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論文

Analyzing the cross slip motion of screw dislocations at finite temperatures in body-centered-cubic metals; Molecular statics and dynamics studies

鈴土 知明; 鬼塚 貴志*; 福元 謙一*

Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 27(6), p.064001_1 - 064001_15, 2019/08

低温でのBCC金属の塑性は、らせん転位の移動に支配される。これらの金属結晶におけるらせん転位芯は非平面構造を有するため、その運動は複雑であり、予測不能である。例えば、密度汎関数理論(DFT)は{$ 110 }$面上のすべりを予測するが、高温における実際のすべり面は予測から乖離してれており、そのメカニズムは何十年もの間の謎だった。本研究ではらせん転位運動を追跡する一連の分子動力学シミュレーションを実施し、実験で得られている滑り面の移行再現することに成功した。我々は、次に、Peierls障壁を超えて転位が移動する現象を精査するアルゴリズムを考案し、すべり面移行のメカニズムを発見した。すなわち、転位芯構造の変化がなくても、転位線の大きなゆらぎによって交差すべりのキンクペアが核形成されることを確認した。

論文

Primary radiation damage; A Review of current understanding and models

Nordlund, K.*; Zinkle, S. J.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Averback, R. S.*; Stoller, R. E.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.

Journal of Nuclear Materials, 512, p.450 - 479, 2018/12

 被引用回数:5 パーセンタイル:40.87(Materials Science, Multidisciplinary)

あらゆる種類の放射線影響の科学的理解は、一次損傷、すなわち、高エネルギー粒子によって開始された原子弾き出し事象の直後に生成される欠陥から始まる。このレビューでは、過去数十年にわたり一次損傷の性質について繰り返し行われてきた広範な実験およびコンピュータシミュレーションの研究を検討する。我々は、材料における結晶学的または位相的欠陥の生成、ならびに原子混合、すなわち結晶学的位置の原子が他のものと位置を交換することも検討する。我々はまた、このエネルギー粒子の損傷を定量化するための現在の国際標準であるNorgett-Robinson-Torrens(NRT)-dpaの代替案を提供するための最近の取り組みについて考察する。我々は、NRT-dpaを拡張する新しい補完的な変位量推定(athermal recombination corrected dpa: arc-dpa)と原子混合(replacements per atom: rpa)関数を詳細に提示し、それらの利点と限界について議論する。

論文

Atomistic simulation of phosphorus segregation to $$Sigma$$3(111) symmetrical tilt grain boundary in $$alpha$$-iron

海老原 健一; 鈴土 知明

Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 26(6), p.065005_1 - 065005_10, 2018/09

 パーセンタイル:100(Materials Science, Multidisciplinary)

照射誘起粒界リン偏析の見積もりは原子炉圧力容器鋼の脆化を評価する上で重要な要素であるが、粒界へのリン移動の物理的過程は依然として不明である。このことから、分子動力学を用いて$$Sigma$$3(111)対称傾角粒界へのリン移動を分子動力学シミュレーションによって評価した。結果として、粒界近傍$$sim$$1nmの範囲で、自己格子間原子が粒界に押し出されることで、鉄-リン混合ダンベルのリン原子と八面体格子間リン原子が置換型原子になることを見出した。空孔-リン複合体も解離し、空孔はリン原子を引きずることなく粒界に吸収された。この結果は、従来考えられている偏析プロセスとは異なることから、それについて新しい視点が必要であると示唆している。

論文

First-principles calculations of interaction between solutes and dislocations in tungsten

都留 智仁; 鈴土 知明

Nuclear Materials and Energy (Internet), 16, p.221 - 225, 2018/08

タングステン中の核反応生成物であるレニウムとオスミウムによる機械特性の変化を理解することは核融合におけるプラズマ対向材料の重要な課題である。本研究では、塑性変形時の転位とこれらの核反応生成物とその他の固溶元素に着目し、第一原理計算を用いて相互作用について検討を行った。その結果、Ir, Pt, Au, Hgなどの合金では非常に強い引力相互作用を生じ固溶強化を生じることがわかった。一方、Hf, Ta, Reでは転位の運動を容易にすることで固溶軟化を生じる特徴を有することがわかった。これらの傾向はW-Re合金の実験観察とよく一致しており、メカニズムの解明に寄与すると考えられる。

