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中嶋 徹; 河上 哲生*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 酒井 治孝*
Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 127(5), p.e2021JB023630_1 - e2021JB023630_33, 2022/05
被引用回数:1 パーセンタイル:19.16(Geochemistry & Geophysics)大陸衝突帯における結晶質岩ナップの削剥過程を明らかにするために、東ネパールヒマラヤに分布する高ヒマラヤ変成岩ナップとレッサーヒマラヤナップに熱年代学的手法を適用した。
中嶋 徹; 河上 哲生*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 酒井 治孝*
no journal, ,
本研究では大陸衝突帯の上部地殻の削剥過程を明らかにするために、東ネパールに分布する変成岩に熱年代学的手法を適用した。初めに、ジルコン,アパタイトのフィッション・トラック(FT)年代測定及びそれらを組み合わせた熱史逆解析により、60-350Cの温度領域における温度-時間履歴(t-Tパス)を復元した。その結果、東ネパールの横断側線上から8つのt-T pathが得られ、上部地殻の冷却過程が以下の特徴を持つことが明らかになった。(1)徐冷-急冷-徐冷という3つの冷却ステージを持つ(GRG冷却)、(2)急冷の時期が北の試料ほど遅い時期になる傾向がある。次に先行研究により提唱された中央-東ヒマラヤの削剥モデル(下記1-4)を検証する目的で、FT年代とt-Tパスの実測値と3次元の熱運動モデルにより再現された削剥モデルより得られた理論計算値の比較を行った。(1)平坦な形状のプレート境界断層(MHT)の活動に伴い山脈が削剥される(Flat MHTモデル)、(2)flat-ramp-flat構造を持つプレート境界断層の活動に伴い山脈が削剥される(Flat-Ramp-Flat MHTモデル)、(3)デュープレックス構造の発達に伴い山脈が削剥される(Duplex 01-03モデル)、(4)MHTの分岐断層の活動に伴い山脈が削剥される(Splay Faultモデル)。その結果、Flat-Ramp-Flat MHTモデルのみが東ネパールのFT年代とt-Tパスの実測値を説明できることが明らかになった。これは、東ネパールのFT年代分布とt-Tパスが、flat-ramp-flat構造を示すMHTの活動に伴う上部地殻の削剥過程を反映していることを示唆している。GRG冷却や急冷の北方若年化は約9Maに始まっており、それ以降はMHTの形状が大きく変化していないことが示唆される。また、熱運動モデルを用いた削剥史の逆解析の結果、削剥速度とその空間分布も同様に、9Ma以降大きく変化していないことが示唆された。
工藤 駿平*; 河上 哲生*; 中嶋 徹; 酒井 治孝*
no journal, ,
ヒマラヤでは衝突帯の下部地殻を構成していた高度変成岩類(HHC)の上昇過程が長年研究され、複数の隆起・侵食モデルが提唱されている。本研究では東ネパール、ダンクッタ地域に分布するHHCの変成分帯及び温度-圧力履歴の復元を行うことで、HHCの隆起・侵食過程を明らかにし、大陸衝突帯の活動的下部地殻の上昇モデルを検証した。
中嶋 徹; 河上 哲生*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 酒井 治孝*
no journal, ,
過去数十年間でフィッション・トラック(FT)年代測定手法を用いた地殻の削剥史解明手法は大きく発展し、世界各地の変動帯において多く適用されてきた。特に変動帯を横断する測線上におけるFT年代分布を調べることにより、削剥史の解明に留まらず、変動帯における地殻の削剥の内的営力を明らかにする試みが多くなされてきた。一方、現行の大陸衝突帯であるヒマラヤにおいて行われた研究では、内的営力を明らかにする上でFT年代分布のみに基づく検討では時間解像度が不十分であることが指摘された。そこで私たちはジルコン、アパタイトのFT年代測定に加え、FT長データに基づく熱史逆解析を行うことで上部地殻が経験した熱史を高時間解像度で明らかにし、ネパールヒマラヤにおける地殻の削剥の内的営力を明らかにすることを試みた。
