析を実施した。中央にスポットしたコロニーの細胞に520MeV Ar
をマイクロビーム照射し、4-6時間培養後に同
Ar
をブロードビーム照射した結果、放射線適応応答の誘導が認められ、この誘導はNO特異的な捕捉剤であるcarboxy-PTIOの添加でほぼ完全に抑制された。このマイクロビーム照射による放射線適応応答の誘導が起きた細胞で、
遺伝子の発現が特異的に発現誘導されていることが見いだされ、放射線適応応答の誘導にNOを介したバイスタンダー効果の誘導が関与していることが強く示唆された。
鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 78, 2015/03
これまでに、バイスタンダー効果で誘発される細胞死や染色体変異における照射イオン種依存性の解析を進めてきた。2015年度の研究では、バイスタンダー効果による遺伝子の変異誘発におけるイオン種依存性を、ヒト正常線維芽細胞を用いて解析した。コンフルエントに培養した細胞試料に対し、16
16マトリックス照射法で、異なる核種(炭素,ネオン,アルゴン)のマイクロビーム照射を行った。
遺伝子の変異誘発頻度は、6-チオグアニン耐性コロニーの頻度で測定した。炭素イオンマイクロビーム照射した試料では、非照射試料およびギャップジャンクション経由の細胞間情報伝達に特異的な阻害剤で処理した試料と較べ、変異頻度が6倍高くなった。一方、ネオン及びアルゴンマイクロビームで照射した試料では、このような変異頻度の上昇が認められなかった。この結果は、ギャップジャンクションを介したバイスタンダー効果による突然変異誘発において、イオン種依存性が存在すること意味する。
保田 隆子*; 尾田 正二*; 浅香 智美*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦; 三谷 啓志*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 85, 2015/03
本研究では、卵殻が透明で発生までの全過程を生きたまま詳細に観察可能なメダカ胞胚期に重イオン照射を行い、その後の発生を詳細に観察した。メダカ胞胚期に炭素線をブロードビーム照射した結果、10Gyでは体軸形成不能、5Gyでは体軸形成異常、2Gyでは器官形成異常が観察され、全て早期胚死となり孵化には至らなかった。次に、炭素線マイクロビーム(ビーム径120および180m)を用いて胚盤(約500
m径)中央を局部照射し、胚盤全体をブロードビーム照射した試料と比較した。その結果、局部照射した試料では、発生遅延や、眼組織における器官形成異常が観察された。一方、孵化率では、全体照射した試料では2Gyでほとんどの胚が孵化できなかったが、炭素イオンマイクロビームで胚盤中央部のみを50Gyで局部照射した試料では約半数の胚で正常な孵化が観察された。