論文

First-principles study of solvent-solute mixed dumbbells in body-centered-cubic tungsten crystals

鈴土 知明; 都留 智仁; 長谷川 晃*

Journal of Nuclear Materials, 505, p.15 - 21, 2018/07

 被引用回数:1 パーセンタイル:38.14(Materials Science, Multidisciplinary)

タングステン(W)は、将来の核融合炉のプラズマ対向材料として有望視されており、W合金の耐放射線性を向上させその機械的特性を改善するための最適な合金成分を選択することが重要な課題である。本研究では、W結晶中の溶媒と溶質の混合ダンベルを第一原理計算によって調査した。その結果、チタン, バナジウム, クロムはW材の延性を低下させる原因となる照射誘起析出を起こさずに、空孔と格子間原子の再結合を促進させるため、照射効果という観点からではW材の合金元素として望ましいことがわかった。

論文

Improving atomic displacement and replacement calculations with physically realistic damage models

Nordlund, K.*; Zinkle, S. J.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Averback, R. S.*; Stoller, R.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.

Nature Communications (Internet), 9, p.1084_1 - 1084_8, 2018/03

 被引用回数:21 パーセンタイル:1.29(Multidisciplinary Sciences)

原子衝突プロセスは、電子顕微鏡、半導体加工、原子力発電等、数多くの先進的な材料技術の基本である。ここ数十年にわたる広範な実験および計算シミュレーション研究によって、弾き出し損傷時に起きる原子スケールのプロセスを理解するための物理的基礎が確立された。損傷を定量化するための現在の国際標準はNorgett-Robinson-Torrens(NRT)-dpaと呼ばれているが、現在それにはいくつかの欠点が知られている。特に、金属のカスケード損傷で生成される欠陥の数は、NRT-dpa予測の約1/3であるのに対し、原子の混合に関与する原子数はdpa値よりも約30倍大きい。本研究では、弾き出し損傷をより現実的に記述し、NRT-dpaを拡張する2つの新しい指標を提案する。

論文

Recent advances in modeling and simulation of the exposure and response of tungsten to fusion energy conditions

Marian, J.*; Becquart, C. S.*; Domain, C.*; Dudarev, S. L.*; Gilbert, M. R.*; Kurtz, R. J.*; Mason, D. R.*; Nordlund, K.*; Sand, A. E.*; Snead, L. L.*; et al.

Nuclear Fusion, 57(9), p.092008_1 - 092008_26, 2017/06

 被引用回数:32 パーセンタイル:0.46(Physics, Fluids & Plasmas)

ITER後に計画されているDEMO炉の構造材料は、これまでにないような照射、熱条件にさらされる。このような極限環境を実験的に模擬することはできないが、計算科学的な方法によって材料挙動を研究し実験的方法を補足することができる。高温や照射に対するすぐれた耐性から、タングステンは第一壁やダイバータ等のプラズマ対向面の材料として最善の候補とされている。このレビューではプラズマ対向材および高速中性子に照射されるバルク材としてのタングステンの最近の計算科学によるモデリングの成果についてまとめた。特に、計算科学的な方法によるいくつかの顕著な発見に重点を置き、残された将来の課題を指摘した。

論文

Modeling of Phosphorus Transport by Interstitial Dumbbell in $$alpha$$-Iron Using First-Principles-Based Kinetic Monte Carlo

海老原 健一; 鈴土 知明; 山口 正剛

Materials Transactions, 58(1), p.26 - 32, 2017/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:60.17(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉圧力容器鋼における照射による粒界リン偏析を数値シミュレーションによって評価することを目指し、原子レベルの計算に基づく拡散レート方程式の開発を行っている。本研究では、第一原理計算で評価した格子間原子対の移動モデルおよび移動障壁エネルギーを用いたキネティックモンテカルロシミュレーションによって、鉄原子とリン原子の混合格子間原子対の拡散係数を評価した。評価した混合格子間原子対の拡散係数は、八面体格子間サイトを移動するリン原子の拡散係数とほぼ同じであり、空孔によるリン輸送の拡散係数よりかなり大きい値であった。さらに、八面体格子間サイトのリン原子を取り入れるように修正した拡散レート方程式に評価した拡散係数を組み入れ、照射誘起粒界リン偏析の数値シミュレーションをしたところ、八面体格子間サイトのリン原子に対する粒界における従来の境界条件が不適切であることが明らかとなった。今後、適切な境界条件を取り入れる必要がある。