中嶋 徹; 仁木 創太*; 工藤 駿平*; 河上 哲生*; 東野 文子*; 平田 岳史*; 酒井 治孝*
no journal, ,
本研究では中央ヒマラヤに分布する正片麻岩に産するジルコンの内部組織と包有物に着目し、ヒマラヤ造山運動に伴う高温変成作用によって上書きされた古生代初期のマグマ-流体活動履歴の解読を試みた。中央ヒマラヤ、カリガンダキ川沿いに分布する正片麻岩のジルコン中には石英、カリ長石、斜長石、黒雲母、燐灰石、ゼノタイム、モナズ石、トール石、黄鉄鉱、チタン鉄鉱などの鉱物包有物に加えて、流体包有物や珪長質な多相固体包有物が観察される。本研究ではジルコンの内部組織を内側より、(1) inner-core, (2) outer-core, (3) dark annulus, (4) metamorphic rimに区分した。outer-coreはCL像で振動累帯構造を示し、U-Pb年代は510-460Maである。outer-coreには石英や黒雲母などの鉱物包有物に加え、中塩濃度の初生的な流体包有物、珪長質な多相固体包有物が多く見られる。一部の多相固体包有物中には自形性の良い石英やカリ長石、黄銅鉱、蛍石、閃亜鉛鉱、金属ビスマスなどが産する。このことから、outer-coreは高度に分化したS-type花崗岩質メルトから晶出したと考えられる。dark annulusはCL像で暗色を呈する円弧状の領域として認識され、P, Y, REE, Uに富み、U-Pb年代は490-440Maである。dark annulusには燐灰石、ゼノタイム、モナズ石、トール石などの鉱物包有物のほか高塩濃度の初生的な流体包有物が多くみられる。この組織は高塩濃度の流体の流入と、それに伴うジルコンの溶解再沈殿反応により形成されたものと考えられる。outer-coreとdark annulus中の包有物とU-Pb年代は、これらの領域がビンフェディアン造山運動に伴う地殻の部分溶融とそれに伴うS-type花崗岩の活動、その後の高塩流体の活動に伴い溶解・成長したことを示唆する。metamorphic rimはジルコン最外縁に薄く成長した弱い振動累帯構造を呈する領域として認識され、一部がdark annulusを脈状に切る。U-Pb年代は45-17Maであり、Gd/Yb比から複数の成長ステージが認められる。このことからヒマラヤの衝突型造山運動に伴う高温変成作用でジルコンの一部が溶解、複数のステージで成長したことが示唆される。以上の結果は、ジルコンのouter-coreとdark annulusに記録されたビンフェディアン造山運動に伴うマグマ-流体活動の痕跡は、後のヒマラヤの高温型変成作用でもリセットされていないことを示唆している。
中嶋 徹; 仁木 創太*; 工藤 駿平*; 河上 哲生*; 東野 文子*; 平田 岳史*; 酒井 治孝*
no journal, ,
造山運動に伴う地殻物質の生成・改変は、大陸地殻進化の基本的なプロセスであるが、古い造山運動の記録は新しい造山運動により上書きされ、変成鉱物の内部組織や包有物にのみ残されている場合が多い。本研究では中央ヒマラヤに分布する正片麻岩に産するジルコンの内部組織と包有物に着目し、ヒマラヤ造山運動に伴う高温変成作用によって上書きされた古生代初期の造山運動に伴うマグマ-流体活動履歴の解読を試みた。
岩野 英樹*; 酒井 治孝*; 檀原 徹*; 中嶋 徹; 平田 岳史*
no journal, ,
本研究では、エベレスト地域に分布する高ヒマラヤ変成岩類に対し熱年代学的手法を適用し、中新世以降の低温領域の冷却史を明らかにする。我々はエベレスト山塊の南斜面のNNE-SSW測線に沿って調査を行い、年代測定用の岩石試料を得た。岩石試料より得られたジルコン、アパタイトのフィッション・トラック年代は、高ヒマラヤ変成岩類のシグモイダルな冷却を示唆する。すなわち、(1)初期の急冷、(2)その後の徐冷、(3)末期の再急冷である。フィッション・トラック年代の分布より、3つの冷却ステージがそれぞれ(1)地質構造の傾斜方向、(2)鉛直方向、(3)水平方向の傾向を示すことが明らかになった。それぞれの冷却ステージは15Maにおける(1)エベレスト山塊の急速な上昇と(2)その後の熱緩和、(3)末期の側方冷却と対応される。このことから、エベレスト山塊は約15Maには成立し、その後の侵食の進行と地形変化により側方に冷却が進行するとともに、現在の姿になったと考えられる。