論文

Suppression of radiation-induced point defects by rhenium and osmium interstitials in tungsten

鈴土 知明; 長谷川 晃*

Scientific Reports (Internet), 6, p.36738_1 - 36738_6, 2016/11

 被引用回数:10 パーセンタイル:35.13(Multidisciplinary Sciences)

照射耐性が強い材料を開発することは原子力材料への応用にとって重要であり、そのため照射欠陥の発達モデルを構築することが望まれている。我々は第一原理計算とキネティックモンテカルロ法を応用して、ある種の溶質元素をタングステンに添加することにより格子間原子の移動次元を変化させて照射効果を軽減するメカニズムを示すことに成功した。自己格子間原子が1次元運動するすべての体心立法格子の金属にこのメカニズムをあてはめることができるため、ここで得られた結果は原子力材料に使われる照射耐性の合金を計算科学によって探索するための一つのガイドラインとなりうる。

論文

The Two-step nucleation of G-phase in ferrite

松川 義孝*; 武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 鈴土 知明; 渡辺 英雄*; 阿部 弘亨*; 外山 健*; 永井 康介*

Acta Materialia, 116, p.104 - 113, 2016/09

 被引用回数:27 パーセンタイル:3.44(Materials Science, Multidisciplinary)

673Kで等温時効したフェライト相中のG相(Ni$$_{16}$$Si$$_{7}$$Mn$$_{6}$$)析出に関し、溶質原子クラスタが母材と結晶学的に区別可能となる成長段階を見出すため、アトムプローブトモグラフィ(APT)と透過電子顕微鏡法(TEM)を組み合わせた解析を行った。その結果、G相の形成は、まず自発的に溶質原子が集まって直径2.6nm程度の臨界サイズとなった後に、組成が変化し閾値にまで達するという複数の成長段階を経ることを明らかにした。また、電子回折パターンの計算機シミュレーション結果から、しきい値の組成はNi$$_{16}$$Si$$_{3.5}$$(Fe,Cr)$$_{3.5}$$Mn$$_{6}$$と見積もられることが分かった。

論文

Migration of rhenium and osmium interstitials in tungsten

鈴土 知明; 山口 正剛; 長谷川 晃*

Journal of Nuclear Materials, 467(Part 1), p.418 - 423, 2015/12

AA2015-0099.pdf:0.62MB

タングステンは将来の核融合炉のプラズマ対向被覆材として期待されている。しかしながら、材料を硬化させる照射誘起析出の発生が実用化に向けて課題とされている。照射誘起析出現象の出現を精度良く予測するには、レニウムやオスミウム等の照射下で核変換反応より生成される溶質原子の運動を把握することが重要である。本論文では、我々はアトミックキネティックモンテカルロ法を用いてこれらの溶質原子の運動を計算機シミュレーションより解析した。なお、溶質原子はタングステンと混合ダンベルを作っていると仮定した。解析の結果、回転障壁エネルギーが低いためこれらの混合ダンベルは3次元運動になり、その障壁エネルギーが拡散係数に大きく影響することがわかった。また、それらの3次元運動は空孔等の球状の欠陥の運動のような単純な運動モデルに帰結することができないことがわかった。

論文

Simulation of He embrittlement at grain boundaries of bcc transition metals

鈴土 知明; 山口 正剛

Journal of Nuclear Materials, 465, p.695 - 701, 2015/10

 被引用回数:7 パーセンタイル:22.72(Materials Science, Multidisciplinary)

体心立法晶の遷移金属の粒界におけるHe脆化がどのような原子論的性質に支配されているかを研究した。我々は密度汎関数法を使った第一原理計算手法とHe偏析のための速度論を組み合わせた計算モデルを構築し、将来建設が予定されている核融合DEMO炉の第一壁の条件でHe脆化の予測計算を様々な金属を対象に行った。その結果、He脆化は中性子照射によるHe発生率だけでなく、粒界でのHe偏析エネルギーに大きく依存することがわかった。また、各元素のHe偏析エネルギーが周期律表において系統的な傾向を示すことが第一原理計算より明らかになった。

論文

Hardening in thermally-aged Fe-Cr binary alloys; Statistical parameters of atomistic configuration

鈴土 知明; 永井 康介*; Schwen, D.*; Caro, A.*

Acta Materialia, 89, p.116 - 122, 2015/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:51.09(Materials Science, Multidisciplinary)

モンテカルロ法および分子動力学法を用いて、Fe-Cr二元合金のスピノーダル分解を計算機で模擬し、相分離現象によって引き起こされる降服応力の上昇と原子配置の統計的パラメターの間の関係を解析した。その結果、我々は既に実験的に発見されている、硬さとvariationパラメター(V)の間の比例関係を再現することができた。また、このパラメターは硬化の経験的な指標として限界があることがわかった。すなわち、このパラメターは硬化に影響する近距離の原子配置を統計的にうまく表現できていないことがわかった。我々は近距離原子秩序パラメターがこの現象のより包括的な指標となりえると考える。

論文

Primary radiation damage in materials

Nordlund, K.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Zinkle, S. J.*; Stoller, R.*; Averback, R. S.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.

NEA/NSC/DOC(2015)9 (Internet), 86 Pages, 2015/00

本報では、中性子, イオン, 電子による1次的照射損傷の現在の理解についてレビューを行う。照射損傷の指標であるdpaの有効性について、特にその指標の部分的な欠陥について詳しい議論する。現在最も標準的に使われているNRT-dpaは照射損傷が単位体積あたりの照射エネルギーに比例するので、そのようなスケーリングが成り立つ場合には完全に有効であり、異なった環境での照射を比較する場合に使用できる。しかしながら、NRT-dpaはいくつかの問題点が指摘されており、ここではそれについて詳しく議論し、NRT-dpaを改良した式を提案する。

論文

Stability and mobility of rhenium and osmium in tungsten; First principles study

鈴土 知明; 山口 正剛; 長谷川 晃*

Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 22(7), p.075006_1 - 075006_13, 2014/10

 被引用回数:33 パーセンタイル:10.9(Materials Science, Multidisciplinary)

タングステン結晶中のレニウム原子およびオスミウム原子の振る舞いを調べるため、密度汎関数法による第一原理計算を行った。1次元運動する自己格子間原子と異なって、これらの溶質原子の格子間原子は3次元運動することがわかった。これらの元素の拡散は材料の照射効果に多大な影響を及ぼすが、今回我々の得た結果はタングステン-レニウム、タングステン-オスミウム合金で実験的に観察される照射効果を説明するための重要な性質であることがわかった。

論文

Atomistic modeling of He embrittlement at grain boundaries of $$alpha$$-Fe; A Common feature over different grain boundaries

鈴土 知明; 山口 正剛; 都留 智仁

Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 21(8), p.085013_1 - 085013_8, 2013/12

 被引用回数:5 パーセンタイル:67.17(Materials Science, Multidisciplinary)

金属材料に導入されたヘリウム原子は粒界破壊の原因となり、その影響を調べることは将来の核融合炉設計にとって非常に重要である。この論文では、第一原理計算手法と経験ポテンシャルによる手法を相補的に用いて、ヘリウムの$$alpha$$鉄粒界への偏析による粒界強度の低下を議論した。その結果、粒界強度に関する重要な指標である粒界凝集エネルギーが、ヘリウムの粒界面での濃度のみに依存し、粒界種に依存しないこと見出した。これはすべての粒界種について調査する必要がないことを示唆しており、材料設計にとって重要な結果である。

論文

An Atomistic modeling of He bubble stability at grain boundaries in alpha-Fe

鈴土 知明; 都留 智仁; 山口 正剛; 蕪木 英雄

Journal of Nuclear Materials, 442(1-3), p.S655 - S659, 2013/11

 被引用回数:5 パーセンタイル:46.51(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉その他の構造材における粒界にて析出するヘリウムバブルは、材料に深刻な脆化をもたらすことがあるが、そのようなバブルの形成機構はよくわかっていない。本研究では、その形成機構を明らかにするため、経験ポテンシャルを用いてヘリウムバブルの元になるヘリウム空孔クラスタの安定性を調べた。その結果、粒界におけるヘリウム空孔クラスタからの空孔の脱離エネルギーが、一般に同様のサイズの粒内クラスタのそれに比べて小さいことがわかった。また、粒界では平衡状態にあるクラスタのヘリウム・空孔比が大きくなることがわかった。以上のような結果は、バブル形成モデルを構築する場合の有用な情報となる。

論文

Introduction of vacancy drag effect to first-principles-based rate theory model for irradiation-induced grain-boundary phosphorus segregation

海老原 健一; 鈴土 知明; 山口 正剛; 西山 裕孝

Journal of Nuclear Materials, 440(1-3), p.627 - 632, 2013/09

 被引用回数:5 パーセンタイル:46.51(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉圧力容器鋼における脆化元素であるリンの粒界偏析に対する空孔ドラッグ効果の影響を調べるため、空孔とリン原子のすべての結合状態に関する原子素過程を考慮したキネティックモンテカルロシミュレーションによって部分拡散係数を評価し、それらを組み入れたレート理論モデルで中性子照射された圧力容器鋼における粒界リン偏析をシミュレーションした。その結果、空孔ドラッグ効果によって粒界にリンが輸送されることを確認した。また、空孔とリン原子の最近接結合状態のみを考えた場合、理論解析で導いた部分拡散係数を使った時には現れなかった空孔ドラッグ効果が現れることがわかった。さらに、空孔ドラッグ効果とは関係なく、粒界リン偏析がリンを輸送する空孔機構によって抑制されることがわかった。この結果は、計算モデルを高度化することで、圧力容器鋼における不純物拡散偏析現象の理解を深めたものである。なお、本内容は国際会議での発表内容を詳細にまとめたものである。

論文

Effects of carbon impurity on microstructural evolution in irradiated $$alpha$$-iron

阿部 陽介; 鈴土 知明; 實川 資朗; 都留 智仁; 塚田 隆

Fusion Science and Technology, 62(1), p.139 - 144, 2012/07

 被引用回数:5 パーセンタイル:48.35(Nuclear Science & Technology)

原子レベルでの最適化法及び分子動力学法を用いて、$$alpha$$鉄中における自己格子間原子型(SIA)ループと不純物炭素の相互作用を静的・動的に調べることにより、不純物炭素によるSIAループの捕獲機構を評価した。この結果、SIAループの内側において原子空孔と不純物炭素の複合体との結合エネルギーが高くなることが示された。このことは、原子空孔-不純物炭素複合体が解離する450K以下におけるSIAループの捕獲機構として最も有力な反応であることを示唆している。この温度以上では、解離した不純物炭素が拡散しSIAループの拡張応力場に捕獲されることによりSIAループの移動度が減少する原因となることが予測される。得られた捕獲機構及び結合エネルギーを長時間積分が可能なクラスターダイナミクスに適用し実験データと比較・検証を行うことにより、得られた知見の妥当性を確認した。

論文

Annealing simulation of cascade damage in $$alpha$$-Fe; Damage energy and temperature dependence analyses

鈴土 知明; Golubov, S. I.*; Stoller, R. E.*; 山口 正剛; 都留 智仁; 蕪木 英雄

Journal of Nuclear Materials, 423(1-3), p.40 - 46, 2012/01

 被引用回数:4 パーセンタイル:55.75(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉構造材料の照射効果を明らかにするため、損傷エネルギーが200keVまでのカスケード損傷の分子動力学シミュレーション結果を用いてキネティックモンテカルロ法による長時間の時間発展の解析を行った。われわれは特に残留する欠陥数が損傷エネルギーや温度によってどのように変化するかを詳細に調べた。この結果は照射下の微細構造発達の速度論方程式の入力パラメータとして使える。また本解析により、アニーリング中サブカスケードはほぼ独立して時間発展すること、そしてアニーリング結果の温度依存性は空孔拡散と空孔のクラスターからの脱離確率の温度依存性によって説明できることがわかった。

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